トンネル製作プラン

しばらく模型鉄道の記事を投稿していませんでしたが、工作はそれなりに続けています。

当模型鉄道はこれまで、車両走行とサウンドを楽しむ機能だけを重視していて、シーナリーは考えていませんでした。ただ、駅は設けないと、列車を停車させる場所が決まらないので、キットを買って簡単に整備していました。

レイアウトの外から運転操作を楽しむにはこれで十分と考えていたのですが、2015年6月に横浜の原鉄道模型博物館を再訪したとき、機関車の運転席に取り付けたカメラによるライブ映像に感心してしまいました。列車の運転席から眺める景色は格別です。原鉄道模型博物館のような業務用システムの導入は無理ですが、wi-fiカメラという簡易な方法で可能なら、楽しさが倍増しそうです。

そこで、2015年夏頃から、HOと1・Gの先頭車両にwi-fi(wifi)カメラを搭載する方法を模索する一方で、運転席から見えるシーナリーを少しは造っておこうかと考え始めました。まともなシーナリーを造作するスペースも技術もないので、できるだけ手間省きなものを作ろうと計画しまし た。その一つがトンネルの内部です。

N、HO、1・Gいずれも、トンネル部分はありますが、手前側の出入口にはトンネル・ポータル(入口部分の成形パーツ)を板に貼り付けただけで、内部は枠だけの空洞でした。奥の出入口はトンネル・ポータルも付けず、単なる開口部になっていました。

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問題は、いずれのゲージもトンネルが曲線区間にあることです。直線区間なら簡単に作れそう?なのですが、曲線部分のトンネルはむずかしそうです。1・Gでは建築限界測定車(おいらん車と呼ばれています)を作ろうかと考えましたが、まあ、はみ出しが大きいのは、Gゲージのシェイ機関車と1ゲージの客車なので、この2つの車両で調べることにしました。

曲線トンネルを作る方法を考えていて、思いついたのがフレキシブル・アルミダクトでした。これをカーブに合わせて延ばしていって、下の部分を切って、内側にパテを塗ればいいかと考えました。

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試しに、HOでカーブに合わせて仮置きしてみました。何とか使えそうです。

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この写真で、現在のトンネル内部が角材と壁だけの大きな空間であるのがよくわかります。普段は手前を板で隠しています。

アルミダクトでうまくいきそうだったのですが、工作を始めようとした段階で、アルミダクトが電磁シールドになるのではないかと心配になりました。Androidのwi-fiチェッカーで調べてみると、wi-fiカメラにアルミダクトをかぶせたら10dbくらいの減衰がありました。

wi-fiカメラ搭載が前提なので、とりあえずアルミダクトの採用をペンディングにして、先ずは木と紙で1・Gのトンネル内部を作ってみることにしました。1・Gのサイズになると、アルミダクトだけでは不安定で、ベニヤ板などで補強・固定する必要がありますので、手間は同じようなものです。

本の自炊

これまで引っ越しをするたびに本を詰める段ボールの数が増えていました。大阪に戻るのを機会に、不要となった本や雑誌は思い切って廃棄し、そのまま残したいものを除いて、残りの本や雑誌を電子化して、PCやタブレットで読むことができるようにしました。本の自炊です。

使っているスキャナーは、FUJITSUのScanSnap S1500とEPSONのA3対応のES-7000Hです。600dpiあたりがきれいなのですが、読み込みがかなり遅くなるので、ほとんどを300dpiでスキャンしています。画集などはそれ以上にすることもありますが、とても時間がかかり、印刷本ですから精細度は大して変わりません。

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この写真では、ES-7000Hの上に余計なものが載っていますが、下の手製戸棚のふたをニスで塗った直後でした。左奥にS1500を置いています。

S1500はA4以下のサイズの書籍で、背表紙部分で裁断すれば、とても効率的にPDFファイルができあがります。裁断には丸刃を動かす裁断機を使っています。梃子式の押し切り裁断機のほうが分厚いまま切ることができますが、刃がなまってきたり、歪むことがあったので、刃を交換できる丸刃式でやっています。

