DCC電源の電圧

2023年5月24日

阪急2800系完成間近の2018年、灯火制御用デコーダ(LaisDCC製のFunction only decoder)の1つが走行中に焼損したことがありました。この時は商品のバラツキの問題だろうと推測して、同じデコーダーを取り替えて済ましました。

その時以外は問題がなかったのですが、いろいろと思い返してみると、一部のN用・HO用デコーダーにはDCCの線路電圧が高すぎるのかもしれないと思うようになりました。

現在のレイアウトでは、1・GとHOのいずれにも1台のESU ECoS 50200の出力を手元スイッチで切り替えて使っています。NはDC制御のままです。

2010年頃に買ったECoS 50000は2014年に画面が陥没して壊れ、カラー画面になったECoS 50200に買い換えました。買い換えた時、ESUのサイトに、HO以下の小型模型ユーザーの要望があったので電源アダプターの電圧を可変にした、と記載されていたのを思い出しました。その頃はあまり気にしないで、同じ電源で1・GとHOの両方を動かしてきています。

まさに遅まきながらですが、ECoSへのDC電源電圧とECoSからの線路電圧を確認してみることにします。

現在使っているECoS 50200のスイッチング電源アダプターの電圧です。購入時のままでしたが、19Vを超えていました。

この電圧で線路上はどうなっているかを調べたいのですが、線路上はDCCの矩形波(10KHz程度)です。このDMM(ディジタル・マルチメーター)はACの実効値(RMS電圧)測定ができると謳っていますが、1KHzまでなので、残念ながら1桁足りません。取り急ぎ、安直にブリッジダイオードを挟んだ簡易測定用ケーブルを作りました。

これでHOレイアウトの線路上電圧を調べました。DMMのDC電圧測定です。まあ、高周波の脈流でしょうけど。

16Vが出ています。感覚的にはHOで上限いっぱいのイメージです。この電圧は搭載デコーダーのみならず、同じブリッジダイオードを使った室内灯などにも印加されています。

この時、10年ほど前に廃番大特価で買ったテクトロの40MHzオシロスコープがあるのを思い出して、急いで引っ張り出しました。

このオシロは初めて使ったのですが、オート・セッティングで単発波形がきれいに出ました。

周波数は6.5KHzで、電圧はPeak-to-Peakで44.8Vになっています。目盛りを眺めると、DMMで出た16Vより少し高そうな感じです。実効値の測定はできないので、雰囲気としては電源アダプターの出力電圧から1割くらい低くなっているようです。

線路上に16~17Vというのは、1・Gでは低い感じですが、小さなデコーダーを使うHOでは高すぎるような気がします。Nゲージでは上限を超えているかもしれません。

メルクリンはHOで20Vくらいが推奨値と聞いたことがありましたし、ESUは元々メルクリンのディジタル部門だったそうなので、設定電圧は高いめでECoSを作っているのでしょうか。そのため、メルクリン方式ではないHOのDCCでは高すぎるために、ESUはアダプター電圧を可変にしたのかもしれません。

電圧可変となったECoS 50200付属の電源アダプター(左)と、電圧固定の50000のアダプター(右)を並べてみました。

50200のアダプターの側面に小さなネジが見えます。可変抵抗器のようです。このネジを回して出力電圧を変更します。

裏の仕様表示です。どちらも90VAです。

古い50000用の出力電圧は固定で、18.14Vです。

ユーザーとしては、電源アダプターの出力電圧設定という「生半可」な方法ではなく、ECoS側で線路出力電圧がコントロールできるようにしてほしいと願うのですが、後継機の50210も容量が150VAにアップしただけで、基本は変わっていません。

線路上の電圧設定に関しては、デコーダーの特性(制約)について調べる必要がありますが、個別のデコーダーの説明書に線路上電圧の上限値を明確に指定している製品はほとんど見当たりません。

Laisdccの説明書には次のように書かれています。

We set our decoder specifications at “Standards compatible” NMRA track voltages – please be aware that while US based systems meet this specification all of the time, many EU made controllers will often have track voltages well in excess of DCC standards recommendations and while our decoders will still perform reliably and well irrespective of your systems actual output voltage, we do suggest that if it is higher than the standards say it should be then a slightly more conservative current draw rating should be assumed.

(訳)当社のデコーダーはNMRAの指定する線路上電圧の「標準仕様」に基づいています。米国製のDCC制御器はこの仕様を満たしていますが、多くのヨーロッパ製のDCC制御器はこの標準電圧を超えています。当社のデコーダーはそれらを気にしないでいいように作られているものの、標準電圧を超えている場合には、電流対策を施しておくことをお勧めします。

ここに出てくるNMRA(NATIONAL MODEL RAILROAD ASSOCIATION)は米国の鉄道模型愛好家+模型関連会社などの団体で、鉄道模型に関する仕様を決めています。

NMRAの資料「S.9.1 Electrical Standards for Digital Command Control 2006」には次の図が載っています。

これを見ると、DCC制御器への入力電圧は7V~22Vの範囲で、N用の典型例(typical)は12V、HO用の典型例は15V、1・G用の典型例では18Vとなっています。一方、デコーダへの入力電圧の典型例はHOでは14.5V、1・Gでは18Vとなっています。

Typicalという英語を典型例と書きましたが、これはNMRAの基準や指針というほどの強制の意味はないようで、すでに発売されている機器の分布を参照した「参考」という程度のように読めました。しかも、これらの資料は13年前ですから、最新の機器がどうであるかを反映しているかはよくわかりません。

ただ、従来のDC駆動用のパワーパックはおおよそ最大電圧が上記の値に近いように思えますし、駆動される電動モーターもそれくらいの電圧が少し余裕を持った最大回転と考えられます。

また、メーカーによっては、「NMRAに準拠」していると製品に書いていることがあり、その場合はほぼ上記の値を設定しているように思えます。

また、NMRAのDCC制御器テスト指針(2007)では、DCC制御器からの出力(線路上の)電圧は上記の図で示された電圧+2Vが最大とすることになっています。

一方、DCCWikiには次の表が載っています

Common DCC Track Voltages by Scale
DCCWiki.com
Z N H0 S 0 Large Scale
10 − 12 12 − 14 14 − 16 20 − 22

通常、DCC制御器への電源はDCで、制御器からの出力(線路上)は高周波ACですから、簡単に比較はできませんが、電圧で20%くらい下がっています。

まだ調査途中ですが、ここまでをアップしておきます。

TRIX 22576 CC40100 (Étoile du Nord)

TRIX製のフランス国鉄(SNCF)の電気機関車CC40100形(車番は40105)です。TRIXの型番は22576で、DCC・SXサウンドを搭載しています。TEE(Trans-Europ-Express)50周年記念モデルの1つとして2007年に発売されたものです。

CC40100形は1964年から1970年まで製造され、1996年に引退したそうです。CCという名前のように、3軸の動力台車2つを駆動させていたフランス国鉄自慢の大型電気機関車でした。フランスからベルギー、オランダ、西ドイツを走っていたので、4カ国の電源に対応していました。そのため、パンタグラフは二対で4基もあります。

この機関車が牽引する列車(Étoile du Nord:エトワール・デュ・ノール)に乗ったのは1991年の5月でした。ちょうど日本では和名の「北斗星」(上野-札幌間の寝台特急)が走っていました。Étoile du Nordの編成をレイアウトで走らせたくて、TRIXから発売されたのを知って、客車セットと併せて購入(ドイツからの通販)しました。Étoile du Nordは昼間だけの短距離運行なので寝台車はなく、座席車(コンパートメントとコーチ)のみです。

