阪急2800系 1 組み立て

20年くらい前に、真鍮模型のキット組み立てに挑戦しようと思って、HO(16番=1/80)の阪急2800系のキットを中古で買っていました。

車体キットは最近に廃業したらしい「ピノチオ模型」が製造・販売したもので、30年以上前の製品でしょうか。箱に入った4両と、箱もないバラの車両が5両、計9両です。

阪急2800系は京都線の特急用車両として1964年から1973年まで製造されていました。YS-11の製造時期と同じ頃ですね。1963年に河原町まで地下部分が延伸したことで、梅田から河原町までの特急車両を作ることになったようです。当時の阪急の名車2000系(神戸線)の京都線バージョン2300系をベースにした、特急らしい、2扉のクロスシート仕様でした。

梅田を出て、十三から大宮までノンストップで、5両編成で始まり、最後は8両編成にまでなりました。1971年から冷房装置が取り付けられましたが、1975年から6300系が投入されたため、1976年から格下げされて、3扉のロングシートに改造され、各駅停車でも使われるようになり、1980年代から廃車されていったようですが、札幌に移ったので詳しくは知りません。

2800系によく乗っていたのは1966年から1971年くらいですから、まだ冷房装置が取り付けられていない時代です。冷房が入ってからは数回しか乗っていません。ということで、模型も非冷房時代が望ましかったのですが、中古で安く手に入ったのは冷房改造後だけでした。

非冷房と冷房改造後との外観の違いは屋根上だけなのですが、模型は上から見るので、印象はかなり違います。非冷房のモニター屋根(屋根に一段アップした換気用屋根)は側面に細かいルーバーがあって、手作りはとても無理そうなのであきらめました。別の模型メーカーが非冷房の真鍮製キットを出しましたが、高価だったし、モニター屋根だけをパーツで売っていなかったので、これもあきらめました。

まあ、よく乗っていても、走っている姿は梅田と十三の区間で併走する神戸線から眺めたくらいだし、京都線の淀川橋梁は一段高いので、屋根上はどちらでもかまわない気分(酸っぱい葡萄反射?)です。ともかく、真鍮製のキット組み立てという作業をやってみたかったので、いろんな追加パーツも中古品で手に入れ、不足しているパーツは樹脂でコピーするか、テキトーに手作りをする予定でした。

購入してから15年以上が経ちました。大阪に戻って2年間はレイアウト作りを続けていましたので、2014年の夏に引っ張り出して、組み立てを始めました。以下は、初めての真鍮キット組み立てにもかかわらず、8両編成に挑戦するという無謀な製作記です。

真鍮のハンダ付け、余分なハンダを除くキサゲ作業など、いろいろと練習しながら、夏の3カ月で箱として組み立てて、屋根の雨樋や乗務員用の手すりも取り付けて、真鍮模型の作り方がおおまかにわかりました。完成品の電気系を改造するだけと違って、なかなか手間のかかる「しんきくさい」作業が必要ですね。

一通り、箱ができました。一部、小物パーツを取り付けています。

先頭車4両です。

ちょっとずつ作っていって、形になっていくのは楽しい、あるいは、癖になる、というのは金工と同じですね。金工は基本的に素材から作るスクラッチ・ビルディングですが、鉄道車輌のような工業製品の精密模型を素材から作る技術はまったくありません。

冷房改造後の2800系は4両で1セットになっているので、2セットの8両フル編成にする予定です。中間車が1両余りますが、これは失敗したときの予備の予定です。

梅田向きの先頭車両Mc(動力・制御車:屋根にパンタグラフが2つあって、片方に運転台のある車両)の屋根上を作ってみました。四角い穴は冷房装置用、小さな穴は無線アンテナ用らしく、キットの段階で開いていました。

2両ありますが、付属パーツは1両分だけでした。上のほうは付属パーツを使い、下のほうは真鍮板や洋白板をサイズ合わせした自作です。こんな程度だけ、スクラッチ・ビルディングの真似事です。屋上配管は少し違った方法になってしまいましたが、塗装して走らせたら、あんまり気にならないでしょう。(そうかな?)

