犬のランプ 2

2月10日の成果です。

パスカルJr.の頭を切り抜いていきます。

鼻の溝に切り込みを入れ、目をドリルで開けてから、3軸ローラーを使ってカーブを作ります。徐々に間を詰めながら、何度もくぐらせます。

できあがりました。

夜、パスカルと比べてみました。こんなもんかな?

2月17日、クラフトパークでの作業です。
パスカルSr.の頭の切り抜きです。Jr.とはちょっとだけ違います。

同じく3軸ローラーを使いました。

その後に、パスカルSr.の胴体も切り抜きました。

もっとヤスリ掛けと磨きが必要ですが、すべてを並べてみました。
左側が先週までに作ったパスカルJr.の頭と胴体、右側がパスカルSr.の胴体と頭です。Srの胴体がちょっと細いので、来週にクラフトパークで調整します。

頭のサイズは同じですが、違いは、目のサイズがJr.(左)は7mm、Sr.(右)は7.5mmです。鼻の違いもあります。

胴体の違いです。
左のJr.が大きく(右のSr.が小さく)見えるのですが、これは脚の長さの違いです。

このサイズの違いが、頭を取り付けたときに、全体のバランスにどう影響するか、それが問題です。

これから一週間、自宅で組み立て方法を考えることにします。
来週は銅板でショパンの頭と胴体を作る予定です。

(続く)

 

犬のランプ 1

2017年になりました。1月20日からクラフトパークの新学期が始まりましたが、次のプロジェクトを考えながらも、何も決めていませんでした。
20日と28日は、とりあえず以前に作ったスプーンなどの修理で過ごしつつ、金属工芸品の写真集やネットを眺めていたら、いくつか、興味を覚えた作品がありました。

その一つが犬のランプです。

これは、フランスのディドロ(Disderot)というデザイン照明の会社が1950年代に販売していたランプで、Jean Boris Lacroixというデザイナーの作品だそうです。今は販売されていません。

素材は金属(薄い鉄板?)に塗装をしているようです。この写真を見た途端に、これは作ってみたいと思いました。自分の拙い技能レベルでも可能な範囲という意味でもあります。

オリジナルはテリアっぽく見えるので、そのままコピーする気はなく、我が家の愛犬たち(パスカルSr.、ショパン、現在のパスカルJr.)をモチーフに取り入れようと決めました。つまり、3つ作るという目論見です。

素材は、犬種は違いますが、パスカルSr(シニア:ゴールデン・リトリーバー)とパスカルJr(ジュニア:スタンダード・プードル)とは同系色なので、真鍮とします。ショパンはスタンダード・プードルですが、黒からグレー(シルバー)になったので、銅を硫黄で黒っぽくするという計画を立てました。

まずは、平面に展開してみた図をコンピュータでいろいろ作ってみて、印刷し、いくつか画用紙で組み立ててみました。一つを床に置いてサイズを測る写真を撮ろうとしたら、パスカルがやって来ました。

こうやって眺めてみると、オリジナルのデザインは秀逸で、とてもキュートにできていることに感心します。カラーリングも素敵です。他の色のものも作られていたようですが、白黒の配色がベストと感じました。

パスカル風に作った紙のモデルは可愛さが足りません。白紙のままということもありますが、胴と頭のサイズのバランス、耳の形、頭の長さ、頭の向き、目の位置などがポイントだろうと思います。しばらく改良を続けました。

オリジナルの照明は昔風の小型電球を使っていて、お尻から電源ケーブルが伸びています。スイッチはケーブルの途中にある中間スイッチとなっているようです。

作るのは電池でLED照明にします。オリジナルのサイズは頭の先から尾の先までで30cmくらいのようですが、このサイズは少し大きいので、一回り小ぶりにします。机の上とかに置いて邪魔にならないサイズです。

と言っても、どれくらいが適当なのかを決めなくてはならず、サイズの基準として、手持ちの百均LED懐中電灯を利用することを思いつきました。

懐中電灯を分解しました。手前の中央にあるLED(3個)、隣の単4電池が3個入る電池ボックス、押しバネを使います。ただ、このLEDライトは抵抗を入れずに明るくしているため、消費電力が大きすぎます。抵抗を入れる必要があります。その右のトグルスイッチは手持ちの一番小さなもので、尻尾をスイッチにする計画です。

ポイントは、胴体の中に入れる電池ボックスが外から見えないサイズです。

画用紙で作ったモデルに照明を組み込んで、点灯してみました。

裏側はこうなっています。

頭にLED、胴体に電池ボックスを収め、尻尾がスイッチです。
このモデルを使って、頭のデザインとサイズをチェックしました。

これはちょっと大きすぎました。
ここまでは全部、自宅での準備作業でした。

2月3日、クラフトパークでの作業です。
0.8mm厚の真鍮板から胴体を切り抜きます。
この胴体はパスカルJrで、胴体を少し太めにしています。

バンドソーで切り抜きました。

犬のランプの場合は、焼きなまして叩くという鍛金作業はありません。切り抜いて、ヤスリ掛けして、曲げる作業だけです。

胴体を曲げる作業ですが、最初に砂袋を敷いて、中央部を円筒で叩くという方法を教えてもらいました。

前を少し太く、後ろを細くして、左右のバランス調整です。

胴体ができあがりました。

紙のモデルにかぶせてみました。

胴体は予定通りになったようです。

2月8日、自宅での作業です。
尻尾に付けるスイッチのステイを真鍮板で作り、ハンダ付けしました。
スイッチが動くように、胴体のお尻部分に切り込みを入れてあります。

スイッチにかぶせる尻尾を作り始めました。プードルらしく、尻尾の先を球にしたいのですが、適当なものがなく、真鍮の袋ナットを削って丸くしました。
M3(3mm径)のネジの頭を切り取り、外径4mm(内径3mm)の真鍮パイプの中に入れて、反対側はトグルスイッチにはめ込むために3mm径の真鍮パイプを入れています。