購入したCC40100はDCC仕様ですが、今や旧式のSXサウンド搭載で、サウンドは貧弱です。DCCで制御できるのは次の通りです。音が出ます。

警笛を鳴らすとモーター音が途切れます。これがSXサウンドの限界です。でも、走行中は気になりません。

TRIXは2017年にあらためてCC40100をDCC・mfxサウンド搭載(型番22574)で再発売しています。TEE60周年のタイミングですね。TRIXが採用していたSelectrixからメルクリンのmfxにデコーダーを変更したようで、YouTubeでモデル紹介動画をチェックすると、型取りの精密さが増していて、サウンド内容が一新されているようです。この10年ほどで、HOサイズ以下の模型に使われるサウンドは大きく変貌したようです。

さて、いつものように、購入したら少しテスト走行させてから内部を覗いてみます。機関車には何も手を加えません。

灯火はすべてLEDです。

客車セットです。

2つのセットで7両、個別売りの1両を購入しましたが、号車番号から見ると、
2+3+4+5+6+7+10+電源客車(号車表示なし)
という編成になっています。

客車セットで残念なことがありました。箱には「Étoile du Nord」と印刷されているのに、車名行き先表示がすべて「Ille de France」で「パリ-ブリュッセル」になっていることです。箱詰めを間違えたのでしょうか。気がついたのは数年後に下の写真を撮った時でした。この表示を変える方法はなさそうですが、同じ客車だし、文字が小さいので拡大しないと読めませんので、Étoile du Nordとみなしておきます。

客車にはすべて室内灯を取り付けました。TRIXの専用室内灯は高いので、別のLED製品(Hufing-Tronic:ドイツ)です。今ならはるかに安いLEDテープを使うでしょうね。

最後尾の電源・客車です。ここにはスピーカーが取り付けられるようになっています。ディーゼルエンジンのサウンド用でしょうか。

電源車の尾灯にはLEDを装着しました。

すべての台車には車軸からの集電パーツを取り付けました。

こういう感じです。

カプラー(連結器)については、Kadeeに替えたり戻したり、いろいろと試しています。TRIXはメルクリンと共通のクロースカプラーを付けていて、カプラー構造が複雑すぎて、連結・開放がやりにくいのです。NEM 362のポケットを採用しているので、Kadeeのナックル式NEMカプラーに取り替えるようにしています。メルクリンのRelex カプラーは構造が単純なので、この列車もすべて交換するかもしれません。でも、ナックル式に慣れると、手による連結・開放がとても楽なので、悩むところです。

3種類のNEMポケット用カプラーです。左端が今回のセットに使われているタイプ、中央が簡単なループタイプのRelex、右端はKadeeのナックル式カプラー18番(medium)です。客車の幌を太いほうに変更するとどのカプラーでも連結がむずかしく、Kadeeの19番を選ぶ必要が出る場合があります。

8輌の客車を牽引している動画です。音が出ます。

別角度からの映像です。

Étoile du Nordは1924年に走り始め、1957年から1984年まではTEE(Trans Europ Express)として運用されていました。この機関車を初めて見た記憶はアラン・ロブ=グリエの映画で、タイトルがそのままの「ヨーロッパ横断特急 (Trans-Europ-Express)」(1966年)でした。機関車はロングショットで映っていたわけではありませんが、こういうデザインの機関車があるのかと、ちょっとした驚きでした。

その後に、前面の逆傾斜が特徴的なこの機関車はPaul Arzens(ポール・アルザン)がデザインしたと知りました。ポール・アルザンはアメリカに移ったレイモンド・ローウィと同世代の工業デザイナーで、鯨や卵をイメージした自動車など、とても興味深いデザインをしていました。この前面デザインはCC6500、BB7200などに引き継がれ、BB 7200の系統はオランダで1600形~1800形として使われていました。

オランダでよく見かけた1600形です。

ヨーロッパの鉄道に乗ることができたのは1991年以降で、もうTEEではなく、EC(EuroCity)という区分名になっていました。ECとなる前に一時期IC(InterCity)に格下げされていたようです。

1991年に買ったCook時刻表6月号の表紙です。

この時期のEC(82と87)にはÉtoile du Nordという名前が使われていました。パリ北駅とアムステルダム駅区間の時刻表で、上の段にパリ行き、下の段にアムステルダム行きを一段ずつ合成しました。下の脚注に、アムステルダム-パリ間のA(EC82)とN(EC87)がÉtoile du Nordとなっています。その他にも、TEEだったIlle de France(ブリュッセルからパリ)などが記されています。初めて乗ったのはブリュッセルからパリまでのEC82で、パリからの帰りはアムステルダムまでEC87に乗りました。

乗った列車の外観写真はありませんが、パリからのEC87のコンパートメントで一緒になったモンペリエのおじさんとブリュッセルまでずっとおしゃべり(英語で話してくれました)をしていたことを思い出します。遊びにおいでと住所メモをいただきましたが、機会はありませんでした。お元気でしょうか。30年も前なので、顔を出させてもらっていいでしょうね。赤いシートが印象的でした。

オランダ滞在中にもう一往復しましたが、その後、1996年以降は列車名のないタリスが走るようになりました。オランダの友人から、アムステルダム-パリ間はタリスになってほんの少しだけ乗車時間は短くなったものの、料金は2倍以上になった、という文句を聞いたことがあります。

阪急2800系 11 完成

2018年4月22日

4月22日、完成となりました。いくつかの微調整が残っていますが、走らせながら調整していきます。

京都向き(先頭車は2851)で発車します。以下の動画では音が出ます。
(大阪) 2811-2881-2831-2861+2801-2891-2841-2851 (京都)

一周してきて、駅を通過します。

そのままヤードに入りました。

逆方向(大阪向き)でヤードから出発します。

駅に向かっている途中です。

外側線路に移って、トンネルを出てきました。

大阪向き先頭車両(2811)の行き先表示板が付いていないのは、取り付け金具が短かったようで、取り付けられないためです。2851の表示板も斜めになっています。いずれ、両面テープでも使って貼ることにします。

(追記:表示板の裏のハンダ付けをやり直して、取り付けることができました。斜めになってますが、微調整の範囲です。)

もう一枚、駅の構内ドームを置いたときの写真です。昔の阪急三宮駅のような気がして、逆走で神戸線を走る2800系は模型鉄道ならではの気分です。

仕上がりを眺めていると、真鍮模型を初めて組み立てたという拙さが至る所にあります。でも、無謀な計画が大きく破綻することなく何とかなったという気分です。2014年の3ヶ月、昨年7月から10ヶ月、合わせて13ヶ月ほどかかったことになります。

4月の最後の作業を振り返っておきます。
3月下旬はPCの整備・整理で時間を取られて模型製作を中断していましたが、4月3日から内装仕上げの作業を続けました。とりあえず、完成させた車両を牽引させるために、動力車である2831を仕上げておきます。

大きなモーターと動力車用デコーダー(ESUのLokPilot)が床にあるので、クロスシートの下を削りました。紙の床を貼って仕上げます。

椅子(クロスシート)の方向についてはけっこう悩みましたが、大阪方向の4両は大阪向きに、京都方向の4両は京都向きにしました。奇妙な設定なのですが、先頭車両が走る方向に向いていると、低速走行でなければ、編成の後半が逆になっていても気にならないだろうという予想です。

4月4日、2831が完成しました。モーターとデコーダーはなんとか隠れました。

走行テストの動画です。2831が前で、後ろの車両は3月に内装取り付けを試した2891です。音が出ます。

これで、車両の内装仕上げができた段階で編成を増やして走行テストができます。発車するあたり、少しデコーダーのCV値の調整が必要な感じがありますが、そういう調整はすべての車両が仕上がってからの作業とします。

