ドライブレコーダー取り付け

2021年11月1日

リーフにドライブレコーダーを2製品取り付けました。ドライブレコーダーの取り付けはいつも自分でやっています。

2製品の1つは保険会社が提供するオプションのドライブレコーダーで、衝撃(ある程度以上のG)を感知すると自動的に事故受付センターに連絡・対応してくれるというサービスになっています。ボタンを連続押しすることでも事故受付センターに連絡できます。最近はいわゆるSOSコール(エアバッグ作動時に事故受付センターに連絡する機能)が付くクルマが多くなっていますが、リーフには付いていないためです。

このドラレコは事故受付センターとの連絡などがあるので運転席側に取り付けました。パイオニアのOEM製品ですが、図体が大きくて、回転軸が1つだけなので、位置決めがたいへんでした。

保険会社のドラレコには2カメラ(前方と室内カメラ内蔵)方式もあり、それにはリアカメラも別売で取り付けられるのですが、1カメラ方式よりもさらに大きくて重いので、フロントガラスに取り付けるのをためらってやめました。

もう1つは市販の前後の2カメラセット(コムテック  ZDR035)です。助手席側に取り付けたフロント用カメラは180度回転させられるので、前方ではなく、車内・窓外の撮影カメラにすることが可能です。これで保険会社の2カメラ方式と同等以上の機能になり、かつ大きさ・重さがずっと小さくなりました。

リアカメラです。

2つのドラレコの電源接続では、室内ヒューズのACCからシガーライター・ソケットを増設し、そこからシガーライター2個用の分岐ソケットをつなぎました。

シガーライターのオス・メスのセットが3つの塊となりましたが、グローブボックスの裏に大きな空間があったので、まとめて縛って収納することができました。

グローブボックスを取り外したところです。

フロントウィンドウから見た左右のカメラの写真です。画像を比較するため、2つのカメラを前向きにしています。

邪魔なようでいて、運転しているとどちらも邪魔にはならないものです。

ドライブレコーダーの配線をするためには、内装をいろいろと剥がす必要があります。その作業のついでにやっておきたいことがありました。電球からLEDへの交換です。

日産リーフは現代的な電気自動車でありながら、コスト削減のためでしょうが、照明用に普通のフィラメント電球が多く使われています。ヘッドライトやストップランプあたりはLED仕様ですが、小さなものは電球です。電球は単価が安いものの、寿命が短いので、交換が手間な場所は長持ちするLEDに替えておきたくなります。

その1つはグローブボックスの内部照明です。この電球はグローブボックスを閉めていても、夜間ライト点灯時にはずっと点灯しているらしいのです。電球交換はグローブボックスを取り外さなければなりません。エアコンフィルターもグローブボックスを取り外さないと交換できないようですが、今回はドライブレコーダーのシガーライター類収納のためにグローブボックスを取り外したので、ついでにLEDに交換しておきました。

グローブボックスを元に戻しました。開閉連動スイッチを取り付けようかと思いましたが、今回はパスしました。

もう1つはリアのナンバープレート照明用電球2個です。この電球交換もリアゲートの内装を剥がす必要があります。リアのカメラを取り付けるために内装上部を剥がしたついでに下部も剥がして、LEDに交換しておきました。

取り付け後です。

その他、室内灯やリアの庫内灯もLEDに交換しました。このあたりは内張剥がしとは関係のない簡単な作業ですが、一連の作業のついでです。これで全体に照明が白っぽく明るくなりました。

以上、10月9~10日の二日がかりの作業でした。初めて内部を見る車両の作業が素人でも大きな失敗なくできるようになったのはYouTubeなどのネット情報のおかげですね。20年くらい前までは、車両の整備書を手に入れるだけでも時間と費用がかかりましたが、今や資格不要の軽作業は楽しい趣味に変わりました。

阪急2800系 9 電装2

前回の記事をアップした直後に接触不良の主たる原因がわかりました。

これまで、接触不良となりそうな箇所を整備していたのですが・・・。

やっと気がついたのは、ボルスター(写真中央の両側が曲げられた金具)をネジ止めする台車枠(左上)のネジ穴周辺です。台車枠の裏を塗装したときにマスキングしていたのはネジ穴だけでした。ネジ穴の周りも導通をチェックするべき場所のようですね。

日光モデルの台車はボルスターをネジ止めしても、少し台車枠が動く構造になっています。簡単に車輪の水平を取るためでしょうね。そのため、ボルスターと台車枠との間に少し緩みがあって、ネジ止めだけでは接触不良が起こるようです。動力車に使っているエンドウのMPギア用のボルスターは台車枠にしっかり固定されるので、接触不良は起こっていませんでした。

上がネジ穴だけを掃除した台車枠で、下はネジ穴周囲の塗装を落とした台車枠です。

すべての台車をばらして、ネジ穴周辺の塗装を落として、組み直しました。

この対策が終了した床下には、床の穴にタップで2mmのネジ切りをして、プラスチックのビスで、台車の回転防止ピンを取り付けました。

特に必要はないのですが、作業の区切りマークです。

接触不良テスターでチェックしている動画です。音が出ます。

これでパーフェクトかどうかわかりませんが、まあ、気にすることではなくなりました。今後、照明が点滅した場合はレールか車輪の整備になるでしょう。

さて、先頭車(2811と2851)の前照灯・種別灯(通過標識灯)・尾灯の取り付けです。配線するための現物合わせで、紙をベースにして、各ペアのLED位置を決めて接着しました。LEDアセンブリーの出来上がりです。

5mAのCRD(前進・後退で共通の1個)を入れて配線し、デコーダーにつないでみました。

前進での前照灯と種別灯の点灯です。

尾灯です。

この状態で車体に仮止めしてみました。
前照灯です。種別灯の雰囲気はまあまあです。

尾灯です。

これも、まあまあです。しかし、前照灯が消えると、枠がきれいではありませんねえ。仕方ないことですが、こんなアップで見ることはないでしょう。ホコリが付いているのは掃除します。

2811と2851へのデコーダー配線と取り付け準備です。すべて天井に貼り付けることにしました。床下との接触スイッチはブリッジダイオードを入れずに天井へ配線して、デコーダーと天井照明に分配します。分配してから、天井照明にブリッジダイオードと抵抗を挟みました。

2811にはパンタグラフが2基あるので、天井板を貼る前にパンタグラフをネジ止めしなければなりません。天井照明のLEDテープの位置決めと、作業の順序がちょっとややこしい感じです。

上の車両用にはLEDアセンブリーの遮光のために塗料を塗っています。

LEDアセンブリーを接着剤で貼ってしまおうかと思いましたが、間違えたり、修理が必要になったりした時にたいへんなので、小さなマスキングテープで固定するくらいにします。

紙で遮光天井を作ったら何とかなりそうです。

内装の天井を貼る直前までハンダ付け作業を残します。その準備として、2811と2801の屋上機器をエポキシ系接着剤で貼りました。このあたりは、強く触れるとポロリと落ちるかもしれませんね。そのときは貼り直しで十分だろうと思っています。

次は、動力車(2831)へのデコーダー(ESU LokPilot V3.0)取り付けです。モーターも出っ張っているので、デコーダーは床に置くことにしましたが、接着剤で貼るのもどうかと思い、紙でポケットを作って床に貼りました。少し斜めにプラ材を貼って、出し入れを容易にしました。

デコーダーからの線を切って、この状態で配線します。

配線を終えて、完了です。

しかし、動力車を中間車にしたのは、デコーダーのファンクション機能を何も使わないので、ちょっともったいないと感じます。組み立てを始めるときに、動力車を先頭車両にすると、牽引はいいでしょうが、逆走で押す場合に脱線する可能性があるのではないかと思ったからなのです。動力車を2831にしたのも3両目になるからでした。でも、最初のテストランで最後尾から押して問題はなかったので、その時が変更する機会だったかもしれません。

