DCC電源の電圧

2023年5月24日

阪急2800系完成間近の2018年、灯火制御用デコーダ(LaisDCC製のFunction only decoder)の1つが走行中に焼損したことがありました。この時は商品のバラツキの問題だろうと推測して、同じデコーダーを取り替えて済ましました。

その時以外は問題がなかったのですが、いろいろと思い返してみると、一部のN用・HO用デコーダーにはDCCの線路電圧が高すぎるのかもしれないと思うようになりました。

現在のレイアウトでは、1・GとHOのいずれにも1台のESU ECoS 50200の出力を手元スイッチで切り替えて使っています。NはDC制御のままです。

2010年頃に買ったECoS 50000は2014年に画面が陥没して壊れ、カラー画面になったECoS 50200に買い換えました。買い換えた時、ESUのサイトに、HO以下の小型模型ユーザーの要望があったので電源アダプターの電圧を可変にした、と記載されていたのを思い出しました。その頃はあまり気にしないで、同じ電源で1・GとHOの両方を動かしてきています。

まさに遅まきながらですが、ECoSへのDC電源電圧とECoSからの線路電圧を確認してみることにします。

現在使っているECoS 50200のスイッチング電源アダプターの電圧です。購入時のままでしたが、19Vを超えていました。

この電圧で線路上はどうなっているかを調べたいのですが、線路上はDCCの矩形波(10KHz程度)です。このDMM(ディジタル・マルチメーター)はACの実効値(RMS電圧)測定ができると謳っていますが、1KHzまでなので、残念ながら1桁足りません。取り急ぎ、安直にブリッジダイオードを挟んだ簡易測定用ケーブルを作りました。

これでHOレイアウトの線路上電圧を調べました。DMMのDC電圧測定です。まあ、高周波の脈流でしょうけど。

16Vが出ています。感覚的にはHOで上限いっぱいのイメージです。この電圧は搭載デコーダーのみならず、同じブリッジダイオードを使った室内灯などにも印加されています。

この時、10年ほど前に廃番大特価で買ったテクトロの40MHzオシロスコープがあるのを思い出して、急いで引っ張り出しました。

このオシロは初めて使ったのですが、オート・セッティングで単発波形がきれいに出ました。

周波数は6.5KHzで、電圧はPeak-to-Peakで44.8Vになっています。目盛りを眺めると、DMMで出た16Vより少し高そうな感じです。実効値の測定はできないので、雰囲気としては電源アダプターの出力電圧から1割くらい低くなっているようです。

線路上に16~17Vというのは、1・Gでは低い感じですが、小さなデコーダーを使うHOでは高すぎるような気がします。Nゲージでは上限を超えているかもしれません。

メルクリンはHOで20Vくらいが推奨値と聞いたことがありましたし、ESUは元々メルクリンのディジタル部門だったそうなので、設定電圧は高いめでECoSを作っているのでしょうか。そのため、メルクリン方式ではないHOのDCCでは高すぎるために、ESUはアダプター電圧を可変にしたのかもしれません。

電圧可変となったECoS 50200付属の電源アダプター(左)と、電圧固定の50000のアダプター(右)を並べてみました。

50200のアダプターの側面に小さなネジが見えます。可変抵抗器のようです。このネジを回して出力電圧を変更します。

裏の仕様表示です。どちらも90VAです。

古い50000用の出力電圧は固定で、18.14Vです。

ユーザーとしては、電源アダプターの出力電圧設定という「生半可」な方法ではなく、ECoS側で線路出力電圧がコントロールできるようにしてほしいと願うのですが、後継機の50210も容量が150VAにアップしただけで、基本は変わっていません。

線路上の電圧設定に関しては、デコーダーの特性(制約)について調べる必要がありますが、個別のデコーダーの説明書に線路上電圧の上限値を明確に指定している製品はほとんど見当たりません。

Laisdccの説明書には次のように書かれています。

We set our decoder specifications at “Standards compatible” NMRA track voltages – please be aware that while US based systems meet this specification all of the time, many EU made controllers will often have track voltages well in excess of DCC standards recommendations and while our decoders will still perform reliably and well irrespective of your systems actual output voltage, we do suggest that if it is higher than the standards say it should be then a slightly more conservative current draw rating should be assumed.