中間車両の内装仕上げは2日(3~4時間くらい)で1両のペースでした。扉の内装を貼って乾燥待ちして内装壁取り付け、接触スイッチ板を結線して塗装して乾燥待ち、座席の取り付け、というような具合でした。

2891です。

2881です。

2841です。

前照灯のLEDアセンブリーがない2861と2801は中間車と同じ程度の作業でしたが、運転室の仕切りは作ってあります。
2861です。

2801はパンタグラフを付ける手順が加わりました。

両端の照明付き先頭車両は、照明用LEDアセンブリーと照明用デコーダーの取り付け、運転席の取り付け、という作業が加わり、1両につき1週間近くかかりました。

京都向き先頭車2851の内装仕上げの手順です。デコーダーの取り付けは天井に両面テープで固定します。

LED照明アセンブリーを遮光するため、紙の裏を黒く塗ってあてがいます。

遮光の紙が運転席の天井になりました。配線ケーブルはLEDテープの下に押し込みます。

天井と壁を取り付けて、乗務員室の小物(運転台、椅子、乗務員フィギュア)を入れました。

座席を両面テープで貼りました。

これに床の紙を貼り付けたら完成です。

今回の製作で一番の心残りは先頭車両の前面窓です。透明プラ板(OHPシート)を窓枠に嵌め込んで固定するのがとてもむずかしく、きれいに仕上げることはできませんでした。これは次の機会にもっと工夫を重ねたいと考えています。

最後の作業が2811でしたが、屋根上がすっきりと仕上がったと、ここだけは喜んでいます。

最後の最後に手間なことが起こりました。2811が仕上がってから、8両編成で走行テストをしていたら、突然、2811の前照灯が消えました。消えたのが走行途中だし、逆方向の尾灯は点くし、ひょっとしたら、と思ってシートと天井板を外してみたら、デコーダーのビニール被覆が熱で破れていました。走行中にデコーダーがアウトになったのは初めてです。

このデコーダー(4個買ったLaisDCCの製品)、2851に使った同じものと比べると照度が低くておかしいなと思っていて、完成してから照明CV値の調整をする予定でしたが、ダメでした。デコーダーだけ取り替えました。LEDアセンブリーに使っているCRDの状態を調べるためには運転台を分解しなければならないので、それはやめて、念のため、1kΩの抵抗を入れておきました。

当分の間、走らせながら調整していきますが、真鍮モデル8両はとても重く、動力車が1両のみだと、低速走行と加速は軽快ではありませんし、分岐器あたりでは脱線しやすいようですね。でも、周回線路での高速走行は問題なく楽しめます。

真鍮模型製作の基本を知らずに組み立てを始めましたが、延べ1年以上の作業で、多くのことを学びました。学びましたが、マスターできたわけではありません。よくわからない中で、いろいろと悩んで工夫する毎日でした。それでも、それなりの工夫で解決していく面白さ・楽しさを知りました。

次はいつになるかわかりませんが、阪神、南海、京阪のいずれか(いずれも昭和の世界)になる予定です。

(完)

 

阪急2800系 10 内装

電装作業その他でけっこう車体を痛めたので、一部にタッチアップ塗装をして、全体に再度クリアを吹き付けておきました。近くで見るとタッチアップ箇所などの不体裁がわかりますが、近くで見ないようにします。

クリア塗装をしていると、最近、塗装ブースの手前への吹き戻しが強くなってきました。そろそろ掃除をする時期かと思い、3月に入って春の陽気になった日に、すべてを分解してみました。

シロッコファンには塗料粉が1mm近い層になっていて、フィルターはかなり目詰まりしていました。これだけ無駄な塗料を使っていたわけですね。これまで塗装面を正面にして水平方向に吹くことが多く、塗料がそのままフィルターに飛んでいくようです。塗装面のほうを水平にして、上から吹くほうがいいのでしょうね。でも、エアブラシの塗料カップから塗料がこぼれるのではないかと思って、どうしても水平に吹いてしまいます。

塗料粉を大きなビニール袋にブラシで払い落として、フィルターを水洗いし、シロッコファンもきれいにしました。

陰干ししたフィルターを戻して、すべてをネジ止めすれば終了です。

さて、内装(室内の壁と天井)を取り付けていくことにしたのですが、準備していた内装の色味が気に入らない気分が続いていました。すでに透明プラ板の窓ガラスも貼っていたのですが、思い切って作り直すことにしました。

今回は調色塗料によるエアブラシ塗装ではなく、阪急の古い内装写真を参考にしながらグラフィック・ソフトで作成し、少し木目のようなスジを入れて、インクジェット・プリンターで印刷しました。写真で、上に載せているのが以前に作っていた壁紙です。かなりの違いになりました。今回のものは黄土色と言って良さそうです。フォト用紙なので光沢が出ました。

内装壁すべてを作り直すので、A4サイズで5枚必要で、クラフトロボで必要なパーツを切り取りました。左が以前の内装、右が今回のものです。

今回の切り取りで、これまで愛用していたフォト印刷用紙(厚さ0.23mm)が途中で在庫切れになりました。別の用紙(厚さ0.26mm)を使ったら、1回ではまったく切れず、3回の連続カットの後にカッターを使って何とか切り離すことができました。これがそのときのDXF図面です。

A4にびっしり入れたので、1回のカットに30分、最後のナイフでの切り離しを入れて2時間ほどかかりました。この用紙は写真印刷には良さそうですが、こういう使い方には丈夫すぎました。愛用していた用紙はもう販売されていないので、クラフトロボに適した用紙を探さないといけません。

壁紙変更で1週間以上の回り道になりましたが、テストとして、中間車2891に壁紙を取り付けてみます。印刷していない(白い)面に透明プラ板を接着して、ドライバー・ビットにマスキングテープを貼った簡易重しで押さえています。

最初に扉を接着剤で固定します。

側面パネルを上で固定するために小さな紙を貼り付けました。これは天井版(白プラ板)を取り付けるときに、ずれないためです。

側面の壁はこんな雰囲気になりました。気分がすっきりしました。

妻面の接着は一方は接着剤ですが、もう一方は配線ケーブルがあるので、少し浮かすために両面テープを使いました。

中間車は簡単ですが、先頭車両には手間がかかりそうです。次は先頭車両のテストと思ったら、2851の側面種別表示がちょっと変な感じに見えたので、ライトで確認してみたら逆に貼っていました。急いで他の車両もチェックしたら、不良はこの車両だけでした。

内装を取り付ける前だったし、貼り付けが瞬間接着剤だったので、簡単に変更できました。

ちょっと擦り傷が付いているみたいなので、クリアを塗っておきました。壁紙貼りのテストはやめて、1両ずつ様子を確認しながら作業して、完成させていくことにします。

壁紙の次は椅子の準備です。以前に作ったクロスシートをあらためてチェックすると、成形の悪いところが多いので、いろいろと組み替えが必要でした。グチャグチャの作業机の上です。

車内両端のロングシートを用意します。

ロングシートは16mm(先頭車の運転室後ろ)と24mm(その他)にしました。

ロングシートとクロスシートをオリーブグリーンで塗装しましたが、なんか、こういう色は軍隊車両用みたいで、モケットらしさは出ないものですね。もう少し明るい色が良かったかもしれません。

ロングシートは切っただけではさみしいので、片方に洋白線(0.5mm)で手すりと裾板を接着してみました。けっこうたくさん(32個)あって手間ですが、気分の問題です。