床下機器はだいたい揃いました(一部コピー)ので、エポキシ接着剤で取り付けました。写真の左手前がモーターを載せる動力車ですが、真鍮製の8両を1両のモーター車で動かせるかどうかは、まだ試していません。

全体をうまく組み立てられたかどうかはよくわかりません。塗装してみればアラがわかるでしょうね。

以上が3年前の夏の作業で、この状態で箱に入れておき、そのまま忘れて、一昨年と昨年の夏は別の工作をしていました。

今年(2017年)の7月に入って、暑い大阪で恒例になった引きこもりを始めたので、夏休みの工作課題を決めようとしていて思い出しました。塗装にトライできるかな、と思いながら取り出して、集めた資料写真とじっくり比較してみると、塗装前にやるべきことがまだまだ残っているようです。中間車両の屋根上配管や手すり(屋根上と冷房装置)の取り付け、さらに前照灯・標識灯の加工などです。

今年の作業は、中間車4両の屋上配管取り付けから始めるのですが、その前に準備作業が必要でした。それにしても、真鍮をほったらかしにすると、かなり汚くなりますね。

あらためて、組み立てた9両すべてを上から眺めました。左側が先頭車4両(梅田向き2両と京都向き2両)、右側5両は中間車です。

冷房装置取付の穴を眺めていて、写真の中央にある車両(M:中間動力車)の1両だけ、位置が異なったパターンになっていることに気がつきました。右側の4つは広い等間隔(T:中間付随車)になっています。4両セットが2つなので、中間動力車が1両足りず、中間付随車が2両多いという在庫です。

そこで、余っている中間付随車の1両を使い、屋根の穴を真鍮板で埋め、別の場所に穴を開けて、中間動力車に変更しました。作業直後なので、白っぽく写っています。四角い穴は開けられないので、ドリルの丸い穴のままです。

上に冷房装置を載せてみました。

これで屋上配管の取り付けができます。屋根にマスキング・テープを貼って配管位置を描き、手製の固定道具に挟みました。

卓上フライス盤にアダプターを入れてドリル盤として使い、配管止めを取り付ける穴(0.4mm)を開けていきました。ハンド・ピースのドリルでやると、不正確だし、すぐに刃を折ってしまいます。でも、ドリル盤を使っても不正確になるのは経験の無さなので、仕方ありません。

3年前に作った先頭Mc車ではマッハ(大阪の模型店)製の配管止めを使いましたが、とても高くつくし、資料写真を見たら、単なる真鍮線でも良さそうなので、手間省き・安上がりの配管止めを作ります。初めての真鍮模型キット製作なので、キットに含まれないパーツについては、自分で感じる「雰囲気」が出たら十分です。技術がないのに、それ以上の精度を求めると、ブラック・ホールになって進めません。

溝を切ったアルミのLアングルに0.3mmの真鍮線を置いて、ペンチで押します。

これで幅2mmのフックができます。屋根上用に200個くらい、後で必要な冷房装置の手すり用として150個くらい必要です。

0.6mmと0.4mmの真鍮線を配管に使い、配管止めで取り付けていきます。3つくらい穴に入れたらマスキング・テープで固定し、裏からハンダ付けしていきました。配管を少し浮かせるために、愛用のチューインガムの箱を細く切って挟んでいます。この厚さがちょうどいい感じでした。

結果はこんな感じです。配管がちょっと細いように思いましたが、1/80の0.6mmは48mmですから、まあ、こんなものでしょう。

4両の屋根上配管ができた8両のセットです。配管止めが整然と並んでいませんが、雰囲気はこれで十分です。右端2両の京都向き先頭車Tcに配管はないようです。

ついでに、制御車(McとTc)4両の前方屋根上に手すりも取り付けました。こんなところは知らなかったのですが、資料写真を見た結果で、外観の「雰囲気」作りの一環です。ついでに、京都線特急の特徴である、前面にダブルで付いていた行先表示板を掛けるフックも追加しました。行き先表示板は入手していました。

こうやって並べてみると、屋上の手すりを取り付けた位置がバラバラですねえ。一番の問題は穴あけです。穴あけ位置が全体に同じになっていません。工業製品は同じ位置になっていることが基本なのですが、位置決めのツールを作らないとだめなんでしょうね。もう遅いですが。

