阪急2800系 11 完成

2018年4月22日

4月22日、完成となりました。いくつかの微調整が残っていますが、走らせながら調整していきます。

京都向き(先頭車は2851)で発車します。以下の動画では音が出ます。
(大阪) 2811-2881-2831-2861+2801-2891-2841-2851 (京都)

一周してきて、駅を通過します。

そのままヤードに入りました。

逆方向(大阪向き)でヤードから出発します。

駅に向かっている途中です。

外側線路に移って、トンネルを出てきました。

大阪向き先頭車両(2811)の行き先表示板が付いていないのは、取り付け金具が短かったようで、取り付けられないためです。2851の表示板も斜めになっています。いずれ、両面テープでも使って貼ることにします。

(追記:表示板の裏のハンダ付けをやり直して、取り付けることができました。斜めになってますが、微調整の範囲です。)

もう一枚、駅の構内ドームを置いたときの写真です。昔の阪急三宮駅のような気がして、逆走で神戸線を走る2800系は模型鉄道ならではの気分です。

仕上がりを眺めていると、真鍮模型を初めて組み立てたという拙さが至る所にあります。でも、無謀な計画が大きく破綻することなく何とかなったという気分です。2014年の3ヶ月、昨年7月から10ヶ月、合わせて13ヶ月ほどかかったことになります。

4月の最後の作業を振り返っておきます。
3月下旬はPCの整備・整理で時間を取られて模型製作を中断していましたが、4月3日から内装仕上げの作業を続けました。とりあえず、完成させた車両を牽引させるために、動力車である2831を仕上げておきます。

大きなモーターと動力車用デコーダー(ESUのLokPilot)が床にあるので、クロスシートの下を削りました。紙の床を貼って仕上げます。

椅子(クロスシート)の方向についてはけっこう悩みましたが、大阪方向の4両は大阪向きに、京都方向の4両は京都向きにしました。奇妙な設定なのですが、先頭車両が走る方向に向いていると、低速走行でなければ、編成の後半が逆になっていても気にならないだろうという予想です。

4月4日、2831が完成しました。モーターとデコーダーはなんとか隠れました。

走行テストの動画です。2831が前で、後ろの車両は3月に内装取り付けを試した2891です。音が出ます。

これで、車両の内装仕上げができた段階で編成を増やして走行テストができます。発車するあたり、少しデコーダーのCV値の調整が必要な感じがありますが、そういう調整はすべての車両が仕上がってからの作業とします。

中間車両の内装仕上げは2日(3~4時間くらい)で1両のペースでした。扉の内装を貼って乾燥待ちして内装壁取り付け、接触スイッチ板を結線して塗装して乾燥待ち、座席の取り付け、というような具合でした。

2891です。

2881です。

2841です。

前照灯のLEDアセンブリーがない2861と2801は中間車と同じ程度の作業でしたが、運転室の仕切りは作ってあります。
2861です。

2801はパンタグラフを付ける手順が加わりました。

両端の照明付き先頭車両は、照明用LEDアセンブリーと照明用デコーダーの取り付け、運転席の取り付け、という作業が加わり、1両につき1週間近くかかりました。

京都向き先頭車2851の内装仕上げの手順です。デコーダーの取り付けは天井に両面テープで固定します。

LED照明アセンブリーを遮光するため、紙の裏を黒く塗ってあてがいます。

遮光の紙が運転席の天井になりました。配線ケーブルはLEDテープの下に押し込みます。

天井と壁を取り付けて、乗務員室の小物(運転台、椅子、乗務員フィギュア)を入れました。

座席を両面テープで貼りました。

これに床の紙を貼り付けたら完成です。

今回の製作で一番の心残りは先頭車両の前面窓です。透明プラ板(OHPシート)を窓枠に嵌め込んで固定するのがとてもむずかしく、きれいに仕上げることはできませんでした。これは次の機会にもっと工夫を重ねたいと考えています。

最後の作業が2811でしたが、屋根上がすっきりと仕上がったと、ここだけは喜んでいます。

最後の最後に手間なことが起こりました。2811が仕上がってから、8両編成で走行テストをしていたら、突然、2811の前照灯が消えました。消えたのが走行途中だし、逆方向の尾灯は点くし、ひょっとしたら、と思ってシートと天井板を外してみたら、デコーダーのビニール被覆が熱で破れていました。走行中にデコーダーがアウトになったのは初めてです。

このデコーダー(4個買ったLaisDCCの製品)、2851に使った同じものと比べると照度が低くておかしいなと思っていて、完成してから照明CV値の調整をする予定でしたが、ダメでした。デコーダーだけ取り替えました。LEDアセンブリーに使っているCRDの状態を調べるためには運転台を分解しなければならないので、それはやめて、念のため、1kΩの抵抗を入れておきました。

当分の間、走らせながら調整していきますが、真鍮モデル8両はとても重く、動力車が1両のみだと、低速走行と加速は軽快ではありませんし、分岐器あたりでは脱線しやすいようですね。でも、周回線路での高速走行は問題なく楽しめます。

真鍮模型製作の基本を知らずに組み立てを始めましたが、延べ1年以上の作業で、多くのことを学びました。学びましたが、マスターできたわけではありません。よくわからない中で、いろいろと悩んで工夫する毎日でした。それでも、それなりの工夫で解決していく面白さ・楽しさを知りました。

次はいつになるかわかりませんが、阪神、南海、京阪のいずれか(いずれも昭和の世界)になる予定です。

(完)

 

阪急2800系 9 電装2

前回の記事をアップした直後に接触不良の主たる原因がわかりました。

これまで、接触不良となりそうな箇所を整備していたのですが・・・。

やっと気がついたのは、ボルスター(写真中央の両側が曲げられた金具)をネジ止めする台車枠(左上)のネジ穴周辺です。台車枠の裏を塗装したときにマスキングしていたのはネジ穴だけでした。ネジ穴の周りも導通をチェックするべき場所のようですね。

日光モデルの台車はボルスターをネジ止めしても、少し台車枠が動く構造になっています。簡単に車輪の水平を取るためでしょうね。そのため、ボルスターと台車枠との間に少し緩みがあって、ネジ止めだけでは接触不良が起こるようです。動力車に使っているエンドウのMPギア用のボルスターは台車枠にしっかり固定されるので、接触不良は起こっていませんでした。

上がネジ穴だけを掃除した台車枠で、下はネジ穴周囲の塗装を落とした台車枠です。

すべての台車をばらして、ネジ穴周辺の塗装を落として、組み直しました。

この対策が終了した床下には、床の穴にタップで2mmのネジ切りをして、プラスチックのビスで、台車の回転防止ピンを取り付けました。

特に必要はないのですが、作業の区切りマークです。

接触不良テスターでチェックしている動画です。音が出ます。

これでパーフェクトかどうかわかりませんが、まあ、気にすることではなくなりました。今後、照明が点滅した場合はレールか車輪の整備になるでしょう。

さて、先頭車(2811と2851)の前照灯・種別灯(通過標識灯)・尾灯の取り付けです。配線するための現物合わせで、紙をベースにして、各ペアのLED位置を決めて接着しました。LEDアセンブリーの出来上がりです。

5mAのCRD(前進・後退で共通の1個)を入れて配線し、デコーダーにつないでみました。

前進での前照灯と種別灯の点灯です。

尾灯です。

この状態で車体に仮止めしてみました。
前照灯です。種別灯の雰囲気はまあまあです。

尾灯です。

これも、まあまあです。しかし、前照灯が消えると、枠がきれいではありませんねえ。仕方ないことですが、こんなアップで見ることはないでしょう。ホコリが付いているのは掃除します。

2811と2851へのデコーダー配線と取り付け準備です。すべて天井に貼り付けることにしました。床下との接触スイッチはブリッジダイオードを入れずに天井へ配線して、デコーダーと天井照明に分配します。分配してから、天井照明にブリッジダイオードと抵抗を挟みました。

2811にはパンタグラフが2基あるので、天井板を貼る前にパンタグラフをネジ止めしなければなりません。天井照明のLEDテープの位置決めと、作業の順序がちょっとややこしい感じです。

上の車両用にはLEDアセンブリーの遮光のために塗料を塗っています。

LEDアセンブリーを接着剤で貼ってしまおうかと思いましたが、間違えたり、修理が必要になったりした時にたいへんなので、小さなマスキングテープで固定するくらいにします。

紙で遮光天井を作ったら何とかなりそうです。

内装の天井を貼る直前までハンダ付け作業を残します。その準備として、2811と2801の屋上機器をエポキシ系接着剤で貼りました。このあたりは、強く触れるとポロリと落ちるかもしれませんね。そのときは貼り直しで十分だろうと思っています。

次は、動力車(2831)へのデコーダー(ESU LokPilot V3.0)取り付けです。モーターも出っ張っているので、デコーダーは床に置くことにしましたが、接着剤で貼るのもどうかと思い、紙でポケットを作って床に貼りました。少し斜めにプラ材を貼って、出し入れを容易にしました。