さて、クロスシートでは気になるのが肘掛けです。2800系の肘掛けは四角いパイプの上に肘当てが載っているだけですが、このシートは側面がカバーされています。6300系みたいです。だからと言って、ここを切り取ってパイプと肘当てを取り付けるのは数が多すぎて大変です。そこで、少しだけでも雰囲気を出そうと、肘掛けの側面に穴を開けてみました。

結果は思うような単純な形にはなりませんでした。これも最初から型取りをしておけばよかったのですが、思いつき倒れです。ヘッドレストと肘掛けには白を筆で手塗りしました。

稚拙な仕上げとなりましたが、シートはすべて準備できました。

少し歪んでいるのもありますが、床に両面テープで接着すれば何とかなるでしょう、と思いつつ、壁紙を入れた2891に座席を取り付けてみました。

これで2891は完成かと思いつつ、よく見ると、車内の照明と壁紙はOKの範囲ですが、車内の床をそれなりに作らないと、ケーブルなどが丸見えでした。座席の拙さは仕方がないとあきらめますが、床面には床覆いを作ることにします。ということで、また作業が増えました。これから先は1両ずつ、内装を組み込んでいく、本当の仕上げ作業になります。

こういう作業をしている最中に、メインのコンピュータ(Windows 7)の不調が始まり、いろいろと調べる時間が必要となって、こちらの作業が捗りません。結局は新たなメインのコンピュータ(Windows 10)をフルカスタマイズで注文することになりました。CPUからメモリー、電源、ケースまで、メーカーと型番の評価を探しつつ、個別に決めていくのは手間ではありますが、なかなか面白いものですね。

もう桜が咲き始めました。この時期には完成と思っていましたが、内装の準備に予想以上に時間がかかりました。

(続く)

阪急2800系 9 電装2

前回の記事をアップした直後に接触不良の主たる原因がわかりました。

これまで、接触不良となりそうな箇所を整備していたのですが・・・。

やっと気がついたのは、ボルスター(写真中央の両側が曲げられた金具)をネジ止めする台車枠(左上)のネジ穴周辺です。台車枠の裏を塗装したときにマスキングしていたのはネジ穴だけでした。ネジ穴の周りも導通をチェックするべき場所のようですね。

日光モデルの台車はボルスターをネジ止めしても、少し台車枠が動く構造になっています。簡単に車輪の水平を取るためでしょうね。そのため、ボルスターと台車枠との間に少し緩みがあって、ネジ止めだけでは接触不良が起こるようです。動力車に使っているエンドウのMPギア用のボルスターは台車枠にしっかり固定されるので、接触不良は起こっていませんでした。

上がネジ穴だけを掃除した台車枠で、下はネジ穴周囲の塗装を落とした台車枠です。

すべての台車をばらして、ネジ穴周辺の塗装を落として、組み直しました。

この対策が終了した床下には、床の穴にタップで2mmのネジ切りをして、プラスチックのビスで、台車の回転防止ピンを取り付けました。

特に必要はないのですが、作業の区切りマークです。

接触不良テスターでチェックしている動画です。音が出ます。

これでパーフェクトかどうかわかりませんが、まあ、気にすることではなくなりました。今後、照明が点滅した場合はレールか車輪の整備になるでしょう。

さて、先頭車(2811と2851)の前照灯・種別灯(通過標識灯)・尾灯の取り付けです。配線するための現物合わせで、紙をベースにして、各ペアのLED位置を決めて接着しました。LEDアセンブリーの出来上がりです。

5mAのCRD(前進・後退で共通の1個)を入れて配線し、デコーダーにつないでみました。

前進での前照灯と種別灯の点灯です。

尾灯です。

この状態で車体に仮止めしてみました。
前照灯です。種別灯の雰囲気はまあまあです。

尾灯です。

これも、まあまあです。しかし、前照灯が消えると、枠がきれいではありませんねえ。仕方ないことですが、こんなアップで見ることはないでしょう。ホコリが付いているのは掃除します。

2811と2851へのデコーダー配線と取り付け準備です。すべて天井に貼り付けることにしました。床下との接触スイッチはブリッジダイオードを入れずに天井へ配線して、デコーダーと天井照明に分配します。分配してから、天井照明にブリッジダイオードと抵抗を挟みました。

2811にはパンタグラフが2基あるので、天井板を貼る前にパンタグラフをネジ止めしなければなりません。天井照明のLEDテープの位置決めと、作業の順序がちょっとややこしい感じです。

上の車両用にはLEDアセンブリーの遮光のために塗料を塗っています。

LEDアセンブリーを接着剤で貼ってしまおうかと思いましたが、間違えたり、修理が必要になったりした時にたいへんなので、小さなマスキングテープで固定するくらいにします。

紙で遮光天井を作ったら何とかなりそうです。

内装の天井を貼る直前までハンダ付け作業を残します。その準備として、2811と2801の屋上機器をエポキシ系接着剤で貼りました。このあたりは、強く触れるとポロリと落ちるかもしれませんね。そのときは貼り直しで十分だろうと思っています。

次は、動力車(2831)へのデコーダー(ESU LokPilot V3.0)取り付けです。モーターも出っ張っているので、デコーダーは床に置くことにしましたが、接着剤で貼るのもどうかと思い、紙でポケットを作って床に貼りました。少し斜めにプラ材を貼って、出し入れを容易にしました。

デコーダーからの線を切って、この状態で配線します。

配線を終えて、完了です。

しかし、動力車を中間車にしたのは、デコーダーのファンクション機能を何も使わないので、ちょっともったいないと感じます。組み立てを始めるときに、動力車を先頭車両にすると、牽引はいいでしょうが、逆走で押す場合に脱線する可能性があるのではないかと思ったからなのです。動力車を2831にしたのも3両目になるからでした。でも、最初のテストランで最後尾から押して問題はなかったので、その時が変更する機会だったかもしれません。

中間車両2891の内装(壁・窓ガラス・天井)を試しに取り付けて、デコーダーを載せた動力車床で走らせてみました。音が出ます。

ちょっと車内が明るすぎるような気がしますが、まあいいことにします。8両をすべて連結してチェックするのはもうしばらく先になります。

以上で電装作業は終わりました。各車体側の接触スイッチ端子を取り付ける必要がありますが、それは内装を終えてからの予定です。この後、もう一度クリアで車体の表面をきれいにして、内装に取りかかります。

もう梅が満開です。桜が咲く頃には完成させたい、という期待ですけど。

(続く)

 

阪急2800系 8 電装1

2月6日から、やっと客室内の天井照明の作業になってきました。

先ず、床下からの給電線について、ケーブルを伸ばして車体側につなぐだけであれば簡単なのですが、いろいろな調整や補修をするときに邪魔になります。床を車体に取り付けるときに接触するコンタクト・スイッチの方法を考えてみました。いろいろ試行錯誤した結果、次のような接触板としてみました。

導電性を考えると銅板が良さそうですが、薄い銅板がなかったので、0.2mm厚の真鍮板を使いました。金切りバサミで切ったので、平面を出すために小さな当盤の上で軽く叩いています。

床板の両端はカプラーを取り付けるために、切り込みが入って、下に下げられているので、これを利用します。

その幅に入るようにプラ板を切り取って、ついでにブリッジダイオードを挟みました。車体側にはプラ板を渡して、下と接触します。ネジで車体に床板を留めたときに、プラ板が少し下にたわむだろうという目論見です。

LEDテープに介する抵抗(1KΩ)は天井に配線します。ブリッジダイオードも天井のほうがいいのですが、ちょっと高さが合いませんでした。まあ、DCCなので、ダイオードだけでも十分でしょうけど。

