南海凸電 完成

2022年10月14日

今日は鉄道の日(今年は鉄道開業150年記念日)なので、Gスケールの南海凸電がなんとか完成したという記念日にもしました。大阪での工作再開が2018年、その15年くらい前にボンネットを作り、駆動系やフレーム板などを用意したので、開始から延べ20年かかったことになります。まあ実際に継続的に製作したのはこの4年ですが、それでも長い時間がかかりました。駆動系以外はスクラッチビルディングになったため、経験の無さから、試行錯誤ばかりが続いた印象です。

この記事では完成した姿と走行を写真と動画で記録し、いずれ別記事で製作のトピックを取り上げていくことにします。

モデルとしたのは南海電鉄電気機関車(凸型電機)ED5101形です。自分で写した同形機関車の写真です。1960年代初期の南海本線高石町駅近くの踏切で、和歌山に向かっている姿です。

型番はED5107としました。この車両は1923年(大正12年)に南海電機第2号形(1005-1014)の1両として堺市にあった梅鉢鐵工所(後に帝國車輛工業、東急車輛製造、移転後の跡地は現在ショッピングセンター・アリオ鳳)で製造されました。帝國車輛時代末期には高校からの帰りに工場内を覗いていたことがあります。

50年以上も現役だったので、製造後に多くの改造を受けています。1974年(昭和49年)に廃車となり、廃車後はしばらく「さやま遊園」で保存されていたそうです。今回の製作モデルはうろ覚えの1970年(昭和45年)ころの晩年の設定にしたつもりです。

サイズは全長428mm(カプラー含まず) 520mm(LGBカプラー両端)、全幅100mm、線路からの高さ155mm(屋根まで)170mm(パンタ下げ)245mm(パンタ上げ)です。実物は全長11,455mm、全幅2,590mm、全高4,040mmですから、1/26くらいのGスケールです。

こちらの側面は山側(運転台側:左が和歌山、右が難波)です。開いた窓から見える運転士は和歌山を向いて座っています。

逆サイドの海側(左が難波、右が和歌山)です。

和歌山方面行きの斜め姿(山側)です。

難波方面行きの斜め姿(海側)です。

パンタグラフを下げた姿です。

屋根(山側)です。

上物を外すと、キャビン内部とサウンドデコーダー(ESU Loksound XL V3.5)にアクセスできます。室内の作り込みは簡素です。

カプラー(連結器)は2段にしています。上側(実車の連結器の位置)は雰囲気を出すためにBachmannの自動連結器を取り付け、その下にLGBのカプラーを取り付けました。LGBのカプラーが南海のATS(自動列車停止装置)の車上子(車両側の装置)のように見えるので、違和感はそれほどありません。この位置がLGBの基準の高さで、他の車両を連結牽引するのはLGBのカプラーを使います。

重さはちょうど2.0kgになりました。

サウンドデコーダー(Loksound XL V3.5)をチェックするため、テスト用走行台に載せました。

使用したサウンドファイルはESUの提供するヨーロッパの古い電気機関車ですが、最初に鳴らした警笛(単音)は南海凸型電機の実車映像サウンドを加工しています。動画を再生すると大きな音が出ますので、ご注意ください。

次はテスト用走行台で走行するサウンドです。大きな音が出ます。

走行動画をいくつか選びました。すべてサウンドデコーダーの大きな(うるさい)音が出ます。

レイアウト上での試運転の追っかけ録画です。メルクリンのMAXIシリーズ無蓋車をLGBのカプラーで牽引しています。音が出ます。

トンネル出口でパンタグラフが架線から離れる様子です。音が出ます。

走行確認の最後、レイアウトを一周する姿を後ろの無蓋車にカメラを載せて撮影してみました。これも大きな音が出ます。

駆動系にバネが入っていないことによるカクカクとした揺れは少しありますが、走行に大きな問題はなく、線路とトンネルの整備くらいでよさそうです。

走行速度とサウンドとの同期が取れていないような気がしますし、そもそも走行サウンドがこんなものだったかどうかの記憶はありませんので、サウンドなしで走らせることが多いでしょうから、気にしないでおきます。甲高い警笛だけはよく覚えていて、とても気に入っています。