中間車両2891の内装(壁・窓ガラス・天井)を試しに取り付けて、デコーダーを載せた動力車床で走らせてみました。音が出ます。

ちょっと車内が明るすぎるような気がしますが、まあいいことにします。8両をすべて連結してチェックするのはもうしばらく先になります。

以上で電装作業は終わりました。各車体側の接触スイッチ端子を取り付ける必要がありますが、それは内装を終えてからの予定です。この後、もう一度クリアで車体の表面をきれいにして、内装に取りかかります。

もう梅が満開です。桜が咲く頃には完成させたい、という期待ですけど。

(続く)

 

阪急2800系 8 電装1

2月6日から、やっと客室内の天井照明の作業になってきました。

先ず、床下からの給電線について、ケーブルを伸ばして車体側につなぐだけであれば簡単なのですが、いろいろな調整や補修をするときに邪魔になります。床を車体に取り付けるときに接触するコンタクト・スイッチの方法を考えてみました。いろいろ試行錯誤した結果、次のような接触板としてみました。

導電性を考えると銅板が良さそうですが、薄い銅板がなかったので、0.2mm厚の真鍮板を使いました。金切りバサミで切ったので、平面を出すために小さな当盤の上で軽く叩いています。

床板の両端はカプラーを取り付けるために、切り込みが入って、下に下げられているので、これを利用します。

その幅に入るようにプラ板を切り取って、ついでにブリッジダイオードを挟みました。車体側にはプラ板を渡して、下と接触します。ネジで車体に床板を留めたときに、プラ板が少し下にたわむだろうという目論見です。

LEDテープに介する抵抗(1KΩ)は天井に配線します。ブリッジダイオードも天井のほうがいいのですが、ちょっと高さが合いませんでした。まあ、DCCなので、ダイオードだけでも十分でしょうけど。

車体側と床板側のプレートです。車体側のプレートは内装を終えてから貼り付けます。

これで行けそうだったので、量産しました。デコーダーを入れる車両(先頭車2両と動力車1両)には、もう一工夫必要な気がしますが、その時に考えます。

中間車の照明の様子を調べるために、別の機関車で押したり牽いたりして、点灯状況を調べてみました。機関車に連結しているのは先頭車の床下です。先頭車のみカプラーとドローバーを取り付けているので、カプラーで機関車と連結し、中間車はドローバーで連結します。以下の動画では音が出ます。

先行きが不安になるほど、とんでもなく「点滅」します。とてもコンデンサで収まる程度ではありません。最初はコンタクト・スイッチが問題かと思いましたが、そうではなく、下回りです。車輪の軸先、台車の軸穴、センターピンのコンタクトなどを整備して、かなりマシになりましたが、「点滅無し」には至りません。

この集電不良問題は、天井照明の取り付けと、台車の整備をやりながら、解決法を考えていきます。できるだけコンデンサを使わない方針です。そのため、車体を取り付けないで床下の状態がチェックできるように、「接触不良テスター」を作っておきました。LEDテープを床下機器にクリップだけで結線できるというだけのものですけど。

接触不良の整備作業は完成まで続きそうな予感です。

それはさておき、先頭車2両(2811と2851)の照明を考えます。ファンクション・デコーダー(照明機能のみのデコーダー)として、安く上がるワンコイン・デコーダーを作ってみようと考えていましたが、PICkitを持っていないので、先ずは中国通販で購入しようとした時に、LaisDCCというメーカーのデコーダーを見つけました。これまで知らなかったのですが、NMRA(全米鉄道模型協会)のID番号を持っているので大丈夫だろうと思い、PICkit 3(互換品)と一緒に購入してみました。価格は1個$12(送料無料)でした。PICkit 3と同じ値段ですね。とりあえず2つでよかったのですが、4つ注文してしまいました。

そこで、適当なLEDを決めることにします。久しぶりにブレッドボード(回路試作基板)を出しました。こういうときのDCC電源はバックマンのコマンダー(EZ Command)が簡単で便利です。

次の写真で、手前の4つが中国通販で買った小型LEDで、右から2つめが白色、他の3つが電球色です。後ろの砲弾型(ブレッドボードに比較基準として常駐)も電球色です。写真でははっきりしませんが、小さいのはオレンジ色みたいですね。時々、正面から見ると内部の発光の乱れがあるので、それをチェックしているところです。

先頭の天井に下地の紙を貼りました。絶縁を兼ねています。

2灯式の前照灯です。いつも、LEDのプラスには足の付け根に赤マークを入れています。配線間違いをできるだけ少なくするためです。それでも間違えますが、それほど壊れた経験はありません。ハンダによる加熱も含めて、思った以上にLEDは丈夫ですね。

こういう取り付け方にします。

仮置き状態で、デコーダーからの前照灯出力で点灯してみました。1KΩの制限抵抗ではまぶしい明るさです。

この小型白色LEDの輝度も高いようですが、デコーダーからの照明出力電圧を調べてみると、17Vもありました。こんなに高い電圧だったのですね。ESUのデコーダーも同様で、いつもCRDを挟んでいたので、これまで気にしていませんでした。バックマンのコントローラからのラインを整流すると15.8Vでした。

どうであれ、種別灯(通過標識灯)も同時に点灯させますので、4個直列にしても明るすぎて、制限抵抗は2KΩくらいが良さそうです。CRD(定電流ダイオード)を使って試してみると、15mAでは明るすぎ、5mAでちょうどでした。これまで通り、手間なしのCRDを使います。

デコーダーによる前進と後退のチェックです。この段階ではCRDではなく、抵抗を使っています。

種別灯を白色にするか電球色にするか、少々悩み、テストしてみました。向かって左側だけ点灯しています。
白色です。

電球色です。

写真写りはオレンジ色なのですが、まあ、50年前の車両ですし、尾灯の赤色とは明らかに違うので、電球色でいいことにします。

種別灯・尾灯のコンビネーションを4つ作りました。遮光は取り付けながら考えようと思います。

こんな作業をやっていて、またもや不手際です。2851の側面にハンダごてを接触させてしまいました。

ちょっと水研ぎして、吹き付けるかタッチアップして、他の車両と同様に、内装壁(+窓ガラス)を入れる前に再度トップコートを吹き付けます。8両編成だから、目立たないでしょう(か?)。

(続く)

阪急2800系 5 仕上げ1

仕上げ作業の最初は列車編成の固定です。まあやはり、2800系のトップナンバー2801を組み込んだ編成にします。どういう経緯か知りませんが、冷房化後の2801は大阪向きの先頭ではなく、中央の連結部に配置されていました。モーターを積んだ動力車は2831としました。

(大阪) 2811-2881-2831-2861+2801-2891-2841-2851 (京都)

床下と車体を合わせて、大阪向きと京都向きを固定しました。方向を固定するのは、床下機器の配置と屋根上の配管が方向によって異なるからです。車番と社章を貼るのはもっと進んでからになるので、現段階では車体と床下の裏に大きくマジックで車番と方向を記入しています。この編成の状態でレイアウトに置いて、個々の不具合を調整していくことにしました。

両端の先頭車両は各方向で2両ずつありますので、塗装を終えた状態を比較して、マシなほうを選びました。編成中央に位置する先頭車輌は屋根のアンテナ穴埋め作業が必要になるため、塗装前に編成を決めておけば楽だったのですが、塗装してみないと仕上がりがわからなかったので仕方ありません。

先ずは、8両編成での走行状況を調べます。以前に連結器もなしに無謀な走行テストをやって調子が良かったのですが、カプラーとドローバー、そして幌も取り付けてからの走行テストは、そうはうまく行きませんでした。何カ所かで脱線が起こりました。主な原因は幌の干渉と屋上配管端末の接触でした。塗装前に、ドローバーや幌などを取り付けた状態で仮走行させてチェックすべきでした。反省点です。

脱線したときの状況です。

屋上配管の端末処理は簡単ですが、幌が干渉しているのは少々問題です。曲線半径1mの周回線路でも、幌の間隔はギリギリ(1mmくらい)です。

あらためて、直線区間で編成車輌の連結部分(妻面と妻面)の間隔を測ってみました。ほとんどが8mmです。この間隔は、車体と床下との取り付けネジで1~2mmくらいは調整できます。8mmを80倍すれば64cmなので、ほぼ実感的です。

