PCの組み立て

2023年2月21日

自宅コンピュータの歴史は1980年代に入ってからで、MacintoshやPC-88~98、IBM PC互換機などの後、Windowsになってからは、いつもBTO(Build To Order:パーツの組み合わせを選んで組み立ててもらう完成品)のフルタワー型でした。大阪移住後はミニタワー型に変えました。

これまではだいたい5年ごとの入れ替えで、古くなったほうを鉄道模型用などに回してきました。そういうサイクルで、今回は初めて、そしてたぶん最後の経験として、PCパーツを購入して、自分で組み立ててみようと思い立ちました。

これはPCの自作と呼ばれるようですが、スクラッチビルドの模型自作とは違って、必要なパーツを購入すれば、組み立てそのものは規格品のネジ止め作業で、1~2日で済む内容です。ただ、これまで使ってきたソフト、特に、入れ替えで再認証が必要なソフトがけっこうあるので、新PCの状態を整えるには1週間くらいかかるだろうという見込みでした。

5年前に購入したBTO機のCPUはインテルの第8世代core i7 8700Kで、ケースはSilverStoneのミニタワーTJ08-Eでした。

大きな不満はなかったのですが、PDF作成や画像処理で待ち時間が少し長いと感じていました。PCケースは気に入っていたので、新PCのケースに使う予定でしたが、小さいmicroATXのマザーボードを180度回転させて取り付ける方式で、CPUクーラーが制限されるのであきらめました。

今年に入って、インテルのcore i7第13世代の13700が発売されたので、これを採用することに決めました。初値から値下がりして落ち着いてきたようですが、それでも全体予算の1/3を超えています。半年くらい先にしたほうがよかったかもしれません。

強力なグラフィック・ボードを必要とするゲームはやらないので、旧CPUでも内蔵グラフィック(Intel UHD Graphics)で問題がなかったし、今回も内蔵の(630から770へと進化した)グラフィック機能で十分です。ただ、CPUクーラーは付属品では心許ない感じなので別途購入することにしました。

CPUに合わせて、ATXマザーボードはmsi社のPRO Z790-P DDR4、CPUクーラーはDEEPCOOL社のAK620、DDR4メモリーはCrucial社の32GB(16GBx2枚) DDR4 3200MT/s、SSDはCrucial社の1TB(P5 Plus CT1000)、電源はANTEC社の750W(NeoECO Gold NE750G M)にしました。Windows 10はDSP版(最初に使うマザーボードに利用が限定される製品)のプロダクトキーを購入しました。いずれも価格の安い通販店舗を調べて、バラバラの購入です。

ケースは正面上部にスイッチやLEDがあるSharkoon社のミドルタワー(VB7)を選びました。これまではミニタワーで机の上に置いていたのですが、机の上をすっきりさせようと思い、机の下に置いてもスイッチに手が届きやすい高さにしました。

最初の組み立て作業として、マザーボードにCPU、メモリー、SSDを取り付けました。

CPUクーラーAK620を取り付けました。なかなかデカいですね。

このクーラーはファンとフィンが2つずつで、交互に重なっています。空冷では一番大きいサイズかもしれません。本当にこんなサイズが必要なのか、勉強不足でよくわかりません。いずれ温度を調べてみることにします。

ケースにいろいろと旧PCから取り外したBD(ブルーレイ)ドライブ、HDD(ハードディスク)などを組み込みました。CPUクーラーが横になって重いので、下から支える木片を置いてみました。そう言えば、旧PCのSilverStoneのケースにはCPUクーラー支持装置が付いていました。

3.5インチのHDDは電源と同じ位置(ケースの下部)に2台は収納できます。アクセスは逆側です。

でも、旧PCからの保存データHDDをもう2台詰め込まなければなりませんが、そのままでは取り付けできません。古いPCケースで余っていた金具にHDDを2台マウントして、木の板で床を作って、ケース下部に収納しました。

