阪急2800系 4 車体塗装

10月の終わり頃から、やっと車体側面の塗装を始めることができました。しかし、側面の塗装は床下機器と違って、車輌のイメージを決めてしまうので大変で、エアブラシでフラットに塗るのはむずかしいですね。

予備の中間車を使ってかなり練習しました。エアブラシ塗装、窓枠塗装、削り出しを試行錯誤しながら、何度も塗装しては剥がすという作業を繰り返しました。それでも思い通りの仕上げにはなりません。しかも、練習が中間車だったために、先頭車両の塗装に入ってからは、根本的問題が組み立ての拙さにあることがわかりました。

まだまだ他のキットの買い置き在庫があるので、今から組み立てに戻る気はなく、初めての真鍮キット製作の記念として残して、走らせながら、今後の勉強・反省材料とします。

塗料は定番のマッハ模型・阪急マルーン(59A)を使いました。練習作業で決まってきた塗装方針は、1.下地塗装をしないこと、2.手で仕上げる方法をできるだけ少なくすること、でした。

1.下地塗装をしないと、塗料の密着性が低下するのはわかるのですが、金工での塗装経験や、実際に練習していると、600番くらいのペーパーで表面処理しておけば、下地無しでも十分に塗料が密着することがわかりました。それに、上塗装を失敗したときに、下地塗装をしていると、一部を修正するのがむずかしく、全体の塗装を剥がす必要があることでした。これは下地塗料を選べば解決するのかもしれませんが、次のキット製作での課題としておきます。

2.ちょっとやそっとでは習熟しない手仕上げを少なくするために、扉の一部を塗装前にマスキングするなどで対処しました。塗装後の削り出しをやめたのは、削り出しの練習でどうしても失敗してしまい、その時に気持ちが大きく落ち込むからです。洋白の扉の一部は細いマスキング・テープ(0.4mmと0.7mm)で洋白の地を出し、窓枠パーツのない窓枠の塗装は簡単な用具を作って、失敗を少なくしました。

3. ラッカーを厚く塗る必要があるようですが、それはもっと練習しないと無理そうなので、テキトーにして、トップコートで仕上げます。

車体側面の塗装はだいたいこんな順序でやりました。まず、屋根と扉の一部をマスキングします。

エアブラシ用の希釈率は塗料1、シンナー2、乾燥を遅らせるリターダーシンナー少し(0.5)くらいです。

初めての車体塗装をした結果です。

遠目では問題なさそうだったのですが、手元でじっくり眺めると、ホコリがわんさと付いていました。最初の失敗の原因は、下塗りのミッチャクロン・マルチを塗ってからしばらく放置していたためです。ミッチャクロン・マルチは乾燥後も粘着性があるので、ホコリが付きやすいようですね。その後は下塗りをやめて、全体に600番のペーパーをかけるだけにしました。

ホコリが大敵だというのがよくわかりました。どうしてもホコリが入り込んでしまうので、気付いたら乾くまで待って、ペーパーで水研ぎして再開という手順が頭に入るまで、しばらくかかりました。

エアブラシは最初、0.3mmのノズルを使っていましたが、うまく調整できなくて、1両を塗装するのに30分以上かかってしまいました。腕が疲れるので、0.5mmのノズルに替えたら、かなり作業が捗りました。その後はそれなりに使い分けができるようになりました。

ともかく、塗装すると、組み立て作業の拙さがモロに表れてきます。特に、先頭車両のお面や妻面と胴体との接合部が目立ちます。塗装した後に水研ぎして、厚塗りをしても、すっきりとはならないものですね。このあたりが一番の問題点です。次からは組み立ての仕上げをがんばることにします。

多くの回り道を経て、何とか、車体側面塗装を終え(たことにし)ました。

マッハ模型で聞いたときは、4両で塗料1缶くらい必要ということで、余裕のために3缶買っておきました。練習を含めて延べ12両以上塗って、2缶半くらいでした。全体に薄めだったようです。

事前に塗装ブースを導入しておいたおかげで、溶剤の臭いに悩まされることなく、マスクを使う必要もなく、楽しく作業ができています。缶スプレーだと少し吹き返しが起こりますが、エアブラシだと問題はありません。パスカルが後ろで作業の終わりを待っていることもありますが、犬でさえも部屋の臭いは気にならないようです。ひょっとしたら、パスカルがシンナー好きなのかもしれませんが。

段ボールで内枠を作ってあります。窓外への排気口はベニヤ板で作って、使うときに窓枠にはめ込みます。天候と気温を気にしないで遊べます。上に置いているのは定番の食器乾燥機です。塗装を終えたら、食器乾燥機に入れています。