(訳)当社のデコーダーはNMRAの指定する線路上電圧の「標準仕様」に基づいています。米国製のDCC制御器はこの仕様を満たしていますが、多くのヨーロッパ製のDCC制御器はこの標準電圧を超えています。当社のデコーダーはそれらを気にしないでいいように作られているものの、標準電圧を超えている場合には、電流対策を施しておくことをお勧めします。

ここに出てくるNMRA(NATIONAL MODEL RAILROAD ASSOCIATION)は米国の鉄道模型愛好家+模型関連会社などの団体で、鉄道模型に関する仕様を決めています。

NMRAの資料「S.9.1 Electrical Standards for Digital Command Control 2006」には次の図が載っています。

これを見ると、DCC制御器への入力電圧は7V~22Vの範囲で、N用の典型例(typical)は12V、HO用の典型例は15V、1・G用の典型例では18Vとなっています。一方、デコーダへの入力電圧の典型例はHOでは14.5V、1・Gでは18Vとなっています。

Typicalという英語を典型例と書きましたが、これはNMRAの基準や指針というほどの強制の意味はないようで、すでに発売されている機器の分布を参照した「参考」という程度のように読めました。しかも、これらの資料は13年前ですから、最新の機器がどうであるかを反映しているかはよくわかりません。

ただ、従来のDC駆動用のパワーパックはおおよそ最大電圧が上記の値に近いように思えますし、駆動される電動モーターもそれくらいの電圧が少し余裕を持った最大回転と考えられます。

また、メーカーによっては、「NMRAに準拠」していると製品に書いていることがあり、その場合はほぼ上記の値を設定しているように思えます。

また、NMRAのDCC制御器テスト指針(2007)では、DCC制御器からの出力(線路上の)電圧は上記の図で示された電圧+2Vが最大とすることになっています。

一方、DCCWikiには次の表が載っています

Common DCC Track Voltages by Scale
DCCWiki.com
Z N H0 S 0 Large Scale
10 − 12 12 − 14 14 − 16 20 − 22

通常、DCC制御器への電源はDCで、制御器からの出力(線路上)は高周波ACですから、簡単に比較はできませんが、電圧で20%くらい下がっています。

まだ調査途中ですが、ここまでをアップしておきます。

トンネルの嵩上げと架線

2022年9月6日

Gスケールの南海凸型電機を作っていて、パンタグラフを屋根にのせるとかなりの高さになり、トンネルを通過できないような気がしました。確認してみると、パンタグラフを降ろしていたら通過できますが、上げたまま通過するにはトンネルを5cmほど高くする必要がありました。

2016年に作ったトンネルは線路面からの高さ21cmで、一番高さのあるLGBのモーグル機関車がクリアできる高さにしていました。

1ゲージであれば、電気機関車(メルクリンのクロコダイル)もパンタグラフを上げたまま通過できます。

南海凸型電機のパンタグラフを載せた雰囲気です。

パンタグラフを降ろしたままであれば通過できそうです。

しばらく悩みました。トンネルの上部は上の棚まで数cmの余裕はあります。トンネル全体を嵩上げするのは特に問題はなさそうです。問題は、架線(架空電車線)なしでパンタグラフを上げたまま通過するには嵩上げが5cmほど必要で、トンネルが間延びした高さになってしまうことです。

そこで、嵩上げは3cmだけにして、トンネル通過用に架線を取り付けてみることにしました。架線集電で走らせる予定はありませんし、短い区間だけですが、走行中にパンタグラフが架線をこすりながら上下する姿を見るのは楽しそうです。

こちら側のトンネル・ポータルは上部を切り取る必要がありました。

LGBが発売している架線セットを使うと楽ですが、とても高価(円安で3万円以上)になるので、いろいろと考えた結果、トンネル内部に架線受けの板を取り付けることにしました。地上線と地下鉄線がつながっている地下鉄部分のパンタグラフへの給電板みたいなものです。

参考とした地下鉄架線の例(天神橋筋六丁目駅構内:大阪メトロ堺筋線・阪急相互乗り入れ)です。これは剛体架線と架空電車線の中間くらいの感じですね。

トンネル部分はすべてカーブしていますので、天井部分に剛体架線のようなT字型の架線止め板を取り付けます。トンネルパーツと合わせた材料を並べています。

T字型に固定した木片にブリキを切って接着剤で固定しています。

できあがった止め板です。

その断面です。

これをトンネルの天井に取り付けます。

この止め板にステンレス線で作る架線をマグネットで固定するというアイディアです。この方式はパンタグラフ摺板と架空電車線との微妙な関係を吸収してくれるだろうという目論見です。