デコーダーからの線を切って、この状態で配線します。

配線を終えて、完了です。

しかし、動力車を中間車にしたのは、デコーダーのファンクション機能を何も使わないので、ちょっともったいないと感じます。組み立てを始めるときに、動力車を先頭車両にすると、牽引はいいでしょうが、逆走で押す場合に脱線する可能性があるのではないかと思ったからなのです。動力車を2831にしたのも3両目になるからでした。でも、最初のテストランで最後尾から押して問題はなかったので、その時が変更する機会だったかもしれません。

中間車両2891の内装(壁・窓ガラス・天井)を試しに取り付けて、デコーダーを載せた動力車床で走らせてみました。音が出ます。

ちょっと車内が明るすぎるような気がしますが、まあいいことにします。8両をすべて連結してチェックするのはもうしばらく先になります。

以上で電装作業は終わりました。各車体側の接触スイッチ端子を取り付ける必要がありますが、それは内装を終えてからの予定です。この後、もう一度クリアで車体の表面をきれいにして、内装に取りかかります。

もう梅が満開です。桜が咲く頃には完成させたい、という期待ですけど。

(続く)

 

阪急2800系 8 電装1

2月6日から、やっと客室内の天井照明の作業になってきました。

先ず、床下からの給電線について、ケーブルを伸ばして車体側につなぐだけであれば簡単なのですが、いろいろな調整や補修をするときに邪魔になります。床を車体に取り付けるときに接触するコンタクト・スイッチの方法を考えてみました。いろいろ試行錯誤した結果、次のような接触板としてみました。

導電性を考えると銅板が良さそうですが、薄い銅板がなかったので、0.2mm厚の真鍮板を使いました。金切りバサミで切ったので、平面を出すために小さな当盤の上で軽く叩いています。

床板の両端はカプラーを取り付けるために、切り込みが入って、下に下げられているので、これを利用します。

その幅に入るようにプラ板を切り取って、ついでにブリッジダイオードを挟みました。車体側にはプラ板を渡して、下と接触します。ネジで車体に床板を留めたときに、プラ板が少し下にたわむだろうという目論見です。

LEDテープに介する抵抗(1KΩ)は天井に配線します。ブリッジダイオードも天井のほうがいいのですが、ちょっと高さが合いませんでした。まあ、DCCなので、ダイオードだけでも十分でしょうけど。

車体側と床板側のプレートです。車体側のプレートは内装を終えてから貼り付けます。

これで行けそうだったので、量産しました。デコーダーを入れる車両(先頭車2両と動力車1両)には、もう一工夫必要な気がしますが、その時に考えます。

中間車の照明の様子を調べるために、別の機関車で押したり牽いたりして、点灯状況を調べてみました。機関車に連結しているのは先頭車の床下です。先頭車のみカプラーとドローバーを取り付けているので、カプラーで機関車と連結し、中間車はドローバーで連結します。以下の動画では音が出ます。

先行きが不安になるほど、とんでもなく「点滅」します。とてもコンデンサで収まる程度ではありません。最初はコンタクト・スイッチが問題かと思いましたが、そうではなく、下回りです。車輪の軸先、台車の軸穴、センターピンのコンタクトなどを整備して、かなりマシになりましたが、「点滅無し」には至りません。

この集電不良問題は、天井照明の取り付けと、台車の整備をやりながら、解決法を考えていきます。できるだけコンデンサを使わない方針です。そのため、車体を取り付けないで床下の状態がチェックできるように、「接触不良テスター」を作っておきました。LEDテープを床下機器にクリップだけで結線できるというだけのものですけど。

接触不良の整備作業は完成まで続きそうな予感です。

それはさておき、先頭車2両(2811と2851)の照明を考えます。ファンクション・デコーダー(照明機能のみのデコーダー)として、安く上がるワンコイン・デコーダーを作ってみようと考えていましたが、PICkitを持っていないので、先ずは中国通販で購入しようとした時に、LaisDCCというメーカーのデコーダーを見つけました。これまで知らなかったのですが、NMRA(全米鉄道模型協会)のID番号を持っているので大丈夫だろうと思い、PICkit 3(互換品)と一緒に購入してみました。価格は1個$12(送料無料)でした。PICkit 3と同じ値段ですね。とりあえず2つでよかったのですが、4つ注文してしまいました。

そこで、適当なLEDを決めることにします。久しぶりにブレッドボード(回路試作基板)を出しました。こういうときのDCC電源はバックマンのコマンダー(EZ Command)が簡単で便利です。

次の写真で、手前の4つが中国通販で買った小型LEDで、右から2つめが白色、他の3つが電球色です。後ろの砲弾型(ブレッドボードに比較基準として常駐)も電球色です。写真でははっきりしませんが、小さいのはオレンジ色みたいですね。時々、正面から見ると内部の発光の乱れがあるので、それをチェックしているところです。

先頭の天井に下地の紙を貼りました。絶縁を兼ねています。

2灯式の前照灯です。いつも、LEDのプラスには足の付け根に赤マークを入れています。配線間違いをできるだけ少なくするためです。それでも間違えますが、それほど壊れた経験はありません。ハンダによる加熱も含めて、思った以上にLEDは丈夫ですね。

こういう取り付け方にします。

仮置き状態で、デコーダーからの前照灯出力で点灯してみました。1KΩの制限抵抗ではまぶしい明るさです。

この小型白色LEDの輝度も高いようですが、デコーダーからの照明出力電圧を調べてみると、17Vもありました。こんなに高い電圧だったのですね。ESUのデコーダーも同様で、いつもCRDを挟んでいたので、これまで気にしていませんでした。バックマンのコントローラからのラインを整流すると15.8Vでした。

どうであれ、種別灯(通過標識灯)も同時に点灯させますので、4個直列にしても明るすぎて、制限抵抗は2KΩくらいが良さそうです。CRD(定電流ダイオード)を使って試してみると、15mAでは明るすぎ、5mAでちょうどでした。これまで通り、手間なしのCRDを使います。

デコーダーによる前進と後退のチェックです。この段階ではCRDではなく、抵抗を使っています。

種別灯を白色にするか電球色にするか、少々悩み、テストしてみました。向かって左側だけ点灯しています。
白色です。

電球色です。

写真写りはオレンジ色なのですが、まあ、50年前の車両ですし、尾灯の赤色とは明らかに違うので、電球色でいいことにします。

種別灯・尾灯のコンビネーションを4つ作りました。遮光は取り付けながら考えようと思います。

こんな作業をやっていて、またもや不手際です。2851の側面にハンダごてを接触させてしまいました。

ちょっと水研ぎして、吹き付けるかタッチアップして、他の車両と同様に、内装壁(+窓ガラス)を入れる前に再度トップコートを吹き付けます。8両編成だから、目立たないでしょう(か?)。

(続く)

阪急2800系 6 仕上げ2

今年も1日2時間以内のペースで作業を続けています。

前回の記事タイトルに「仕上げ1」と書いてしまったのですが、何が仕上げかを考えず、その後も「仕上げ」とは言えない「仕上げ前」の作業と手直しがいっぱい続いています。まあ、それも仕上げ作業と考えて、その後の1カ月の進展を「仕上げ2」とします。

幌と屋根からの配管を調整(一部、幌を外したり、テープで留めたりしています)して、ヤードに出入りできるメドがつきました。音が出ます。

この動画ではモーター搭載車が前から2両目になっていますが、3両目になる予定です。また、最後尾の車両ドアにマスキングをしているのは塗装修正のためです。

屋根上クーラーの塗装を変更しました。ずっと前に「ねずみ1号」で塗装しておいたのですが、見た目が暗く、イメージと合わないなと思っていました。そこで、ずっと明るい灰色を作り、ほんのちょっと青を加えてみました。簡易調色です。写真の上がねずみ1号で、下が塗装変更後です。

屋根に載せてみました。

こんな感じがイメージにある姿です。実物通りというより、好みの配色ですね。上の丸い網にスミ入れをするとメリハリがつきそうですが、未定です。

屋根上のパンタグラフ台を以前に樹脂でコピーして、2両分(16個)を確保していたのですが、実物は板だけのようなので、その雰囲気を出すため、0.4mm厚の真鍮板で簡単に作ってみました。左がキット付属パーツ、中央が自作、右は出所がよくわからないパンタ台です。

他の屋根上パーツと一緒に塗装しました。

パンタグラフに碍子と合わせて取り付けました。少しさっぱりしたように思います。

このパンタグラフはIMONの製品です。ただ、碍子を2段にしたので、屋根の取り付け位置までが長く、M1.2の取り付けネジは10mmが必要でした。

次も手直しです。前照灯のカバーガラスに0.1mm厚のOHPシートを使ってみたのですが、きれいに仕上がらなかったので、作り直しを考えていて、熱湯で柔らかくなる樹脂粘土のクリアを使ってみました。LEDの先が入るように型を取り、パーツを取り付けたまま、柔らかくした透明の樹脂(右)に押しつけて、内部に樹脂を充填します。