作業のたびに、3年前に取り付けていた前面両脇のステップを触ってしまい、歪んでしまいます。何度かペンチで修正していますが、いずれ再取付が必要になるかもしれません。このあたりも、取付の順番が重要だと気付きました。これももう遅いですが、次の機会への引き継ぎ事項です。まだまだキットの買い置き在庫があります。

一通りの作業が終わったので、前照灯と標識灯の取り付け方法を考えてみました。側面の行き先表示は塗装後に考えていいのですが、前面の照明部分は塗装前に予定を立てておきたかったのです。

キットに入っている前照灯の枠は真鍮製で、穴は小さすぎて、周りは少し前にはみ出します。穴を少し広げ、前の部分を削り、後で白っぽい塗装をする、そして、1.8mmのLEDを少し削って内側から差し込む、という方法にしました。

前照灯にLEDをはめ込んでみました。まあ、こんなものでしょう。

次は、前面上部の左右にある標識灯です。すでに1.8mmの穴が開いています。キットに入っていたパーツは丸い金属板で、それをはめ込むだけなのですが、それを使わず、点灯させるようにします。

この標識灯は、先頭の場合には種別灯として両方(特急)が「白(電球色)」で点灯し、後尾の場合には尾灯として両方が「赤」で点灯します。このタイプの標識灯は5000系くらいまで続いていたようです。

2800系を自分で写した写真はありませんが、大阪に戻ってから京都線に乗ったら、2300系がまだ現役で走っていたのでびっくりしました。元の前面は2800系と同じでしたが、その後に改造されていて、標識灯があったところに種別・方向幕が設置され、下に種別灯と尾灯が別々に付いています。これだと模型にLEDを付けるのは簡単になるのですが、そういうわけにはいきません。

ともかく、白と赤が同じ場所で、方向によって色が変わるので、市販の完成品模型(Nゲージ)ではプリズムを使っているらしいのですが、そんな面倒なことはできません。1つの標識灯に白と赤の1.8mm LEDをくっつけることにしました。

前照灯にも使う1.8mmのLEDは10年前にドイツから取り寄せたときは1個1ユーロでしたが、最近は中国通販で100個が5~10ドルです。色も各種揃っています。失敗しても気になりません。よく折る細いドリル刃も中国通販を利用するようになりました。

阪急の標識灯は白っぽい金属(ステンレス?)の枠が特徴的なので、2mmのアルミパイプをドリル・レース(ドリルを旋盤のように使う)して、標識灯の穴に差し込み、その中に光ファイバーを通して、内側から白と赤のLEDをあてる、という方式です。LEDをプラ板で固定してみました。

テストとして、チューインガムの内箱を使って、赤を点灯させます。

次は白です。

何とかなりそうです、気持ちだけは。実現したら、DCCボードから前照灯と尾灯のケーブルをそれぞれに配線すればいいことになりました。

内部の艤装は塗装が終わってからですが、車内側のハンダ付け処理がきれいにできていないために、内側は塗装するだけでは済まないようです。窓枠は金属パーツが揃っていますので、その周りを紙かプラ板で埋めるとすっきりしそうです。天井と壁を試しに紙で作ってみました。

この貼り付けなどは塗装後の作業になりますが、内部を塗装する時の参考になりそうです。

手間な作業が残っていました。屋根上の冷房装置(のカバー=キセと呼ばれています)に手すりを4つずつ取り付けます。
1つだけ試しに取り付けてみました。

0.4mmの穴を2mm幅で開けて、0.3mmの真鍮線で作った手すり(屋根上配管止めと同じ)を挿入し、裏から瞬間接着剤で止めます。0.3mmの穴で0.25mm以下の真鍮線が良さそうですが、工作能力の限界を超えます。

屋根上配管止めの穴を開けるのは薄い真鍮板なので比較的楽でしたが、キセはホワイトメタル(錫と鉛の合金)で作られていて、柔らかくて手間でした。斜めになっている部分なので、すべてを同じ位置に開けるために、木ぎれで簡単な固定枠を作りました。やっと位置決めツールを考えるようになりました。