採用した10mm角のマグネットです。これくらいの数で千円ほどでした。

トンネルの中間部に開放区間がありますが、そこは止め板だけを両方から伸ばしています。

架線作成は、径1.2mm長さ50cmのステンレス硬線をハンダでつないでいきます。

マグネットで止めるためのブリキのLアングルを作り、20cmおきにハンダ付けしていきます。

仮止めしてみました。

トンネルの出入り口近くはパンタグラフを誘導する架線を架線柱に取り付けています。

2022年5月には工事完了でしたが、まだ機関車が竣工せず、試運転を見合わせていましたら、架線をつないでいたハンダがパラパラと外れるという経年変化ならぬ経週変化がありました。要するに、ハンダ付け処理がきちんとできていなかったこと、トンネルのカーブに合わせている状態が不自然だったこと、などが原因でした。

改善する方法を考えていて、つなぎ目が不要な、もっと長いステンレス硬線を使うことにしました。届いた径1.2mm長さ10mのステンレス線は円形にまとめられています。必要な5mほどを切って、曲がりをそれなりに活かしながら、ブリキのアングルを取り付けていきました。

前回は直線の連結だったのでT字型止め板の内側に取り付けていましたが、今回はステンレス硬線に曲がりがあるので、T字型の外側に取り付けました。そのため、架線止め板を少し内側に移動させる必要がありました。

末端処理です。架線が上から徐々に下がってきてトンネルに入ります。

架線の取り付け状態です。架線の位置は架線止め板よりも2mmほど下になるように設定しています。

逆サイドです。

トンネルのもう一方の末端です。架線の処理は同じです。

これで完成しました。このような架線で全体をカバーすれば架線集電による走行も可能になりますが、まあ、そこまですることはないでしょう。

南海凸電 9 パンタグラフ改訂版

2021年4月26日

今年に入って、パンタグラフ周りのパーツを作ろうと思っていましたが、古いボケた写真を眺めていて、パンタグラフの幅が広すぎることに気がつきました。

このパンタグラフはLGBのパンタグラフのサイズで作ったので、幅もLGBそのままのサイズでした。この幅のままだとパンタグラフ周りのパーツを取り付ける場所がありません。

現物のサイズはわからないのですが、写真の雰囲気からすると、幅を2割くらい狭くする必要があるようです。そこで、幅70mmだった台座を55mmに、幅60mmだった骨組みを45mmに縮小します。骨組みの長さはそのままなので、横から見ると同じ形です。

台座を作り直す気にはならなかったので、中央をブッチリ切り取ってつなぎました。

両側には台座をネジ止めしています。この台座には碍子などを取り付けていくので、ハンダ付けをしてしまうと大変でした。横置き碍子はプラ板を加工しました。

実車の碍子止め金具は左右で少し違っているようですね。

全体を組み立てました。骨組はまだテープによる仮止めです。サイズと雰囲気は良くなりました。写真では試作中の屋根に載せています。

台座から真鍮棒がニョッキリ出ていますが、これはパンタを下げた状態にしておくストッパーです。他に方法が思いつかなかったし、それほど目立たないだろうと思います。

真似したLGB(右)との比較写真です。初期版より少し低く調整しました。

動きの動画です。音は出ません。

これでだいたいパーツは揃ってきたので、そろそろ塗装・組立の準備に進もうと思います。

南海凸電 8 今年の作業

2020年12月31日

凸電製作記事は1年2カ月ぶりです。この1年は時折に製作を続けてきましたが、ともかく資料が乏しく、詳細がぼやけた写真しかないので、具体的な造形がむずかしく、試作ばかりで時が過ぎていきました。

前後の凸部横の手摺りを1mmの針金で作りました。両端を叩いて延ばしています。

ハンダ付けしました。この手摺りは前後とも左側だけですね。

2019年まではキャビンの枠を2mm厚のシナベニヤ材で作っていました。

これを内側にして、クラフトロボで切り取った紙を外側に貼るという計画でした。

こんな感じでいいような気になっていました。

しかし、屋根も一体化すると、2枚以上を重ねるのがむずかしく、屋根の形状と側壁との関係をうまく作ることができません。さらに、ドアと運転席窓を開閉できるようにしたいと考え出すと、ベニヤの側壁は使えないことがわかりました。

計画を練り直して、側壁と屋根とを別々に作ることにしました。基本はクラフトロボで切り取った紙を使います。

側壁だけを切り出し、外側にはリベット模様を入れておきます。

2枚を貼り合わせ、屋根と接合する部分(雨樋)には、3mmのプラスチック半丸棒(ウエーブ製)を貼り、前後には1mm幅の半丸棒を貼りました。

真鍮のアングル材はいずれ床板と接する下部に貼る予定です。

この凸電のドア枠や窓枠はかなりの厚みがあり、適当なサイズの半丸棒の材料がないので、1.2mmの真鍮棒を枠に合わせて曲げて、ハンダで接着した後、1/3くらいをヤスリで削りました。ヤスリで削るために、板に枠の形に溝を掘り、上からヤスリをかけます。これはドア枠を削っているところです。