しかし、当模型鉄道の曲線半径は1mほどです。これは実際のサイズでは半径80mくらいの急カーブになります。阪急伊丹線の塚口駅近くには半径60mという急カーブがあって有名ですが、阪急の本線では数百m以上でしょう。実物車輌の連結部分は幌が可動式なので、車体が大きくずれても幌が伸縮しますが、真鍮製の幌となると、そうはいきません。

最近は可動式幌が販売されているようですが、安くはないので、いずれ手作りをトライしてみたいと思っています。それはともかく、普通の解決法としては、ドローバー取り付け位置をずらして車間距離を拡げるか、幌を薄くするかのいずれかでしょうが、車両間隔を拡げたくないし、1mmほど拡げるだけでよさそうなので、向かい合う一方の幌を薄くしてみます。

真鍮製の幌パーツの厚さは2.69mmです。

連結部分の間隔が8mmですから、これでも直線区間で幌と幌の間の空白部分が3mm近くになります。その空白が少し拡がりますが、仕方がありません。

2mm厚のアルミ板を厚さ調整に挟んで、幌を万力で押しつぶしました。この万力は90度まで角度を調整できるので、こういう作業にも便利です。

調整結果です。

固定編成なので、すべての幌を薄くする必要はなさそうで、組み合わせで調整します。固定編成でヤードに出入りできるまで、車両間隔の調整を続けます。

編成中央のカプラー同士による車両(左2801+右2861)が連結する間隔が短すぎました。まだ幌は付けていませんが、渡り板が重なっています。

ここだけがカプラー連結なので、動力車による押しと牽きで車間距離が1mm以上変わります。渡り板を外すのも面倒なので、2801のカプラーをシャンクの長いものに交換してみました。これで渡り板が重なることはなくなりました。

実際の車輌ではすべての車両に渡り板があって、互いに重なって、車両間を人が通行できるのですが、これも仕方ありません。いずれ、最終走行チェックでの様子を眺めることにします。

同時に、この2両には屋根の無線アンテナが不要になりますので、アンテナ取り付け用の穴をふさぎます。2801と2861のアンテナ用の丸い穴です。

この段階ではもうハンダ付けはしないで、穴埋めブッシュを接着剤で固定しました。

穴を埋めました。

屋根上側はパテ埋めして、ペーパーで均して塗装します。ところが、パテ埋めしてから、2851と2861の車体を間違えていたことに気付きました。2851のパテ埋めを戻し、2861に穴埋めして、屋根塗装のやり直しです。こういう不注意で、倍以上の手間がかかることは多いですね。

なんとか穴埋め補修ができました。

次は照明関係です。
客室内照明にはレイアウト照明で使ったLEDテープを使うことにしました。ともかく安価(5mで210円)なので、砲弾型LEDを使う配置や明暗の差に悩む必要がなく、ふんだんに使えます。

この模型の屋根上に取り付けるクーラーがはめ込み式になっていて、出っ張りが天井から3mm下に出ます。これがなければLEDテープを中央に1列貼るだけで済みますが、その一方、この出っ張りは天井を貼るのにちょうど良さそうです。

そこで、LEDテープ(白)を2列にします。天井に0.3mmの白いプラ板を貼る予定なので、どれくらいの明るさが適当かを抵抗を変えながら調べました。照明テストに使う車体は塗装練習で酷使した、予備の中間車です。塗装はすべて落としています。

LEDテープは1両あたり40cm(LED12個×2列)、8両で3.2mとなります。ブリッジダイオードと抵抗を合わせて、1両分はせいぜい50円くらいでしょうか。気楽でいいですね。天井にLEDテープを貼って、テストのために、塗装していない予備のクーラーをクリップで留めて、両面テープを貼りました。テストなので、配線は太いものを使っています。

プラ板を貼ってみました。

カメラの露出によりますが、この程度の明るさです。あと1ユニット(LED3個ずつ)増やしてもよさそうです。黒く影になっているのはクリップとプラ板接着用の両面テープです。プラ板を実装するときはクリップを使わず、もう少し小さく切った両面テープで貼る予定です。

この段階で、以前に試作していた側面の種別表示を用意しました。OHPシートにミラーイメージで印刷して、裏向けて貼り付けます。

線路上で室内照明を点灯してみました。抵抗は1KΩくらいが適当な感じです。次の写真は台車からの集電ではなく、DCCコントローラによる直接給電です。なお、両端の先頭車両以外には照明コントロール用のデコーダーは入れません。電源が入っているレイアウト上では客室は常に点灯している状態にします。
触っていて、クリップからクーラーが1個外れました。

側面の種別表示です。うまく出ているようです。

戸閉め車側灯はパーツを入れてから内側で遮光しなければなりませんが、車内照明はこの方法で行けそうです。なお、この段階で、内装色を塗装した紙を入れてみました。ちょっとイメージが違うような気がしますが、窓枠や座席を入れたら、また違うように見えそうです。

次は窓ガラスの準備です。薄い透明プラ板を内側から貼りますが、先頭車両の前面窓については、どうしようかとずっと悩んでいました。窓枠パーツがあるのはとても楽だったのですが、パーツは1mmほどの厚みがあり、プラ板を内側に貼ると、窓ガラスがアルミサッシの奥になってしまって不自然です。側面の客席窓は中央の縦桟が実物でも窓ガラスの外にあるため、それほど不自然ではありません。

だからと言って、プラ板をサッシの内側に合わせて切り取るのはとても大変です。そこで、ひょっとしてクラフトロボで切ることはできないかと考えて、試してみました。窓枠をスキャンして、サッシ内側をDXFで出力しました。

クラフトロボの能力では、0.2mm厚の透明プラ板はスジが付くだけで、切り取りは無理でした。0.1mm厚のOHPシートを使ってみると、一部切り取られていない箇所はあるものの、おおむねOKでした。刃先を新品に替えるとすっきり切れたかもしれません。

OHPシートは一方の面に印刷インクが載るような処理がされていて、透明プラ板のような完全透明とはいきませんが、かえって実感的に思えます。

薄いシートをサッシにはめ込むのはむずかしかったですが、透明接着剤を使って、何とかなりました。先頭車両の前面窓のみですから、4両分の12枚だけの作業です。

さて、室内灯と比べてずっと面倒な照明工作が先頭車両の種別灯(通過標識灯)・尾灯と前照灯です。
先頭車両の両側にある種別・尾灯は、初期に計画したドリル・レース法で作ろうと思いつつ、はめ込み方式の金属パーツに穴を開けられないかを試してみました。写真の左下の1つです。

しかし、技術がないので、中心を出すことができません。ずれた穴をハンド・グラインダーで修正しようと削ってみましたが、少し膨張してサイズが合わなくなってしまい、あきらめました。

型取りして樹脂で作る方法もありそうですが、とりあえず元の計画通り、ドリル・レース法で作りました。

作業のために伸ばしている後ろの光ファイバー部分を切り取り、先っぽを車体内側から差し込んで、接着剤で固定する予定です。このままだと、砲弾が飛び出すような感じになりそうですが、一応、8個作りました。

前照灯は初期計画通り、真鍮製の枠パーツの前面をできるだけ薄くして、窓枠と同じ塗料で塗装しました。

この前照灯にはガラスが必要です。横から見て出っ張らないように、最初は薄いポリエステル粘着テープを使ってみたのですが、どうしても表面が波打ちます。仕方がないので、これもOHPシートを切り取って貼りました。

 

今年の工作はこれまでです。仕上げ作業はいっぱい残っていますが、あとは新年からの楽しみにします。

(続く)