先ずカッターで背表紙あたりをばらし、30~50ページくらいに切り分けます。ページの切り分けは裁断機に入る厚さです。裁断する場所は基本的に左右の余白を等しくさせますが、写真などが余白なしに入っている場合は、ぎりぎりに裁断するか、裁断なしで、手で糊を剥がすだけのこともあります。ページの端がギザギザになっても、S1500で読み込むと、まっすぐな端になります。

厚い表紙や表紙カバー、A4を超えるサイズの本や雑誌の場合、さらに、裁断したくない本の場合は、別途にES-7000HでスキャンしてJPEGファイルを作ります。裁断しないでスキャンするのは手間と時間がかかりますが、本を開いてA3に収まるなら、2ページ単位でスキャンして、そのJPEG画像を半分に切って、1ページ単位のファイルを作ります。画像切断の処理はImageDividerという無料ソフトでやっています。大型本は1ページずつのスキャンになってしまいます。

これらのファイルを合わせて1冊の本のファイルを作るときには、S1500に同梱されていたAdobe Acrobat X Standardを使っています。FUJITSUの新製品はAdobeから離れたようで、もうこのソフトは付いていないようですが、時々バージョンアップがあり、とても重宝しています。でも、今年でバージョンアップ終了になりました。

出来上がりの電子本の印象は、さすがにES-7000Hは現物に近い発色(補正はしません)ですが、S1500はかなりの色違いが出ます。でもまあ、画集などでない限り、実用にはS1500で差し支えありません。

外出時はiPadミニで、アプリはi文庫HDを使っています。一時は初期のNexus7にもi文庫HDを入れていましたが、Android版のi文庫HDは別会社が作っていたらしく、これも有料なのにとてもひどいもので、その後、消えました。このアプリに腹を立てた人は多いと思います。Nexus7は画面が小さいこととあいまって、快適ではありませんでした。

PDFファイルに電子化する場合も、適切なサイズという面はあります。文庫本は電子化に最適かもしれません。文庫本は裁断に勇気が不要ですし、iPadミニでもページの表示がかなり大きくなり、画面設定で余白を切り取れば、とても読みやすくなります。もちろん、青空文庫のように文字サイズ変更ができる電子本には及びません。逆に、大型本は画面が小さくなって、迫力がなくなります。PCで30インチ以上の画面が欲しくなります。

自炊することの一番重要なメリットだと思えるのは、Adobe Acrobat X Standardの簡易OCR機能によって、ファイル内の文字検索ができるようになることです。文字認識の精度はかなり低いのですが、索引機能としてそれなりに使えます。

OCR機能に加えて、ページの正立の歪み補正機能があり、不十分ながら、役に立ちます。これはスキャンしたページ画像が少し斜めになってしまっているときに、文字列や枠線などの角度を調べて、ページをまっすぐに補正するというもので、読むときに便利な機能です。文字だけで構成されているページはだいたいきれいになりますが、図や写真、欧文などが入っていると、横倒しや倒立などが起こります。これらはページごとに手作業で回転し直す必要がありますが、それできれいになります。

ただ、時々、斜めになってしまう場合があります。その原因はよくわかりませんが、何らかのバグ(プログラムエラー)なのでしょう。これは手作業での回転が90°単位なので訂正できません。斜めでは困るという場合は、そのページだけ画像を変更しない(非圧縮モード)という手間をかけなければなりません。全体に非圧縮モードでOCR機能だけにするのも一つの方法です。ただ、非圧縮なので、ファイルサイズは元のままで、小さくなりません。

札幌では2年ほど、年に500冊のペースで自炊しましたが、とても間に合わず、かなりの量の本を大阪に運びました。大阪でも自炊を続けて、とうとう、最後のかたまりになりました。コミックスの残り100冊ほどです。

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袋から出して並べていたら、パスカルとトコが遊びにきました。