この枠をドリル盤のバイスに挟んで、キセを入れると、斜めの位置がほぼ水平になります。

2つの穴の位置はキセを指でスライドさせます。結果はOKです。

結果はOKでしたが、慣れない手つきで30個以上に施すのは、とても手間でした。ドリル刃がどんどん折れました。不用意に刃先に触れてしまったり、キセの表面処理が悪かったりで、中国通販で10本入りを買っていたのですが、途中で追加注文をしておきました。追加が届かない状況で、最後の1本になりました。穴を開けるたびに切りくずを掃除して、刃先にオイルを付け、ゆっくり穴を開けていく、というペースで何とか終えることができました。9本折って2/3が終わり、最後の1本で残りすべてを終えました。一日に5個くらいをやると、イヤになるので、1週間ほどかかりました。

穴を開け終えたキセ30数個と、折れたドリル刃9本です。

すべてのキセに手すりを取り付けていくのも、けっこうな手間になりそうです。これが終われば、全体を組み立てて走行テストをするか、最終の磨きをして塗装に進むか、ですが、まだ予定は立てていません。暑い7月・8月と続けてきたので、しばらく休憩です。

(続く)

犬のランプ すべて完成

2017年3月24日

3月24日、パスカルSrとショパンもできあがりました。
3つ並べて記念写真です。左がパスカルJr、中央がショパン、右がパスカルSrです。

写真を撮っていたら、トコも仲間入りしてきました。

別の角度です。

実物のパスカルJrが退屈そうに眺めています。

暗い中での照明の具合です。
左のJrはLED3灯、中央のショパンと右のSrはLED9灯です。

それぞれのモデルの写真です。
最初の愛犬、パスカルSr(ゴールデン・リトリーバー)です。

他の犬を見ると興奮するのはJrと同じ性分ですが、猫にはとてもやさしく接していました。

Srのイメージはこういうものになりました。真鍮です。

点灯時です。

2番目の愛犬、ショパン(スタンダード・プードル)です。子犬の頃は真っ黒でした。

成長するとグレー(シルバー)になり、脚がとても長く、クリクリの目で、一途な性格でした。

ショパンのイメージはこうなりました。銅を硫黄で黒くしました。

点灯時です。

比較のために、パスカルJr(スタンダード・プードル)も再掲しておきます。真鍮です。

点灯時です。

以下は最後の作業ダイアリーです。
3月3日、クラフトパークでショパンの表面処理をしました。

これは「荒らし」と呼ばれる、先を加工した金槌(3と書かれている)で表面を叩く作業です。表面に模様を付ける荒らしにはいろいろなパターンがあり、アルミ板にサンプルが叩かれています。
ショパンには3番を使いました。

その後の一週間、自宅で組み立て作業が続きます。
ショパンの頭にステイを取り付けたところです。

胴体にもステイを取り付けました。パスカルJrの工作で、頭の揺れを防止するためには、頭と胴体を取り付けるネジを増やしたほうがいいとわかったので、3本のネジで固定することにしました。

銅は柔らかいので、ステイは3枚重ねにしようかと考えていたのですが、2枚をハンダで貼り合わせると真鍮並みに固くなりました。

3月10日、クラフトパークでの作業です。
パスカルSrの表面に荒らしを入れました。4番を使いました。

パスカルSrの尻尾を作ります。真鍮板を切り取って、荒らしを入れてから2つに折るのですが、先ずは木製の溝板に当てて、木槌で叩いて、可能な程度に曲げました。

最後は、バーナーで熱を加えて重ねました。スイッチを入れる穴を確保するために、3ミリ径の長いネジを入れています。

できあがった直後の尻尾と後頭部の円形です。これからヤスリがけや磨きを始めます。

尻尾の取り付け位置の確認です。プードルとはちょっと違っています。尻尾の形はその後少し変えました。

3月17日、クラフトパークでショパンの色づけをしました。硫黄を入れた湯に漬けて黒くさせました。尻尾(銅)やネジ(真鍮)も黒くなりました。

胴体の裏側まで、いい色になりました。裏に長く伸びている板材は電池ケースの固定用で、切り取ってから、LEDパネルの固定用金具に使います。

ショパン用のLEDパネル固定金具です。

ショパンとパスカルSrのLEDパネルは、Jrとは違った百均LEDライト(9灯)を使いました。

こちらのLEDライトを使った理由は、分解して利用する電池ケースの押しバネが適していたからなのですが、照明としては、Jrに使った3灯のほうが明るいようです。すべて4.7Ωの抵抗を入れています。