出来上がりは右端です。左4つはOHPシート貼りです。

大した違いはなさそうですね。どの方法を使っても、こういう小さいパーツは苦手で、どうしても汚れてしまいます。

さらに、こうやって作った前照灯の形がどうもカクカクとして、阪急らしくありません。どこかの地下鉄車両の行き先表示みたいです。これでも四隅はかなり削っています。

四隅を丸くする方法を考えましたが、この真鍮パーツの四隅を削って、内側にパテを入れるような加工をすると、車体側の穴の四隅が見えてしまいます。そこで、前に枠を貼ることにしました。きれいに作るためには、薄い洋白をエッチングで抜くことができればいいのですが、エッチングにトライするのは先に延ばして、クラフトロボで紙を切り抜いて、塗装して貼ってみることにしました。

その前に、こんなこともトライしてみました。種別・尾灯の周囲の枠を作るために、0.1mm厚の洋白板にドリルで1.5mmの穴を開けてから、ドリル位置を固定して、2mmのポンチで抜くという方法です。板の右下にあるのが、その無惨な結果です。

次の写真の左は前照灯、右は種別・尾灯の周囲です。用紙にもよるでしょうが、このあたりの細さ(0.2mm幅)がクラフトロボの切り取りできる限界でした。

今回、クラフトロボで正円を切り出してみましたが、楕円になってしまいます。小さすぎたのかと思って、少し大きな円を切ってみても、斜めに歪んでいます。これまで正円を切り出した記憶はないので、製品の個体差の問題だったのかもしれません。こういったメカの調整をする方法はマニュアルに書かれていませんし、古い製品なので、あきらめるしかないのでしょうね。ネット上でも同じ現象が報告されていました。他の切り取りはOKなようなので、当分は使っていきます。

なんとか、4両の前面照明枠を貼り付けました。種別・尾灯の周囲用の紙の枠を置いてみると大きすぎたので、それは使わないことにしました。

前照灯がちょっと大きく、種別・尾灯が小さくなりましたが、技術レベルからすれば、これくらいが精一杯です。まあ、それなりに阪急らしい雰囲気ということにしておきます。これで車体内側の照明配置が決まったので、LED取り付け方法を考える段階になりました。

そろそろ、車番と社章を貼り付けなければなりません。これが一番の苦手作業です。マッハの製品を使いますが、小さな数字を並べていくのは相当な苦労です。下処理として、数字に白を塗装し、社章にはマルーン色のスミ入れをしました。

この写真の右端にはバラバラになった数字が写っています。数字を切り出していて、事前塗装が必要なことに気がついて、個別に処理しました。数字と同じように、社章にも表面に白の塗装をしたかったのですが、その方法を試行錯誤しても、きれいにはならないので、単に細かなヤスリで磨いたら、それなりに反射光で白っぽく見えたので、このままにします。

一応、車体に合わせて貼るための位置を固定する枠を作りました。これを窓枠で折り曲げると、社章と車番の位置が決まります。

しかし、問題は貼り付け位置を確定することではなく、4つの数字を水平に並べて細いマスキングテープに貼り付ける作業、それを車体に貼る作業が大問題でした。こういう細かい作業はピンセットと爪楊枝を使うことに慣れるしかなく、不器用だとどうしようもないですね。

一応、並べるための紙の枠をクラフトロボで切り出して、数字を置いていきました。

これを細いマスキングテープで押さえて、クリア塗料を接着剤にして、車体に貼り付けました。

こういう方法で貼るわけですが、実際は数字がすんなりとマスキングテープから剥がれないので、結局はテキトーに数字を置いてから、爪楊枝でチクチクしながら位置を決めていきました。

結果です。少し歪んでいますが、これが実力です。

この状態で、クリア塗料を車体全体に吹き付けて、車番と社章を固定すると同時に、トップコートとして艶を出すことにしました。中間車2両をクリア塗装した結果です。

右側の2831は水性のクリア塗料、左側の2841は溶剤系塗料(ガイアEX-クリア)を使いました。本番で比較するのは無謀ですが、水性塗料を使う予定だったので、最初に2831を塗装した後、客席窓枠を入れる作業をしていたら、丸一日経ったのに、車体に下に敷いた布の跡や指紋が付いてしまいました。水性塗料は乾燥までにかなりの時間が必要なようですね。それと、ちょっと厚塗りでした。溶剤系塗料は乾燥も早く、仕上がりの見た目はほとんど同じでした。今後は溶剤系塗料でやります。

それはそうと、クリア塗料は粘性が高いですね。エアブラシ用に薄めましたが、それでも、0.3mmのノズルだとすぐに詰まってしまいます。0.5mmのノズルを多用するようになりました。

種別表示、戸閉め灯、窓枠を取り付けました。すべてゼリー状の瞬間接着剤を使いました。2831と2841です。阪急らしくなった気分です。

社章と車番取り付け、クリアコートは1日1両というペースです。今後、先頭車両はもっと手間でしょうね。基本の仕上げ作業はもう少し続きそうです。

(続く)

阪急2800系 5 仕上げ1

仕上げ作業の最初は列車編成の固定です。まあやはり、2800系のトップナンバー2801を組み込んだ編成にします。どういう経緯か知りませんが、冷房化後の2801は大阪向きの先頭ではなく、中央の連結部に配置されていました。モーターを積んだ動力車は2831としました。

(大阪) 2811-2881-2831-2861+2801-2891-2841-2851 (京都)

床下と車体を合わせて、大阪向きと京都向きを固定しました。方向を固定するのは、床下機器の配置と屋根上の配管が方向によって異なるからです。車番と社章を貼るのはもっと進んでからになるので、現段階では車体と床下の裏に大きくマジックで車番と方向を記入しています。この編成の状態でレイアウトに置いて、個々の不具合を調整していくことにしました。

両端の先頭車両は各方向で2両ずつありますので、塗装を終えた状態を比較して、マシなほうを選びました。編成中央に位置する先頭車輌は屋根のアンテナ穴埋め作業が必要になるため、塗装前に編成を決めておけば楽だったのですが、塗装してみないと仕上がりがわからなかったので仕方ありません。

先ずは、8両編成での走行状況を調べます。以前に連結器もなしに無謀な走行テストをやって調子が良かったのですが、カプラーとドローバー、そして幌も取り付けてからの走行テストは、そうはうまく行きませんでした。何カ所かで脱線が起こりました。主な原因は幌の干渉と屋上配管端末の接触でした。塗装前に、ドローバーや幌などを取り付けた状態で仮走行させてチェックすべきでした。反省点です。

脱線したときの状況です。

屋上配管の端末処理は簡単ですが、幌が干渉しているのは少々問題です。曲線半径1mの周回線路でも、幌の間隔はギリギリ(1mmくらい)です。

あらためて、直線区間で編成車輌の連結部分(妻面と妻面)の間隔を測ってみました。ほとんどが8mmです。この間隔は、車体と床下との取り付けネジで1~2mmくらいは調整できます。8mmを80倍すれば64cmなので、ほぼ実感的です。

しかし、当模型鉄道の曲線半径は1mほどです。これは実際のサイズでは半径80mくらいの急カーブになります。阪急伊丹線の塚口駅近くには半径60mという急カーブがあって有名ですが、阪急の本線では数百m以上でしょう。実物車輌の連結部分は幌が可動式なので、車体が大きくずれても幌が伸縮しますが、真鍮製の幌となると、そうはいきません。

最近は可動式幌が販売されているようですが、安くはないので、いずれ手作りをトライしてみたいと思っています。それはともかく、普通の解決法としては、ドローバー取り付け位置をずらして車間距離を拡げるか、幌を薄くするかのいずれかでしょうが、車両間隔を拡げたくないし、1mmほど拡げるだけでよさそうなので、向かい合う一方の幌を薄くしてみます。

真鍮製の幌パーツの厚さは2.69mmです。

連結部分の間隔が8mmですから、これでも直線区間で幌と幌の間の空白部分が3mm近くになります。その空白が少し拡がりますが、仕方がありません。

2mm厚のアルミ板を厚さ調整に挟んで、幌を万力で押しつぶしました。この万力は90度まで角度を調整できるので、こういう作業にも便利です。

調整結果です。

固定編成なので、すべての幌を薄くする必要はなさそうで、組み合わせで調整します。固定編成でヤードに出入りできるまで、車両間隔の調整を続けます。

編成中央のカプラー同士による車両(左2801+右2861)が連結する間隔が短すぎました。まだ幌は付けていませんが、渡り板が重なっています。

ここだけがカプラー連結なので、動力車による押しと牽きで車間距離が1mm以上変わります。渡り板を外すのも面倒なので、2801のカプラーをシャンクの長いものに交換してみました。これで渡り板が重なることはなくなりました。

実際の車輌ではすべての車両に渡り板があって、互いに重なって、車両間を人が通行できるのですが、これも仕方ありません。いずれ、最終走行チェックでの様子を眺めることにします。