窓枠はこのようにできました。

これらを紙の側壁に接着剤で固定します。

ドア枠と窓枠を貼った状態です。

ドア枠と窓枠を貼った部分の隙間を溶きパテで埋めました。

運転席のある窓に真鍮板の庇を付けます。窓枠が真鍮なので、ハンダ付けで固定しました。

ドアの切り取りと組み立て(数枚を貼り合わせる)です。

これ以降、小さなパーツを真鍮で手作りしていくしかない状況です。

前後の凸部に点検口を開けて、蓋を紙で作って動きをチェックします。

実物の構造はよくわかりませんが、真鍮板で蓋を作り、開閉機構は自動車のボンネットヒンジみたいなものを作りました。

点検口の蓋にフックを取り付け、ドア横の手摺りを作りました。

ドア横の手摺りは紙の側壁に取り付けるので、固定用の針(0.5mmの真鍮棒)をハンダ付けして、穴を開けて固定します。

側壁の上部にフックのようなものがあります。これが何かはわかりませんが、作ってみました。

手摺りと同様に、取り付け場所に穴を開けて固定します。

側壁を裏から眺めたところです。

側壁の外側は終了しました。

次にヘッドライトです。いろいろと試作していましたが、昔、タグボートの組み立てキットで買っていた真鍮の丸窓枠を見つけたら、ちょうどヘッドライトに使えそうなサイズ(15mm径)でした。

その窓枠に合わせて真鍮板を丸めて胴を作り、ステイをハンダで取り付けました。裏蓋は紙とプラ板です。円錐の反射鏡はエポキシ樹脂で作りました。

電球は3mmの電球色LEDです。

少し奥行きが厚くなったかもしれませんが、まあ、これで良しとします。壁への取り付けは小さなネジの予定です。

手間のかかったのが前面にある通過標識灯でした。これは尾灯(赤色)と兼用らしいのですが、よくわからないので、尾灯ではなく電球色の通過標識灯(あるいはドイツ風の3灯式前照灯)にする予定です。

ぼやけた写真を見ながら、最初はクラフトロボで切り抜いて10枚以上を重ねて貼ってみました。

出来上がりです。Nゲージの犬釘で凸部を表現してみましたが、形も悪く、サイズが大きすぎたようです。

そこで、これをベースにして、薄い真鍮板で外枠を作り直してみました。上部の空気穴はプラ材です。

全く同じ形を4つ作るのは技術的に(不器用で)無理だったので、マシな1個をレジンでコピーすることにしました。出来上がりは以下(右の6つ)の通りです。

前部に取り付けるフックを1.2mmネジで取り付け、標識灯をここに引っ掛けます。

標識灯は少し大きめの感じですが、まあ雰囲気はあると思うので、これでOKとします。

LEDのテストです。光の透過性を調べているので赤を使っていますが、実際に使うのは電球色の予定です。

レジンで作ったパーツは透過性が高いので、内側と外側に遮光塗装が必要です。

2020年は以上の工作で終了しました。

これからは、可動式のドアや運転席窓を含めた内装、屋根の製作、塗装の下処理、組み立て、塗装という作業になります。春には完成させたいのですが、たぶん無理でしょうね。

(続く)

DCCブースターの活用

最近、1・Gゲージの車両を走らせていると、分岐器などのステーショナリー・デコーダーが動かないことがあったので、接触不良をチェックしてみました。これらのステーショナリー・デコーダーへのDCC入力は近くのレール(ジョイナー部)からハンダ付けで配線していました。

そのハンダ付けがゆるんでいたり、デコーダーの端子ネジがゆるんでいたりしていました。レールに密着端子をネジ止めする方法もありますが、見た目がわざとらしくなります。重い機関車が走行してたわむレール部分から配線しないのがベストでしょう。

愛用しているESU ECoS 50200の使い方とレイアウトは5年以上何も変えていません。50200の左側に1・GとHOのDCC出力配線を切り替えるスイッチボックスを置いています。

赤いシールがDCC出力切り替えスイッチで、下げていると1・Gのレールへ、上げるとHOのレールへと50200からの行き先が変わります。左の黄色シールはDC電源(主に照明用)の行き先切り替えスイッチです。