ちょっと削り過ぎだったので、もう一つ作りました。

尻尾を仮止めしてみました。

マアマア見込み通り、という感じですが、ちょっと球が小さいかもしれません。

(続く)

 

S1整備とDCC化 3

やっとDCCボードと接続する加工作業に入りました。1月16日までの1週間の作業を振り返ります。

サウンド・ボードはESUのLoksoundですが、手持ち最後の1個となったV3.5を使います。LoksoundもV4.0からはスピーカーが低インピーダンス(普通の4~8Ω)になりましたので、小型スピーカーを選ぶのが楽ですが、逆に、これまで苦労して集めていた高インピーダンス(100Ω)のスピーカーが無駄になってしまうのが残念です。

WindowsでLokProgrammerというソフトを立ち上げて、すべての機能が働いているかをチェックします。テスト用ボード(ESU製)にLoksound(左手前)を差し込んでいます。

LokProgrammerのインターフェイスはRS-232Cを使う古いタイプです。現在のインターフェイスはUSBに変わっているようですが、ソフトは同じものです。ソフトは最近V4.5にバージョンアップされて、かなり使いやすくなりました。

機関車本体とテンダーとのケーブル接続用コネクターを作ります。
先ずは、コネクター・ピン(幅1mm:帯のように連なっているものを切り取って使います)を工具を使ってケーブルに取り付けます。

このようにケーブルを入れてから、挟んでカシメます。この細かい作業はなかなか慣れず、手間取りますが、意外と失敗は少ないのです。

カシメた結果です。たいてい反ってしまうのですが、何とかなります。

6本をコネクターに差し込んだら出来上がりです。

これがメスのコネクターになり、オスのコネクターを差し込んで(右側)、導通をチェックしてから、ゼリー状の瞬間接着剤で固定します。なお、配線のカラーリングはESUが指定している色とは無関係にやってます。忘れそうなので、メモしておかなければなりません。

右側のオスのコネクターにはケーブルをハンダ付けします。もちろん、メスと同じ色の配線にします。導通をチェックしてから、ここにも接着剤を塗っておきます。

サイズはこんなものです。

機関車本体にはオスのコネクターからの配線となります。

たぶん、台車とは干渉しないと思いますけど、少々ケーブルが太かったようです。

テンダーとの接続テストです。

機関車側のコネクターへの配線は、テンダーに合わせて左右に動かないといけませんが、ちょっと固いようです。細いケーブルで作り直す必要があるかもしれません。

次は、テンダーの裏蓋にスピーカーの穴を開けます。
これは卓上フライス盤ですが、ドリル加工ばかりで、フライス加工(面の切削)をしたことはありません。

一応は線書きをしていますが、結局は移動の回転数でテキトーに2mmの穴を開けました。中心には板パーツがあるので避けましたが、音の抜けは十分のようです。

実は、スピーカーの第一候補はバスレフ式で、以前にSamhongsa (Key Imports) のビッグボーイに取り付けたものでした。1つ残っていました。幅は少し狭いですが、少し長く、少し厚いものです。

実際に取り付けたのは、ESUのスピーカーですが、この2つの違いは、さすがにバスレフ式のほうが低音がよく出るものの、音がまるくなり過ぎます。ESUのほうは低音が出ず、高音がメインになって、シャリシャッリした音になります。ところが、穴を開けてから、2つのスピーカーを取り付けてみて、音を比較したら、ESUの高音が押さえられ、低音が出るようになって、バスレフ式以上の音になりました。ESUスピーカー付属のちゃちな裏箱をはずすと、テンダー全体が密閉式のスピーカーボックスとして、うまく働くようです。

スピーカーをネジ止めしました。

1つのネジには左側レールからの給電端子を取り付けました。

Loksoundをマザーボードに差し込んで使っています。このマザーボードはLoksoundからの配線をコネクターに分けてくれて便利ですが、これは単体で購入したものではありません。

10年くらい前に、アメリカの通販ショップで、Precision Craft Models製品のバーゲン・セールがありました。Loksoundが搭載されたOn30というサイズのレールカー(Gallopping Goose)がLoksound単体よりもずっと安くなっていたので、これ幸いと、5台くらい購入しました。

そのレールカーに使われていたのが、このマザーボードなのです。このレールカーは面白いので、1台だけ保管してありますが、他はすべて分解して、パーツにしてしまいました。分解したときの写真です。

このレールカーは2個の大型スピーカーで迫力ある面白いサウンドを出しますが、残念ながら、HOゲージの車両には入らないサイズのスピーカーです。On30というサイズは、レール幅はHOと同じ(16.5mm)ですが、本体のスケールは1/48(HOは1/87)なので、当模型鉄道で走行させると、多くのものにぶつかってしまいます。