この場所は大きな空間になっているので、ネジ穴を開けて固定することも可能なのですが、コンピュータを移動させる予定はないので、このままにしておきます。

以上の組み立て作業に4日かかりました。これからはソフトウェアの構築になります。

最初でつまずきました。USBメモリーによるWindows 10のインストール作業に入ったら、上の写真でマザーボードにつないでいるLANケーブル(緑色)ではインターネットに接続できません。Windowsのインストールが途中で止まったままになりました。

この現象を旧PCでいろいろと検索調査してみたら、マザーボードの初期設定の問題らしいことがわかりました。この場合、何らかの方法でインターネットに接続する必要があるようです。要するに、USBかPCIEでつなぐLANアダプターを購入しなければならないということのようです。

仕方がないので、翌日配達になる通販で一番安価(送料込みで1,280円)なLANカードを注文しました。USB接続にしなかったのは、マザーボードのLAN回路が壊れていたら、そのまま取り付けておく必要があるためです。でも、そうなったらマザーボードの交換でしょうね。

ともかく、翌日、LANカードが到着しました。

LANカードを取り付けたら、あっさりインターネット接続ができて、プロダクトキーの認証も終えました。その後、msiのマザーボードのドライバー更新などが自動で行われて、マザーボードからインターネット接続が可能となり、LANカードはお蔵入りになりました。BTO完成品購入であれば不要な手間と費用がかかったわけです。CPUクーラーのサイズ問題(ケースに入るかどうか)などと同様に、思いもよらぬ計算違いが自作のリスクと言えるのでしょうね。

Windows 10が動き出してからは旧PCと両方を使いながら、ソフトのインストール、移行認証などを終えるまで10日ほどかかり、2月20日に旧PCから新PCへの置き換えが完了しました。組み立て作業開始から2週間かかったことになります。

Windows 10のままですが、これからすべての重要なソフトが問題なくWindows 11で動くかを確かめて、問題がなければ11に移行する予定でいます。

新PCは予想通り、ハードディスクのデータ処理では旧PCとの違いは感じられませんが、PDFファイルの作成や動画ファイルの変換・編集などでは、これまでの「待っている感」がなくなりました。

PC組み立ては難しくはありませんが、商品知識の無さから生じるちょっとしたトラブルがけっこう手間になることを知りました。BTOが気楽と言えますが、まあ、結果オーライだったので、今回は楽しい作業だったと言えます。

HDD・SSDの交換とクローニング

2022年10月26日

月に一度くらい、CrystalDiskInfoという無料アプリを使ってメイン・コンピュータ(インテルCore i7の8700K)のストレージ・ドライブ(記憶装置:SSDやHDD)を観察しています。CrystalDiskInfoはストレージ・ドライブが記録しているS.M.A.R.T.情報(ドライブの状態をあらわす指標)を読み取って表示するアプリです。利用の主目的はWindows10のドライブCとして使っている500GBのSSD(Solid State Drive)の状態をチェックするためです。

10月に入って、SSDではなく、他のHDD(ハードディスク・ドライブ)の状態が悪くなってきました。問題となったHDD(4TBのドライブD)は自炊本PDFを含む文書、CDの音源データ、写真データなど、ほとんどのデータを収納していて、現在は3TBほどの量になっています。このドライブが「注意」状態になりました。CrystalDiskInfoの画面です。

その原因は「代替処理保留中のセクタ数」がゼロではなくなった(1になった)ことです。これはハードディスクの記憶貯蔵の基本単位であるセクタの読取りミスが起こっていて、別のセクタに代替させる必要がある、という意味のようです。これが増え出すとハードディスク面に何らかのトラブルが起こり始めたサインとされています。

ドライブC(SSD)とドライブDはコンピュータ購入時(2018年3月)のもので、4年半が経過しました。現在のドライブDの電源投入回数は2,641回、延べ24,399時間の使用となっています。ドライブDはドライブCと同様にアクセスの多い、それだけ重要なストレージなので、毎日のようにBunBackupという無料アプリを使ってNASにバックアップを取っています。