南海凸電 9 パンタグラフ改訂版

2021年4月26日

今年に入って、パンタグラフ周りのパーツを作ろうと思っていましたが、古いボケた写真を眺めていて、パンタグラフの幅が広すぎることに気がつきました。

このパンタグラフはLGBのパンタグラフのサイズで作ったので、幅もLGBそのままのサイズでした。この幅のままだとパンタグラフ周りのパーツを取り付ける場所がありません。

現物のサイズはわからないのですが、写真の雰囲気からすると、幅を2割くらい狭くする必要があるようです。そこで、幅70mmだった台座を55mmに、幅60mmだった骨組みを45mmに縮小します。骨組みの長さはそのままなので、横から見ると同じ形です。

台座を作り直す気にはならなかったので、中央をブッチリ切り取ってつなぎました。

両側には台座をネジ止めしています。この台座には碍子などを取り付けていくので、ハンダ付けをしてしまうと大変でした。横置き碍子はプラ板を加工しました。

実車の碍子止め金具は左右で少し違っているようですね。

全体を組み立てました。骨組はまだテープによる仮止めです。サイズと雰囲気は良くなりました。写真では試作中の屋根に載せています。

台座から真鍮棒がニョッキリ出ていますが、これはパンタを下げた状態にしておくストッパーです。他に方法が思いつかなかったし、それほど目立たないだろうと思います。

真似したLGB(右)との比較写真です。初期版より少し低く調整しました。

動きの動画です。音は出ません。

これでだいたいパーツは揃ってきたので、そろそろ塗装・組立の準備に進もうと思います。

南海凸電 8 今年の作業

2020年12月31日

凸電製作記事は1年2カ月ぶりです。この1年は時折に製作を続けてきましたが、ともかく資料が乏しく、詳細がぼやけた写真しかないので、具体的な造形がむずかしく、試作ばかりで時が過ぎていきました。

前後の凸部横の手摺りを1mmの針金で作りました。両端を叩いて延ばしています。

ハンダ付けしました。この手摺りは前後とも左側だけですね。

2019年まではキャビンの枠を2mm厚のシナベニヤ材で作っていました。

これを内側にして、クラフトロボで切り取った紙を外側に貼るという計画でした。

こんな感じでいいような気になっていました。

しかし、屋根も一体化すると、2枚以上を重ねるのがむずかしく、屋根の形状と側壁との関係をうまく作ることができません。さらに、ドアと運転席窓を開閉できるようにしたいと考え出すと、ベニヤの側壁は使えないことがわかりました。

計画を練り直して、側壁と屋根とを別々に作ることにしました。基本はクラフトロボで切り取った紙を使います。

側壁だけを切り出し、外側にはリベット模様を入れておきます。

2枚を貼り合わせ、屋根と接合する部分(雨樋)には、3mmのプラスチック半丸棒(ウエーブ製)を貼り、前後には1mm幅の半丸棒を貼りました。

真鍮のアングル材はいずれ床板と接する下部に貼る予定です。

この凸電のドア枠や窓枠はかなりの厚みがあり、適当なサイズの半丸棒の材料がないので、1.2mmの真鍮棒を枠に合わせて曲げて、ハンダで接着した後、1/3くらいをヤスリで削りました。ヤスリで削るために、板に枠の形に溝を掘り、上からヤスリをかけます。これはドア枠を削っているところです。