今回、残っていたLoksoundはここから取り出したものですし、モーターも使っていますので、脳と心臓を移植したと言えるかもしれません。と言うか、オズの魔法使でTin Woodman(ブリキの木こり)に時計をあげたような気分です。

さて、機関車側の右側レールからの給電箇所としては、モーター固定用の真鍮板にハンダ付けしました。ここからテンダーにケーブル(黒)でつなぎます。

LED以外のケーブルをコネクターでつないで、仮配線してみました。

机上テストをします。結線がOKかを試すためにスローで動かします。面倒なので整備台に載せていません。モーター後部が重いので、ペンチを下に入れて支えています。机の上がゴチャゴチャなのは仕方ありません。

動画です。音は出ません。

走行テストまで、あと1週間くらいでしょうか。

(つづく)

S1整備とDCC化 2

2017年1月に入って、10日間の下ごしらえ作業を振り返ります。

DCC化するにあたって、配線のルートを決めようと思い、再度、組み立てました。ところが、組み立ている途中で、伏兵現るです。機関車の従輪台車(後ろ側の台車)のパーツが外れていました。写真の下に写っている黒い四角いパーツ(軸箱)を支える金具がはずれていて、どこにも見当たりません。

この軸箱はバネで動くようになっていて、下で支える必要があります。ここを修理しないと車輪を入れることができません。小さなパーツが消えてしまうのはよくあることなので、一通り床を探してから、何か代わりになるもので都合をつけることにしました。
1mm幅の真鍮板の切れ端があったので、応急処置として、2液性の接着剤で固定してみました。

しかし、荷重がかかる部分に接着剤は無理だったようで、すぐにはずれました。結局はハンダ付けしました。

テキトーですが、固定できたと思います。こんな小さな可動パーツの修理は一番苦手です。
簡易なタッチアップ塗装をしておきました。

分解する前に調べておけば手間いらずだったのですが、ここで長さを計測しておきます。実は、ターンテーブル(転車台)に乗るかどうかが大問題なのですが、世界最長の機関車だとわかっていながら、測っていませんでした。
機関車の先頭からテンダー後部までは48.5cm、後部の連結器を含めると49.5cmです。実物が42.7mだったそうですから、ほぼ縮尺(1/87)通りです。確かに長いですね。

機関車後部が下がっているのか、テンダーと高さが合っていません。届いたときから、この模型はテンダーのほうが高いのですが、組み立てが雑だったのか、強調されました。スペーサーの調整などで、これを合わせることができるかどうかも今後の課題です。

ターンテーブルに車輪がすべて乗るかどうかが問題なので、機関車の先輪からテンダーの後輪までを調べました。

45.5cmです。これは微妙な数字ですが、ともかく、ターンテーブルに載せてみました。

ギリギリ、乗っています。先頭はこれくらいです。

後ろはこれくらいです。

両端で余裕は1cmありませんが、何とかなりそうです。DCCでコントロールできなければ、手で前後に動かせばいいや、という程度です。完全にはみ出すようなら、ターンテーブルの線路を延長改造しなければならないので、ほっとしました。

さて、配線のルートを検討します。DCCボードとスピーカーはテンダーの中に入れますので、機関車本体とテンダーの間に最大で6本の配線をコネクターで接続するつもりです。
機関車とテンダーの間はこのようになっています。

左右から連結器のように見える大きめのパーツがありますが、これは模型を動かすときに必要な役割はありません。その下に、細い金属が見えています。裏から見ると、こういう状態です。上の写真ではつないでいませんが、この写真はつないだ状態です。短いほうの穴でつなぐとぶつかっています。

この細長い金属はドローバー(draw bar:引っ張り棒)と呼び、機関車から伸びて、テンダー(炭水車)の下部のピンにはめて、テンダーを引っ張るパーツです。短いほうの穴に入れると実物らしさ(機関車とテンダーが近い)が出るので、大きなカーブでの走行とか展示に使いますが、テンダーがぶつかってしまうのは問題です。

実は、このパーツはテンダーを引っ張るだけではなく、給電にも使われています。こういう機関車への給電(集電)方法には推奨標準があり、機関車本体が右側のレールから集電し、テンダーが左側のレールから集電することになっています。そして、このドローバーでテンダーからモーターの付いている機関車に給電しているのです。金属製の機関車本体には右側のレールの電気が回って来ていますので、機関車側のドローバーの取り付け部分は絶縁されていて、モーターに配線されています。

DCC化する場合は、このドローバーとは別に配線する予定なので、ドローバーの給電機能はどうでもいいのですが、問題はカーブでも機関車本体とテンダーが接触しない距離が必要です。上の写真のように接触するとショート(短絡)してしまいます。

問題をはらんでいるパーツで、このパーツを削って、配線ルートのコネクターを取り付ける場所にするとすっきりするかもしれません。この思いつきが吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、やってみたくなりました。