阪急2800系 1 組み立て

20年くらい前に、真鍮模型のキット組み立てに挑戦しようと思って、HO(16番=1/80)の阪急2800系のキットを中古で買っていました。

車体キットは最近に廃業したらしい「ピノチオ模型」が製造・販売したもので、30年以上前の製品でしょうか。箱に入った4両と、箱もないバラの車両が5両、計9両です。

阪急2800系は京都線の特急用車両として1964年から1973年まで製造されていました。YS-11の製造時期と同じ頃ですね。1963年に河原町まで地下部分が延伸したことで、梅田から河原町までの特急車両を作ることになったようです。当時の阪急の名車2000系(神戸線)の京都線バージョン2300系をベースにした、特急らしい、2扉のクロスシート仕様でした。

梅田を出て、十三から大宮までノンストップで、5両編成で始まり、最後は8両編成にまでなりました。1971年から冷房装置が取り付けられましたが、1975年から6300系が投入されたため、1976年から格下げされて、3扉のロングシートに改造され、各駅停車でも使われるようになり、1980年代から廃車されていったようですが、札幌に移ったので詳しくは知りません。

2800系によく乗っていたのは1966年から1971年くらいですから、まだ冷房装置が取り付けられていない時代です。冷房が入ってからは数回しか乗っていません。ということで、模型も非冷房時代が望ましかったのですが、中古で安く手に入ったのは冷房改造後だけでした。

非冷房と冷房改造後との外観の違いは屋根上だけなのですが、模型は上から見るので、印象はかなり違います。非冷房のモニター屋根(屋根に一段アップした換気用屋根)は側面に細かいルーバーがあって、手作りはとても無理そうなのであきらめました。別の模型メーカーが非冷房の真鍮製キットを出しましたが、高価だったし、モニター屋根だけをパーツで売っていなかったので、これもあきらめました。

まあ、よく乗っていても、走っている姿は梅田と十三の区間で併走する神戸線から眺めたくらいだし、京都線の淀川橋梁は一段高いので、屋根上はどちらでもかまわない気分(酸っぱい葡萄反射?)です。ともかく、真鍮製のキット組み立てという作業をやってみたかったので、いろんな追加パーツも中古品で手に入れ、不足しているパーツは樹脂でコピーするか、テキトーに手作りをする予定でした。

購入してから15年以上が経ちました。大阪に戻って2年間はレイアウト作りを続けていましたので、2014年の夏に引っ張り出して、組み立てを始めました。以下は、初めての真鍮キット組み立てにもかかわらず、8両編成に挑戦するという無謀な製作記です。

真鍮のハンダ付け、余分なハンダを除くキサゲ作業など、いろいろと練習しながら、夏の3カ月で箱として組み立てて、屋根の雨樋や乗務員用の手すりも取り付けて、真鍮模型の作り方がおおまかにわかりました。完成品の電気系を改造するだけと違って、なかなか手間のかかる「しんきくさい」作業が必要ですね。

一通り、箱ができました。一部、小物パーツを取り付けています。

先頭車4両です。

ちょっとずつ作っていって、形になっていくのは楽しい、あるいは、癖になる、というのは金工と同じですね。金工は基本的に素材から作るスクラッチ・ビルディングですが、鉄道車輌のような工業製品の精密模型を素材から作る技術はまったくありません。

冷房改造後の2800系は4両で1セットになっているので、2セットの8両フル編成にする予定です。中間車が1両余りますが、これは失敗したときの予備の予定です。

梅田向きの先頭車両Mc(動力・制御車:屋根にパンタグラフが2つあって、片方に運転台のある車両)の屋根上を作ってみました。四角い穴は冷房装置用、小さな穴は無線アンテナ用らしく、キットの段階で開いていました。

2両ありますが、付属パーツは1両分だけでした。上のほうは付属パーツを使い、下のほうは真鍮板や洋白板をサイズ合わせした自作です。こんな程度だけ、スクラッチ・ビルディングの真似事です。屋上配管は少し違った方法になってしまいましたが、塗装して走らせたら、あんまり気にならないでしょう。(そうかな?)

床下機器はだいたい揃いました(一部コピー)ので、エポキシ接着剤で取り付けました。写真の左手前がモーターを載せる動力車ですが、真鍮製の8両を1両のモーター車で動かせるかどうかは、まだ試していません。

全体をうまく組み立てられたかどうかはよくわかりません。塗装してみればアラがわかるでしょうね。

以上が3年前の夏の作業で、この状態で箱に入れておき、そのまま忘れて、一昨年と昨年の夏は別の工作をしていました。

今年(2017年)の7月に入って、暑い大阪で恒例になった引きこもりを始めたので、夏休みの工作課題を決めようとしていて思い出しました。塗装にトライできるかな、と思いながら取り出して、集めた資料写真とじっくり比較してみると、塗装前にやるべきことがまだまだ残っているようです。中間車両の屋根上配管や手すり(屋根上と冷房装置)の取り付け、さらに前照灯・標識灯の加工などです。

今年の作業は、中間車4両の屋上配管取り付けから始めるのですが、その前に準備作業が必要でした。それにしても、真鍮をほったらかしにすると、かなり汚くなりますね。

あらためて、組み立てた9両すべてを上から眺めました。左側が先頭車4両(梅田向き2両と京都向き2両)、右側5両は中間車です。

冷房装置取付の穴を眺めていて、写真の中央にある車両(M:中間動力車)の1両だけ、位置が異なったパターンになっていることに気がつきました。右側の4つは広い等間隔(T:中間付随車)になっています。4両セットが2つなので、中間動力車が1両足りず、中間付随車が2両多いという在庫です。

そこで、余っている中間付随車の1両を使い、屋根の穴を真鍮板で埋め、別の場所に穴を開けて、中間動力車に変更しました。作業直後なので、白っぽく写っています。四角い穴は開けられないので、ドリルの丸い穴のままです。

上に冷房装置を載せてみました。

これで屋上配管の取り付けができます。屋根にマスキング・テープを貼って配管位置を描き、手製の固定道具に挟みました。

卓上フライス盤にアダプターを入れてドリル盤として使い、配管止めを取り付ける穴(0.4mm)を開けていきました。ハンド・ピースのドリルでやると、不正確だし、すぐに刃を折ってしまいます。でも、ドリル盤を使っても不正確になるのは経験の無さなので、仕方ありません。

3年前に作った先頭Mc車ではマッハ(大阪の模型店)製の配管止めを使いましたが、とても高くつくし、資料写真を見たら、単なる真鍮線でも良さそうなので、手間省き・安上がりの配管止めを作ります。初めての真鍮模型キット製作なので、キットに含まれないパーツについては、自分で感じる「雰囲気」が出たら十分です。技術がないのに、それ以上の精度を求めると、ブラック・ホールになって進めません。

溝を切ったアルミのLアングルに0.3mmの真鍮線を置いて、ペンチで押します。

これで幅2mmのフックができます。屋根上用に200個くらい、後で必要な冷房装置の手すり用として150個くらい必要です。

0.6mmと0.4mmの真鍮線を配管に使い、配管止めで取り付けていきます。3つくらい穴に入れたらマスキング・テープで固定し、裏からハンダ付けしていきました。配管を少し浮かせるために、愛用のチューインガムの箱を細く切って挟んでいます。この厚さがちょうどいい感じでした。

結果はこんな感じです。配管がちょっと細いように思いましたが、1/80の0.6mmは48mmですから、まあ、こんなものでしょう。

4両の屋根上配管ができた8両のセットです。配管止めが整然と並んでいませんが、雰囲気はこれで十分です。右端2両の京都向き先頭車Tcに配管はないようです。

ついでに、制御車(McとTc)4両の前方屋根上に手すりも取り付けました。こんなところは知らなかったのですが、資料写真を見た結果で、外観の「雰囲気」作りの一環です。ついでに、京都線特急の特徴である、前面にダブルで付いていた行先表示板を掛けるフックも追加しました。行き先表示板は入手していました。

こうやって並べてみると、屋上の手すりを取り付けた位置がバラバラですねえ。一番の問題は穴あけです。穴あけ位置が全体に同じになっていません。工業製品は同じ位置になっていることが基本なのですが、位置決めのツールを作らないとだめなんでしょうね。もう遅いですが。