窓枠はこのようにできました。

これらを紙の側壁に接着剤で固定します。

ドア枠と窓枠を貼った状態です。

ドア枠と窓枠を貼った部分の隙間を溶きパテで埋めました。

運転席のある窓に真鍮板の庇を付けます。窓枠が真鍮なので、ハンダ付けで固定しました。

ドアの切り取りと組み立て(数枚を貼り合わせる)です。

これ以降、小さなパーツを真鍮で手作りしていくしかない状況です。

前後の凸部に点検口を開けて、蓋を紙で作って動きをチェックします。

実物の構造はよくわかりませんが、真鍮板で蓋を作り、開閉機構は自動車のボンネットヒンジみたいなものを作りました。

点検口の蓋にフックを取り付け、ドア横の手摺りを作りました。

ドア横の手摺りは紙の側壁に取り付けるので、固定用の針(0.5mmの真鍮棒)をハンダ付けして、穴を開けて固定します。

側壁の上部にフックのようなものがあります。これが何かはわかりませんが、作ってみました。

手摺りと同様に、取り付け場所に穴を開けて固定します。

側壁を裏から眺めたところです。

側壁の外側は終了しました。

次にヘッドライトです。いろいろと試作していましたが、昔、タグボートの組み立てキットで買っていた真鍮の丸窓枠を見つけたら、ちょうどヘッドライトに使えそうなサイズ(15mm径)でした。

その窓枠に合わせて真鍮板を丸めて胴を作り、ステイをハンダで取り付けました。裏蓋は紙とプラ板です。円錐の反射鏡はエポキシ樹脂で作りました。

電球は3mmの電球色LEDです。

少し奥行きが厚くなったかもしれませんが、まあ、これで良しとします。壁への取り付けは小さなネジの予定です。

手間のかかったのが前面にある通過標識灯でした。これは尾灯(赤色)と兼用らしいのですが、よくわからないので、尾灯ではなく電球色の通過標識灯(あるいはドイツ風の3灯式前照灯)にする予定です。

ぼやけた写真を見ながら、最初はクラフトロボで切り抜いて10枚以上を重ねて貼ってみました。

出来上がりです。Nゲージの犬釘で凸部を表現してみましたが、形も悪く、サイズが大きすぎたようです。

そこで、これをベースにして、薄い真鍮板で外枠を作り直してみました。上部の空気穴はプラ材です。

全く同じ形を4つ作るのは技術的に(不器用で)無理だったので、マシな1個をレジンでコピーすることにしました。出来上がりは以下(右の6つ)の通りです。

前部に取り付けるフックを1.2mmネジで取り付け、標識灯をここに引っ掛けます。

標識灯は少し大きめの感じですが、まあ雰囲気はあると思うので、これでOKとします。

LEDのテストです。光の透過性を調べているので赤を使っていますが、実際に使うのは電球色の予定です。

レジンで作ったパーツは透過性が高いので、内側と外側に遮光塗装が必要です。

2020年は以上の工作で終了しました。

これからは、可動式のドアや運転席窓を含めた内装、屋根の製作、塗装の下処理、組み立て、塗装という作業になります。春には完成させたいのですが、たぶん無理でしょうね。

(続く)

南海凸電 7 パンタグラフ自作

2019年10月24日

パンタグラフはずっとLGB製を使うかどうかを考えていました。

あらためて眺めて、やはり、斜めのトラス構造や上の集電部などの形が気になるので、自作してみることにしました。

構造はLGBを真似しますので、上下と横をスキャナーで寸法取りしました。

真鍮板は0.8mm厚、枠材は1.2mm径のステンレス(バネ)線です。

上の枠を取り付ける可動部分はラグ端子の細い穴(1.5mm径)の部分を切り取って使っています。枠の下部ができました。

フレームに取り付けてみました。これから細部の調整です。

ラーメン構造の横梁の取り付けは最後にしないと取り外しできません。そこで、直接のハンダ付けではなく、薄い銅板をハンダ付けしておいて、最後に巻きつけて固定する予定です。