車体側と床板側のプレートです。車体側のプレートは内装を終えてから貼り付けます。

これで行けそうだったので、量産しました。デコーダーを入れる車両(先頭車2両と動力車1両)には、もう一工夫必要な気がしますが、その時に考えます。

中間車の照明の様子を調べるために、別の機関車で押したり牽いたりして、点灯状況を調べてみました。機関車に連結しているのは先頭車の床下です。先頭車のみカプラーとドローバーを取り付けているので、カプラーで機関車と連結し、中間車はドローバーで連結します。以下の動画では音が出ます。

先行きが不安になるほど、とんでもなく「点滅」します。とてもコンデンサで収まる程度ではありません。最初はコンタクト・スイッチが問題かと思いましたが、そうではなく、下回りです。車輪の軸先、台車の軸穴、センターピンのコンタクトなどを整備して、かなりマシになりましたが、「点滅無し」には至りません。

この集電不良問題は、天井照明の取り付けと、台車の整備をやりながら、解決法を考えていきます。できるだけコンデンサを使わない方針です。そのため、車体を取り付けないで床下の状態がチェックできるように、「接触不良テスター」を作っておきました。LEDテープを床下機器にクリップだけで結線できるというだけのものですけど。

接触不良の整備作業は完成まで続きそうな予感です。

それはさておき、先頭車2両(2811と2851)の照明を考えます。ファンクション・デコーダー(照明機能のみのデコーダー)として、安く上がるワンコイン・デコーダーを作ってみようと考えていましたが、PICkitを持っていないので、先ずは中国通販で購入しようとした時に、LaisDCCというメーカーのデコーダーを見つけました。これまで知らなかったのですが、NMRA(全米鉄道模型協会)のID番号を持っているので大丈夫だろうと思い、PICkit 3(互換品)と一緒に購入してみました。価格は1個$12(送料無料)でした。PICkit 3と同じ値段ですね。とりあえず2つでよかったのですが、4つ注文してしまいました。

そこで、適当なLEDを決めることにします。久しぶりにブレッドボード(回路試作基板)を出しました。こういうときのDCC電源はバックマンのコマンダー(EZ Command)が簡単で便利です。

次の写真で、手前の4つが中国通販で買った小型LEDで、右から2つめが白色、他の3つが電球色です。後ろの砲弾型(ブレッドボードに比較基準として常駐)も電球色です。写真でははっきりしませんが、小さいのはオレンジ色みたいですね。時々、正面から見ると内部の発光の乱れがあるので、それをチェックしているところです。

先頭の天井に下地の紙を貼りました。絶縁を兼ねています。

2灯式の前照灯です。いつも、LEDのプラスには足の付け根に赤マークを入れています。配線間違いをできるだけ少なくするためです。それでも間違えますが、それほど壊れた経験はありません。ハンダによる加熱も含めて、思った以上にLEDは丈夫ですね。

こういう取り付け方にします。

仮置き状態で、デコーダーからの前照灯出力で点灯してみました。1KΩの制限抵抗ではまぶしい明るさです。

この小型白色LEDの輝度も高いようですが、デコーダーからの照明出力電圧を調べてみると、17Vもありました。こんなに高い電圧だったのですね。ESUのデコーダーも同様で、いつもCRDを挟んでいたので、これまで気にしていませんでした。バックマンのコントローラからのラインを整流すると15.8Vでした。

どうであれ、種別灯(通過標識灯)も同時に点灯させますので、4個直列にしても明るすぎて、制限抵抗は2KΩくらいが良さそうです。CRD(定電流ダイオード)を使って試してみると、15mAでは明るすぎ、5mAでちょうどでした。これまで通り、手間なしのCRDを使います。

デコーダーによる前進と後退のチェックです。この段階ではCRDではなく、抵抗を使っています。

種別灯を白色にするか電球色にするか、少々悩み、テストしてみました。向かって左側だけ点灯しています。
白色です。

電球色です。

写真写りはオレンジ色なのですが、まあ、50年前の車両ですし、尾灯の赤色とは明らかに違うので、電球色でいいことにします。

種別灯・尾灯のコンビネーションを4つ作りました。遮光は取り付けながら考えようと思います。

こんな作業をやっていて、またもや不手際です。2851の側面にハンダごてを接触させてしまいました。

ちょっと水研ぎして、吹き付けるかタッチアップして、他の車両と同様に、内装壁(+窓ガラス)を入れる前に再度トップコートを吹き付けます。8両編成だから、目立たないでしょう(か?)。

(続く)

阪急2800系 7 仕上げ3

1月31日、車番取り付け作業も最後の1両になりました。2811は別に枠を作りましたが、結局は車体に置いてからの爪楊枝作業があって、あんまり効果は感じられませんでした。

先頭車両に前面幌枠を貼り付ける前、ちょっとだけ手を入れました。このパーツはのっぺりしていて、実物は上部に少し段差があるようなので、細い洋白線をハンダ付けしました。

4つありますが、キサゲをしてから、2つだけ使います。

このパーツは洋白のようですが、すぐに黄色っぽく変色するので、ペーパーで磨いてから、瞬間接着剤で貼り付けました。

まあ、こんなものでいいとします。マスキングテープからホコリが付きましたが、これはきれいに取ります。

一部の車両の塗装直しをしてから、すべての車両にクリア塗料を吹き付けました。先頭車両たちです。左端が大阪向き先頭車両2811、右端が京都向き先頭車両2851です。

先頭車前面貫通扉の取っ手を作りました。小さな鍛金作業道具を使い、細い(0.3mm)洋白線を少しだけ叩きました。このあたりの作業を覚えたのは金工教室です。いずれは小さな金工作品を作ってみたいですね。

先をヤスリで少し整え、切り取って使います。

4両の先頭車両には穴を開けていたので、折り曲げて差し込み、エポキシ系接着剤で固定しました。

内装の準備です。以前に作っていた紙の内装壁に0.2mm厚のプラ板を貼り付けて、窓ガラスにします。

塗装していない(白い)側を窓枠に貼り付けます。内壁側は塗装済みです。

側面壁は揃いました。妻面の壁は電装工事が終わってからの予定です。

クーラーをエポキシ接着剤(アラルダイト)で貼り付けました。最近は車体を触る時は手袋をしています。それでも、ちょっとした油断が必ず出てきて、後で補修になります。内装を始める前に、もう一度クリアを吹き付けなければならないようです。

定規で揃えて、

そっと棚に収めて、1日待ちました。

クーラーを取り付けているとき、窓枠を触るとペキッと鳴って、外れかけました。窓枠を瞬間接着剤で貼っていましたが、弱かったようです。強度のある接着剤で固定しようと、アラルダイトをと思いましたが、硬化するまで時間がかかるので、同じエポキシ系ですが、硬化時間が短いボンドの製品を初めて使ってみました。

アラルダイトよりも柔らかく、使いやすいのですが、強度はよくわかりません。

ここまでが「組み立て」でしたね。ということで、「基本の仕上げ」はこれで終わりとし、次は電装作業に入ります。

(続く)

 

Bachmannの分岐器

当模型鉄道のHOレイアウトの分岐器(ターンアウト)はすべてバックマン(Bachmann)製です。KATOあたりでもかまわなかったのですが、DCCデコーダー付きの#5で安価だった(2012~13年は円高で、アメリカ通販で定価$80が$35で3000円ほど)という理由で採用しました。日本ではあまり出回っていないようですが、これまでトラブルもなく楽しんできました。