作業のたびに、3年前に取り付けていた前面両脇のステップを触ってしまい、歪んでしまいます。何度かペンチで修正していますが、いずれ再取付が必要になるかもしれません。このあたりも、取付の順番が重要だと気付きました。これももう遅いですが、次の機会への引き継ぎ事項です。まだまだキットの買い置き在庫があります。

一通りの作業が終わったので、前照灯と標識灯の取り付け方法を考えてみました。側面の行き先表示は塗装後に考えていいのですが、前面の照明部分は塗装前に予定を立てておきたかったのです。

キットに入っている前照灯の枠は真鍮製で、穴は小さすぎて、周りは少し前にはみ出します。穴を少し広げ、前の部分を削り、後で白っぽい塗装をする、そして、1.8mmのLEDを少し削って内側から差し込む、という方法にしました。

前照灯にLEDをはめ込んでみました。まあ、こんなものでしょう。

次は、前面上部の左右にある標識灯です。すでに1.8mmの穴が開いています。キットに入っていたパーツは丸い金属板で、それをはめ込むだけなのですが、それを使わず、点灯させるようにします。

この標識灯は、先頭の場合には種別灯として両方(特急)が「白(電球色)」で点灯し、後尾の場合には尾灯として両方が「赤」で点灯します。このタイプの標識灯は5000系くらいまで続いていたようです。

2800系を自分で写した写真はありませんが、大阪に戻ってから京都線に乗ったら、2300系がまだ現役で走っていたのでびっくりしました。元の前面は2800系と同じでしたが、その後に改造されていて、標識灯があったところに種別・方向幕が設置され、下に種別灯と尾灯が別々に付いています。これだと模型にLEDを付けるのは簡単になるのですが、そういうわけにはいきません。

ともかく、白と赤が同じ場所で、方向によって色が変わるので、市販の完成品模型(Nゲージ)ではプリズムを使っているらしいのですが、そんな面倒なことはできません。1つの標識灯に白と赤の1.8mm LEDをくっつけることにしました。

前照灯にも使う1.8mmのLEDは10年前にドイツから取り寄せたときは1個1ユーロでしたが、最近は中国通販で100個が5~10ドルです。色も各種揃っています。失敗しても気になりません。よく折る細いドリル刃も中国通販を利用するようになりました。

阪急の標識灯は白っぽい金属(ステンレス?)の枠が特徴的なので、2mmのアルミパイプをドリル・レース(ドリルを旋盤のように使う)して、標識灯の穴に差し込み、その中に光ファイバーを通して、内側から白と赤のLEDをあてる、という方式です。LEDをプラ板で固定してみました。

テストとして、チューインガムの内箱を使って、赤を点灯させます。

次は白です。

何とかなりそうです、気持ちだけは。実現したら、DCCボードから前照灯と尾灯のケーブルをそれぞれに配線すればいいことになりました。

内部の艤装は塗装が終わってからですが、車内側のハンダ付け処理がきれいにできていないために、内側は塗装するだけでは済まないようです。窓枠は金属パーツが揃っていますので、その周りを紙かプラ板で埋めるとすっきりしそうです。天井と壁を試しに紙で作ってみました。

この貼り付けなどは塗装後の作業になりますが、内部を塗装する時の参考になりそうです。

手間な作業が残っていました。屋根上の冷房装置(のカバー=キセと呼ばれています)に手すりを4つずつ取り付けます。
1つだけ試しに取り付けてみました。

0.4mmの穴を2mm幅で開けて、0.3mmの真鍮線で作った手すり(屋根上配管止めと同じ)を挿入し、裏から瞬間接着剤で止めます。0.3mmの穴で0.25mm以下の真鍮線が良さそうですが、工作能力の限界を超えます。

屋根上配管止めの穴を開けるのは薄い真鍮板なので比較的楽でしたが、キセはホワイトメタル(錫と鉛の合金)で作られていて、柔らかくて手間でした。斜めになっている部分なので、すべてを同じ位置に開けるために、木ぎれで簡単な固定枠を作りました。やっと位置決めツールを考えるようになりました。

この枠をドリル盤のバイスに挟んで、キセを入れると、斜めの位置がほぼ水平になります。

2つの穴の位置はキセを指でスライドさせます。結果はOKです。

結果はOKでしたが、慣れない手つきで30個以上に施すのは、とても手間でした。ドリル刃がどんどん折れました。不用意に刃先に触れてしまったり、キセの表面処理が悪かったりで、中国通販で10本入りを買っていたのですが、途中で追加注文をしておきました。追加が届かない状況で、最後の1本になりました。穴を開けるたびに切りくずを掃除して、刃先にオイルを付け、ゆっくり穴を開けていく、というペースで何とか終えることができました。9本折って2/3が終わり、最後の1本で残りすべてを終えました。一日に5個くらいをやると、イヤになるので、1週間ほどかかりました。

穴を開け終えたキセ30数個と、折れたドリル刃9本です。

すべてのキセに手すりを取り付けていくのも、けっこうな手間になりそうです。これが終われば、全体を組み立てて走行テストをするか、最終の磨きをして塗装に進むか、ですが、まだ予定は立てていません。暑い7月・8月と続けてきたので、しばらく休憩です。

(続く)

LGB 2018D 2-6-0 Mogul

20年くらい前でしょうか、Gゲージという大きなサイズの鉄道模型を知りました。写真のみで模型の実物に触れたことはなく、試しに中古をアメリカのeBayで購入したのが、LGB(Lehman Groß Bahn:レーマンの大きな鉄道)製のモーガル(Mogul: アメリカの蒸気機関車)です。

モーガルは、2-6-0という車輪配置(先台車が1軸、動輪が3軸で、1Cとも呼ばれます)になっているテンダー機関車の呼称です。アメリカで1860年頃に生産が始まり、1910年頃まで1万1千両ほども製造されたそうで、名機と言えるでしょう。2-6-0+テンダーという機関車はアメリカに限らず、英国や日本でも製造されていますが、モーガルと言えばアメリカ、というイメージがあります。

モーガルという名前は生産開始直前まで続いていたムガール帝国から来ているようで、「おおもの」という雰囲気の意味です。これは当時の機関車としては牽引力が強かったことからのようです。

アメリカ製モーガルはかつて北海道で走っていて、開拓使時代の北海道の鉄道には欠かせない機関車でした。明治初期、札幌の北東にある幌内(ほろない:現在は三笠市幌内町)に優良な石炭が発見されて、その運び出しに鉄道線路が計画されました。そして、明治13年(1880年)に小樽港のある手宮から札幌までの区間が開通し、アメリカ人技師クロフォードが買ってきたポーター社製のモーガル2両が走り始めました。愛称は義経と弁慶です。

現在、義経は大阪弁天町の交通科学博物館から京都の梅小路蒸気機関車館(現・京都鉄道博物館)に移り、弁慶は神田万世橋の交通博物館からさいたま市の鉄道博物館に移りました。義経・弁慶の後に輸入された「しづか:静」は小樽交通記念館(現・小樽市総合博物館)に置かれています。

LGBは1968年にレーマン氏が設立したドイツの模型会社ですが、アメリカ車両を多く出していて、アメリカで相当の人気になっていました。今世紀に入ってから倒産の話が出てきて、予備パーツを買い込むなど、慌てましたが、2007年からメルクリン社のブランドとして復活しました。メルクリンも怪しくなりましたが、その後は落ち着いているようです。

LGBの車両は1/22.5という縮尺、軌間(線路幅)は45mm、会社名のGroßからGゲージと呼ばれていて、名前の通り大きな模型です。庭で走らせるために、電動ではありながら、雨に強い構造になっています。そのことから、車体の素材は厚めのプラスチック(樹脂素材は年代によって違うようです)でできていて、かなりの省略とデフォルメをしていますので、子ども向けのように見えますが、大きくて重い(4.1kg)ので、大人でも持ち上げるのはたいへんです。