集電部です。真鍮板を成型して、薄い銅板を摺り板としてハンダ付けします。

貼り付けて磨きました。

先端を曲げて、ステイで固定しました。

出来上がりです。ちょっと不揃いですけどね。

上部を作りました。仕上げ段階まではテープで仮止めしています。

組み上げた状態です。バネは3ミリ径の引きバネです。
調整のため、下部の横梁は取り付けていません。

この段階で気がついたのは、レイアウトにトンネルがあることでした。サイズのことをまったく考えていませんでした。

トンネル前で屋根に置いてチェックしてみました。

とんでもなく大きかった、という感想です。半分くらいにしたい気分です。これでも、ベースのフレームを屋根の形状に曲げて、数ミリは低くしています。

LGB(右)と並べてみました。

仕方がないので、ベースのフレームを小さくしてみました。

LGB(右)とほぼ同じくらいです。

これくらいが限界です。いずれにせよ、トンネルを通るときは架線を取り付けて下げる工夫が必要です。

LGB製は押し下げてフックで止めるようになっていますが、手製は最後は下がったままになります。

これはバネを取り付ける位置とバネの強さで調整できます。2つのパンタグラフの動きの動画です。音は出ません。

テープ止めにしている横梁は、塗装してから固定します。
いろいろ不出来な点はありますが、これでOKとします。試行錯誤でけっこう時間がかかり、延べ2カ月くらいの工作でした。

(続く)

南海凸電 6 床下終了

2019年9月30日

久しぶりの続きです。暑い夏の間もほんのちょっとずつですが、作業は続けていました。ともかく、ごく限られた外観写真だけで模型を作るのは大変です。写真を眺めながら、工作前の準備で大半の時間が過ぎていきます。作るべきパーツの形がおおまかにイメージできてから、技能レベルに合わせた材料選び(紙、木、金属、プラ)に進みます。

乗務員用ハシゴの位置決めは、車輪との干渉を無くすために、なかなか微妙な作業でした。

ハシゴを取り付けた床下機器取付板ができました。

個別の床下機器は実態がわからず、ボケた外観写真から想像しながら作っています。

主抵抗器は以前に木で作っていましたが、プラで作り直しました。

床板+鉄骨フレーム+床下機器を仮組みしてみました。

すべてをネジ止めにしているのは、塗装の時に分解するためと、失敗したときに作り直しやすくするためです。1つのパーツを作るのに何度も試行錯誤が続いてきました。

床板に紙製のキャビンと前後のカバーを置いてみました。キャビンを床板の上に置いたので、少し高くなっています。いずれ、床板の厚さ分、低くなります。こちらが運転席のある、いわゆる山側(公式側)で、左が和歌山方向、右が難波方向になります。

反対側(海側)です。

前面のブレーキホースを作ってみました。百均で買った1.5mmと1mmの針金をバネに通して蛇腹を表現してみました。フレームに貫通させて止める部分はM2(2mm)の小ねじを切り取ったものをハンダ付けしています。

フレームの前面パネルに取り付けてみたところです。車両の前後(難波向きか和歌山向きか)でちょっと位置が違うことがわかり、後で修正しました。

車両正面が下部のLGBの連結器だけだと間延びしてさみしいので、フレームに装飾として、KadeeのGゲージ用連結器を取り付けてみました。

横から見ると、当然ながら連結器の基準器とまったく合いませんが、雰囲気は出ました。こうやって眺めてみると、LGBの連結器が排障器のように見えて、不自然さを感じなくなりました(そうかな?)。

Kadeeの連結器は開放ピンが上に出ますので、ちょっと針金で細工して、実物のような開放動作ができる予定です。

以上で下回りは終了で、塗装待ちになります。

(「7 パンタグラフ自作」へ続く)

南海凸電 5 再再開

2019年5月3日

昨年(2018年)7月に記事を書いて以来です。
今年3月頃までは保護子猫たちの世話とかで、なかなか模型遊びの時間を持つ余裕がありませんでした。それでも、キャブの外形くらいはと思って、薄ベニヤの側板に合わせた屋根を紙で作ってみました。

しかし、屋根のカーブと側板との接合部がなめらかにつながりません。仕方がないので、側板と屋根を一体化した型をクラフトロボで切り出してみました。ギリギリのサイズでした。