再度、分解しました。
テンダー側のパーツは鋳物(真鍮のロストワックス)っぽいので、出っ張りを切ってから、穴を開けなければなりません。

かなり切り、削りました。いつの間にか、テンダー下の角が曲がってしまっています。
配線を通すルートとして、裏蓋の下、斜めに内部まで穴を貫通させています。

予定している6ピンのコネクターがすっぽり入りました。汚い作業結果ですが、裏なので、配線が無事に終わったら、パテで埋めるつもりです。

機関車本体後部は2mmほど切り取りました。この口に配線を通そうと考えています。

このあたりの切削作業に使ったハンドグラインダーです。金属粉が飛び散る作業は嫌いですが、仕方ありません。マスクをしながら、ダンボールの中に入れてやっています。

またもや伏兵です。作業の途中で、何気なくモーターを触っていたら、ブラシを留めている蓋がポロリとはずれました。ネジがつぶれているようです。しかも、バネを壊してしまいました。

こういうパーツを修理するより、モーターを取り替えてしまおうと思い、1mm厚の真鍮板でモーターを固定するステイを作りました。1mm厚くらいなら、工具があるので、真鍮板の切断・折り曲げ・穴開けは、この程度のレベルであれば、簡単にできます。モーターを横向きに置きました。動輪側のギヤの軸とほぼ同じ高さになるためですが、この模型の内部スペースが広いという面もあります。

シリコンチューブが柔らかすぎるようなので、ギヤまでの長さを調整するために、位置を少しずらして、取り付け穴を2つ開けました。機関車本体の取り付け位置とネジを使いたいので、元のネジ(2.6mm)に合うナットをハンダ付けしています。

出来上がりはこんな感じです。動輪駆動用のギヤボックスが中心から少しずれているようですが、当面は無視して、走らせながら様子を見ます。

フライホイール(モーターの先に付いている重り)があるので、内部を少し切り取ってスペースを作りました。
写真の中央です。汚い切り口ですが、見えないところなので,気にしません。左側の内部には丸いウェイト(機関車の重り)が入っています。

いろいろと回り道になりましたが、知識も技術も乏しい中で、思いつきの問題解決をしていく作業は楽しいものですね。
駆動部分の事前手直しはこれくらいにして、やっとDCC化に入ります。

(つづく)

S1整備とDCC化 1

2016年12月に入って、届いたばかりのS1(PRR 6-4-4-6)の整備を始めました。当鉄道のHO(2階部分)レイアウトはDCC(Digital Command Control:ディジタル信号で制御する方式)になっていますので、とりあえず、DCC化して、走行させるのが目標です。

半世紀前の製品なので、どこまでできるかわかりませんが、いろいろと検討しながら、できるだけ毎日、30分から1時間くらい、工作を楽しもうと思います。先ずは手製の整備台に乗せてチェックです。

車輪からの導通はなく、DC電源につないでみましたが、まったく反応がありません。ヘッドライトも点灯しません。接触不良が多々あるようで、これは予想していたことなので、即座に分解していきました。

すべての車輪を磨いた後、駆動部分をチェックします。
動輪とモーター部分です。モーターはオープンの棒形で、ギヤはすべて金属です。

何十年と走らせていなかった雰囲気で、油分がまったくなく、モーターとギヤをつないでいるシリコン(ではなく、ビニール?)チューブがカチカチです。モーターをはずして掃除すると、モーターはスムーズに回ります。

ギヤを掃除して、グリースを塗布しました。
モーターを交換しようかと、手持ちのモーターをあてがって、動かしてみました。

何とか動いています。モーターを交換すると安心ですが、モーターを固定するステイを作らなければなりません。そっちの工作を始める前に、動輪全体の駆動状態を確認しておこうと思い、元の棒形モーターに戻してテストしてみました。

後部の動輪ユニットだけをつないで、DC電源でチェックです。少し音が出ます。

さすがにチューブと金属ギヤの組み合わせでは、かなり揺れています。このあたり、以前にKey Importsの古いビッグボーイをDCC化したときの状態とはかなり違います。

次の動画では、前後の動輪ユニットをつないで、搭載予定のDCCボード(ESUのLoksound)にDuplex機関車サウンドを入れて動かしています。少し前後が折れているのは、後ろが重かったようです。車体を組み立てると水平になります。音が出ます。

サウンドを出したら、ギヤなどのノイズはわからなくなりますが、元のモーターでやれるかどうか、また、ギヤボックスを交換しないでいいか、判断はむずかしいところです。実際に走らせて、ギヤを含めた改造が必要かをチェックするためにも、ともかく、実際に走らせるまで進みます。

日本の古い蒸気機関車模型だと、棒形モーターから小さなモーターに交換する利点の一つとして、運転室を作る余裕ができるということがありますが、S1は大きいので、幸いなことに、すでに運転室表現があります。

できるだけ元のままで走らせたいので、他の整備に移ります。

先頭部分の改良を考えます。
実物のS1の先頭部分です。

模型で気になる先頭部分です。

ヘッドライトの電球をはずそうとしましたが、3mmのパイプに接着剤で固定されていました。これはどうも後付けのようです。
電球を割って、ハンド・グラインダーで接着剤を取り除いてから、ヘッドライトのレンズ周りの金属パーツ部分の塗装をゴム・ヤスリで落とします。

そして、3mm径のLEDを挿入してみたら、ぴったりと収まりました。

この作業をしながら、側面のライト(車側灯)と番号表示の部分が穴が空いただけになっているのがさみしく思い、細工してみる気になってしまいました。

番号表示はCorelDRAWで作成してOHPに反転印刷しました。PRR用のフォントを使いましたが、0(ゼロ)が幅広だったので、61と00を分けて、00を小さいフォントにして縦に伸ばしました。今から考えれば、同じサイズの00の幅を狭くするほうが簡単でした。結果は同じですけど。