同時に、この2両には屋根の無線アンテナが不要になりますので、アンテナ取り付け用の穴をふさぎます。2801と2861のアンテナ用の丸い穴です。

この段階ではもうハンダ付けはしないで、穴埋めブッシュを接着剤で固定しました。

穴を埋めました。

屋根上側はパテ埋めして、ペーパーで均して塗装します。ところが、パテ埋めしてから、2851と2861の車体を間違えていたことに気付きました。2851のパテ埋めを戻し、2861に穴埋めして、屋根塗装のやり直しです。こういう不注意で、倍以上の手間がかかることは多いですね。

なんとか穴埋め補修ができました。

次は照明関係です。
客室内照明にはレイアウト照明で使ったLEDテープを使うことにしました。ともかく安価(5mで210円)なので、砲弾型LEDを使う配置や明暗の差に悩む必要がなく、ふんだんに使えます。

この模型の屋根上に取り付けるクーラーがはめ込み式になっていて、出っ張りが天井から3mm下に出ます。これがなければLEDテープを中央に1列貼るだけで済みますが、その一方、この出っ張りは天井を貼るのにちょうど良さそうです。

そこで、LEDテープ(白)を2列にします。天井に0.3mmの白いプラ板を貼る予定なので、どれくらいの明るさが適当かを抵抗を変えながら調べました。照明テストに使う車体は塗装練習で酷使した、予備の中間車です。塗装はすべて落としています。

LEDテープは1両あたり40cm(LED12個×2列)、8両で3.2mとなります。ブリッジダイオードと抵抗を合わせて、1両分はせいぜい50円くらいでしょうか。気楽でいいですね。天井にLEDテープを貼って、テストのために、塗装していない予備のクーラーをクリップで留めて、両面テープを貼りました。テストなので、配線は太いものを使っています。

プラ板を貼ってみました。

カメラの露出によりますが、この程度の明るさです。あと1ユニット(LED3個ずつ)増やしてもよさそうです。黒く影になっているのはクリップとプラ板接着用の両面テープです。プラ板を実装するときはクリップを使わず、もう少し小さく切った両面テープで貼る予定です。

この段階で、以前に試作していた側面の種別表示を用意しました。OHPシートにミラーイメージで印刷して、裏向けて貼り付けます。

線路上で室内照明を点灯してみました。抵抗は1KΩくらいが適当な感じです。次の写真は台車からの集電ではなく、DCCコントローラによる直接給電です。なお、両端の先頭車両以外には照明コントロール用のデコーダーは入れません。電源が入っているレイアウト上では客室は常に点灯している状態にします。
触っていて、クリップからクーラーが1個外れました。

側面の種別表示です。うまく出ているようです。

戸閉め車側灯はパーツを入れてから内側で遮光しなければなりませんが、車内照明はこの方法で行けそうです。なお、この段階で、内装色を塗装した紙を入れてみました。ちょっとイメージが違うような気がしますが、窓枠や座席を入れたら、また違うように見えそうです。

次は窓ガラスの準備です。薄い透明プラ板を内側から貼りますが、先頭車両の前面窓については、どうしようかとずっと悩んでいました。窓枠パーツがあるのはとても楽だったのですが、パーツは1mmほどの厚みがあり、プラ板を内側に貼ると、窓ガラスがアルミサッシの奥になってしまって不自然です。側面の客席窓は中央の縦桟が実物でも窓ガラスの外にあるため、それほど不自然ではありません。

だからと言って、プラ板をサッシの内側に合わせて切り取るのはとても大変です。そこで、ひょっとしてクラフトロボで切ることはできないかと考えて、試してみました。窓枠をスキャンして、サッシ内側をDXFで出力しました。

クラフトロボの能力では、0.2mm厚の透明プラ板はスジが付くだけで、切り取りは無理でした。0.1mm厚のOHPシートを使ってみると、一部切り取られていない箇所はあるものの、おおむねOKでした。刃先を新品に替えるとすっきり切れたかもしれません。

OHPシートは一方の面に印刷インクが載るような処理がされていて、透明プラ板のような完全透明とはいきませんが、かえって実感的に思えます。

薄いシートをサッシにはめ込むのはむずかしかったですが、透明接着剤を使って、何とかなりました。先頭車両の前面窓のみですから、4両分の12枚だけの作業です。

さて、室内灯と比べてずっと面倒な照明工作が先頭車両の種別灯(通過標識灯)・尾灯と前照灯です。
先頭車両の両側にある種別・尾灯は、初期に計画したドリル・レース法で作ろうと思いつつ、はめ込み方式の金属パーツに穴を開けられないかを試してみました。写真の左下の1つです。

しかし、技術がないので、中心を出すことができません。ずれた穴をハンド・グラインダーで修正しようと削ってみましたが、少し膨張してサイズが合わなくなってしまい、あきらめました。

型取りして樹脂で作る方法もありそうですが、とりあえず元の計画通り、ドリル・レース法で作りました。

作業のために伸ばしている後ろの光ファイバー部分を切り取り、先っぽを車体内側から差し込んで、接着剤で固定する予定です。このままだと、砲弾が飛び出すような感じになりそうですが、一応、8個作りました。

前照灯は初期計画通り、真鍮製の枠パーツの前面をできるだけ薄くして、窓枠と同じ塗料で塗装しました。

この前照灯にはガラスが必要です。横から見て出っ張らないように、最初は薄いポリエステル粘着テープを使ってみたのですが、どうしても表面が波打ちます。仕方がないので、これもOHPシートを切り取って貼りました。

 

今年の工作はこれまでです。仕上げ作業はいっぱい残っていますが、あとは新年からの楽しみにします。

(続く)

阪急2800系 4 車体塗装

10月の終わり頃から、やっと車体側面の塗装を始めることができました。しかし、側面の塗装は床下機器と違って、車輌のイメージを決めてしまうので大変で、エアブラシでフラットに塗るのはむずかしいですね。

予備の中間車を使ってかなり練習しました。エアブラシ塗装、窓枠塗装、削り出しを試行錯誤しながら、何度も塗装しては剥がすという作業を繰り返しました。それでも思い通りの仕上げにはなりません。しかも、練習が中間車だったために、先頭車両の塗装に入ってからは、根本的問題が組み立ての拙さにあることがわかりました。

まだまだ他のキットの買い置き在庫があるので、今から組み立てに戻る気はなく、初めての真鍮キット製作の記念として残して、走らせながら、今後の勉強・反省材料とします。

塗料は定番のマッハ模型・阪急マルーン(59A)を使いました。練習作業で決まってきた塗装方針は、1.下地塗装をしないこと、2.手で仕上げる方法をできるだけ少なくすること、でした。

1.下地塗装をしないと、塗料の密着性が低下するのはわかるのですが、金工での塗装経験や、実際に練習していると、600番くらいのペーパーで表面処理しておけば、下地無しでも十分に塗料が密着することがわかりました。それに、上塗装を失敗したときに、下地塗装をしていると、一部を修正するのがむずかしく、全体の塗装を剥がす必要があることでした。これは下地塗料を選べば解決するのかもしれませんが、次のキット製作での課題としておきます。

2.ちょっとやそっとでは習熟しない手仕上げを少なくするために、扉の一部を塗装前にマスキングするなどで対処しました。塗装後の削り出しをやめたのは、削り出しの練習でどうしても失敗してしまい、その時に気持ちが大きく落ち込むからです。洋白の扉の一部は細いマスキング・テープ(0.4mmと0.7mm)で洋白の地を出し、窓枠パーツのない窓枠の塗装は簡単な用具を作って、失敗を少なくしました。

3. ラッカーを厚く塗る必要があるようですが、それはもっと練習しないと無理そうなので、テキトーにして、トップコートで仕上げます。

車体側面の塗装はだいたいこんな順序でやりました。まず、屋根と扉の一部をマスキングします。

エアブラシ用の希釈率は塗料1、シンナー2、乾燥を遅らせるリターダーシンナー少し(0.5)くらいです。

初めての車体塗装をした結果です。

遠目では問題なさそうだったのですが、手元でじっくり眺めると、ホコリがわんさと付いていました。最初の失敗の原因は、下塗りのミッチャクロン・マルチを塗ってからしばらく放置していたためです。ミッチャクロン・マルチは乾燥後も粘着性があるので、ホコリが付きやすいようですね。その後は下塗りをやめて、全体に600番のペーパーをかけるだけにしました。

ホコリが大敵だというのがよくわかりました。どうしてもホコリが入り込んでしまうので、気付いたら乾くまで待って、ペーパーで水研ぎして再開という手順が頭に入るまで、しばらくかかりました。

エアブラシは最初、0.3mmのノズルを使っていましたが、うまく調整できなくて、1両を塗装するのに30分以上かかってしまいました。腕が疲れるので、0.5mmのノズルに替えたら、かなり作業が捗りました。その後はそれなりに使い分けができるようになりました。

ともかく、塗装すると、組み立て作業の拙さがモロに表れてきます。特に、先頭車両のお面や妻面と胴体との接合部が目立ちます。塗装した後に水研ぎして、厚塗りをしても、すっきりとはならないものですね。このあたりが一番の問題点です。次からは組み立ての仕上げをがんばることにします。