1枚だけでは心もとないので、屋根部分を2mm弱ずつ広げた3枚を貼り合わせて、全体を作りました。側板は内張になりました。

屋根の前後の斜め部分は紙で表現するので、側板を少し切り取っています。

これでキャブ全体の外形がそれなりに整った感じです。

今年3月に最後の保護子猫アイの里親さんが見つかってから、あらためて製作途中の状態をじっくり眺めていたら、いろいろとおかしなところに気がつきました。

台車が大きいために、キャブの扉位置と動輪の位置が重なってしまっています。そのために、扉の下に梯子がありますが、台車と干渉してしまうので乗務員用ハシゴを取り付けることができません。仕方がないので、台車の位置をそれぞれ前方方向に1cmずらしました。

微妙な変更ですが、台車をずらすと、側面の鉄骨リベットのパターンもずれてしまいます。そこで、リベットのパターン板を切り貼りして、継ぎ目はパテで整えました。

以前は、この鉄骨と上の床板との張り出し補強部分(三角の梁)をプラ材で作りましたが、今回は0.4mm厚の真鍮板で作ってみました。

さらに、上の基板の穴が2つとも前方にずれることになりましたので、床板も作り直しました。以前と同じアガチスの100mm幅、厚さ5mmです。

そして、連結器の取り付けです。この車両ではLGBの貨車などを牽引する予定なので、LGBの連結器を取り付けます。先ずは高さと位置決めのために木製のステーを台枠に取り付けてみました。右側はLGBの貨車です。

この方法では格好よくないし、カーブで困りそうです。LGBの車両は基本的に台車フレームに連結器が取り付けられています。そこで、台車のモーター・フレームを開けてみると、なぜか、ネジ受けみたいな細工があることに気がつきました。モーター軸を長くする場合のためでしょうか。

この場所に穴を開け、窪みにナットを入れると、外からネジ止めできそうです。
0.8mm厚の真鍮板でステーを作りました。ナットをハンダで固定したのは、連結器を取り付けるためです。

連結器をネジ止めしました。

ちょうどいい案配で強度も十分です。いずれ、塗装します。

前部のバンパー・フレームを作りますが、切り出した0.8mmの真鍮板にリベットパターンを入れないといけません。それで、リベットパターン打ち器を取り出して試みてみました。この器具はきれいにリベットパターンを出せるのですが、横方向に一直線で打つことしかできません。このバンパーのリベットパターンは上下にもあるので、紙にスケールを印刷して、位置決めを試みてみました。

しかし、結果はお粗末でした。

セッティングに手間がかかる割に、不器用なズレがひどいです。それで、型紙を作って、手打ちのポンチを使ってみました。

リベットパターンは器具に負けますが、位置はOKなので、こちらを採用しました。

基板との位置調整です。基板のリベットパターンは真鍮釘を打ち込んでいます。

少しずれているようですが、まあ、こんなものでしょう。

次はやっと組み立てに入ることができるような気がしますが、どうでしょうか。

「6 床下終了」に続く

南海凸電 4 床下

このところ、いろいろな用事が続いていて、なかなか模型製作の時間が取れず、作業ペースが大きくダウンしています。

さて、実車の床フレームの下は周囲が鉄骨になっています。この部分は以前に作っていましたが、鉄骨の三角板の位置が違っており、また鉄骨(木製)そのものも歪んでいましたので、作り直しです。リベット表現をした薄い真鍮板だけは使います。

8mm幅の板材を鉄骨の梁部分としました。下側の鉄骨フランジプレート部分には420mmの長さが必要なのですが、プラ板では入手できませんでした。そこで、百均で買った0.75mm厚のPP板(ポリプロピレン)を使いました。ロータリーカッターで何とか切ることができました。

PP板と木の梁との接着はPP用接着剤を使っています。次の写真の上(マジックでマークが入っている)が以前に作っていたもの、茶色が今回作り直した鉄骨(木とPP材)です。下に剥がした真鍮板を置いています。

リベット表現した真鍮板を鉄骨の梁部分に貼って、パテで継ぎ目を埋めました。

0.5mm厚のプラ板で三角の補強材を作りました。

梁に接着していきます。

ちょっと弱そうなので、あとで接着剤を補充しておきました。

床下の鉄骨枠を床材に合わせて組みました。床材にはネジ止めする予定です。

床下にターンバックルで繋がれた鉄棒があります。ターンバックルはOzark Miniatures製の1/20.3を買っていたので、仮止めしてみました。このパーツは柔らかい材料(錫の多いソフトメタル)なのに線を通す穴が開いていなくて、穴あけに苦労しました。しかもちょっと大きいようです。