銘板です。1884年のクック社製となっています。

ランニング・ボード(ボイラー横の歩み板)の裏にシールが貼ってあります。

LGB25周年のシールなので、1993年頃の製品なのでしょう。このLGBモーガル(型番:2018D)は1985年に出て、現在は廃版になっています。

変なところはいろいろあるようです。テンダーに薪を積んで、機関助手が運んでいる姿は可愛いのですが、製造された段階のモーガルは石炭のみを使い、薪を燃やす車両は存在しなかったそうです。保存車輌としては重油方式に改造されている場合があります。

この型番2018DのモデルはCooke社が鉄道会社DSP&P(Denver, South Park and Pacific Railroad)のために製造したそうです。Denver & Rio Grandeの鉄道名は、2018D発売後にいくつかの鉄道名のバージョンが売り出された一つです。初期のDSP&Pモデルではありませんが、カラーリングが好みという理由で選びました。

仮想的な姿とは言え、このモーガルはLGBらしい雰囲気が濃厚です。この車両を触るまでは、1番ゲージ(1/32)やHOゲージ(縮尺1/87)あたりの精巧さが好みだったのですが、Gゲージの楽しさからも離れられなくなりました。

最初はDCの電圧制御で始めました。LGBの線路や分岐器など一揃いをアメリカ通販で購入しましたが、制御器は自作しました。お気に入りのゼロセンター電圧計(中央がゼロで左がマイナス、右がプラスに振れます)は東京の小さな計器メーカーで作っていたものです。この制御器は分解したので、電圧計はNゲージ用に再利用しています。小さなトグルスイッチは分岐切替マシン用です。

後ろからの写真です。上に飛び出しているのは自動車用の手元照明を組み込みました。

15Vまで3Aの仕様で、少し電圧が低い目でしたが、部屋の端から端までの直線往復だけだったので、十分でした。

その後、機関車からサウンドを出す話題を知り、Phoenix社製のサウンドボード「BigSound 2K2」を注文し、テンダーに組み込みました。テンダーの底にはスピーカーの形の枠取りがありますが、穴は開いていませんでした。手前に置いているのがBigSound 2K2です。

この時までに、テンダー後部のカプラー(連結器)をKadee製品に替えていました。LGBのカプラーがおもちゃっぽかったからですが、その後、LGBらしさがいい、と思って戻しました。

DC仕様のサウンドボードには充電池が付いています。機関車が停止(電圧がゼロ)しても、何らかのサウンドを出すためです。写真の黄色いのが充電池です。

DC仕様では制御器で汽笛や鐘のサウンドを鳴らすことができないので、磁石でオンオフするリードスイッチを多用します。たとえば、機関車のピストンに合わせた音は、動輪の軸に磁石を貼り付けて、それにリードスイッチが反応して鳴らします。これはタイミングが正確なので、DCC仕様でも使う方法です。

次の写真は、ドリルでテキトーにスピーカー用の穴を開けた後、テンダーの車輪に機関車のブラスト音を出す磁石とリードスイッチを取り付けてみたところです。この車輪は動輪より小さいので、正確なタイミングにはなりませんが、機関車との配線がうまくできなかったためです。この頃は配線ケーブルとコネクターのレパートリーがありませんでした。

機関車の裏面です。

左が前です。第1動輪と第2動輪の間に金属板が付いています。これは集電板で、LGBの動力車の特徴です。電気を左右の車輪からだけではなく、この金属板を線路に接触させて、確実に集電できるようにしています。
右端の第3動輪の間にリードスイッチを2つ付けました。汽笛用と鐘用です。これらは線路の間に磁石を取り付けて、その場所を通るときに鳴るようにしました。

このように、DC仕様ですと、サウンドの自由度が低いように思いますが、汽笛や鐘は規則で決められた場所で鳴らしますし、また、2K2は入力電圧変化でサウンドパターンが変化するようなプログラムが入っているので、なかなか面白いものです。

2005年には、車両のDCC化を進めましたので、モーガルにESU社のDCCボードLokPilot XLを組み込みました。

BigSound 2K2のボードをテンダーから移し、LokPilot XLと一緒に機関車のボイラーの中に押し込みました。上がLokPilot XL、手前がBigSound 2K2です。

テンダーの中がスピーカーだけになってすっきりしましたが、今なら、2枚のボードをテンダーに入れたでしょうね。機関車のボイラー内部はギリギリの容量でした。

テンダー車輪に取り付けていた動輪回転同期用のリードスイッチも動輪に移しました。
ついでに、運転席に室内灯を取り付けました。これだけがLEDです。

以上で、初めてのDCC化は完了です。

この記事を書く機会に久しぶりに掃除と整備をしました。
動輪はけっこう汚れていました。

機関車の先頭にあるフラッグポールが剥げていました。

LGBは金色にメッキしている樹脂パーツが多く、経年変化でどうしても剥げてきます。買い置きがあったので交換して、きれいになりました。最近はメッキ風塗料があるので、その準備もしています。

以下は、現在のレイアウトでの走行動画です。すべて音が出ます。

ヤードを出発します。

牽引しているのは、LGBの客車と大型カブース(客室付き車掌車)です。モーガルが出る前のアメリカン(4-4-0)型という西部劇に出てくる機関車のほうがぴったりかもしれません。
客車の内部です。初めて車両に室内灯とフィギュアを入れました。室内灯の取り付けが荒っぽいです。

このサイズの模型になると、客車内にトイレとストーブまで置かれています。

フィギュアを入れると、なかなか楽しいものです。

トンネルから出てくるところです。

最後は、駅に到着です。

これらの動画では、速度しか手動制御していません。汽笛などの音はBigSound 2K2に組み込まれている速度感知プログラムで鳴っています。

このBigSound 2K2はLGBのモーガル用サウンドというので選んだのですが、汽笛音が迫力ありすぎ(和音構成)と感じていました。調べてみたら、ニューメキシコ州にあるCumbres and Toltecという保存鉄道の4-6-0あたりの機関車からの録音だとわかりました。

アメリカの保存鉄道でモーガルが走っているのをYoutubeでチェックしたら、けっこう2K2と同じような汽笛が鳴っていました。その後、Phoenixのサイトに別のモーガルのサウンドが加わりましたが、その汽笛音は単純な昔風(単音か二音)でした。

小樽のアイアンホース号や、京都で二度目の復活を果たした義経の汽笛は昔風の単音です。このあたりがオリジナルなのでしょうか。まあ、汽笛もいろいろあるようで、現在のサウンドに慣れてしまっているので、これはこれでいいことにします。

LGBモーガルは当模型鉄道での車歴がそろそろ20年になりますが、現在も快調に走っています。

犬のランプ すべて完成

2017年3月24日

3月24日、パスカルSrとショパンもできあがりました。
3つ並べて記念写真です。左がパスカルJr、中央がショパン、右がパスカルSrです。

写真を撮っていたら、トコも仲間入りしてきました。

別の角度です。

実物のパスカルJrが退屈そうに眺めています。

暗い中での照明の具合です。
左のJrはLED3灯、中央のショパンと右のSrはLED9灯です。

それぞれのモデルの写真です。
最初の愛犬、パスカルSr(ゴールデン・リトリーバー)です。

他の犬を見ると興奮するのはJrと同じ性分ですが、猫にはとてもやさしく接していました。

Srのイメージはこういうものになりました。真鍮です。

点灯時です。

2番目の愛犬、ショパン(スタンダード・プードル)です。子犬の頃は真っ黒でした。

成長するとグレー(シルバー)になり、脚がとても長く、クリクリの目で、一途な性格でした。

ショパンのイメージはこうなりました。銅を硫黄で黒くしました。

点灯時です。

比較のために、パスカルJr(スタンダード・プードル)も再掲しておきます。真鍮です。

点灯時です。

以下は最後の作業ダイアリーです。
3月3日、クラフトパークでショパンの表面処理をしました。

これは「荒らし」と呼ばれる、先を加工した金槌(3と書かれている)で表面を叩く作業です。表面に模様を付ける荒らしにはいろいろなパターンがあり、アルミ板にサンプルが叩かれています。
ショパンには3番を使いました。