3月24日、クラフトパークでの今期最後の作業は、自宅での組み立て作業で剥げてきたショパンの黒の塗り直しでした。すでに配線も終えていて、硫黄のお風呂に入れるわけにはいかないので、ドライヤーで熱しながら、綿棒で硫黄を重ねていきました。

すべて終わったので、透明塗料を吹き付けました。パスカルSrとJrはツヤありの塗装、ショパンはツヤなしの塗装です。

これで三体が完成となりました。

こんな使い方もあるかもしれない、というサンプルですが、犬のランプは上から眺めるほうが可愛いので、こういうことはしないでしょうね。

延べ3カ月、同じ作業の繰り返しでしたが、それぞれの素材やサイズや仕上げが異なるので、最初に作ったJrと比べて、Srとショパンが短時間でできたということはなく、すべて同じくらいの手間と時間がかかりました。今回の出来上がりには、それなりの思い入れもあったので、満足しています。

(完)

これでしばらく金工を休みます。当分は金属(真鍮)の鉄道模型キット製作に集中する予定です。

 

S1整備とDCC化 4(仮終了)

2月は金工「犬のランプ」製作が面白くて、こちらをほったらかしにしていました。

1月末までの作業です。
テンダー後部の尾灯LEDを装着して、コネクターからの配線をすべて接続しました。

DCCボードはマザーボードごとビニール袋に入れて、後ろ側に放り込んでおきます。少し熱を持ちますが、これまでもOKでした。

機関車側のLED配線に進みます。
LEDをこんな形で結線して入れることにしました。

この配線では、ヘッドライトと両側の車側灯にそれぞれCRDを入れていますが、ヘッドライトを点灯させると車側灯も同時に点灯します。車側灯の点灯回路を分けようかとも思いましたが、走行させる際には同時点灯でいいことにしました。一応、DCCボードから別回路のDC(AUX)をモーター部まで伸ばしていますので、運転室の点灯など、いずれ考えるかもしれません。

LEDを中で固定するために、両面テープを下地にしてから樹脂粘土を貼りました。

DC電源で点灯チェックです。

ヘッドライトの配線をモーター部分に来ているケーブルにコネクターで接続しました。これでDCCの配線は終了です。

3月に入って、組み立てました。
レイアウトで手押しして確認したら、コネクター・ケーブルが太かったので、曲線部では機関車本体とテンダーがすんなりと曲がりませんでした。機関車側のケーブルをより細い電子ワイヤに交換しました。

テンダーとの連結部分の間隔です。

さて、ようやくのテスト・ランです。レイアウトの直線部に置いて、出発させました。以下の動画は音が出ます。

曲線部に入るところで緩和曲線が必要かなと思っていましたが、それは問題なく、なんとか曲線をぎりぎりに回っています。さすがに、速度を上げるとギヤ音が大きくなります。

そのまま周回させました。直線と大半径のカーブだけを無事に一周して戻ってきましたが、駅に入る分岐器で脱線してストップしました。

原因は、先輪の誘導機能が悪いことと、動輪の回転自由度が小さいことだろうと思います。
あるいは、Bachmann(バックマン)製の分岐器との相性かもしれません。
カーブでの先輪のはみ出し映像です。

この外周線路はメルクリンのC-トラックで最大の半径1,115mm(24912: R9)を使っていますが、S1の胴体後部が固定されているので、先端部は外を向いてしまいます。
内側の線路(エンドウの線路で半径は1m)でも試しました。分岐器の方向が違うので脱線はしませんでしたが、状況はほぼ同じでした。

この模型を自然な感じで走らせるためには、曲線部は半径2m以上が必要なのでしょうね。1/87ですから、当レイアウトの曲線半径1mは実サイズ換算では半径87mで、地下鉄の急カーブ並みです。実物のS1も最小回転半径が大きかったために、PRRの走行路線が限られたようなので、なんか、納得してしまいそうです。