50200の後に4Aのブースター(ECoSBoost)をつないでいます。

このブースター出力は、HOでは転車台とラウンドハウスに供給されていて、スイッチボックスの右上にある小さなスイッチでオン・オフを切り替えています。HOでこのような切り替え方式にした理由は、50200からのDCC電源供給が始まった途端にラウンドハウスに置いている機関車たちのサウンドが一斉に鳴り始めるからです。転車台へのアプローチに唯一のギャップを入れています。

すべての車両のデコーダー・アドレスを異なったものにして、電源オンでは静かにしているように設定することは可能かもしれません。でも、デコーダーのメーカーはバラバラだし、すべて別アドレスに設定していくのが面倒で、1・GとHOで同じアドレスになっている場合がほとんどです。

その一方で、1・Gは機関車が同時に何両も走行するようなレイアウトではありませんし、ヤード部分の分岐器は選択式(選んだ線路にのみ通電)にしていますし、自動運転にも興味はないので、50200の4A電源だけで十分で、ブースターを使う必要がなく、つないでいませんでした。

今さらながらですが、ブースターを使わないのはもったいないではないかと思い、ステーショナリー・デコーダー用に活用することにしました。配線の系統を分けることで、接触不良などのトラブル・シューティングが楽になります

配線切り替えスイッチボックスの裏です。

スイッチボックスからレイアウトの下にある配線振り分け盤につないでいます。

振り分け盤(背面)からのブースター配線(上から4番目)はレイアウトの基板(路盤)下に回していき、ステーショナリー・デコーダー(分岐器など)の近くにジョイント・ボックスを設置していきました。合計4カ所で、次の写真はそのうちの一つです。

1・Gレイアウトの路盤裏で、逆さまに取り付けていて、ゴチャゴチャしています。奥にあるのが新設のDCCジョイント・ボックスです。手前左がステーショナリー・デコーダー(DigitraxのDS52)、その右は以前に配線したDC電源(照明用)です。これらの小電力接続には抜き差しの楽なRCA端子を使っています。奥に輪にしているケーブルはレールから取っていたDCC配線の名残です。

延べ3日の作業が終わり、すべての動作を確認できました。一般的には、ステーショナリー・デコーダーなどは瞬間的に意外と大きな電流が流れるため、走行用電源(レール)とは別回路にしておくことが望ましいと言われています。まあ、その効果はわかりませんが、1・Gでもブースターが活躍できるようになりました。

南海凸電 6 床下終了

2019年9月30日

久しぶりの続きです。暑い夏の間もほんのちょっとずつですが、作業は続けていました。ともかく、ごく限られた外観写真だけで模型を作るのは大変です。写真を眺めながら、工作前の準備で大半の時間が過ぎていきます。作るべきパーツの形がおおまかにイメージできてから、技能レベルに合わせた材料選び(紙、木、金属、プラ)に進みます。

乗務員用ハシゴの位置決めは、車輪との干渉を無くすために、なかなか微妙な作業でした。

ハシゴを取り付けた床下機器取付板ができました。

個別の床下機器は実態がわからず、ボケた外観写真から想像しながら作っています。

主抵抗器は以前に木で作っていましたが、プラで作り直しました。

床板+鉄骨フレーム+床下機器を仮組みしてみました。

すべてをネジ止めにしているのは、塗装の時に分解するためと、失敗したときに作り直しやすくするためです。1つのパーツを作るのに何度も試行錯誤が続いてきました。

床板に紙製のキャビンと前後のカバーを置いてみました。キャビンを床板の上に置いたので、少し高くなっています。いずれ、床板の厚さ分、低くなります。こちらが運転席のある、いわゆる山側(公式側)で、左が和歌山方向、右が難波方向になります。

反対側(海側)です。

前面のブレーキホースを作ってみました。百均で買った1.5mmと1mmの針金をバネに通して蛇腹を表現してみました。フレームに貫通させて止める部分はM2(2mm)の小ねじを切り取ったものをハンダ付けしています。

フレームの前面パネルに取り付けてみたところです。車両の前後(難波向きか和歌山向きか)でちょっと位置が違うことがわかり、後で修正しました。

車両正面が下部のLGBの連結器だけだと間延びしてさみしいので、フレームに装飾として、KadeeのGゲージ用連結器を取り付けてみました。

横から見ると、当然ながら連結器の基準器とまったく合いませんが、雰囲気は出ました。こうやって眺めてみると、LGBの連結器が排障器のように見えて、不自然さを感じなくなりました(そうかな?)。