ところが、現在製作中の阪急2800系車両を試走させていると、外周の駅待避線への1つの分岐器で停止してしまいます。他の車両では起こらなかった症状です。

調べてみると、分岐器の一部、フログ(frog:写真の赤で囲んだ場所)と呼ばれる部分に適切に配電されていませんでした。

フログは日本(JIS)では「クロッシング」と呼ばれています。轍叉(てっさ)という言葉もあるようです。英語の意味は蛙ですが、その形が両足を伸ばした蛙に似ていることから名付けられたという説があります。フログの先につながる可動線路は、車輪が分岐するために先端が細くなっていて、トングレール(tongue rail:舌状のレール)と呼ばれていますが、これも形状からですね。

分岐器のことを「ポイント」と呼ぶ場合が多いですが、JISの定義では、トングレールのある位置部分のみをポイントと名付けています。英語ではスイッチ(switch)で、ちょうどレールが別れていく箇所です。JISの解説図です。

フログは左右のレールをクロスさせる部分なので、二線式の電動鉄道模型では気になる箇所です。左右のレールが接合していて、そのままでは短絡してしまいますので、模型のフログにはいろいろと工夫があります。フログ部分を前後のレールと切り離して、スイッチ(分岐切替)と連動して配電する方法、接合する線路の尖った部分(ノーズ=クロッシング交点)だけをプラスチックなどで絶縁して、配電しない方法もあります。フログの絶縁部分が短ければ車両への影響はほとんどありません。

阪急2800系に使っている動力車の集電は、1つの台車の片方の車輪2個からです。調べてみると、台車の車輪間隔がフログ部分よりかなり短く、適切に配電されていないフログの上に乗ると集電できない状態になります。フログの両端にはギャップが切られています。

こういう場合は、別の台車の絶縁車輪から集電したり、短いフログであればコンデンサーを入れたりする方法があるようですが、今回はそういう対処は必要ないはずです。バックマンの分岐器フログは金属製で、分岐の方向によってフログへの配電が切り替わる仕組みになっているので、フログへの配電回路の不具合です。

バックマンの分岐器のおさらいです。基本設定はDCC専用の「非選択式」で、分岐の方向にかかわらず、全線に配電されます。フログ部分は金属製ですが、前後の線路から絶縁されていて、分岐の方向によって極性が変わります。

表側の塗装前の写真です。白はアドレスをセットする押しボタン、黄色がフログ、赤がポイントです。以下の3枚の写真は今回修理する分岐器ではありません。

裏側です。

左右にある蓋を開けると、このような仕組みになっています。

左の白の枠がデコーダーで、ここでは裏返しにしています。緑は分岐する主レール同士を結線している箇所で、ここからデコーダーに電源を取っています。白丸はフログにスイッチ配電するためのピンで、この写真ではピンを外しています。赤がソレノイド(電磁石による作動機構)です。水色はソレノイドに応じて動く配電スイッチ回路です。一番右のオレンジ色はトングレールを動かす鋼線です。

デコーダーはソレノイドを動かす必要があるとは言え、写真のように集積度の低いものが入っています。スイッチ部はちょっと複雑な構造で、ヤワな感じではありますが、5年使っていて故障はありませんでした。

さて、今回の修理です。駅周辺の分岐器(渡り線も)は「非選択式」のままですが、フログへの配線ピンはつないでいます。レイアウトの線路はすべてネジ止めにしていますので、少し先から線路を外して、分岐器を裏向けて、配電スイッチ回路の蓋を開けました。

ソレノイドの先につながった長方形の黒い枠があり、その枠がソレノイドで移動すると、その上にある歯車に連動して黒い棒が左右に移動し、右側に延びた鋼線でトングレールを動かします。同時に、細長い金属が黒い棒に沿って動き、スイッチになってフログの配電を切り替えます。

よく見ると、配電切替スイッチとトングレールとの関係がずれていました。歯車と下の黒枠を動かして、歯車ピンを上から溝に入れました。上の写真と比べると、歯車ピンの位置が異なっています。これで修理完了です。

この分岐器は設置前に裏蓋を外して、このあたりを触ったんでしょうね。ちゃんとチェックせずに取り付けていたようです。他の車両が停止しなかったのは、フログよりも長いスパンで集電しているからでしょう。とってもアナログなスイッチ装置ですが、仕組みがわかると修理も容易です。これでフログに適切な配電ができるようになって、阪急2800系をスローで走らせても停止しなくなりました。

駅周辺は「非選択式」のままにしていますが、ヤードの分岐器はすべて「選択式」に加工しました。ヤード内が非選択式だと、DCC電源を入れると、ヤードに留置している車両すべてに電源が入ります。選択式にしておくと、簡易方式の番線表示が有効ですし、動かすべき車両のみに電源が入る、という好みの選択です。

バックマンの分岐器を分岐方向の選択式に変えるためには、少しだけ配線の加工が必要です。裏側に分岐前のレールと分岐後のレールを接続している配線を切り離して、デコーダーには分岐前のレールから給電し、フログを介さないレールはそのままにして、フログを介するレールはフログと同じ極性を使います。つまり、片側だけをオン・オフすることになります。

選択式への加工結果です。

選択式にしたヤードの分岐器は本線からの順番で切り替えていくことになります。

ソレノイド駆動の分岐器は転轍する速度は速く、音はけっこう騒がしいですね。Gゲージの分岐器はもっと大きな音です。ゆっくりした動きのトータス(Tortoise)のスイッチ・マシンも魅力的ですが、当レイアウトではこれくらいの音が出ないと、遠くの分岐器が切り替わったことを確認することはできません。ECoSのスクリーンに出る分岐器のマークを押すと、遠くでパチンと切り替わる音が聞こえるほうがわかりやすいと思っています。

分岐器のスイッチ音です。

DCCアドレスの設定は簡単で、分岐器の表面に出ているボタンを2秒ほど押すと、2回の切り替わり動作があって設定モードになり、コントローラから変更したいアドレスで切り替え信号を送る(ECoSのレイアウト画面で設定した分岐器のマークを押す)と、4~5回の切り替わり動作があって、設定完了です。

これで阪急2800系の製作に戻ることができます。

 

阪急2800系 6 仕上げ2

今年も1日2時間以内のペースで作業を続けています。

前回の記事タイトルに「仕上げ1」と書いてしまったのですが、何が仕上げかを考えず、その後も「仕上げ」とは言えない「仕上げ前」の作業と手直しがいっぱい続いています。まあ、それも仕上げ作業と考えて、その後の1カ月の進展を「仕上げ2」とします。

幌と屋根からの配管を調整(一部、幌を外したり、テープで留めたりしています)して、ヤードに出入りできるメドがつきました。音が出ます。

この動画ではモーター搭載車が前から2両目になっていますが、3両目になる予定です。また、最後尾の車両ドアにマスキングをしているのは塗装修正のためです。

屋根上クーラーの塗装を変更しました。ずっと前に「ねずみ1号」で塗装しておいたのですが、見た目が暗く、イメージと合わないなと思っていました。そこで、ずっと明るい灰色を作り、ほんのちょっと青を加えてみました。簡易調色です。写真の上がねずみ1号で、下が塗装変更後です。

屋根に載せてみました。

こんな感じがイメージにある姿です。実物通りというより、好みの配色ですね。上の丸い網にスミ入れをするとメリハリがつきそうですが、未定です。

屋根上のパンタグラフ台を以前に樹脂でコピーして、2両分(16個)を確保していたのですが、実物は板だけのようなので、その雰囲気を出すため、0.4mm厚の真鍮板で簡単に作ってみました。左がキット付属パーツ、中央が自作、右は出所がよくわからないパンタ台です。