側面塗装の合間に小物の塗装を続けました。
先ずはクーラーの塗装です。下地はミッチャクロン・マルチ、塗料は「ねずみ1号」で、水性クリア(トップコート)で少し艶を出しました。

次は重要な窓枠です。阪急のアルミ窓枠の雰囲気に似た塗料をいくつか試してみて、Mr. COLORのスーパーメタリック(スーパーファインシルバー)が好みに合いました。

窓枠パーツをエアブラシで塗りました。

しかし、窓枠パーツは側面と制御車正面があるものの、扉、妻面、乗務員扉の窓はありません。そこで、パーツのない窓枠を削り出しで仕上げる練習をしてみましたが、どういう道具を使ったらいいのかよくわからず、小さなドライバーなどで試してみましたが、うまくいきません。それで簡単な治具を作ってみました。真鍮の切れ端の先をヤスリでL型に削って、刃を付けました。

この治具を窓の内側に入れて使うと、外にはみ出さずに削ることができます。ただ、妻面の窓や乗務員扉の窓枠で削り出しをすると、真鍮の金色になってしまいます。結局、窓枠パーツと同じ塗料で塗ることにしました。

こういう窓枠塗装には烏口が使われるらしいので、古い烏口を見つけ出して練習してみました。しかし、削り出しの練習と同様に、烏口が外側にはみ出してしまって、車体塗装の部分直しが頻繁に起こることがわかりました。これは精神的に良くありません。いろいろ考えた結果、烏口に細い真鍮線をハンダ付けして、外にずれるのを防止してみました。

これはかなり効果的でした。烏口が窓枠の外にずれることはなくなりましたし、窓枠の内側側面も同時に塗装できます。不器用で未熟な者にとって治具は不可欠ですね。それでも失敗はしますけど、失敗の頻度は激減しました。結果です。

よく見ると小さなはみ出しがありますが、まあ、こんなものとします。

さて、屋根上塗装に入ります。
屋根上の雨樋部分から車体側面をマスキングしますが、このマスキングで塗装が剥がれないかがちょっと心配でした。

最初の車輌はちょっとテカテカになりました。これが本来のラッカー塗装だろうと思いますが、屋根としては好みではないので、後で処理します。マスキングによる塗装剥がれは少しだけでした。

次は屋根の穴埋めをした車輌で、デコボコが見えたので、修正再塗装の準備です。前後に使っている阪急電車マスキングテープは友人からもらったもので、ちょっと記念に使ってみました。

何とか屋根上塗装が終わりました。

扉の窓枠塗装とマスキング結果です。やはり塗装は薄い感じですが、トップコートで光沢を出したいと考えています。内部は塗装しないので汚いままです。仕上げで紙の壁を貼り付けます。

少しタッチアップペイントが必要な箇所がありますが、今後の仕上げ過程で傷つく可能性が高いので、仕上げのトップコートを塗る前に補修する予定です。

床下回りの作業です。
制御車4両の先頭床下に使う連結器と胴受けを塗装しました。連結器(カプラー)は手持ちではKADEEの58番がぴったりでした。

取り付け前にカプラーの下に延びている金属棒(マグネットで開閉するための棒)を切り取りました。その他の連結(下の写真左2つ)はエンドウのドローバー(draw bar)で、塗装無しです。

KADEEのカプラーは必要になりそうな型番を揃えていますが、58番は8両分の手持ちがなかったので、中間はエンドウのドローバーを使いました。このドローバーは10両分(20個)が税別2200円で、KADEEのカプラーは4個入りがアメリカ通販で$3.39ですから、税金・送料を考えると、どちらも1両あたりのコストは同じくらいですね。車輌の連結・切り離しはKADEEカプラーのほうが楽です。

大阪向き先頭車両です。

京都向き先頭車両です。

よくわからないのは、実物の資料写真を見ていると、大阪向きと京都向きでホースの配置が逆になっているので、そのように作りましたが、どうしてなんでしょうね。このままだと、両端の先頭車両はいいのですが、4両ずつの連結部分では配置がぶつかってしまいます。そこは分けるべきでした。ま、見えないからいいか。それにしても、相当な厚塗りになっていますね。

床板に胴受けの足が入る穴がありますが、カプラーのケースと干渉するため、大阪向けは胴受けの足を切って、カプラーのケース前面に接着剤で固定し、京都向けはカプラーのケースを削りました。京都向けも足を切るほうがすっきりしそうです。

一応、KADEEの基準器で高さを合わせています。

動力車にモーターとウェイトを取り付けました。モーターが大きいので、床下機器をかなり薄くしているのがよくわかります。

横から見ると、こんな感じです。

これで床下は終了です。

これから仕上げの作業に入りますが、仕上げ作業がまた大変そうです。今年中に完成と考えていましたが、とても無理ですね。

(続く)