反転印刷にしたのは、印刷面を裏側で接着したかったからです。番号標の穴の後ろには2mmほどの空間があり、そこに透明のプラ棒を固定し、それに番号標を接着しました。

ヘッドライトのレンズはWAVEの模型用プラスチック・レンズ(アイズ)3.5mmを取り付けました。

前に少し飛び出していますが、許容範囲とします。

ヘッドライトと車側灯のLEDを固定するために、樹脂粘土を貼り付けました。
車側灯部分には穴を開けています。

ヘッドライトの裏です。

次の写真が仕上がり状態です。LEDを仮に付けただけですが、ヘッドライトも車側灯も電球色のLEDを使うことにしました。車側灯のレンズにはWAVEのアイズ1.5mmを使いました。スケール的には1.2mmなのですが、試してみると、模型としては小さすぎる感じがして、大きくしました。番号を貼るのにけっこう手間がかかりました。数字がちょっと斜めになっている感じですが、まあ、これが限界です。穴が開いただけの状態からはマシになったと思います。

ついでに、テンダー(炭水車)の後尾にある尾灯(後部標識)にもLEDを取り付けます。

残念な発見は、この模型のテンダー後部造作が実物とかなり異なることです。模型では、後部に電灯のくぼみが横に3つ並んでいますが、これはT1の雰囲気です。S1の中央尾灯はこの位置ではなく、上に立ち上がっていて、その高さに左右の電灯もあるようです。また、ハシゴのある上部開口部も広いようです。とは言え、実物の後部の写真を見たことがなく、その後に製作された精密な模型を見ただけですけど。

これを修正するとしたら、大がかりな作業になるので、知らないことにしておきます。客車を牽引していると気にならないでしょう。

ともかく、中央のくぼみだけに穴を開けて、LEDで点灯するようにします。これは実際に走行させるときの進行方向確認になります。口径1mmちょっとの穴を開けました。けっこう真鍮板が厚かった、という印象でした。

穴の右上に、ドリル先が当たった跡があります。養生を忘れていました。よくやることです。いずれタッチアップ塗装をしておきます。ここにもWAVEのアイズ1.5mmを貼り付けましたが、少し大きいかもしれません。

LEDを仮付けして点灯させてみました。

まあ、こんなものでしょうね。

S1に使う電球色LEDです。左がヘッドライト用の3mm、右は車側灯と尾灯に使った先端1.6mmのものです。
中央は比較のために置いた普通の3mmです。左と中央はどちらも3mmですが、違いは根元の”つば”の有無です。

今回のような、パイプの中に入れる場合、中央の形状の場合は削る必要がありますが、たいていはピンがギリギリに出ているので、加工に気を遣います。その点、つば無しは楽ちんです。

これからの作業は、Loksoundを取り付けるための細工になります。

DCCボードとスピーカーはテンダー内部に入れる予定です。
スピーカーのサイズを考えています。

スピーカーを決めて、テンダーの底蓋にスピーカー用の穴を開ける準備です。

12月はここで終わりました。

(つづく)

 

PRR 6-4-4-6 S1 到着

11月29日、ドイツから箱が届きました。
個人の発送らしく、クッションにしているのは地元新聞紙ばかりです。

中に入っているのは、箱です。

その箱に入っているのは、HOの模型機関車です。
箱の横書きです。

箱を開けました。

今はなきペンシルベニア鉄道(PRR: Pennsylvania Railroad)の蒸気機関車S1です。機関車の車輪が6-4-4-6(アメリカ式の数え方で、先輪が6個、動輪4個+動輪4個、従輪が6個)という面白い配置になっています。この配置はS1特有で、蒸気を2つのシリンダーに回して、2組の動輪を動かすduplexという機構の実験車両です。その後、PRRのduplexは改良されて、T1(4-4-4-4)などになっていきます。

外観はレイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)がデザインした流線型で、1939年に1両だけが製造され、1945年に引退し、1949年にスクラップになりました。世界最長(44.5m)の蒸気機関車で、”The Big Engine” というニックネームで呼ばれていたそうです。旅客用の機関車でしたが、車輪配置からスリップが多く、それが理由で1両しか製造されなかったとのことです。

1930年代、PRRはレイモンド・ローウィに外観デザインを依頼して、流線型の機関車や客車を投入していました。WikipediaにはS1に乗っているローウィの写真が掲載されています。

レイモンド・ローウィのデザインは好み(著書「NEVER LEAVE WELL ENOUGH ALONE」、邦訳「口紅から機関車まで」は何度も開いています)なので、彼がすっきりさせたPRRの電気機関車GG1、デザインした蒸気機関車T1をHOゲージで持っています。

もう車両を購入するのはやめているのですが、S1だけは長年、リーズナブルな価格で買えないかと探していました。HOゲージのS1は現行の市販品がなく、中古市場に出るのはすべて20年以上前に作られた真鍮製です。今回はたまたま、オークション・サイト(eBay ドイツ)で見つけて入札したら、あっさり購入できました。

