2016年12月に入って、届いたばかりのS1(PRR 6-4-4-6) の整備を始めました。当鉄道のHO(2階部分)レイアウトはDCC(Digital Command Control:ディジタル信号で制御する方式)になっていますので、とりあえず、DCC化して、走行させるのが目標です。
半世紀前の製品なので、どこまでできるかわかりませんが、いろいろと検討しながら、できるだけ毎日、30分から1時間くらい、工作を楽しもうと思います。先ずは手製の整備台に乗せてチェックです。
車輪からの導通はなく、DC電源につないでみましたが、まったく反応がありません。ヘッドライトも点灯しません。接触不良が多々あるようで、これは予想していたことなので、即座に分解していきました。
すべての車輪を磨いた後、駆動部分をチェックします。
動輪とモーター部分です。モーターはオープンの棒形で、ギヤはすべて金属です。
何十年と走らせていなかった雰囲気で、油分がまったくなく、モーターとギヤをつないでいるシリコン(ではなく、ビニール?)チューブがカチカチです。モーターをはずして掃除すると、モーターはスムーズに回ります。
ギヤを掃除して、グリースを塗布しました。
モーターを交換しようかと、手持ちのモーターをあてがって、動かしてみました。
何とか動いています。モーターを交換すると安心ですが、モーターを固定するステイを作らなければなりません。そっちの工作を始める前に、動輪全体の駆動状態を確認しておこうと思い、元の棒形モーターに戻してテストしてみました。
後部の動輪ユニットだけをつないで、DC電源でチェックです。少し音が出ます。
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さすがにチューブと金属ギヤの組み合わせでは、かなり揺れています。このあたり、以前にKey Importsの古いビッグボーイをDCC化したときの状態とはかなり違います。
次の動画では、前後の動輪ユニットをつないで、搭載予定のDCCボード(ESUのLoksound)にDuplex機関車サウンドを入れて動かしています。少し前後が折れているのは、後ろが重かったようです。車体を組み立てると水平になります。音が出ます。
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サウンドを出したら、ギヤなどのノイズはわからなくなりますが、元のモーターでやれるかどうか、また、ギヤボックスを交換しないでいいか、判断はむずかしいところです。実際に走らせて、ギヤを含めた改造が必要かをチェックするためにも、ともかく、実際に走らせるまで進みます。
日本の古い蒸気機関車模型だと、棒形モーターから小さなモーターに交換する利点の一つとして、運転室を作る余裕ができるということがありますが、S1は大きいので、幸いなことに、すでに運転室表現があります。
できるだけ元のままで走らせたいので、他の整備に移ります。
先頭部分の改良を考えます。
実物のS1の先頭部分です。
模型で気になる先頭部分です。
ヘッドライトの電球をはずそうとしましたが、3mmのパイプに接着剤で固定されていました。これはどうも後付けのようです。
電球を割って、ハンド・グラインダーで接着剤を取り除いてから、ヘッドライトのレンズ周りの金属パーツ部分の塗装をゴム・ヤスリで落とします。
そして、3mm径のLEDを挿入してみたら、ぴったりと収まりました。
この作業をしながら、側面のライト(車側灯)と番号表示の部分が穴が空いただけになっているのがさみしく思い、細工してみる気になってしまいました。
番号表示はCorelDRAWで作成してOHPに反転印刷しました。PRR用のフォントを使いましたが、0(ゼロ)が幅広だったので、61と00を分けて、00を小さいフォントにして縦に伸ばしました。今から考えれば、同じサイズの00の幅を狭くするほうが簡単でした。結果は同じですけど。
反転印刷にしたのは、印刷面を裏側で接着したかったからです。番号標の穴の後ろには2mmほどの空間があり、そこに透明のプラ棒を固定し、それに番号標を接着しました。
ヘッドライトのレンズはWAVEの模型用プラスチック・レンズ(アイズ)3.5mmを取り付けました。
前に少し飛び出していますが、許容範囲とします。
ヘッドライトと車側灯のLEDを固定するために、樹脂粘土を貼り付けました。
車側灯部分には穴を開けています。
ヘッドライトの裏です。
次の写真が仕上がり状態です。LEDを仮に付けただけですが、ヘッドライトも車側灯も電球色のLEDを使うことにしました。車側灯のレンズにはWAVEのアイズ1.5mmを使いました。スケール的には1.2mmなのですが、試してみると、模型としては小さすぎる感じがして、大きくしました。番号を貼るのにけっこう手間がかかりました。数字がちょっと斜めになっている感じですが、まあ、これが限界です。穴が開いただけの状態からはマシになったと思います。
ついでに、テンダー(炭水車)の後尾にある尾灯(後部標識)にもLEDを取り付けます。
残念な発見は、この模型のテンダー後部造作が実物とかなり異なることです。模型では、後部に電灯のくぼみが横に3つ並んでいますが、これはT1の雰囲気です。S1の中央尾灯はこの位置ではなく、上に立ち上がっていて、その高さに左右の電灯もあるようです。また、ハシゴのある上部開口部も広いようです。とは言え、実物の後部の写真を見たことがなく、その後に製作された精密な模型を見ただけですけど。
これを修正するとしたら、大がかりな作業になるので、知らないことにしておきます。客車を牽引していると気にならないでしょう。
ともかく、中央のくぼみだけに穴を開けて、LEDで点灯するようにします。これは実際に走行させるときの進行方向確認になります。口径1mmちょっとの穴を開けました。けっこう真鍮板が厚かった、という印象でした。
穴の右上に、ドリル先が当たった跡があります。養生を忘れていました。よくやることです。いずれタッチアップ塗装をしておきます。ここにもWAVEのアイズ1.5mmを貼り付けましたが、少し大きいかもしれません。
LEDを仮付けして点灯させてみました。
まあ、こんなものでしょうね。
S1に使う電球色LEDです。左がヘッドライト用の3mm、右は車側灯と尾灯に使った先端1.6mmのものです。
中央は比較のために置いた普通の3mmです。左と中央はどちらも3mmですが、違いは根元の”つば”の有無です。
今回のような、パイプの中に入れる場合、中央の形状の場合は削る必要がありますが、たいていはピンがギリギリに出ているので、加工に気を遣います。その点、つば無しは楽ちんです。
これからの作業は、Loksoundを取り付けるための細工になります。
DCCボードとスピーカーはテンダー内部に入れる予定です。
スピーカーのサイズを考えています。
スピーカーを決めて、テンダーの底蓋にスピーカー用の穴を開ける準備です。
12月はここで終わりました。
(つづく)