また、ドライブDと同じサイズ(4TB)の外付けHDDに、月に1回はドライブ単位でミラーリング・バックアップを取っていて、ドライブの中身を同じものにしています。

「注意」状態になってから、ドライブDからドライブH(外付けHDD)にバックアップしたら、初めてのアクセス・エラーが起こりました。BunbackupがドライブDの画像ファイルをコピーできなかったようです。このファイルを貯蔵するセクターが壊れた可能性があります。

このファイルをドライブDから削除し、NASバックアップから戻すと、一見、問題は見えなくなりました。でも、こういうことが起こると気になるので、重大なエラーが起きる前にドライブDを交換することにしました。

交換用に注文した4TBのHDD(WD社のBlue)が届きました。

コンピュータからドライブDを外したらWDのRedだったので驚きました。Red(Blueより高価)ならもっと長く持ってほしかったという驚きです。

HDDの交換そのものは新しいドライブへのデータ書き込みに4時間ほどかかるだけの簡単な作業ですが、不要となったHDDを廃棄する前にデータを完全消去するか、分解して強力マグネットやトルクスねじを回収するかを選んでいます。

せっかくのWDのRedなので、分解はもったいないと思い、今年の春に買っていた玄人志向社のKURO-DACHI/CLONE+ERASE/U3という長い名前のドッキングステーション(消去器+クローン器)でデータを完全消去しました。8時間近くかかりました。

このドッキングステーションは便利ですが、付属している12VのACアダプター(左)が能力不足のように感じて、手持ちの12V・60WのACアダプター(右)を使っています。

データを完全消去したHDDを念のためにドッキングステーションに乗せたままでCrystalDiskInfoでチェックしてみると、問題が消えていました。

こういうこともある、と喜びましたが、不安は残るので、重要度の低い別の用途に使うことにして、保管しておくことにしました。

玄人志向のドッキングステーションはドライブCのクローン・コピーもできるので、5年目にはSSDのクローニングをやっておきたいと考えていました。HDDを注文した段階で現在使っているSSDと同じ製品(Crucial社のMX500)が割安になっているのを見つけたので購入してしまい、予定より半年ほど早いですが、クローン作成が有効かを試してみました。

まったく同じ製品なので、スロットに入れ間違えそうです。あとはボタンを押すだけです。

500GBなので、クローニングは40分ほどで終了しました。新しいSSDをコンピュータに装着し、電源を入れて立ち上がるまではドキドキでしたが、あっさり普段通りに動きました。ライセンスのからんだソフトもすべて動いています。クローニング成功です。

SSDの状態比較(CrystalDiskInfo)です。左がクローン前の古いドライブC、右がクローン後の新しいドライブCです。

古いSSDは4年半で寿命残が79%となりました。2カ月半で1%減るという計算ですが、時間より、データの書き込み量が寿命を決める主要因です。総書き込み量は現在46TB強になっていて、Crucial社はこのSSDの耐久性を180TBとしていますので、1/4を超えたところです。このSSDも別の用途に使うつもりです。

電源投入回数は2,700回ほどで、交換したドライブDと同じくらいですが、使用時間は9,450時間となっていて、ドライブDの2万4千時間と比べてとても少ないのはなぜなんでしょうね。SSDのS.M.A.R.T.情報は書き込み量以外はおおまかなのかもしれません。

まだまだドライブCの交換は必要なかったと思いますが、重要な消耗部品を5年くらいで交換するのはリスク回避のつもりです。これまでは5年で次のコンピュータを決めるサイクルになっていたという気分もあります。

現在のCPUはインテルCore i7の第8世代で、初めての内蔵UHDグラフィックスですが、この4年半、ネット配信映画鑑賞程度ではグラフィックスに不満は感じません。高価で電力消費の大きいグラフィック・ボードが必要なゲームや4K動画編集などに興味がないからか、次期コンピュータを探す気持ちは高まっていません。検討開始はCPUが第15世代あたりの時期になるかもしれません。