今回の購入品が安かった理由はそれなりにあります。S1のHO模型としては初期の製作製品ということです。その後に出たChallenger ImportsやKey Importsなどのブランドで売られていた韓国製品は精密さで定評がありますが、数倍の値段になっています。それに円安が始まる前でした。
中に入っている製品検査証です。

日本製です。「OLYMPIA オリンピア」という、今はなき会社の製品で、1965年に製作・検査された3号機となっています。アメリカに輸出され、Gem modelsというブランドで販売されていました。その後、ドイツに渡り、今回、半世紀ぶりに日本に里帰りとなりました。

箱から出して、点検です。
飾っておくだけのコレクションではなく、走らせて楽しむための整備・改造のポイントを探します。(もちろん、大したことはしません・できませんけど・・・)

模型としての型取りはかなり甘い感じです。50年以上前の製品としては、まあこんなもんでしょう。塗装もところどころに傷はありますが、再塗装を考えるほどではありません。

売り手の方とは、購入が決まってからメールのやりとりをして親しくなりました。かなりのご年配の個人コレクターだと判明しました。コレクションの写真を送っていただきましたが、部屋の壁の棚一杯に数十台の真鍮製機関車がきれいに並べられています。ということは、ほとんど走らせていないわけで、外観がまずまずの状態というのが納得できました。

裏の写真です。

時代を感じさせる駆動部分です。

一見して気になったのは、ヘッドライトです。丸い電球が飛び出しています。
飾っておくだけなら、時代性を示すチャームポイントと言えるかもしれませんが、ムズムズします。

これを見ると、走らせるためには、DCC化と合わせて、LEDに交換しなければ、という気分になります。
さて、どうなっていくでしょうか。

(つづく)

LEDテープで照明

走行中の先頭車両からのリアルタイムの映像(ライブビュー)にトライしていると、画像が暗いことに気がつきました。トンネル内はともかく、1・Gの上にHO、HOの上にNのレイアウトと、それぞれ天井があります。特に駅の周辺には室内の照明が当たらず、とても暗くなっています。 そこで、せめて駅周辺だけでも照明を付けようと考えていて、LEDテープを使うことに思い至りました。

最初は、IKEAのネットカタログを見ていて、「LEDスティックライト4本セット」2,499円というのを見つけました。HOと1・Gで2つずつ買う必要があり、4つで1万円になるし、鶴浜まで行くのも面倒だし、しかも現在は在庫なしのようだし、ということで、ネットでLEDテープを調べてみたら、安くあがるものが簡単に見つかりました。

LEDテープというのは、薄いプラスチックのテープにLEDが連続的に配線されたものです。模型車両にLEDを使い始めた10年以上前にはあまり見かけませんでしたが、今はとても安価に出回っています。

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もっとも安価だったものは、12V仕様で、1本が5mあって、5センチに3個のLEDと1個の抵抗が配線されたユニットがつながっています。ユニット単位で自由にカットできます。5センチに3個ですから、5mで300個のLEDがつながっています。これ1本が送料込みで210円という驚くべき価格です。色も何種類か出ていて、模型には欠かせない「電球色」があったので、2本買いました。

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いろんなネットショップを眺めていると、需要は自動車の電飾のようですね。そのため、12Vの自動車用バッテリー仕様がほとんどですが、トラック用にLEDが6個でユニットになっている24V仕様もあります。24V仕様のほうが高いのは需要の多寡に対応しているのでしょうか。防水仕様もあるので、今時はLEDデコトラも走っているのかもしれません。

家庭用の100V電源で使う場合は12V出力のACアダプターが必要になり、IKEAの製品(柔らかいテープではなくて、プラスチック製の棒になっているようです)にはACアダプターが付いています。ただ、明るさ調整はできません。

模型車両の室内灯にも使えそうですが、12V用の抵抗が組み込まれているので、普通の直流電圧制御だとむずかしいでしょうね。PWM制御なら使えるかもしれません。当模型鉄道のNゲージは単純な直流電圧制御ですし、Nゲージには室内灯を組み込む予定はないので候補ではありません。HOと1・GはDCCで、17Vくらいの常時通電ですから、ブリッジダイオードと電流調整(単に抵抗を増やすだけ)で使えそうです。
[追記:その後、HO(16番)阪急2800系に使いました

それはともかく、どんな照明になるかを体験してみたかったので、駅周辺の天井に貼り付ける方法を考えてみました。LEDテープの裏は薄いテープをはがすと、けっこう強い接着テープになっています。適当な長さのユニットで切って、そのまま貼り付けてもいいのですが、ちょっと味気ないので、余っていたベニヤの細切りに貼って、木ネジで取り付けることにしました。

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また、点々とLEDが輝くのも、どうかと思い、少し間接照明っぽくするために、コピー紙を切ってカバーを作ってみました。最初、画用紙で作ってみたら、紙が厚くて暗すぎました。

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Before:点灯前の1・Gの駅あたりの暗さです。

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After:点灯しました。

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HOのBefore:

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After:

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上の写真はデジカメのオート調整による映像なので、比較写真としてはデタラメになりましたが、印象はOKです。

LEDテープの特性がわからないので、もちろん、取り付ける前に明るさを調整しています。調整は、線路から取りだしたDCC電源にブリッジダイオードと、安全のために降圧回路(ステップダウン・コンバータ)を挟んで、コンバータ出力の電圧を変更するという方法です。線路に電源が入ると点灯します。