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「じゃりン子チエ」の最初のほうや、「動物のお医者さん」、「サザエさん」はもう黄変しています。昔のコミックスは紙質が悪いことが多いので、古くなってくると、S1500で何度も重なりが起こります。そのたびにしごいてセットし直します。でも、とても古い文庫本のほうが手強くて、2~3ページずつしか読み込めなかったことがあります。自動原稿送り装置(ADF)には、紙の厚さ、摩擦、柔軟性など、複雑な要因が絡むのでしょうね。

コミックスの自炊では、白黒の絵であっても、ベタ部分に灰色を使っている場合は、白黒モードでスキャンすると、ベタ部分が汚くなったり、飛んでしまったりします。かと言って、グレーモードでスキャンすると、黄ばんだ紙が薄いグレーになってしまい、コントラストがうまく出ません。「じゃりン子チエ」はほとんど灰色ベタを使っていないので、白黒モードで驚くほどきれいな画像になりましたが、「動物のお医者さん」はグレー版と白黒版を2種類作りました。雑誌と同じ簡易製本だった「火の鳥」は特に古くて、カラー版も必要でした。このあたりは、S1500の明度調整が簡易すぎることも関係しているようです。

最近、10年以上使っていたES-7000Hは画像にスジが入るようになり、このコミックスの表紙スキャンで役目を終え、安価なA3用PX-1700Fに置き換えました。ES-7000Hより画像品質は明らかに落ちます。S1500と比べると、色味の違いはありますが、同程度と言えそうです。

これまで5年ほどで自炊した書籍は、薄いものから厚いものまで、3千冊くらいになっています。自炊した後はいつも町内会の紙回収に出していますが、このコミックスを紙袋に入れて玄関先に出しておいた時は、町内会の回収前に無くなっていました。誰が持って行ったかわかりませんが、紙袋から出したら裁断されているのを見て残念がったでしょう。まあ、表紙カバーで包んで、ページの順番はそのままにしているので、丁寧に扱えば読めますし、ヤフオクで裁断本が出ている時代なので、そういうルートもあるのかもしれません。

本が好きな人は、裁断でバラバラにして、最後は廃棄してしまうことに抵抗はあるでしょうね。もちろん、私も裁断したくない本は多く残しています。でも、稀覯本でもない限り、いずれは安い値で古本屋に売却するか、廃棄するしかないと考えると、iPadに数百冊を入れて持ち歩くことができる魅力には負けます。それに、本棚空間を有効活用できます。

自炊するかどうかは、手間+時間をかけることと、便利さ+保管不要ということとのトレードオフでしょうね。仕事をしていた頃は、学術論文のほとんどがネットで取得できていましたし、本を自炊する手間と時間が惜しいので、やる気にはなりませんでした。ただ、用語を検索できる電子辞書や電子ブックの必要性はありました。退職してから仕事のウェイトは低くなりましたが、その一方で趣味のウェイトが高くなり、本の自炊が必要不可欠な作業となっています。

現在、すべての自炊文書(OCR・PDF圧縮加工前のファイルも残しています)をNASに保管していますが、合わせて500GB以下です。家の中ではwi-fi経由で必要な本をタブレットにダウンロードできるようにしています。

最近は、自炊を前提に中古書籍を買うことが多くなりました。市販の電子本は印刷本の新刊と同じくらいの価格ですし、ファイル構造がお粗末な場合が多く、索引機能がない場合がほとんどなので、手を出していません。安い中古書籍を買って、読んでから自炊するのではなく、自炊してから読むほうが多いのです。古書が多少汚れていても、読み込んだファイルは汚れやニオイから無縁になります。

でも、時として印刷本を読んでいると落ち着く気分になるのは、長年の習慣からでしょうか、それとも、スキャン画像は印刷文字の質感がないからでしょうか。また、反射光と発光の違いでしょうか、あるいは、電子機器の持つ硬質で均一な感じとの違いでしょうか。