Kadeeの連結器は開放ピンが上に出ますので、ちょっと針金で細工して、実物のような開放動作ができる予定です。

以上で下回りは終了で、塗装待ちになります。

(「7 パンタグラフ自作」へ続く)

南海凸電 4 床下

このところ、いろいろな用事が続いていて、なかなか模型製作の時間が取れず、作業ペースが大きくダウンしています。

さて、実車の床フレームの下は周囲が鉄骨になっています。この部分は以前に作っていましたが、鉄骨の三角板の位置が違っており、また鉄骨(木製)そのものも歪んでいましたので、作り直しです。リベット表現をした薄い真鍮板だけは使います。

8mm幅の板材を鉄骨の梁部分としました。下側の鉄骨フランジプレート部分には420mmの長さが必要なのですが、プラ板では入手できませんでした。そこで、百均で買った0.75mm厚のPP板(ポリプロピレン)を使いました。ロータリーカッターで何とか切ることができました。

PP板と木の梁との接着はPP用接着剤を使っています。次の写真の上(マジックでマークが入っている)が以前に作っていたもの、茶色が今回作り直した鉄骨(木とPP材)です。下に剥がした真鍮板を置いています。

リベット表現した真鍮板を鉄骨の梁部分に貼って、パテで継ぎ目を埋めました。

0.5mm厚のプラ板で三角の補強材を作りました。

梁に接着していきます。

ちょっと弱そうなので、あとで接着剤を補充しておきました。

床下の鉄骨枠を床材に合わせて組みました。床材にはネジ止めする予定です。

床下にターンバックルで繋がれた鉄棒があります。ターンバックルはOzark Miniatures製の1/20.3を買っていたので、仮止めしてみました。このパーツは柔らかい材料(錫の多いソフトメタル)なのに線を通す穴が開いていなくて、穴あけに苦労しました。しかもちょっと大きいようです。

このあたりの縮尺・サイズの違いがけっこう問題になることがわかってきました。

シナベニヤを切り抜いたキャブの側面を置いてみました。ここでサイズ違いによる「誤算」の発見です。

誤算の原因は台車のサイズでした。鉄骨の三角補強材(白いプラ材)を実車と同様に台車の車軸位置と中心に取り付けたのですが、台車が10%以上大きいために、キャブの乗務員出入り口と台車とが重なってしまっています。これだと乗降梯子を取り付けることができません。

まあ、こういう誤算は常だし、台車を取り換えるわけにはいかないし、フレームから作り直す気にはならないし、このあたりの鉄骨部分は黒で塗装するし、ということで、実車とのズレを気にしないで、調整できる範囲で仕上げていこうと思います。

床下機器の資料が手に入らなかったので、実車の側面写真からタンクなどの小物をテキトーに木材を削って作りました。これらとターンバックルで床下の雰囲気は出るような気がします。タンクに穴が開いているのは、ドリル・レースで丸棒を削ったからです。仕上げ段階で蓋をします。少しパイピングも必要かもしれません。

(いずれ続く)

南海凸電 3 床フレーム

作りかけの床フレーム下の鉄骨(木製)を作り直すので、鉄骨を外していたら、そもそも台車の取り付け位置が違っていることがわかりました。

どちらの台車も内側にかなりずれています。アルミのチャンネルを再利用するために、それぞれの台車用に切り取って取り付けてみました。

この状態で当レイアウトの曲線部の走行に問題がないかをテストしておきます。大型模型用のデコーダー(ESUのLokPilot XL)をつないでみました。

このデコーダーは15年前に買っていたもので、バージョンはV1.1です。今はV4.0になっているようですが、どう改良されているのか調べていないのでわかりません。モーターのテストをした限りではHO用のデコーダーでも問題ないかもしれません。

一番きつい曲線走行のテストをしました。ここはヤードの中で、R1(直径1.2m)の曲線と分岐器が連続していて、大きな機関車は通過できないところです。音が出ます。

デコーダーが車両限界を超えていて柱にぶつかりましたが、走行は良好です。走行音が静かすぎて物足りない感じです。

しかし、これからキャブ(運転室)を取り付けることを考えたら、台車用の穴が大きすぎてキャブに穴ができるし、キャブ内にアルミのチャンネルがはみ出してしまいます。そこで、すでに作ってある(手直しは必要ですが)前後の機械室カバーの中に収めるように変更しました。