多くの回り道を経て、何とか、車体側面塗装を終え(たことにし)ました。

マッハ模型で聞いたときは、4両で塗料1缶くらい必要ということで、余裕のために3缶買っておきました。練習を含めて延べ12両以上塗って、2缶半くらいでした。全体に薄めだったようです。

事前に塗装ブースを導入しておいたおかげで、溶剤の臭いに悩まされることなく、マスクを使う必要もなく、楽しく作業ができています。缶スプレーだと少し吹き返しが起こりますが、エアブラシだと問題はありません。パスカルが後ろで作業の終わりを待っていることもありますが、犬でさえも部屋の臭いは気にならないようです。ひょっとしたら、パスカルがシンナー好きなのかもしれませんが。

段ボールで内枠を作ってあります。窓外への排気口はベニヤ板で作って、使うときに窓枠にはめ込みます。天候と気温を気にしないで遊べます。上に置いているのは定番の食器乾燥機です。塗装を終えたら、食器乾燥機に入れています。

側面塗装の合間に小物の塗装を続けました。
先ずはクーラーの塗装です。下地はミッチャクロン・マルチ、塗料は「ねずみ1号」で、水性クリア(トップコート)で少し艶を出しました。

次は重要な窓枠です。阪急のアルミ窓枠の雰囲気に似た塗料をいくつか試してみて、Mr. COLORのスーパーメタリック(スーパーファインシルバー)が好みに合いました。

窓枠パーツをエアブラシで塗りました。

しかし、窓枠パーツは側面と制御車正面があるものの、扉、妻面、乗務員扉の窓はありません。そこで、パーツのない窓枠を削り出しで仕上げる練習をしてみましたが、どういう道具を使ったらいいのかよくわからず、小さなドライバーなどで試してみましたが、うまくいきません。それで簡単な治具を作ってみました。真鍮の切れ端の先をヤスリでL型に削って、刃を付けました。

この治具を窓の内側に入れて使うと、外にはみ出さずに削ることができます。ただ、妻面の窓や乗務員扉の窓枠で削り出しをすると、真鍮の金色になってしまいます。結局、窓枠パーツと同じ塗料で塗ることにしました。

こういう窓枠塗装には烏口が使われるらしいので、古い烏口を見つけ出して練習してみました。しかし、削り出しの練習と同様に、烏口が外側にはみ出してしまって、車体塗装の部分直しが頻繁に起こることがわかりました。これは精神的に良くありません。いろいろ考えた結果、烏口に細い真鍮線をハンダ付けして、外にずれるのを防止してみました。

これはかなり効果的でした。烏口が窓枠の外にずれることはなくなりましたし、窓枠の内側側面も同時に塗装できます。不器用で未熟な者にとって治具は不可欠ですね。それでも失敗はしますけど、失敗の頻度は激減しました。結果です。

よく見ると小さなはみ出しがありますが、まあ、こんなものとします。

さて、屋根上塗装に入ります。
屋根上の雨樋部分から車体側面をマスキングしますが、このマスキングで塗装が剥がれないかがちょっと心配でした。

最初の車輌はちょっとテカテカになりました。これが本来のラッカー塗装だろうと思いますが、屋根としては好みではないので、後で処理します。マスキングによる塗装剥がれは少しだけでした。

次は屋根の穴埋めをした車輌で、デコボコが見えたので、修正再塗装の準備です。前後に使っている阪急電車マスキングテープは友人からもらったもので、ちょっと記念に使ってみました。

何とか屋根上塗装が終わりました。

扉の窓枠塗装とマスキング結果です。やはり塗装は薄い感じですが、トップコートで光沢を出したいと考えています。内部は塗装しないので汚いままです。仕上げで紙の壁を貼り付けます。

少しタッチアップペイントが必要な箇所がありますが、今後の仕上げ過程で傷つく可能性が高いので、仕上げのトップコートを塗る前に補修する予定です。

床下回りの作業です。
制御車4両の先頭床下に使う連結器と胴受けを塗装しました。連結器(カプラー)は手持ちではKADEEの58番がぴったりでした。

取り付け前にカプラーの下に延びている金属棒(マグネットで開閉するための棒)を切り取りました。その他の連結(下の写真左2つ)はエンドウのドローバー(draw bar)で、塗装無しです。

KADEEのカプラーは必要になりそうな型番を揃えていますが、58番は8両分の手持ちがなかったので、中間はエンドウのドローバーを使いました。このドローバーは10両分(20個)が税別2200円で、KADEEのカプラーは4個入りがアメリカ通販で$3.39ですから、税金・送料を考えると、どちらも1両あたりのコストは同じくらいですね。車輌の連結・切り離しはKADEEカプラーのほうが楽です。

大阪向き先頭車両です。

京都向き先頭車両です。

よくわからないのは、実物の資料写真を見ていると、大阪向きと京都向きでホースの配置が逆になっているので、そのように作りましたが、どうしてなんでしょうね。このままだと、両端の先頭車両はいいのですが、4両ずつの連結部分では配置がぶつかってしまいます。そこは分けるべきでした。ま、見えないからいいか。それにしても、相当な厚塗りになっていますね。

床板に胴受けの足が入る穴がありますが、カプラーのケースと干渉するため、大阪向けは胴受けの足を切って、カプラーのケース前面に接着剤で固定し、京都向けはカプラーのケースを削りました。京都向けも足を切るほうがすっきりしそうです。

一応、KADEEの基準器で高さを合わせています。

動力車にモーターとウェイトを取り付けました。モーターが大きいので、床下機器をかなり薄くしているのがよくわかります。

横から見ると、こんな感じです。

これで床下は終了です。

これから仕上げの作業に入りますが、仕上げ作業がまた大変そうです。今年中に完成と考えていましたが、とても無理ですね。

(続く)

阪急2800系 3 塗装準備

仮走行テストが終わったので、塗装前の最後の準備段階に入りました。

小物の準備が続きます。
先ずは幌の組み立てです。単にハンダで接合するだけです。

幌を車体にハンダ付けすると塗装が大変なので、塗装を終えてから接着剤で取り付ける予定にしています。

前面に取り付ける種別・行き先表示板です。

裏にフック受けを取り付けてみました。これが前に2枚並んでいるのが京都線特急の特徴でした。最初の1枚のフック受けはちょっと斜めになりましたが、まっすぐにフックに入るのでOKです。

4枚、すべてバラバラです。

でも、表に違いはありません。

先頭車両の連結器横にある配管パーツ(ジャンパー栓など)が不足していたので、閉まっている栓は樹脂でコピー、延びているホースは別のパーツで作りました。下の4つは連結器周りの胴受というパーツです。

9月27日、塗装前の車輌を眺めていたら、先頭車の一両の正面がずれていたので、バーナーでハンダを溶かして、お面を外しました。

修正したつもりですが・・・。キサゲがもう少し必要かな?

窓枠などのパーツをマッハ模型のブラスクリーンで洗浄したら、ピカピカになりました。

金工でブラスクリーンを使ってみて、真鍮はあんまりきれいにはならなかったのですが、これはきれいになりました。

車体内部の塗装をどうしようかと悩んでいたのですが、基本は塗装せずに、内装を紙で作ることにしました。そこで、久しぶりにクラフトロボ(CraftROBO CC330-20)を引っ張り出しました。

10年くらい前に、紙で南海電車(2001形)を作ろうとしてクラフトロボを購入し、切り抜きと組み立てまで進みましたが、そのままになっているのを思い出しました。いずれ真鍮模型が終わったら、再開するかもしれません。クラフトロボは現在、シルエットカメオ3という製品に替わっているようです。

クラフトロボに入れるCADデータ作成には、これも10年近く前の版のコーレル・ドロー(CorelDRAW X4)を使います。スキャナーで車体の写真を撮り、必要な線を書き込んでいきます。実寸で調節(0.1mm単位くらい)できます。その図面をdxf(AutoCADのファイル形式)で保存すればクラフトロボで読み取ることができます。

コーレル・ドローとクラフトロボの組み合わせによって、切り抜く失敗を考えずに作業できるのはとても気楽です。手先が不器用な人間には必需品ですね。

クラフトロボCC330-20はとっくに廃版になっていますが、ソフトは今でもダウンロードできたので、インストールして、いろいろと切り抜いてみました。切り抜いた中には、窓枠塗装のマスキングに使ってみようと考えているものもあります。

車体の内装の上を一部だけ切り取っていますが、これは側面の種別表示板を貼り付ける場所です。これは後でハサミで切り取るので十分なのですが、クラフトロボに任せました。

側面の種別表示は次のようになっています。試作中の印刷見本を裏からあてがってみました。

この当時の側面表示は「特急」「急行」「準急」のどれかが点灯する方式でした。もちろん、特急に固定して、OHP用のシートに印刷するつもりです。サイズ合わせ用に印刷したものです。