その後の一週間、自宅で組み立て作業が続きます。
ショパンの頭にステイを取り付けたところです。

胴体にもステイを取り付けました。パスカルJrの工作で、頭の揺れを防止するためには、頭と胴体を取り付けるネジを増やしたほうがいいとわかったので、3本のネジで固定することにしました。

銅は柔らかいので、ステイは3枚重ねにしようかと考えていたのですが、2枚をハンダで貼り合わせると真鍮並みに固くなりました。

3月10日、クラフトパークでの作業です。
パスカルSrの表面に荒らしを入れました。4番を使いました。

パスカルSrの尻尾を作ります。真鍮板を切り取って、荒らしを入れてから2つに折るのですが、先ずは木製の溝板に当てて、木槌で叩いて、可能な程度に曲げました。

最後は、バーナーで熱を加えて重ねました。スイッチを入れる穴を確保するために、3ミリ径の長いネジを入れています。

できあがった直後の尻尾と後頭部の円形です。これからヤスリがけや磨きを始めます。

尻尾の取り付け位置の確認です。プードルとはちょっと違っています。尻尾の形はその後少し変えました。

3月17日、クラフトパークでショパンの色づけをしました。硫黄を入れた湯に漬けて黒くさせました。尻尾(銅)やネジ(真鍮)も黒くなりました。

胴体の裏側まで、いい色になりました。裏に長く伸びている板材は電池ケースの固定用で、切り取ってから、LEDパネルの固定用金具に使います。

ショパン用のLEDパネル固定金具です。

ショパンとパスカルSrのLEDパネルは、Jrとは違った百均LEDライト(9灯)を使いました。

こちらのLEDライトを使った理由は、分解して利用する電池ケースの押しバネが適していたからなのですが、照明としては、Jrに使った3灯のほうが明るいようです。すべて4.7Ωの抵抗を入れています。

3月24日、クラフトパークでの今期最後の作業は、自宅での組み立て作業で剥げてきたショパンの黒の塗り直しでした。すでに配線も終えていて、硫黄のお風呂に入れるわけにはいかないので、ドライヤーで熱しながら、綿棒で硫黄を重ねていきました。

すべて終わったので、透明塗料を吹き付けました。パスカルSrとJrはツヤありの塗装、ショパンはツヤなしの塗装です。

これで三体が完成となりました。

こんな使い方もあるかもしれない、というサンプルですが、犬のランプは上から眺めるほうが可愛いので、こういうことはしないでしょうね。

延べ3カ月、同じ作業の繰り返しでしたが、それぞれの素材やサイズや仕上げが異なるので、最初に作ったJrと比べて、Srとショパンが短時間でできたということはなく、すべて同じくらいの手間と時間がかかりました。今回の出来上がりには、それなりの思い入れもあったので、満足しています。

(完)

これでしばらく金工を休みます。当分は金属(真鍮)の鉄道模型キット製作に集中する予定です。

 

S1整備とDCC化 4(仮終了)

2月は金工「犬のランプ」製作が面白くて、こちらをほったらかしにしていました。

1月末までの作業です。
テンダー後部の尾灯LEDを装着して、コネクターからの配線をすべて接続しました。

DCCボードはマザーボードごとビニール袋に入れて、後ろ側に放り込んでおきます。少し熱を持ちますが、これまでもOKでした。

機関車側のLED配線に進みます。
LEDをこんな形で結線して入れることにしました。

この配線では、ヘッドライトと両側の車側灯にそれぞれCRDを入れていますが、ヘッドライトを点灯させると車側灯も同時に点灯します。車側灯の点灯回路を分けようかとも思いましたが、走行させる際には同時点灯でいいことにしました。一応、DCCボードから別回路のDC(AUX)をモーター部まで伸ばしていますので、運転室の点灯など、いずれ考えるかもしれません。

LEDを中で固定するために、両面テープを下地にしてから樹脂粘土を貼りました。

DC電源で点灯チェックです。

ヘッドライトの配線をモーター部分に来ているケーブルにコネクターで接続しました。これでDCCの配線は終了です。

3月に入って、組み立てました。
レイアウトで手押しして確認したら、コネクター・ケーブルが太かったので、曲線部では機関車本体とテンダーがすんなりと曲がりませんでした。機関車側のケーブルをより細い電子ワイヤに交換しました。

テンダーとの連結部分の間隔です。

さて、ようやくのテスト・ランです。レイアウトの直線部に置いて、出発させました。以下の動画は音が出ます。

曲線部に入るところで緩和曲線が必要かなと思っていましたが、それは問題なく、なんとか曲線をぎりぎりに回っています。さすがに、速度を上げるとギヤ音が大きくなります。

そのまま周回させました。直線と大半径のカーブだけを無事に一周して戻ってきましたが、駅に入る分岐器で脱線してストップしました。

原因は、先輪の誘導機能が悪いことと、動輪の回転自由度が小さいことだろうと思います。
あるいは、Bachmann(バックマン)製の分岐器との相性かもしれません。
カーブでの先輪のはみ出し映像です。

この外周線路はメルクリンのC-トラックで最大の半径1,115mm(24912: R9)を使っていますが、S1の胴体後部が固定されているので、先端部は外を向いてしまいます。
内側の線路(エンドウの線路で半径は1m)でも試しました。分岐器の方向が違うので脱線はしませんでしたが、状況はほぼ同じでした。

この模型を自然な感じで走らせるためには、曲線部は半径2m以上が必要なのでしょうね。1/87ですから、当レイアウトの曲線半径1mは実サイズ換算では半径87mで、地下鉄の急カーブ並みです。実物のS1も最小回転半径が大きかったために、PRRの走行路線が限られたようなので、なんか、納得してしまいそうです。

可動部分の連結はこのようになっています。右が前です。

前後で2つに分かれていて、前の先輪と動輪、後ろの従輪と動輪が別のフレームになっており、後ろの従輪・動輪のフレームは胴体に固定されています。前後の動輪の間にジョイントがあって、前の部分が動くようになっていますが、自由度がとても小さいのです。
前の部分を取り外した写真です。前方に伸びたステイだけで前の動輪と先輪部分を固定しています。

このステイの高さ調節がとても微妙で、この高さによって機関車本体の前後の高さが大きく変わります。

先輪の台車に付いている枕梁(まくらばり:ボルスタ)の位置が悪そうです。ずっと気になっていました。

枕梁は台車の固定と回転を請け負うもので、ここには2つ付いていますが、3軸台車で後ろ側の枕梁に中心ピンを入れて押さえています。これは先輪の回転を考えた結果だろうと思いますが、そのため、写真(整備前)のようにステイの調整が悪いと、台車の後ろが下がってしまい、分岐器やカーブでレールと接触してショートします。

下がらないようにステイを上げると、先輪が浮く感じで、動輪を誘導する機能がなくなるようです。中心ピンの長さを変えて、微妙な位置調整をしたりすればうまくいくのかもしれませんが、分岐器で脱線しないピッタリの位置を見つけられません。

このあたり、模型製作のノウハウがないので自信はないのですが、最低限、枕梁と中心ピンの変更などの処置をしないと、脱線は必至という状況のように思えます。

実物のS1は”duplex”と呼ばれる方式で、前後の動輪部を動かす2つのシリンダーは両方とも胴体に固定されているので、機関車の回転中心位置が本体中央にあるのでしょうね。現在の中心位置は後部動輪の後ろあたりです。これを変更するのが一番ということなのでしょうが、そうなると、テンダーとの連結も自由度を高める必要がありそうです。となると、もはや整備ではなく大改造になり、手に負えないように思います。トライしてみたいのですが、どうなるでしょうか。

S1は曲線が苦手なので、本線から転車台まで自走して入ることはできませんが、「神の手」で扇形庫に置いたら、直線はOKなので、ターンテーブルでの入れ替え作業は可能です。