このあたりの縮尺・サイズの違いがけっこう問題になることがわかってきました。

シナベニヤを切り抜いたキャブの側面を置いてみました。ここでサイズ違いによる「誤算」の発見です。

誤算の原因は台車のサイズでした。鉄骨の三角補強材(白いプラ材)を実車と同様に台車の車軸位置と中心に取り付けたのですが、台車が10%以上大きいために、キャブの乗務員出入り口と台車とが重なってしまっています。これだと乗降梯子を取り付けることができません。

まあ、こういう誤算は常だし、台車を取り換えるわけにはいかないし、フレームから作り直す気にはならないし、このあたりの鉄骨部分は黒で塗装するし、ということで、実車とのズレを気にしないで、調整できる範囲で仕上げていこうと思います。

床下機器の資料が手に入らなかったので、実車の側面写真からタンクなどの小物をテキトーに木材を削って作りました。これらとターンバックルで床下の雰囲気は出るような気がします。タンクに穴が開いているのは、ドリル・レースで丸棒を削ったからです。仕上げ段階で蓋をします。少しパイピングも必要かもしれません。

(いずれ続く)

南海凸電 3 床フレーム

作りかけの床フレーム下の鉄骨(木製)を作り直すので、鉄骨を外していたら、そもそも台車の取り付け位置が違っていることがわかりました。

どちらの台車も内側にかなりずれています。アルミのチャンネルを再利用するために、それぞれの台車用に切り取って取り付けてみました。

この状態で当レイアウトの曲線部の走行に問題がないかをテストしておきます。大型模型用のデコーダー(ESUのLokPilot XL)をつないでみました。

このデコーダーは15年前に買っていたもので、バージョンはV1.1です。今はV4.0になっているようですが、どう改良されているのか調べていないのでわかりません。モーターのテストをした限りではHO用のデコーダーでも問題ないかもしれません。

一番きつい曲線走行のテストをしました。ここはヤードの中で、R1(直径1.2m)の曲線と分岐器が連続していて、大きな機関車は通過できないところです。音が出ます。

デコーダーが車両限界を超えていて柱にぶつかりましたが、走行は良好です。走行音が静かすぎて物足りない感じです。

しかし、これからキャブ(運転室)を取り付けることを考えたら、台車用の穴が大きすぎてキャブに穴ができるし、キャブ内にアルミのチャンネルがはみ出してしまいます。そこで、すでに作ってある(手直しは必要ですが)前後の機械室カバーの中に収めるように変更しました。

まず、穴を板材で埋め、パテで整えて、アルミ・チャンネルを短くして、機械室カバーに入るようになりました。

機械室カバーにぎりぎり収まりました。

この状態で走行テストです。

床下周りの鉄骨を作る前に、連結器の取り付け位置を確認しました。LGBの連結器を取り付ける予定です。

LGBの連結器は低いので、前面の鉄骨パネルの下になりそうです。

あらためて床フレームをじっくり眺めていると、板がかなり歪んでいることに気がつきました。熱湯をかけて、

厚い板で挟み、

緩んだ接着剤を手入れして、その後は工作するまでアルミのアングルで固定しておきます。

(4に続く)

南海凸電 2 台車

2018年5月26日

台車モーター部を清掃してから、あらためて「藤井信夫著 南海電気鉄道(車両発達史シリーズ6)下巻 関西鉄道研究会発行 1998」を読んでみると、初期モデルの台車はブリル社(米国)の製品で、電車用を転用したそうですが、その後の製造・改造で日本車輌製造製のD16を使う車両が増えたようです。

日本車輌のDシリーズ台車(14や16などの数字は台車への荷重上限トン)は米国ボールドウィン社製台車のデッドコピー(模倣製品)で、戦前の私鉄に多く提供されていたそうです。今は新幹線(リニアも)の車両を作っている日本車輌も戦前はデッドコピーを作っていたのですね。