10月に入って、使用する塗料の確認を始めました。車体と床下はマッハ模型の定番塗料(ラッカー)を使いますが、木目模様の内装色は紙への塗装なので、室内写真資料を参考にして、手持ちの2つの塗料(ウッドブラウンとクリーム)をミックスしてみます。

10月15日、やっと、塗装を開始しました。エアブラシの練習という意味もあって、床下を塗装してみました。ミッチャクロン・マルチをスプレーしてから、マッハ模型の「阪急床下」を塗りました。

床下機器の一部は樹脂コピーなので、マッハのラッカー溶剤で溶ける可能性があるようですが、下塗りのミッチャクロン・マルチでOKでした。

塗っている途中で、先頭車両のジャンパー栓取り付け忘れに気がついたので、エポキシ系接着剤で取り付けました。白い樹脂の付いている車輌は手製パーツです。先頭ではなく、連結部に配置します。胴受は先に固定するとカプラーが入らないので、カプラーを取り付けてからはめ込みます。

塗装を終えました。

台車の塗装をしてみます。台車を分解して、裏面の車軸とマクラバリ取り付けの穴をマスキング・テープでふさぎました。

全部を一挙に塗装することにしました。日光モデルの台車は黒のラッカーで塗装されているようなので、下塗り無しで、ラッカーを吹き付けます。こちらは塗装前の表側です。

テープで固定しておこうかと思いましたが、手間省きで、木ぎれに載せただけだったので、エアブラシで吹き付けるとクルクルと回りました。やはり、手間省きはよくありません。でもまあ、何とか表裏共に塗装を終えました。

塗装した台車に車輪を戻し始めて、車輪の側面がピカピカに目立つのが気になりました。購入した車輌の場合は気にならないのですが、こうやって作っていると気になるものですね。

手間ですが、車輪の外側だけを塗装することにしました。軸先と踏面以下をマスキングし、簡単な塗装台を作って作業しました。この塗装台はひっくり返すと逆側を塗ることができます。

台車と車輪の塗装が終了して、これから車輪の軸先と台車の軸受けの整備をすれば、床下工作は終了(のはず)です。

車体の加工が残っていました。先頭車両に「渡り板」をハンダ付けして、貫通扉の取っ手を取り付ける穴を開けました。相変わらず、穴が同じ位置にはなりません。まあ、見えるのは一つだけなので、気にならないでしょう。運転室横の乗務員扉の取っ手は省略します。

そろそろ車体の塗装に入ることができそうです。

(続く)

阪急2800系 2 仮走行

9月に入って涼しくなりました。家で模型工作遊びよりも外に出るほうが楽しそうになってきたので、しばらく作業を休もうと思っていました。でも、毎日、少しだけでも進めないと終わらないと思い、チビチビと続けるようにしています。

屋根上の冷房装置(キセ)に手すりを取り付け始めました。少しずつ進めていきました。

この作業も穴あけと同様に、一日に数個しか根気が続きません。1週間ほどかかりました。

手すり取り付けが終わったら、別の作業がありました。パンタグラフを取り付けるための小さなパーツ(パンタ台)が不足しているので、シリコンで型取りをして、レジン樹脂でコピーします。型取りは久しぶりの作業です。型枠に並べました。

シリコンを入れました。少量というのはむずかしいものですね。シリコンが汚く見えるのは、塗料に使ったスポイトを再利用したからです。

シリコンの型を2種類作って、レジンを入れましたが、あふれてしまいました。ピンを刺しているのは、型が薄いので、反ってしまうからです。もっと厚く作るべきでした。

取り出して、切り離すところです。

同じような作業の続きとして、座席を作っておきます。窓の配置に合わせて座席の間隔を調節して、これもレジンでコピーします。

型枠に置きました。座席を横に倒したほうが、レジンを取り出しやすかったような気がします。

シリコンを入れました。

型ができました。

この型にレジンを流し込んで、取り出します。

これで1両分です。レジンを入れながら爪楊枝でツンツクするのですが、あせってしまって、液が流れ込まなかったり、泡が入ったりしました。
1両分で1時間くらいはかかるので、1日2両分くらいのペースで、11両分を作りました。レジンがはみ出しているところを切り取ったところです。

歩留まりは7割くらいですね。まあ、なんとか8両分ができたので、ベルトサンダーで裏を薄くして作業完了です。途中で型のシリコンが割れてしまいましたが、ブロックの型枠を使うので、大きな失敗にはなりませんでした。

座席ができると、さて、方向を京都向きにするか、大阪向きにするかが悩むところです。終えてから気がつきましたが、端っこの座席は内側向きの固定になっていました。まあこれは仕上げの段階で対処できます。

細かなパーツ製作作業が一通り終わったので、床板に台車を取り付け、車体を載せて線路に置いてみたら、車輌の高さが違うことに気がつきました。

調べてみると、バラバラに購入したキットなので、台車を取り付けるマクラバリ(枕梁)のスペーサーの厚さが違いました。上の写真で左側の背の高い車輌のスペーサーは3mm、右の車輌は2mmでした。こういうプラスチックのパーツです。

手元にあるのは2mmが4個(2両分)のみで、残りはすべて3mmでした。3mmを削ろうかと思いましたが、劣化しているのが多く、簡単そうなので自作します。厚さ1mmのプラバンを穴抜きポンチで丸く抜きました。直径は10mmと6mmです。

直径10mmを2枚重ね、6mmを上に載せて接着して、写真中央の厚さ2mmと同じ形をつくります。

中央に2.5mmの穴(2.3mmくらいがいいのですが、手持ちのドリル刃がなかった)を開けたら出来上がりです。少し中心位置がずれているようですが、まあ、支障はないことにしましょう。

だいたい高さが揃いました。ただ、これでも全体に少し高いような気がします。厚さは1mmでいいかもしれません。いずれ、カプラー装着などの下回りの動き方を見ながら、再度、スペーサーを調整することにします。また、横から白いスペーサーが見えるので、いずれ塗装します。

そろそろ、走行チェックをしてみようと、動力車にモーターを取り付けました。このモーターは手持ち(レール・カーから外したもの)で大き過ぎるかもしれませんが、8両編成を走らせる体力があるかもしれないという期待がありました。駆動方法はエンドウのMPギアを使っています。

床板が傷だらけですねえ。穴はモーターや床下ウェイトを取り付けるものと、無駄に開けたものとが並んでいます。
DCCデコーダーはESUのLokPilot(サウンドなし)を取り付けます。

とりあえず、デコーダーに線路からの電源入力と、モーターへの出力だけを配線して、絶縁用にデコーダーをビニール袋に入れて車体を被せます。

初の動力車試運転です。モーター車は中間動力車の予定なのですが、車体は梅田向き先頭車を載せてみました。動画は音が出ます。

1両での走行は悪くありません。走り出しで少しノイズが出ますが、これはMPギアの音でしょうか。いずれ調整できればすればいい、という程度です。この動力車は少し背が高いようで、スペーサーも調整が必要なようです。

そろそろ、気分としては、初めての塗装の準備をしたいのですが、以前から気になっていたテストをやらなくてはなりません。本当に、1個のモーター動力車で8両の真鍮車輌を走らせることができるのか、という問題です。

聞くところによれば、真鍮車輌の場合は4両に1両は動力が必要だそうですね。実際、手持ちの古いカツミ製の20系寝台車(ブリキ製)を6両以上連結させると機関車が空転していました。その対策のために、最後尾になるカニ21に「影武者」としてモーターを組み込んでいます。

テストのために、床板に台車を付けて、8両すべてをレイアウトに載せてみました。冷房装置も載せてみたので、これ以上の車両重量増加は窓枠と内装のプラ座席くらいでしょうか。

動力車は写真の一番前で、一つだけ試しにカプラーを付けています。他の車輌にはどれもカプラーを付けていないので、動力車で最後尾から押していくだけになります。一部、車体同士がくっつきますが、細かい金属パーツは壊れないでしょうし、カーブの半径が大きいので、脱線はしないでしょう、という楽観的な見込みです。なお、下回りと車体との組み合わせは単に置いていった順番なのでデタラメです。

スタートさせました。音が出ます。

心配は杞憂のようで、動力車のスリップもなく、スムースに走行を開始しました。当レイアウトには勾配はほとんどありません。一部、橋梁が少し高くなっている程度なので、問題なくレイアウトを1周してきました。そこで、かなり速度を上げて走らせてみました。現実時速100km以上でしょうか。先頭車両は押されて少し離れてしまっていました。カプラー無しの状態での高速走行テストは少々無謀でした。

テスト結果として、動力車1両で問題はなさそうです。使っている台車はすべて日光モデルのFS345で、6両がピボット軸(車輪の軸先が尖っている摩擦の少ないもの)で、2両がプレート軸(尖っていないもの)になっています。プレート軸を選んだのは、動力車MPギア用で、2両必要かもしれないと考えていたからでした。

走らせてみると、音も含めて、列車が走行する全体の雰囲気がやはり楽しいですね。技術がないのに細部にこだわるよりも、確実な走行を目指すのが一番と感じました。また、20系寝台車の車軸を整備すれば、影武者動力が不要になるのではと期待してしまいます。