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左側がHO用、右側が1・G用です。このコンバータも中国通販で1個200円ほどでした。
12V用のLEDテープですが、12Vだと明るすぎて、10Vあたりがコピー紙を通してちょうどいい明るさでした。1時間くらい点灯していても、触って熱いほどの熱を持つパーツはありません。

上に書きましたが、ステップダウン・コンバータを介さずに、ブリッジダイオードと抵抗を入れるだけでも明るさ調整が可能です。ただ、DCC電源による印加電圧が少し高いので、本当に安全かどうかはわかりません。まあでも、これまでも電流制限(CRD)だけで個別のLEDをつないでいて、LEDが壊れる事故はありませんでした。

下の写真は、いろいろと抵抗(あり合わせのセメント抵抗)を変えて、明るさを調べているところです。試しに、抵抗を入れずに17Vを印加すると、LEDテープは高輝度で輝き、1,2秒で熱くなって、溶けそうでした。適当な抵抗は必需品です。

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HOも1・Gも駅がレイアウト出入口の両側にまたがっていますので、半分は別に降圧回路を入れなければなりません。必要なLEDテープの長さは、HOも1・Gも2.5mほどになり、1本5mをすべて使うことになりました。

すべてのLEDテープ工作を終えた段階で、ちょっと気になったことがあります。それは消費電力です。

このLEDテープを含めたレイアウト上での固定照明(ほとんどLED)の電力はすべて線路(DCC17V)から取っています。これまでの照明は信号灯や街路灯などの単発LEDばかりですが、今回のLEDテープ2.5mを使うと、150個のLEDが同時点灯します。きちんと測定していませんが、コンバータの効率などを含めて、照明だけで1Aくらいを消費しそうです。

DCCの制御はESUのECoS 50200で、定格連続出力は4Aとなっています。その1/4も照明に使うと、特に1・Gでは本来の車両制御に支障を来しそうです。

ということで、LEDテープ工作は終了しましたが、取り付け工事は中断し、照明などに使う直流電力を別途供給する工事を先行させることにしました。
でも、LEDテープによる照明は成功のようです。

小さな駅の外灯

レイアウトの奥にプラットホームだけの小さな駅を置いていました。余っていた板を切り取って塗装しただけです。

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このホームに、買い置きしたままになっていたLGB製の街灯(LGB 5056)を組み込むことにしました。
こういう2灯が吊り下げられたもので、ちょっとオーバースケールの感はあります。

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台座を付けたままでは奥行きのないホームには置けません。
台座をはずして、台座のベース部分を切り取って、ホームに埋め込むことにしました。

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台座をマストの下部と同じ六角形のサイズに切り取り、台座をホームに埋め込む穴を開けました。こんなに大きな切りかけは不要なのですが、使い回した板に切り込みがあったためです。塗装の前に埋めました。

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台座部分だけをはめ込んで接着し、塗装しました。これで出来上がりです。

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ホームを置き、マストを台座にはめ込み、フィギュアなどを置いて、さあ確認、と電源を入れると、右側が消えています。

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電球を調べようとしましたが、LGBらしく、電球ソケットが接着剤で固定されていて、電球を簡単に外せません。傘を分解しながら、電球をLEDに交換するほうが今後が気楽だと判断しました。
電球のLED化は10年ぶりくらいの工作です。大阪でのレイアウト製作が一段落しつつあることの証しでしょう。

LGBの製品マニュアルにはパーツの図だけで、分解の手順は書かれていません。自分の備忘録として、手順を記しておきます。

1.マストを台座から引き抜いて、マストの下部にあるカバーを外します。これは爪が見えているので簡単です。

2.マスト中央部にある小さなクリップを外します。これは小さなマイナス・ドライバーで引っかけます。

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このクリップはこんな形なので、2箇所に隙間が見えます。その隙間にドライバーを入れてねじると離れます。

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パチンと外すと、たいていは飛んでいきますが、割れることはないと思います。これでマストが半分ずつに分かれます。

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3.マストの上部は爪でとまっていますが、配線に気をつけながら一本ずつ引き抜くと簡単に外れます。
マストから出てきた配線です。途中で1回巻いてあります。これをほどく必要はありません。

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4.一番の手間はトップの蓋をはずすことです。ここは接着剤で固定されています。アクリル・カッターくらいの丈夫な歯を入れて、少しずつ広げていきます。普通のカッターを使うと刃が曲がって、うまくねじれません。

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5.金属のソケットは白いカバーに接着剤で固定されていますので、上から軽くたたくと出てきます。
以上で分解は終了です。

この街灯は2つ買っていたので、ばらす前と後の写真を撮りました。2つともLEDに交換します。

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6.配線を繰り出しておいて、ソケットから1cm程度で配線を切断します。ソケットと電球は不要なのですが、再利用できる状態で残しておきたくなります。ソケットが真鍮製だからでしょうか。

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7.LEDに交換します。今回は5mmの電球色で、2本は何かから外したものを再利用しました。LED関連パーツはわんさと在庫を抱えています。

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LEDを取り付けたら、傘の中に入れますが、接着剤で固定する必要はありません。ちょうど傘の中に入っている状態で配線を上部の溝に入れていくだけです。