まず、穴を板材で埋め、パテで整えて、アルミ・チャンネルを短くして、機械室カバーに入るようになりました。

機械室カバーにぎりぎり収まりました。

この状態で走行テストです。

床下周りの鉄骨を作る前に、連結器の取り付け位置を確認しました。LGBの連結器を取り付ける予定です。

LGBの連結器は低いので、前面の鉄骨パネルの下になりそうです。

あらためて床フレームをじっくり眺めていると、板がかなり歪んでいることに気がつきました。熱湯をかけて、

厚い板で挟み、

緩んだ接着剤を手入れして、その後は工作するまでアルミのアングルで固定しておきます。

(4に続く)

南海凸電 2 台車

2018年5月26日

台車モーター部を清掃してから、あらためて「藤井信夫著 南海電気鉄道(車両発達史シリーズ6)下巻 関西鉄道研究会発行 1998」を読んでみると、初期モデルの台車はブリル社(米国)の製品で、電車用を転用したそうですが、その後の製造・改造で日本車輌製造製のD16を使う車両が増えたようです。

日本車輌のDシリーズ台車(14や16などの数字は台車への荷重上限トン)は米国ボールドウィン社製台車のデッドコピー(模倣製品)で、戦前の私鉄に多く提供されていたそうです。今は新幹線(リニアも)の車両を作っている日本車輌も戦前はデッドコピーを作っていたのですね。

Aristo-Craft製の台車側面のモールド(型取り)を眺めると、D16と同形式のイコライザー(釣り合い梁:荷物の持ち手みたいな形状で2つの車軸をバネで押さえているパーツ)が付いていますが、左右のバネが2個ずつ(D16は1個ずつ)になっていること、軸箱が丸い(D16は四角)ことなど、D16より大型で新しい雰囲気です。

ちなみに15年前、台車フレームの前後にあった不要な部分を大胆にナイフで汚く削り取っていました。ネジで取り付けられているだけなので、すべてばらしました。

軸受けはちゃんと車軸が入るようになっていて、2つの軸箱は可動式で、イコライザーが軸箱をバネで押さえているのですが、モーター部から出ている車軸は短く切り取られていて、軸受けには入っていません。モーター部を外して、別の車輪を入れることも可能なようです。

いろいろと悩んだ結果、この台車側面モールドを加工して、D16台車の雰囲気を出すことにしました。コイルバネを外側だけにして、板バネ周りのパーツを作り、軸箱を四角に変更する、という作業計画を立てました。

試しに、内側のバネ取り付け部分と軸箱をミニルーターで切り取ってから、中央の板バネ周囲のパーツを真鍮板(と木片)で作ってみました。「なんちゃってD16」としては悪くなさそうです。

板バネ周辺のパーツを4つ作りました。これは塗装してからフレームにエポキシ接着剤で固定します。

四角の軸箱は木と紙で作りました。9mmの角材を斜めに切って土台とし、クラフトロボで蓋の形状を切り取って貼りました。この蓋は強度と厚さを得るために2枚を貼り合わせています。1個は予備です。

紙の蓋の両側にある留め具の表現にはリベット表現用の工具を使いました。真鍮などの金属板に小さな突起を当ててリベットのような膨らみを出す工具です。直線上にリベットを連続して表現するための左右移動ノブが左奥に付いていますが、今回は1個だけです。

こういう工具を購入していたことを思い出したのも、作りかけの機関車のリベット表現を見たからでした。軽く押せば紙にも使えました。

いろいろと小物を作っていたときの写真です。

すべてのパーツを塗装しました。小物をパテで整えて、ミッチャクロンマルチを下塗りして、光沢のある黒をエアブラシ塗装しました。

フレームとイコライザーも同色で軽く塗装しておきました。

組み立てたら、D16台車のできあがりです。

床フレームに取り付けてみました。

まあまあの雰囲気です。

角材を削って、砂箱も作ってみました。砂箱は取り付けて走行に支障がないことを確認してから仕上げをする予定です。

ここまでの作業で2週間ほどかかりました。相変わらず、資料を眺めながら考えている時間のほうが長いですね。次は床フレームの見直しです。

(3に続く)

南海凸電 1 再開

2018年5月14日

 次に作るHO(16番)真鍮キットをどれにしようかと考えていて、作りかけのGゲージ模型があったのを思い出しました。もう15年くらい前ですが、LGBのGゲージを楽しんでいて、何か日本の車両も欲しいと思って作り始めたものです。モーター付き台車とパンタグラフはパーツを購入しています。

モデルは子供の頃によく眺めていた南海電鉄の電気機関車ED5101形です。南海の貨物輸送で活躍していました。この形式の車両は大正時代に製造されて、いろいろと改造されつつ、1970年代に廃車されています。1984年に南海の貨物輸送が終わるまで、後継機としていくつかの形式がありましたが、馴染み深いのはこのモデルです。