Aristo-Craft製の台車側面のモールド(型取り)を眺めると、D16と同形式のイコライザー(釣り合い梁:荷物の持ち手みたいな形状で2つの車軸をバネで押さえているパーツ)が付いていますが、左右のバネが2個ずつ(D16は1個ずつ)になっていること、軸箱が丸い(D16は四角)ことなど、D16より大型で新しい雰囲気です。

ちなみに15年前、台車フレームの前後にあった不要な部分を大胆にナイフで汚く削り取っていました。ネジで取り付けられているだけなので、すべてばらしました。

軸受けはちゃんと車軸が入るようになっていて、2つの軸箱は可動式で、イコライザーが軸箱をバネで押さえているのですが、モーター部から出ている車軸は短く切り取られていて、軸受けには入っていません。モーター部を外して、別の車輪を入れることも可能なようです。

いろいろと悩んだ結果、この台車側面モールドを加工して、D16台車の雰囲気を出すことにしました。コイルバネを外側だけにして、板バネ周りのパーツを作り、軸箱を四角に変更する、という作業計画を立てました。

試しに、内側のバネ取り付け部分と軸箱をミニルーターで切り取ってから、中央の板バネ周囲のパーツを真鍮板(と木片)で作ってみました。「なんちゃってD16」としては悪くなさそうです。

板バネ周辺のパーツを4つ作りました。これは塗装してからフレームにエポキシ接着剤で固定します。

四角の軸箱は木と紙で作りました。9mmの角材を斜めに切って土台とし、クラフトロボで蓋の形状を切り取って貼りました。この蓋は強度と厚さを得るために2枚を貼り合わせています。1個は予備です。

紙の蓋の両側にある留め具の表現にはリベット表現用の工具を使いました。真鍮などの金属板に小さな突起を当ててリベットのような膨らみを出す工具です。直線上にリベットを連続して表現するための左右移動ノブが左奥に付いていますが、今回は1個だけです。

こういう工具を購入していたことを思い出したのも、作りかけの機関車のリベット表現を見たからでした。軽く押せば紙にも使えました。

いろいろと小物を作っていたときの写真です。

すべてのパーツを塗装しました。小物をパテで整えて、ミッチャクロンマルチを下塗りして、光沢のある黒をエアブラシ塗装しました。

フレームとイコライザーも同色で軽く塗装しておきました。

組み立てたら、D16台車のできあがりです。

床フレームに取り付けてみました。

まあまあの雰囲気です。

角材を削って、砂箱も作ってみました。砂箱は取り付けて走行に支障がないことを確認してから仕上げをする予定です。

ここまでの作業で2週間ほどかかりました。相変わらず、資料を眺めながら考えている時間のほうが長いですね。次は床フレームの見直しです。

(3に続く)

南海凸電 1 再開

2018年5月14日

 次に作るHO(16番)真鍮キットをどれにしようかと考えていて、作りかけのGゲージ模型があったのを思い出しました。もう15年くらい前ですが、LGBのGゲージを楽しんでいて、何か日本の車両も欲しいと思って作り始めたものです。モーター付き台車とパンタグラフはパーツを購入しています。

モデルは子供の頃によく眺めていた南海電鉄の電気機関車ED5101形です。南海の貨物輸送で活躍していました。この形式の車両は大正時代に製造されて、いろいろと改造されつつ、1970年代に廃車されています。1984年に南海の貨物輸送が終わるまで、後継機としていくつかの形式がありましたが、馴染み深いのはこのモデルです。

1960年代に撮った写真が1枚だけ残っていました。運転室(キャブ)が中央にあり(センター・キャブ)、前後が凸型になっているので、凸型電機(凸電:とつでん)と呼ばれています。子供の頃は「デンカン(電関)」と呼んでいました。

南海本線は大阪湾沿いを走っています。この写真の列車は和歌山に向かっていて、山側の側面になります。運転席はキャブの中央に1つだけで、写真で中央窓が開いているところにありました。運転士は窓を背にして海を向いて座り、顔を横向きにして運転していました。この方向はすべての機関車で固定されていました。