これで一安心で、塗装作業の準備に進むことができそうだ、と思ったら、幌や下回りのジャンパー栓の取り付けなどがまだでした。細部にこだわっているような未練もあるわけです。

以上、9月18日までの作業でした。

(続く)

阪急2800系 1 組み立て

20年くらい前に、真鍮模型のキット組み立てに挑戦しようと思って、HO(16番=1/80)の阪急2800系のキットを中古で買っていました。

車体キットは最近に廃業したらしい「ピノチオ模型」が製造・販売したもので、30年以上前の製品でしょうか。箱に入った4両と、箱もないバラの車両が5両、計9両です。

阪急2800系は京都線の特急用車両として1964年から1973年まで製造されていました。YS-11の製造時期と同じ頃ですね。1963年に河原町まで地下部分が延伸したことで、梅田から河原町までの特急車両を作ることになったようです。当時の阪急の名車2000系(神戸線)の京都線バージョン2300系をベースにした、特急らしい、2扉のクロスシート仕様でした。

梅田を出て、十三から大宮までノンストップで、5両編成で始まり、最後は8両編成にまでなりました。1971年から冷房装置が取り付けられましたが、1975年から6300系が投入されたため、1976年から格下げされて、3扉のロングシートに改造され、各駅停車でも使われるようになり、1980年代から廃車されていったようですが、札幌に移ったので詳しくは知りません。

2800系によく乗っていたのは1966年から1971年くらいですから、まだ冷房装置が取り付けられていない時代です。冷房が入ってからは数回しか乗っていません。ということで、模型も非冷房時代が望ましかったのですが、中古で安く手に入ったのは冷房改造後だけでした。

非冷房と冷房改造後との外観の違いは屋根上だけなのですが、模型は上から見るので、印象はかなり違います。非冷房のモニター屋根(屋根に一段アップした換気用屋根)は側面に細かいルーバーがあって、手作りはとても無理そうなのであきらめました。別の模型メーカーが非冷房の真鍮製キットを出しましたが、高価だったし、モニター屋根だけをパーツで売っていなかったので、これもあきらめました。

まあ、よく乗っていても、走っている姿は梅田と十三の区間で併走する神戸線から眺めたくらいだし、京都線の淀川橋梁は一段高いので、屋根上はどちらでもかまわない気分(酸っぱい葡萄反射?)です。ともかく、真鍮製のキット組み立てという作業をやってみたかったので、いろんな追加パーツも中古品で手に入れ、不足しているパーツは樹脂でコピーするか、テキトーに手作りをする予定でした。

購入してから15年以上が経ちました。大阪に戻って2年間はレイアウト作りを続けていましたので、2014年の夏に引っ張り出して、組み立てを始めました。以下は、初めての真鍮キット組み立てにもかかわらず、8両編成に挑戦するという無謀な製作記です。

真鍮のハンダ付け、余分なハンダを除くキサゲ作業など、いろいろと練習しながら、夏の3カ月で箱として組み立てて、屋根の雨樋や乗務員用の手すりも取り付けて、真鍮模型の作り方がおおまかにわかりました。完成品の電気系を改造するだけと違って、なかなか手間のかかる「しんきくさい」作業が必要ですね。

一通り、箱ができました。一部、小物パーツを取り付けています。

先頭車4両です。

ちょっとずつ作っていって、形になっていくのは楽しい、あるいは、癖になる、というのは金工と同じですね。金工は基本的に素材から作るスクラッチ・ビルディングですが、鉄道車輌のような工業製品の精密模型を素材から作る技術はまったくありません。

冷房改造後の2800系は4両で1セットになっているので、2セットの8両フル編成にする予定です。中間車が1両余りますが、これは失敗したときの予備の予定です。

梅田向きの先頭車両Mc(動力・制御車:屋根にパンタグラフが2つあって、片方に運転台のある車両)の屋根上を作ってみました。四角い穴は冷房装置用、小さな穴は無線アンテナ用らしく、キットの段階で開いていました。

2両ありますが、付属パーツは1両分だけでした。上のほうは付属パーツを使い、下のほうは真鍮板や洋白板をサイズ合わせした自作です。こんな程度だけ、スクラッチ・ビルディングの真似事です。屋上配管は少し違った方法になってしまいましたが、塗装して走らせたら、あんまり気にならないでしょう。(そうかな?)

床下機器はだいたい揃いました(一部コピー)ので、エポキシ接着剤で取り付けました。写真の左手前がモーターを載せる動力車ですが、真鍮製の8両を1両のモーター車で動かせるかどうかは、まだ試していません。

全体をうまく組み立てられたかどうかはよくわかりません。塗装してみればアラがわかるでしょうね。

以上が3年前の夏の作業で、この状態で箱に入れておき、そのまま忘れて、一昨年と昨年の夏は別の工作をしていました。

今年(2017年)の7月に入って、暑い大阪で恒例になった引きこもりを始めたので、夏休みの工作課題を決めようとしていて思い出しました。塗装にトライできるかな、と思いながら取り出して、集めた資料写真とじっくり比較してみると、塗装前にやるべきことがまだまだ残っているようです。中間車両の屋根上配管や手すり(屋根上と冷房装置)の取り付け、さらに前照灯・標識灯の加工などです。

今年の作業は、中間車4両の屋上配管取り付けから始めるのですが、その前に準備作業が必要でした。それにしても、真鍮をほったらかしにすると、かなり汚くなりますね。

あらためて、組み立てた9両すべてを上から眺めました。左側が先頭車4両(梅田向き2両と京都向き2両)、右側5両は中間車です。

冷房装置取付の穴を眺めていて、写真の中央にある車両(M:中間動力車)の1両だけ、位置が異なったパターンになっていることに気がつきました。右側の4つは広い等間隔(T:中間付随車)になっています。4両セットが2つなので、中間動力車が1両足りず、中間付随車が2両多いという在庫です。

そこで、余っている中間付随車の1両を使い、屋根の穴を真鍮板で埋め、別の場所に穴を開けて、中間動力車に変更しました。作業直後なので、白っぽく写っています。四角い穴は開けられないので、ドリルの丸い穴のままです。

上に冷房装置を載せてみました。

これで屋上配管の取り付けができます。屋根にマスキング・テープを貼って配管位置を描き、手製の固定道具に挟みました。

卓上フライス盤にアダプターを入れてドリル盤として使い、配管止めを取り付ける穴(0.4mm)を開けていきました。ハンド・ピースのドリルでやると、不正確だし、すぐに刃を折ってしまいます。でも、ドリル盤を使っても不正確になるのは経験の無さなので、仕方ありません。

3年前に作った先頭Mc車ではマッハ(大阪の模型店)製の配管止めを使いましたが、とても高くつくし、資料写真を見たら、単なる真鍮線でも良さそうなので、手間省き・安上がりの配管止めを作ります。初めての真鍮模型キット製作なので、キットに含まれないパーツについては、自分で感じる「雰囲気」が出たら十分です。技術がないのに、それ以上の精度を求めると、ブラック・ホールになって進めません。

溝を切ったアルミのLアングルに0.3mmの真鍮線を置いて、ペンチで押します。

これで幅2mmのフックができます。屋根上用に200個くらい、後で必要な冷房装置の手すり用として150個くらい必要です。

0.6mmと0.4mmの真鍮線を配管に使い、配管止めで取り付けていきます。3つくらい穴に入れたらマスキング・テープで固定し、裏からハンダ付けしていきました。配管を少し浮かせるために、愛用のチューインガムの箱を細く切って挟んでいます。この厚さがちょうどいい感じでした。

結果はこんな感じです。配管がちょっと細いように思いましたが、1/80の0.6mmは48mmですから、まあ、こんなものでしょう。

4両の屋根上配管ができた8両のセットです。配管止めが整然と並んでいませんが、雰囲気はこれで十分です。右端2両の京都向き先頭車Tcに配管はないようです。

ついでに、制御車(McとTc)4両の前方屋根上に手すりも取り付けました。こんなところは知らなかったのですが、資料写真を見た結果で、外観の「雰囲気」作りの一環です。ついでに、京都線特急の特徴である、前面にダブルで付いていた行先表示板を掛けるフックも追加しました。行き先表示板は入手していました。

こうやって並べてみると、屋上の手すりを取り付けた位置がバラバラですねえ。一番の問題は穴あけです。穴あけ位置が全体に同じになっていません。工業製品は同じ位置になっていることが基本なのですが、位置決めのツールを作らないとだめなんでしょうね。もう遅いですが。

作業のたびに、3年前に取り付けていた前面両脇のステップを触ってしまい、歪んでしまいます。何度かペンチで修正していますが、いずれ再取付が必要になるかもしれません。このあたりも、取付の順番が重要だと気付きました。これももう遅いですが、次の機会への引き継ぎ事項です。まだまだキットの買い置き在庫があります。

一通りの作業が終わったので、前照灯と標識灯の取り付け方法を考えてみました。側面の行き先表示は塗装後に考えていいのですが、前面の照明部分は塗装前に予定を立てておきたかったのです。

