南海凸電 2 台車

2018年5月26日

台車モーター部を清掃してから、あらためて「藤井信夫著 南海電気鉄道(車両発達史シリーズ6)下巻 関西鉄道研究会発行 1998」を読んでみると、初期モデルの台車はブリル社(米国)の製品で、電車用を転用したそうですが、その後の製造・改造で日本車輌製造製のD16を使う車両が増えたようです。

日本車輌のDシリーズ台車(14や16などの数字は台車への荷重上限トン)は米国ボールドウィン社製台車のデッドコピー(模倣製品)で、戦前の私鉄に多く提供されていたそうです。今は新幹線(リニアも)の車両を作っている日本車輌も戦前はデッドコピーを作っていたのですね。

Aristo-Craft製の台車側面のモールド(型取り)を眺めると、D16と同形式のイコライザー(釣り合い梁:荷物の持ち手みたいな形状で2つの車軸をバネで押さえているパーツ)が付いていますが、左右のバネが2個ずつ(D16は1個ずつ)になっていること、軸箱が丸い(D16は四角)ことなど、D16より大型で新しい雰囲気です。

ちなみに15年前、台車フレームの前後にあった不要な部分を大胆にナイフで汚く削り取っていました。ネジで取り付けられているだけなので、すべてばらしました。

軸受けはちゃんと車軸が入るようになっていて、2つの軸箱は可動式で、イコライザーが軸箱をバネで押さえているのですが、モーター部から出ている車軸は短く切り取られていて、軸受けには入っていません。モーター部を外して、別の車輪を入れることも可能なようです。

いろいろと悩んだ結果、この台車側面モールドを加工して、D16台車の雰囲気を出すことにしました。コイルバネを外側だけにして、板バネ周りのパーツを作り、軸箱を四角に変更する、という作業計画を立てました。

試しに、内側のバネ取り付け部分と軸箱をミニルーターで切り取ってから、中央の板バネ周囲のパーツを真鍮板(と木片)で作ってみました。「なんちゃってD16」としては悪くなさそうです。

板バネ周辺のパーツを4つ作りました。これは塗装してからフレームにエポキシ接着剤で固定します。

四角の軸箱は木と紙で作りました。9mmの角材を斜めに切って土台とし、クラフトロボで蓋の形状を切り取って貼りました。この蓋は強度と厚さを得るために2枚を貼り合わせています。1個は予備です。

紙の蓋の両側にある留め具の表現にはリベット表現用の工具を使いました。真鍮などの金属板に小さな突起を当ててリベットのような膨らみを出す工具です。直線上にリベットを連続して表現するための左右移動ノブが左奥に付いていますが、今回は1個だけです。

こういう工具を購入していたことを思い出したのも、作りかけの機関車のリベット表現を見たからでした。軽く押せば紙にも使えました。

いろいろと小物を作っていたときの写真です。

すべてのパーツを塗装しました。小物をパテで整えて、ミッチャクロンマルチを下塗りして、光沢のある黒をエアブラシ塗装しました。

フレームとイコライザーも同色で軽く塗装しておきました。

組み立てたら、D16台車のできあがりです。

床フレームに取り付けてみました。

まあまあの雰囲気です。

角材を削って、砂箱も作ってみました。砂箱は取り付けて走行に支障がないことを確認してから仕上げをする予定です。

ここまでの作業で2週間ほどかかりました。相変わらず、資料を眺めながら考えている時間のほうが長いですね。次は床フレームの見直しです。

(3に続く)