ケネディ暗殺関係文書公開

2017年10月31日

JFK(ケネディ大統領)暗殺関係の文書が先週10月26日に公開されたというニュースがありました。JFK暗殺事件は衛星中継での最初の報道、2日後には犯人とされるオズワルドの射殺場面もテレビで観ました。表のニュースしか知らない頃で、43歳で合衆国大統領になったJFKはヒーローでした。20年近く経ってボストンのケネディ記念館を訪ねましたが、もう興奮が甦ることはありませんでした。

1964年のウォーレン委員会報告書を否定するような文書があるなら、すでに大ニュースになっているでしょうが、そういうものはなさそうですね。それでも、どんな文書が公開されたのか少し興味を持ったので、National Archives (国立公文書記録管理局)のサイトを眺めてみました。

トップページにJFK暗殺の記録文書を公開したというボタンが出ています。それをクリックすると、「JFK暗殺記録」というページに飛んで、ずらっと文書が並び、すべてをPDFで読むことができるようになっています。

今年になって公開された文書はどれくらいあるかを見ると、7月24日に公開された分が3810、10月26日公開が2891となっています。とてつもない数字なので、ページ毎に眺める気にもなりませんが、掲載されている文書タイトルなどをエクセルファイルでダウンロードできるようになっています。

このエクセルファイルをダウンロードすると、こういうデータが詰まっています。

1行目の列項目名でデータの範囲を選択できるため、内容を絞ることができます。しかも、左端の列にある文書番号をクリックすると、その文書のPDFがダウンロードされます。

これはなかなかのサービスだと喜んで、興味深い文書はあるのかなと、チェックしてみたくなりました。とりあえず、1963年11月22日の暗殺事件直後あたりの機密文書がどれくらいあるかを期待半分で調べてみました。その結果です。

1963年の文書は18本しかありません。しかも事件後は11本だけでした。

オズワルドの単独犯とは言えないという話題は暗殺直後から出ていました。映画「JFK」あたりは興味深いのですが、いろいろな憶測ばかりで、証拠となる事実解明はなされていなかったようです。今回の文書公開はそのあたりの事実が出てくるかが焦点でしたが、何かキーとなる文書が存在しているのかどうかは不明のようです。

1963年の事件後の文書をいくつか読んでみました。そのうちの一つ、11月28日の文書は、メキシコ・シティからCIAへのメモで、LITAMIL-9 と LITAMIL-7 というコード名からの報告です。LITAMILって何かわからなかったのですが、ネットで検索すると、当時のメキシコ・シティのキューバ大使館にいた、キューバとCIAのダブル・エージェント(密告者?)だったようです。今時はネットでこういうこともわかるのですね。

報告の内容は、(1) ある女性がオズワルドと会ったときの話、(2) 11月23日のメキシコのキューバ大使館では暗殺についてはショックで、議論はほとんどなかった、(3) LITMAL-7の話は特に詳細はなく、LITAMIL-9 、LITAMIL-7 もオズワルドがキューバ大使館に現れたということは知らない、というような内容に読めました。でも、このメモは、LITAMILを調べたサイトでは既知だった内容のようです。すでに知られた内容と新しい内容の違いは、素人が突然に読んでみてもわかるものではなさそうです。

ニューヨーク・タイムスのサイトを眺めると、今回の記録公開についての解説記事がありましたが、あれだけの数字の文書なので、記者が読んだ結果というものではなく、大学の専門家チームの第一次印象報告のようなものでした。専門家の印象は公開された資料はゴチャゴチャ(mess)だ、というものですが、チームがこれまでに読んだ限りは、メキシコでの協力関与についてのメモが多いということで、私が数編読んだメモもそんな雰囲気でした。

ニューヨーク・タイムスは、膨大な数の文書・メモなので、読者が読んだ文書の中で興味深いものを見つけたら、ぜひ知らせてほしい、と書いています。こういう資料解読を熱心にする人は多いのでしょうね。

CIAの要請でトランプ大統領は、機密期限が切れても、当面、すべての資料を開示することはしない可能性があるし、公開されてから1週間以上経ちましたが、特にニュースは出てきていないので、今回の資料はすでにわかっているような内容ばかりなのかもしれません。

それにしても、よくまあこれだけの細かなメモの類いを残して、公文書としてきちんと整理保存していることに感心します。重要事件に関するこういう保管作業は不可欠でしょうし、そういう資料の中に様々な仮説が証明・反証される「宝」が眠っているのかもしれません。でも、保存資料がはたして真実を伝えているかどうかがわからないでしょうから、結局はこのまま時は過ぎていくのでしょう。

追記(11月4日)
11月3日に676件の追加公開がありました。どうも、ビッグ・ニュースはないようです。