キットに入っている前照灯の枠は真鍮製で、穴は小さすぎて、周りは少し前にはみ出します。穴を少し広げ、前の部分を削り、後で白っぽい塗装をする、そして、1.8mmのLEDを少し削って内側から差し込む、という方法にしました。

前照灯にLEDをはめ込んでみました。まあ、こんなものでしょう。

次は、前面上部の左右にある標識灯です。すでに1.8mmの穴が開いています。キットに入っていたパーツは丸い金属板で、それをはめ込むだけなのですが、それを使わず、点灯させるようにします。

この標識灯は、先頭の場合には種別灯として両方(特急)が「白(電球色)」で点灯し、後尾の場合には尾灯として両方が「赤」で点灯します。このタイプの標識灯は5000系くらいまで続いていたようです。

2800系を自分で写した写真はありませんが、大阪に戻ってから京都線に乗ったら、2300系がまだ現役で走っていたのでびっくりしました。元の前面は2800系と同じでしたが、その後に改造されていて、標識灯があったところに種別・方向幕が設置され、下に種別灯と尾灯が別々に付いています。これだと模型にLEDを付けるのは簡単になるのですが、そういうわけにはいきません。

ともかく、白と赤が同じ場所で、方向によって色が変わるので、市販の完成品模型(Nゲージ)ではプリズムを使っているらしいのですが、そんな面倒なことはできません。1つの標識灯に白と赤の1.8mm LEDをくっつけることにしました。

前照灯にも使う1.8mmのLEDは10年前にドイツから取り寄せたときは1個1ユーロでしたが、最近は中国通販で100個が5~10ドルです。色も各種揃っています。失敗しても気になりません。よく折る細いドリル刃も中国通販を利用するようになりました。

阪急の標識灯は白っぽい金属(ステンレス?)の枠が特徴的なので、2mmのアルミパイプをドリル・レース(ドリルを旋盤のように使う)して、標識灯の穴に差し込み、その中に光ファイバーを通して、内側から白と赤のLEDをあてる、という方式です。LEDをプラ板で固定してみました。

テストとして、チューインガムの内箱を使って、赤を点灯させます。

次は白です。

何とかなりそうです、気持ちだけは。実現したら、DCCボードから前照灯と尾灯のケーブルをそれぞれに配線すればいいことになりました。

内部の艤装は塗装が終わってからですが、車内側のハンダ付け処理がきれいにできていないために、内側は塗装するだけでは済まないようです。窓枠は金属パーツが揃っていますので、その周りを紙かプラ板で埋めるとすっきりしそうです。天井と壁を試しに紙で作ってみました。

この貼り付けなどは塗装後の作業になりますが、内部を塗装する時の参考になりそうです。

手間な作業が残っていました。屋根上の冷房装置(のカバー=キセと呼ばれています)に手すりを4つずつ取り付けます。
1つだけ試しに取り付けてみました。

0.4mmの穴を2mm幅で開けて、0.3mmの真鍮線で作った手すり(屋根上配管止めと同じ)を挿入し、裏から瞬間接着剤で止めます。0.3mmの穴で0.25mm以下の真鍮線が良さそうですが、工作能力の限界を超えます。

屋根上配管止めの穴を開けるのは薄い真鍮板なので比較的楽でしたが、キセはホワイトメタル(錫と鉛の合金)で作られていて、柔らかくて手間でした。斜めになっている部分なので、すべてを同じ位置に開けるために、木ぎれで簡単な固定枠を作りました。やっと位置決めツールを考えるようになりました。

この枠をドリル盤のバイスに挟んで、キセを入れると、斜めの位置がほぼ水平になります。

2つの穴の位置はキセを指でスライドさせます。結果はOKです。

結果はOKでしたが、慣れない手つきで30個以上に施すのは、とても手間でした。ドリル刃がどんどん折れました。不用意に刃先に触れてしまったり、キセの表面処理が悪かったりで、中国通販で10本入りを買っていたのですが、途中で追加注文をしておきました。追加が届かない状況で、最後の1本になりました。穴を開けるたびに切りくずを掃除して、刃先にオイルを付け、ゆっくり穴を開けていく、というペースで何とか終えることができました。9本折って2/3が終わり、最後の1本で残りすべてを終えました。一日に5個くらいをやると、イヤになるので、1週間ほどかかりました。

穴を開け終えたキセ30数個と、折れたドリル刃9本です。

すべてのキセに手すりを取り付けていくのも、けっこうな手間になりそうです。これが終われば、全体を組み立てて走行テストをするか、最終の磨きをして塗装に進むか、ですが、まだ予定は立てていません。暑い7月・8月と続けてきたので、しばらく休憩です。

(続く)

扇形庫 1

2016年6月14日

Walthersの転車台(ターンテーブル)は調子がいいのですが、フレキシブル線路をそのまま取り付けただけなので、全体に製作途中の感がありました。
そこで、線路周囲を厚紙で覆っていくなど、路面の簡易美装を始めました。

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その作業の途中で、置いてある機関車にホコリがけっこう溜まっているのに気がつきました。
こっちの対策のほうが大事だと思い、急遽、扇形庫(機関車の車庫:ラウンドハウス)を手持ちの材料で自作することにしました。地面の整備は後回しです。5月の初めでした。

いつものごとく、技能レベルに見合った、思いつき重視の簡単工作になります。
先ずは基礎作りです。
転車台を設置している板がヘンテコな形状なので、実物合わせで、扇形庫の土台となる基礎枠を置いていきます。
材料は桧の角棒(9ミリ)と板材で、接着はすべて木工ボンドです。

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両側の角棒の先端が扇形庫出入口の弧の両端になる部分です。
奥行きは、中央あたりの車庫にBig Boyが入るように決めました。
逆方向からの写真です。

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メンテナンスを考えて、建物全体を上に持ち上げられるように作りますので、基礎は下の板には固定(接着)せず、置いているだけです。ただ、構造全体をそれなりにしっかり作らないといけないので、角棒でフレームを作ります。

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この作業と平行して、弧になる機関車出入口を厚紙で作りました。薄いシナベニヤあたりが望ましいのですが、手持ちの薄い板がなかったので、厚紙になりました。
転車台の中心からの距離で弧を描き、型紙を切り出しました(次の写真の下側)。
この型紙の弧に合わせた長さの長方形を厚紙で作り、出入口を書き込みます(上側)。

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出入口の上部は半円形にしたいので、円切りカッターで切り取ります。

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出入口の下部を直線に切り、出入口ができました。ちょっと薄いようです。

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この作業は、いろいろ誤算があって、最終品まで4回繰り返すことになりました。

出入口の上部で厚紙を固定するために、桧の板材を型紙に合わせて弧を作りました。カーブが固定されるように、曲げた板材2枚を貼り合わせています。
出入口を合わせてみました。まだ弧の板材は寸法通りに切っていない状態です。

DSC03490

この写真をよく見るとわかるのですが、一番大きな誤算が見つかりました。
写真の右から2番目の線路の位置が少し(1ミリほど)左にずれています。厚紙で扇形庫出入口を作っていて、均等に配分して切り取ると、車両が柱にぶつかることで発覚しました。転車台を設置した1年半前のデタラメ工事が原因です。
転車台の停止位置調整は自由にできるので、これまでわからず、不都合もありませんでした。さっそく、その線路の敷設をやり直して、転車台の位置調整をおこないました。この記事の最後の写真と見比べると、わかるかもしれません。
こういう過去のデタラメ作業による不都合はよくあることで、新しいプロジェクトを開始すると発覚して、工事中断になります。

同時進行で、建物の柱・梁を作っていきます。
前面の弧を寸法通りに切って貼り付け、後ろの梁と結びつけて連結・強化するために、少し角棒の使い方を変えました。

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この段階で、DDA40Xで出入りチェックをしました。
出入口の幅は42ミリとしていましたが、弧を描いた型紙、上部の板材の曲げとがぴったりにはならず、一部、DDA40Xが左右で出入口に触れるところがあり、出入口の作り直しとなりました。
このあたり、下手な手作業の結果がしっかりとあらわれます。

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この状態で取り外せます。

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後部の土台の貼り合わせがヤワでしたし、壁を固定するために、後ろの梁を増やしました。
そして、壁を仮置きしました。
壁は2.5ミリ厚のラワンベニヤです。現実サイズでは20センチ厚くらいになります。
窓はカッターで切り取りました。できるだけ窓を大きくして、中が見えるようにしています。

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壁を木工ボンドで接着しました。これで全体がしっかりしました。

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屋根も同じラワンベニヤで、現物合わせで切り取って、かぶせてみました。

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ちょっぴりずれていて、板に反りがありますが、修正できるレベルです。
屋根は接着せずに、蓋をする感じで仕上げるつもりです。
このままでは、車庫に入っている機関車が見えないので、屋根にも穴を開けて、天窓を作る予定です。
まだ、出入口の厚紙加工が完成していません。

以上、6月10日まで約1カ月の製作過程でした。

続く