残念ながら、写真の車両番号は読み取れません。この車両は前面窓の中央にパイプがあるのが特徴で、資料をいろいろと探しましたが、こういう車両は見つかりませんでした。たぶん、前面窓を4つから横長の2つに変更した名残でしょう。まあ、この車両に特に思い出があるわけではないので、資料写真を集めたED5105~10あたりを目安にします。

もちろん、本格的なスクラッチ・ビルディングを目指すわけもなく、簡単な材料で雰囲気が出るといいな、という製作目標です。久しぶりに取り出して、続きをやってみることにしました。

作りかけのパーツをチェックしました。まだまだこれから、という状態です。車両図面をどこかで見つけて、Gゲージ用(だいたい1/25)にサイズを合わせて型紙を作っていました。この図面はかなり初期の頃のモデルらしく、ポール集電で、乗務員用扉の位置が逆になっています。調べたら、雑誌TMS(鉄道模型趣味)折込の設計図シリーズ(1/50)で、最初の機関車1001-1004の図面でした。2倍サイズにコピーしたようです。

前後の凸部(機械室カバー)は一応作ってあって、銅板を天板に、真鍮板を側面に使っています。真鍮板にリベット模様を打っていて、手摺りは船舶模型のパーツを使っています。

裏側はいつも通り、不慣れなハンダ付けをしています。少しやり直さないといけません。

キャブは1.8mm厚のシナベニヤを切り取って、一部を作っていますが、寸法を調べてみると合っていませんでした。屋根だけは使えるかもしれません。

屋根材に置いたパンタグラフはLGBのパーツです。支柱が斜めのトラス構造ですが、実物は上の写真にあるように集電部と平行の支柱によるラーメン構造でした。戦前にはトラス支柱のパンタグラフも使われていたようですし、三重県の国見山鉱山に移ったED5108?がトラス支柱に交換されたようですが、記憶にあるイメージと違うので、どうするか悩むところです。

フレームは5mm厚の板材に穴を開けて、両側下にリベット模様を付けた薄い真鍮板を貼った板を取り付けています。三角の梁を木片で作っていることと位置がずれていることが気になります。台車用の穴の開け方は乱雑ですが、見えないからいいやというポリシーですね。フレームは基本的に使えそうです。

台車は米国の模型メーカーAristo-Craft製Gゲージのディーゼル機関車(FA-1)用パーツです。Aristo-Craftはリーマンショック(the great recession)で廃業したそうです。完成品はあまり興味はなかったのですが、LGBよりずっと安価で、こういうパーツを販売していたので、残念です。台車を固定する金具はアルミのチャンネル材に座金をエポキシ接着剤で貼っています。

モーター付き台車を購入してから15年経過して、まったく動かしていないので、動作テストをしてみました。2つの台車をローラー台に載せて、Nゲージ用のDC電源で動かしてみます。

2台ともに動くことは動くのですが、回転が鈍く、この電源(定格500mA)ですと、2台一緒だと3ノッチあたりで止まってしまいます。グリースを塗り直すために台車を分解しました。

この写真で、モーターの右側はウォームギアで固定されており、左側はジョイントを介してギアがカバーに入っています。カバーを開けると、こちらにもウォームギアが入っていました。上の写真と左右が入れ替わっています。

とても単純な作りですが、こちらの車軸は可動式になっていて、それなりにレール追従の向上が図られているようです。

2つのウォームギア、金属ジョイントに塗られたグリースは劣化してオイルが分離していました。洗浄するのは大変なので、綿棒と爪楊枝などで剥がして、グリースを塗り直しました。

動きはこんなものでしょうね。音が出ます。定格500mAのコントローラで2台を思い切り回すことができました。

この小さな機関車にモーター2台は行き過ぎの感があります。検討課題です。

ともかくこれで15年前の状態から再スタートです。これからあらためて各部分をどの程度に作っていくかの方針を考えます。3ヶ月くらいで完成させたいのですが、どうなるかわかりません。

(2に続く)