1960年代に撮った写真が1枚だけ残っていました。運転室(キャブ)が中央にあり(センター・キャブ)、前後が凸型になっているので、凸型電機(凸電:とつでん)と呼ばれています。子供の頃は「デンカン(電関)」と呼んでいました。

南海本線は大阪湾沿いを走っています。この写真の列車は和歌山に向かっていて、山側の側面になります。運転席はキャブの中央に1つだけで、写真で中央窓が開いているところにありました。運転士は窓を背にして海を向いて座り、顔を横向きにして運転していました。この方向はすべての機関車で固定されていました。

残念ながら、写真の車両番号は読み取れません。この車両は前面窓の中央にパイプがあるのが特徴で、資料をいろいろと探しましたが、こういう車両は見つかりませんでした。たぶん、前面窓を4つから横長の2つに変更した名残でしょう。まあ、この車両に特に思い出があるわけではないので、資料写真を集めたED5105~10あたりを目安にします。

もちろん、本格的なスクラッチ・ビルディングを目指すわけもなく、簡単な材料で雰囲気が出るといいな、という製作目標です。久しぶりに取り出して、続きをやってみることにしました。

作りかけのパーツをチェックしました。まだまだこれから、という状態です。車両図面をどこかで見つけて、Gゲージ用(だいたい1/25)にサイズを合わせて型紙を作っていました。この図面はかなり初期の頃のモデルらしく、ポール集電で、乗務員用扉の位置が逆になっています。調べたら、雑誌TMS(鉄道模型趣味)折込の設計図シリーズ(1/50)で、最初の機関車1001-1004の図面でした。2倍サイズにコピーしたようです。

前後の凸部(機械室カバー)は一応作ってあって、銅板を天板に、真鍮板を側面に使っています。真鍮板にリベット模様を打っていて、手摺りは船舶模型のパーツを使っています。

裏側はいつも通り、不慣れなハンダ付けをしています。少しやり直さないといけません。

キャブは1.8mm厚のシナベニヤを切り取って、一部を作っていますが、寸法を調べてみると合っていませんでした。屋根だけは使えるかもしれません。

屋根材に置いたパンタグラフはLGBのパーツです。支柱が斜めのトラス構造ですが、実物は上の写真にあるように集電部と平行の支柱によるラーメン構造でした。戦前にはトラス支柱のパンタグラフも使われていたようですし、三重県の国見山鉱山に移ったED5108?がトラス支柱に交換されたようですが、記憶にあるイメージと違うので、どうするか悩むところです。

フレームは5mm厚の板材に穴を開けて、両側下にリベット模様を付けた薄い真鍮板を貼った板を取り付けています。三角の梁を木片で作っていることと位置がずれていることが気になります。台車用の穴の開け方は乱雑ですが、見えないからいいやというポリシーですね。フレームは基本的に使えそうです。

台車は米国の模型メーカーAristo-Craft製Gゲージのディーゼル機関車(FA-1)用パーツです。Aristo-Craftはリーマンショック(the great recession)で廃業したそうです。完成品はあまり興味はなかったのですが、LGBよりずっと安価で、こういうパーツを販売していたので、残念です。台車を固定する金具はアルミのチャンネル材に座金をエポキシ接着剤で貼っています。

モーター付き台車を購入してから15年経過して、まったく動かしていないので、動作テストをしてみました。2つの台車をローラー台に載せて、Nゲージ用のDC電源で動かしてみます。

2台ともに動くことは動くのですが、回転が鈍く、この電源(定格500mA)ですと、2台一緒だと3ノッチあたりで止まってしまいます。グリースを塗り直すために台車を分解しました。

この写真で、モーターの右側はウォームギアで固定されており、左側はジョイントを介してギアがカバーに入っています。カバーを開けると、こちらにもウォームギアが入っていました。上の写真と左右が入れ替わっています。

とても単純な作りですが、こちらの車軸は可動式になっていて、それなりにレール追従の向上が図られているようです。

2つのウォームギア、金属ジョイントに塗られたグリースは劣化してオイルが分離していました。洗浄するのは大変なので、綿棒と爪楊枝などで剥がして、グリースを塗り直しました。

動きはこんなものでしょうね。音が出ます。定格500mAのコントローラで2台を思い切り回すことができました。

この小さな機関車にモーター2台は行き過ぎの感があります。検討課題です。

ともかくこれで15年前の状態から再スタートです。これからあらためて各部分をどの程度に作っていくかの方針を考えます。3ヶ月くらいで完成させたいのですが、どうなるかわかりません。

(2に続く)