可動部分の連結はこのようになっています。右が前です。

前後で2つに分かれていて、前の先輪と動輪、後ろの従輪と動輪が別のフレームになっており、後ろの従輪・動輪のフレームは胴体に固定されています。前後の動輪の間にジョイントがあって、前の部分が動くようになっていますが、自由度がとても小さいのです。
前の部分を取り外した写真です。前方に伸びたステイだけで前の動輪と先輪部分を固定しています。

このステイの高さ調節がとても微妙で、この高さによって機関車本体の前後の高さが大きく変わります。

先輪の台車に付いている枕梁(まくらばり:ボルスタ)の位置が悪そうです。ずっと気になっていました。

枕梁は台車の固定と回転を請け負うもので、ここには2つ付いていますが、3軸台車で後ろ側の枕梁に中心ピンを入れて押さえています。これは先輪の回転を考えた結果だろうと思いますが、そのため、写真(整備前)のようにステイの調整が悪いと、台車の後ろが下がってしまい、分岐器やカーブでレールと接触してショートします。

下がらないようにステイを上げると、先輪が浮く感じで、動輪を誘導する機能がなくなるようです。中心ピンの長さを変えて、微妙な位置調整をしたりすればうまくいくのかもしれませんが、分岐器で脱線しないピッタリの位置を見つけられません。

このあたり、模型製作のノウハウがないので自信はないのですが、最低限、枕梁と中心ピンの変更などの処置をしないと、脱線は必至という状況のように思えます。

実物のS1は”duplex”と呼ばれる方式で、前後の動輪部を動かす2つのシリンダーは両方とも胴体に固定されているので、機関車の回転中心位置が本体中央にあるのでしょうね。現在の中心位置は後部動輪の後ろあたりです。これを変更するのが一番ということなのでしょうが、そうなると、テンダーとの連結も自由度を高める必要がありそうです。となると、もはや整備ではなく大改造になり、手に負えないように思います。トライしてみたいのですが、どうなるでしょうか。

S1は曲線が苦手なので、本線から転車台まで自走して入ることはできませんが、「神の手」で扇形庫に置いたら、直線はOKなので、ターンテーブルでの入れ替え作業は可能です。

扇形庫から転車台に乗るところです。以下の動画は音が出ます。

転車台にぎりぎり乗って、回転です。

扇形庫に入ります。

長い機関車ばかりを扇形庫に並べました。中央にS1、右にレイモンド・ローウィによるデザインのT1、左の2つはビッグボーイです。

S1は長いので、扇形庫から大きくはみ出すかと思いましたが、ほんのちょっとだったので、このままで良さそうです。

S1の車庫については、Classic Trains誌の古い記事に1947年の写真(Glendale Hoffman氏撮影)がありました。

これはオハイオ州のCrestlineにあるPRRの機関庫で、左端に引退したS1と、継ぎ足したような扇形庫が写っています。ここの転車台はS1より短いため、S1の方向を変えるときは、この近くにあるY(wye)形の分岐器の組み合わせによる三角形(デルタ線)を使っていたそうです。

GOOGLE EARTHで現在のCrestlineの航空写真を見つけました。

保存活動があったように聞きましたが、転車台跡には水が溜まり、残った建物の屋根は朽ちています。S1の機関庫は残っているようですが、屋根の鉄骨が見えています。

もう一つの話題です。デンマークの電子音楽系のデュオLaid Backのアルバム「Play it Straight」(1985)のジャケットです。

赤く塗ったS1がなかなかモダンです。彼らの音楽はYouTubeにたくさんアップされています。

ということで、さらなる改造はもっと勉強してから、としました。当分は扇形庫で休憩してもらいます。残された課題は多くありますが、ともかく、S1のDCC化は成功して、数十年ぶりに走らせることができましたので、今回の整備はいったん終了、ということにします。

追記
転車台に向けてS1を走らせてみたら、アプローチの手前で停止します。これは転車台・扇形庫のボードを電気的に切り離してブースターで動かしているので、アプローチの手前にギャップを入れているためです。機関車の集電とテンダー(炭水車)の左右の集電が離れて、無電(電位差なし)区間になってしまうようです。線路のギャップは残したいので、S1のテンダーで両方の線路から集電するようにしました。本来なら、動輪で左右からの集電をすべきなのでしょうが、それは少し手間なので、簡易工事で済ますのが当模型鉄道の方針です。