扇形庫から転車台に乗るところです。以下の動画は音が出ます。

転車台にぎりぎり乗って、回転です。

扇形庫に入ります。

長い機関車ばかりを扇形庫に並べました。中央にS1、右にレイモンド・ローウィによるデザインのT1、左の2つはビッグボーイです。

S1は長いので、扇形庫から大きくはみ出すかと思いましたが、ほんのちょっとだったので、このままで良さそうです。

S1の車庫については、Classic Trains誌の古い記事に1947年の写真(Glendale Hoffman氏撮影)がありました。

これはオハイオ州のCrestlineにあるPRRの機関庫で、左端に引退したS1と、継ぎ足したような扇形庫が写っています。ここの転車台はS1より短いため、S1の方向を変えるときは、この近くにあるY(wye)形の分岐器の組み合わせによる三角形(デルタ線)を使っていたそうです。

GOOGLE EARTHで現在のCrestlineの航空写真を見つけました。

保存活動があったように聞きましたが、転車台跡には水が溜まり、残った建物の屋根は朽ちています。S1の機関庫は残っているようですが、屋根の鉄骨が見えています。

もう一つの話題です。デンマークの電子音楽系のデュオLaid Backのアルバム「Play it Straight」(1985)のジャケットです。

赤く塗ったS1がなかなかモダンです。彼らの音楽はYouTubeにたくさんアップされています。

ということで、さらなる改造はもっと勉強してから、としました。当分は扇形庫で休憩してもらいます。残された課題は多くありますが、ともかく、S1のDCC化は成功して、数十年ぶりに走らせることができましたので、今回の整備はいったん終了、ということにします。

追記
転車台に向けてS1を走らせてみたら、アプローチの手前で停止します。これは転車台・扇形庫のボードを電気的に切り離してブースターで動かしているので、アプローチの手前にギャップを入れているためです。機関車の集電とテンダー(炭水車)の左右の集電が離れて、無電(電位差なし)区間になってしまうようです。線路のギャップは残したいので、S1のテンダーで両方の線路から集電するようにしました。本来なら、動輪で左右からの集電をすべきなのでしょうが、それは少し手間なので、簡易工事で済ますのが当模型鉄道の方針です。

作業は簡単です。テンダーの後部台車を外して、手持ちの集電部材を切り取って、絶縁されている車輪に接触させます。

台車の塗装をはがし、プラバンの下地を接着剤で貼り、配線した集電部材をプラバンに接着剤で貼り付けました。

上から見ると、配線が出ていますが、台車と底板にはスペーサーを入れるので、干渉しません。

底板に2mm径の穴を開けて、配線を通して、機関車側からの集電線と合わせると終了です。

これで、ギャップでの停止はなくなりました。集電材の接触摩擦による走行への影響があるかどうかは定かではありません。
試走後、つや消し黒を塗っておきました。

ついでに、Kadeeカプラーも取り付けましたが、枠が小さく、単なるネジ止めだけになりました。いずれ、S1を改造をする際には、枠を大きく削る予定です。

4月に入って、転車台へのアプローチを改良しましたので、S1も自力で転車台・扇形庫への出入りができるようになりました。

 

犬のランプ 4 Jr 完成

3月1日、パスカルJrが完成しました。

鼻の先から後ろ足まで27cm、高さは15cmです。

スイッチのオン・オフ動画です。音は出ません。

いくつかの角度から眺めてみます。表面の仕上げは少し刷毛目のようにしておきました。

頭の後ろには直径5cmの真鍮円板を取り付けました。見えるところはネジも含めて真鍮製にしました。

暗いところで、ランプ点灯の雰囲気を見ました。

近いところが前に尖り、黄色くなっているのは真鍮の反射です。LEDパネルの角度を調整したら反射を無くせそうですが、このランプで読書する気はないので、これはこれで面白いかと思います。

パスカルがちょっとだけ興味を示しました。

裏側の処理です。LEDへの配線の途中にコネクターを取り付けて、分解が簡単にできるようにしました。

胴体に一本、パイプを留めています。配線を通すためですが、電池ボックスの動きを止める働きもあります。また、胴体側の首への板材も二重にして、揺れを止めました。

試行錯誤の連続で、板材のハンダ付けの上に板材のハンダ付けが必要になっていて、裏はきれいではありません。今後、ショパンとパスカルSrを製作するときには、もう少しきれいな裏側にしたいと思います。

図面起こしから、ちょうど1カ月くらいです。板材の切り抜きと曲げ以外は自宅での作業で、鉄道模型ほどの精度は不要なので、気楽で楽しい工作でした。

途中のままほったらかしになっているS1の整備に戻って、その後にショパンとパスカルSrに取りかかる予定です。

(続く)

犬のランプ 3

2月18日からの自宅での作業です。
Jrの頭と胴体をつなぐために、頭と胴体のそれぞれに真鍮の板材を取り付けてみました。

板材を両方に取り付けたのは、簡単に分解できるようにするためです。まだヤスリ掛けや磨きが終わっていませんので、固定してしまうと大変です。今後のメンテナンスもやりやすいと思います。

頭と胴体に付けた板材の両方にネジ穴を1cm間隔であけました。2本のネジで留めます。頭のほうの板材に多くのネジ穴をあけたのは、どの2つで留めると適当な長さかを調べるためです。

一番下の2つで留めてみました。一番、首が長くなった状態です。

横から写すと、このような感じです。作業中で、尻尾を付けていないので、全体の雰囲気がわかりにくいのですが、悪くなさそうです。

でも、確認のため、ネジ穴を1つ上げて(首を1cm下げて)取り付けてみました。

これはパスカルJr(プードル)としては下がりすぎのように感じます。パスカルSr(ゴールデン・リトリーバー)だと、これくらいかもしれません。

これで大体ですが、首の長さと方向が分かりました。パスカルJrには一番下の位置のネジ穴を使います。

正面から写すと、弥次郎兵衛みたいです。

組み立ててみて、問題点も見えました。
首に使う真鍮の板材を頭や胴体と同じ0.8mm厚(幅1cm)で作ったのですが、置いたときに首が小さくプルプルと揺れるのです。しかも、30秒以上続きます。単なる置物だったら、それも一興かもしれませんが、照明が揺れるのは困る気がします。
動画です。この揺れの見納めです。音は出ません。

揺れを押さえるために、頭からの板材を二重にしました。

これで揺れはかなり治まりました。

2月24日、クラフトパークで、ショパンの切り取りと曲げをしてきました。Srの胴体も太くしました。
3体を並べてみます。

左がパスカルSr、中央が製作中のパスカルJr、右がショパンです。

その後の自宅作業で、パスカルJrの製作が続きます。

LEDパネルを取り付けるステイを作りました。組み立てが楽になるように、ナットはすべてハンダ付けしています。

LEDパネルを取り付けてみました。

後ろから見ると、こうなっています。分解が必要になりそうな場所はすべてネジ止めにしました。

尻尾の先の球を袋ナットから作ったのですが、小さかったので、東急ハンズで直径10mmの真鍮球と銅球を買ってきて、穴をあけました。その穴にM3のネジを取り付けて、ドリルの回転でサンドペーパー掛けをしました。

パスカルJr(手前の真鍮)とショパン(後ろの銅)の尻尾です。ショパンの場合は銅パイプに入れます。

胴に電池ボックスを入れる仕掛作りは試行錯誤でした。

最初はマイナス側を胴体に直結してみたのですが、電池ボックスを入れる際にプラス側が金属部分に触れてショートすることがあったので、どちらにもプラ板を挟んで接触端子を独立させました。

電池ボックスを入れてみました。ボックスが下に落ちる心配はなさそうです。

仮組みしました。

仮配線して点灯テストです。明るさとしては、4.7Ωの抵抗を入れるくらいがちょうど良さそうです。

これで配線すればパスカルJrの完成になるのですが、まだ磨きなどが残っています。もう少しかかりそうです。

(続く)