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8.ブリッジ・ダイオードとコネクターピンの間には1~2cmくらいの配線を追加しないと、マストの裏部分で干渉します。また、ピンには団子くらいにハンダをのせておかないと、ピンが抜けることがあります。

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9.ブリッジ・ダイオードの上に15mAの定電流ダイオード(CRD)をつなぎました。抵抗でもいいのですが、電圧を気にしないでいいので、たいていはCRDを使っています。
その先の配線は元のままですが、CRDの長さ分。茶色を短くしました。茶色を+に、黒を-につないでいます。

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以上で交換作業は終わりです。すべてを元通りに戻しますが、トップの蓋は接着剤なしで、はめ込むだけにしました。

LEDに交換してからの雰囲気は次の通りです。横に見えている上からの配線を隠さないといけないですね。

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暗くしてみました。元の電球より少し白っぽいですが、悪くはありません。

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ちなみに、PMRRというのは当模型鉄道の名称:”Plumtown Model Rail Road”の略です。
看板のつもりです。

Samhongsa UP 4-8-8-4 Big Boy

2008年11月、韓国サムホンサ(Samhongsa=三弘社:米国でKey Importsブランドの販売)製のUP(Union Pacific鉄道) 4000 (4-8-8-4 Big Boy)が手に入りました。1985年頃の製品で、ウェザリング塗装となっています。

Big Boyというのは世界最大クラスの蒸気機関車で、1941年から、(日本との戦争に備えて)長大編成の貨物列車で膨大な資材や兵器を西海岸に運ぶために作られたと言われています。

テンダー(後部の炭水車)を含めた全長は40.5m、運転装備重量が540トン、3,300トンの貨物牽引能力がある巨大機関車です。同時期(1943年)に作られた日本最大の貨物用蒸気機関車D52は全長21m、装備重量137トンで貨物牽引は1,200トンですから、標準軌で2両を合体させたら、重さが4倍になって、牽引能力が3倍になったという感じです。D52の3重連とほぼ同じですね。

アメリカでBig Boyの保存展示を見る機会はなかった(近くまで行ったのに!)のですが、子供の頃から憧れの機関車の一つでした。現在、ワイオミング州シャイアンでは、Big Boy 4014のレストレーション(復元作業)が進んでいるようです。

サムホンサ得意のコースティング・ドライブ・ギヤとなっていますので、線路に載せて手で押すと、軽く動くのが気持ちのいい感触です。
けっこう細かな造りなので、車側灯あたりを点灯させようとは思いません。

早速、DCC化に進みました。すべて分解していきます。

モーター周りには古い回路が置かれています。

配線はすべて外します。定評のあった日本製CANONモーターで、なかなか丈夫そうです。もちろん、使います。

モーター周りがすっきりしました。

テンダーも分解しました。5軸台車の上の床に、すでにスピーカー用の穴が開いています。サウンド機構を予定していたのでしょうか。

テンダー内部にも少し回路がありますが、気にしないで、すべて外しました。

ESUのLoksound3.5とスピーカーを取り付けます。LoksoundはPCM製のギャロッピング・グースから取り外したもので、マザーボードに載っています。スピーカーはバスレフ式です。

テンダー内部にスピーカーとLoksoundを搭載する位置決めをしています。バスレフ式のスピーカーなので、穴よりも少し浮かせて取り付けます。

音の抜けを良くするために、テンダー床の穴を少し増やしました。この部分の台車は固定されていて、ネジで外すことができます。

照明はすべてLEDに交換します。
前照灯は少し手間がかかりました。

尾灯です。

どちらも白いですね。電球色がなかったからかもしれません。

こんなところにも加えました。

これは運転室にある投炭口が開いていたので、赤く塗って、フリッカー点灯(Firebox点灯)させるためです。あんまり面白い効果ではありませんでした。

テンダーと本体との配線コネクターです。

機能チェックが終わったので、黒く塗装しました。

テンダーの石炭庫が空っぽなのはさみしいので、石炭を搭載します。

プラ板で上げ底を作りました。

プラの石炭を入れて、接着剤で固めます。

以上でDCC化の完了です。

当時の写真撮影日を眺めると、土日だけで2カ月ほどの作業期間でした。駆動系がしっかりしていると、手間のかかる工作もなく、DCC化は楽な作業です。

大阪に移ってから、HOのレイアウトに転車台と扇形庫を組み入れたので、その部分をブースターで給電することになり、転車台へのアプローチにギャップ(線路の切断)を入れました。すると、そのギャップで集電できずに停まるようになりました。

無電状態になるのは、線路の左右からの集電が機関車本体(右のレール)とテンダー(左のレール)で分かれて、離れているためです。そこで、テンダーの台車から、機関車本体と同じ右のレールからも集電するように部材を取り付けました。

テンダーの裏側です。右が機関車側で、車輪の一方(進行方向の右側)は絶縁されています。絶縁されている車輪の外側部分に集電材を取り付けます。

プラバンでベースを作り、接触ピンを接着剤で貼り付けました。ピンはまだ長いままで、取り付けてから切ります。

ネジ止めして、配線は機関車側から来ている電源ケーブルと結んで、デコーダに入れます。台車内の配線は車軸と干渉しないように整えました。

そして、大阪でも調子よく、元気に走っています。音が出ます。