他の屋根上パーツと一緒に塗装しました。

パンタグラフに碍子と合わせて取り付けました。少しさっぱりしたように思います。

このパンタグラフはIMONの製品です。ただ、碍子を2段にしたので、屋根の取り付け位置までが長く、M1.2の取り付けネジは10mmが必要でした。

次も手直しです。前照灯のカバーガラスに0.1mm厚のOHPシートを使ってみたのですが、きれいに仕上がらなかったので、作り直しを考えていて、熱湯で柔らかくなる樹脂粘土のクリアを使ってみました。LEDの先が入るように型を取り、パーツを取り付けたまま、柔らかくした透明の樹脂(右)に押しつけて、内部に樹脂を充填します。

出来上がりは右端です。左4つはOHPシート貼りです。

大した違いはなさそうですね。どの方法を使っても、こういう小さいパーツは苦手で、どうしても汚れてしまいます。

さらに、こうやって作った前照灯の形がどうもカクカクとして、阪急らしくありません。どこかの地下鉄車両の行き先表示みたいです。これでも四隅はかなり削っています。

四隅を丸くする方法を考えましたが、この真鍮パーツの四隅を削って、内側にパテを入れるような加工をすると、車体側の穴の四隅が見えてしまいます。そこで、前に枠を貼ることにしました。きれいに作るためには、薄い洋白をエッチングで抜くことができればいいのですが、エッチングにトライするのは先に延ばして、クラフトロボで紙を切り抜いて、塗装して貼ってみることにしました。

その前に、こんなこともトライしてみました。種別・尾灯の周囲の枠を作るために、0.1mm厚の洋白板にドリルで1.5mmの穴を開けてから、ドリル位置を固定して、2mmのポンチで抜くという方法です。板の右下にあるのが、その無惨な結果です。

次の写真の左は前照灯、右は種別・尾灯の周囲です。用紙にもよるでしょうが、このあたりの細さ(0.2mm幅)がクラフトロボの切り取りできる限界でした。

今回、クラフトロボで正円を切り出してみましたが、楕円になってしまいます。小さすぎたのかと思って、少し大きな円を切ってみても、斜めに歪んでいます。これまで正円を切り出した記憶はないので、製品の個体差の問題だったのかもしれません。こういったメカの調整をする方法はマニュアルに書かれていませんし、古い製品なので、あきらめるしかないのでしょうね。ネット上でも同じ現象が報告されていました。他の切り取りはOKなようなので、当分は使っていきます。

なんとか、4両の前面照明枠を貼り付けました。種別・尾灯の周囲用の紙の枠を置いてみると大きすぎたので、それは使わないことにしました。

前照灯がちょっと大きく、種別・尾灯が小さくなりましたが、技術レベルからすれば、これくらいが精一杯です。まあ、それなりに阪急らしい雰囲気ということにしておきます。これで車体内側の照明配置が決まったので、LED取り付け方法を考える段階になりました。

そろそろ、車番と社章を貼り付けなければなりません。これが一番の苦手作業です。マッハの製品を使いますが、小さな数字を並べていくのは相当な苦労です。下処理として、数字に白を塗装し、社章にはマルーン色のスミ入れをしました。

この写真の右端にはバラバラになった数字が写っています。数字を切り出していて、事前塗装が必要なことに気がついて、個別に処理しました。数字と同じように、社章にも表面に白の塗装をしたかったのですが、その方法を試行錯誤しても、きれいにはならないので、単に細かなヤスリで磨いたら、それなりに反射光で白っぽく見えたので、このままにします。

一応、車体に合わせて貼るための位置を固定する枠を作りました。これを窓枠で折り曲げると、社章と車番の位置が決まります。

しかし、問題は貼り付け位置を確定することではなく、4つの数字を水平に並べて細いマスキングテープに貼り付ける作業、それを車体に貼る作業が大問題でした。こういう細かい作業はピンセットと爪楊枝を使うことに慣れるしかなく、不器用だとどうしようもないですね。

一応、並べるための紙の枠をクラフトロボで切り出して、数字を置いていきました。

これを細いマスキングテープで押さえて、クリア塗料を接着剤にして、車体に貼り付けました。

こういう方法で貼るわけですが、実際は数字がすんなりとマスキングテープから剥がれないので、結局はテキトーに数字を置いてから、爪楊枝でチクチクしながら位置を決めていきました。

結果です。少し歪んでいますが、これが実力です。

この状態で、クリア塗料を車体全体に吹き付けて、車番と社章を固定すると同時に、トップコートとして艶を出すことにしました。中間車2両をクリア塗装した結果です。

右側の2831は水性のクリア塗料、左側の2841は溶剤系塗料(ガイアEX-クリア)を使いました。本番で比較するのは無謀ですが、水性塗料を使う予定だったので、最初に2831を塗装した後、客席窓枠を入れる作業をしていたら、丸一日経ったのに、車体に下に敷いた布の跡や指紋が付いてしまいました。水性塗料は乾燥までにかなりの時間が必要なようですね。それと、ちょっと厚塗りでした。溶剤系塗料は乾燥も早く、仕上がりの見た目はほとんど同じでした。今後は溶剤系塗料でやります。

それはそうと、クリア塗料は粘性が高いですね。エアブラシ用に薄めましたが、それでも、0.3mmのノズルだとすぐに詰まってしまいます。0.5mmのノズルを多用するようになりました。

種別表示、戸閉め灯、窓枠を取り付けました。すべてゼリー状の瞬間接着剤を使いました。2831と2841です。阪急らしくなった気分です。

社章と車番取り付け、クリアコートは1日1両というペースです。今後、先頭車両はもっと手間でしょうね。基本の仕上げ作業はもう少し続きそうです。

(続く)

阪急2800系 5 仕上げ1

仕上げ作業の最初は列車編成の固定です。まあやはり、2800系のトップナンバー2801を組み込んだ編成にします。どういう経緯か知りませんが、冷房化後の2801は大阪向きの先頭ではなく、中央の連結部に配置されていました。モーターを積んだ動力車は2831としました。

(大阪) 2811-2881-2831-2861+2801-2891-2841-2851 (京都)

床下と車体を合わせて、大阪向きと京都向きを固定しました。方向を固定するのは、床下機器の配置と屋根上の配管が方向によって異なるからです。車番と社章を貼るのはもっと進んでからになるので、現段階では車体と床下の裏に大きくマジックで車番と方向を記入しています。この編成の状態でレイアウトに置いて、個々の不具合を調整していくことにしました。

両端の先頭車両は各方向で2両ずつありますので、塗装を終えた状態を比較して、マシなほうを選びました。編成中央に位置する先頭車輌は屋根のアンテナ穴埋め作業が必要になるため、塗装前に編成を決めておけば楽だったのですが、塗装してみないと仕上がりがわからなかったので仕方ありません。

先ずは、8両編成での走行状況を調べます。以前に連結器もなしに無謀な走行テストをやって調子が良かったのですが、カプラーとドローバー、そして幌も取り付けてからの走行テストは、そうはうまく行きませんでした。何カ所かで脱線が起こりました。主な原因は幌の干渉と屋上配管端末の接触でした。塗装前に、ドローバーや幌などを取り付けた状態で仮走行させてチェックすべきでした。反省点です。

脱線したときの状況です。

屋上配管の端末処理は簡単ですが、幌が干渉しているのは少々問題です。曲線半径1mの周回線路でも、幌の間隔はギリギリ(1mmくらい)です。

あらためて、直線区間で編成車輌の連結部分(妻面と妻面)の間隔を測ってみました。ほとんどが8mmです。この間隔は、車体と床下との取り付けネジで1~2mmくらいは調整できます。8mmを80倍すれば64cmなので、ほぼ実感的です。

しかし、当模型鉄道の曲線半径は1mほどです。これは実際のサイズでは半径80mくらいの急カーブになります。阪急伊丹線の塚口駅近くには半径60mという急カーブがあって有名ですが、阪急の本線では数百m以上でしょう。実物車輌の連結部分は幌が可動式なので、車体が大きくずれても幌が伸縮しますが、真鍮製の幌となると、そうはいきません。

最近は可動式幌が販売されているようですが、安くはないので、いずれ手作りをトライしてみたいと思っています。それはともかく、普通の解決法としては、ドローバー取り付け位置をずらして車間距離を拡げるか、幌を薄くするかのいずれかでしょうが、車両間隔を拡げたくないし、1mmほど拡げるだけでよさそうなので、向かい合う一方の幌を薄くしてみます。

真鍮製の幌パーツの厚さは2.69mmです。

連結部分の間隔が8mmですから、これでも直線区間で幌と幌の間の空白部分が3mm近くになります。その空白が少し拡がりますが、仕方がありません。

2mm厚のアルミ板を厚さ調整に挟んで、幌を万力で押しつぶしました。この万力は90度まで角度を調整できるので、こういう作業にも便利です。

調整結果です。

固定編成なので、すべての幌を薄くする必要はなさそうで、組み合わせで調整します。固定編成でヤードに出入りできるまで、車両間隔の調整を続けます。

編成中央のカプラー同士による車両(左2801+右2861)が連結する間隔が短すぎました。まだ幌は付けていませんが、渡り板が重なっています。

ここだけがカプラー連結なので、動力車による押しと牽きで車間距離が1mm以上変わります。渡り板を外すのも面倒なので、2801のカプラーをシャンクの長いものに交換してみました。これで渡り板が重なることはなくなりました。

実際の車輌ではすべての車両に渡り板があって、互いに重なって、車両間を人が通行できるのですが、これも仕方ありません。いずれ、最終走行チェックでの様子を眺めることにします。

同時に、この2両には屋根の無線アンテナが不要になりますので、アンテナ取り付け用の穴をふさぎます。2801と2861のアンテナ用の丸い穴です。

この段階ではもうハンダ付けはしないで、穴埋めブッシュを接着剤で固定しました。

穴を埋めました。

屋根上側はパテ埋めして、ペーパーで均して塗装します。ところが、パテ埋めしてから、2851と2861の車体を間違えていたことに気付きました。2851のパテ埋めを戻し、2861に穴埋めして、屋根塗装のやり直しです。こういう不注意で、倍以上の手間がかかることは多いですね。

なんとか穴埋め補修ができました。

次は照明関係です。
客室内照明にはレイアウト照明で使ったLEDテープを使うことにしました。ともかく安価(5mで210円)なので、砲弾型LEDを使う配置や明暗の差に悩む必要がなく、ふんだんに使えます。

この模型の屋根上に取り付けるクーラーがはめ込み式になっていて、出っ張りが天井から3mm下に出ます。これがなければLEDテープを中央に1列貼るだけで済みますが、その一方、この出っ張りは天井を貼るのにちょうど良さそうです。

そこで、LEDテープ(白)を2列にします。天井に0.3mmの白いプラ板を貼る予定なので、どれくらいの明るさが適当かを抵抗を変えながら調べました。照明テストに使う車体は塗装練習で酷使した、予備の中間車です。塗装はすべて落としています。

LEDテープは1両あたり40cm(LED12個×2列)、8両で3.2mとなります。ブリッジダイオードと抵抗を合わせて、1両分はせいぜい50円くらいでしょうか。気楽でいいですね。天井にLEDテープを貼って、テストのために、塗装していない予備のクーラーをクリップで留めて、両面テープを貼りました。テストなので、配線は太いものを使っています。

プラ板を貼ってみました。

カメラの露出によりますが、この程度の明るさです。あと1ユニット(LED3個ずつ)増やしてもよさそうです。黒く影になっているのはクリップとプラ板接着用の両面テープです。プラ板を実装するときはクリップを使わず、もう少し小さく切った両面テープで貼る予定です。

この段階で、以前に試作していた側面の種別表示を用意しました。OHPシートにミラーイメージで印刷して、裏向けて貼り付けます。

線路上で室内照明を点灯してみました。抵抗は1KΩくらいが適当な感じです。次の写真は台車からの集電ではなく、DCCコントローラによる直接給電です。なお、両端の先頭車両以外には照明コントロール用のデコーダーは入れません。電源が入っているレイアウト上では客室は常に点灯している状態にします。
触っていて、クリップからクーラーが1個外れました。

側面の種別表示です。うまく出ているようです。

戸閉め車側灯はパーツを入れてから内側で遮光しなければなりませんが、車内照明はこの方法で行けそうです。なお、この段階で、内装色を塗装した紙を入れてみました。ちょっとイメージが違うような気がしますが、窓枠や座席を入れたら、また違うように見えそうです。

次は窓ガラスの準備です。薄い透明プラ板を内側から貼りますが、先頭車両の前面窓については、どうしようかとずっと悩んでいました。窓枠パーツがあるのはとても楽だったのですが、パーツは1mmほどの厚みがあり、プラ板を内側に貼ると、窓ガラスがアルミサッシの奥になってしまって不自然です。側面の客席窓は中央の縦桟が実物でも窓ガラスの外にあるため、それほど不自然ではありません。

だからと言って、プラ板をサッシの内側に合わせて切り取るのはとても大変です。そこで、ひょっとしてクラフトロボで切ることはできないかと考えて、試してみました。窓枠をスキャンして、サッシ内側をDXFで出力しました。

クラフトロボの能力では、0.2mm厚の透明プラ板はスジが付くだけで、切り取りは無理でした。0.1mm厚のOHPシートを使ってみると、一部切り取られていない箇所はあるものの、おおむねOKでした。刃先を新品に替えるとすっきり切れたかもしれません。

OHPシートは一方の面に印刷インクが載るような処理がされていて、透明プラ板のような完全透明とはいきませんが、かえって実感的に思えます。

薄いシートをサッシにはめ込むのはむずかしかったですが、透明接着剤を使って、何とかなりました。先頭車両の前面窓のみですから、4両分の12枚だけの作業です。

さて、室内灯と比べてずっと面倒な照明工作が先頭車両の種別灯(通過標識灯)・尾灯と前照灯です。
先頭車両の両側にある種別・尾灯は、初期に計画したドリル・レース法で作ろうと思いつつ、はめ込み方式の金属パーツに穴を開けられないかを試してみました。写真の左下の1つです。

しかし、技術がないので、中心を出すことができません。ずれた穴をハンド・グラインダーで修正しようと削ってみましたが、少し膨張してサイズが合わなくなってしまい、あきらめました。

型取りして樹脂で作る方法もありそうですが、とりあえず元の計画通り、ドリル・レース法で作りました。

作業のために伸ばしている後ろの光ファイバー部分を切り取り、先っぽを車体内側から差し込んで、接着剤で固定する予定です。このままだと、砲弾が飛び出すような感じになりそうですが、一応、8個作りました。

前照灯は初期計画通り、真鍮製の枠パーツの前面をできるだけ薄くして、窓枠と同じ塗料で塗装しました。

この前照灯にはガラスが必要です。横から見て出っ張らないように、最初は薄いポリエステル粘着テープを使ってみたのですが、どうしても表面が波打ちます。仕方がないので、これもOHPシートを切り取って貼りました。

 

今年の工作はこれまでです。仕上げ作業はいっぱい残っていますが、あとは新年からの楽しみにします。

(続く)