作業は簡単です。テンダーの後部台車を外して、手持ちの集電部材を切り取って、絶縁されている車輪に接触させます。

台車の塗装をはがし、プラバンの下地を接着剤で貼り、配線した集電部材をプラバンに接着剤で貼り付けました。

上から見ると、配線が出ていますが、台車と底板にはスペーサーを入れるので、干渉しません。

底板に2mm径の穴を開けて、配線を通して、機関車側からの集電線と合わせると終了です。

これで、ギャップでの停止はなくなりました。集電材の接触摩擦による走行への影響があるかどうかは定かではありません。
試走後、つや消し黒を塗っておきました。

ついでに、Kadeeカプラーも取り付けましたが、枠が小さく、単なるネジ止めだけになりました。いずれ、S1を改造をする際には、枠を大きく削る予定です。

4月に入って、転車台へのアプローチを改良しましたので、S1も自力で転車台・扇形庫への出入りができるようになりました。

 

犬のランプ 4 Jr 完成

3月1日、パスカルJrが完成しました。

鼻の先から後ろ足まで27cm、高さは15cmです。

スイッチのオン・オフ動画です。音は出ません。

いくつかの角度から眺めてみます。表面の仕上げは少し刷毛目のようにしておきました。

頭の後ろには直径5cmの真鍮円板を取り付けました。見えるところはネジも含めて真鍮製にしました。

暗いところで、ランプ点灯の雰囲気を見ました。

近いところが前に尖り、黄色くなっているのは真鍮の反射です。LEDパネルの角度を調整したら反射を無くせそうですが、このランプで読書する気はないので、これはこれで面白いかと思います。

パスカルがちょっとだけ興味を示しました。

裏側の処理です。LEDへの配線の途中にコネクターを取り付けて、分解が簡単にできるようにしました。

胴体に一本、パイプを留めています。配線を通すためですが、電池ボックスの動きを止める働きもあります。また、胴体側の首への板材も二重にして、揺れを止めました。

試行錯誤の連続で、板材のハンダ付けの上に板材のハンダ付けが必要になっていて、裏はきれいではありません。今後、ショパンとパスカルSrを製作するときには、もう少しきれいな裏側にしたいと思います。

図面起こしから、ちょうど1カ月くらいです。板材の切り抜きと曲げ以外は自宅での作業で、鉄道模型ほどの精度は不要なので、気楽で楽しい工作でした。

途中のままほったらかしになっているS1の整備に戻って、その後にショパンとパスカルSrに取りかかる予定です。

(続く)

犬のランプ 3

2月18日からの自宅での作業です。
Jrの頭と胴体をつなぐために、頭と胴体のそれぞれに真鍮の板材を取り付けてみました。

板材を両方に取り付けたのは、簡単に分解できるようにするためです。まだヤスリ掛けや磨きが終わっていませんので、固定してしまうと大変です。今後のメンテナンスもやりやすいと思います。

頭と胴体に付けた板材の両方にネジ穴を1cm間隔であけました。2本のネジで留めます。頭のほうの板材に多くのネジ穴をあけたのは、どの2つで留めると適当な長さかを調べるためです。

一番下の2つで留めてみました。一番、首が長くなった状態です。

横から写すと、このような感じです。作業中で、尻尾を付けていないので、全体の雰囲気がわかりにくいのですが、悪くなさそうです。

でも、確認のため、ネジ穴を1つ上げて(首を1cm下げて)取り付けてみました。

これはパスカルJr(プードル)としては下がりすぎのように感じます。パスカルSr(ゴールデン・リトリーバー)だと、これくらいかもしれません。

これで大体ですが、首の長さと方向が分かりました。パスカルJrには一番下の位置のネジ穴を使います。

正面から写すと、弥次郎兵衛みたいです。

組み立ててみて、問題点も見えました。
首に使う真鍮の板材を頭や胴体と同じ0.8mm厚(幅1cm)で作ったのですが、置いたときに首が小さくプルプルと揺れるのです。しかも、30秒以上続きます。単なる置物だったら、それも一興かもしれませんが、照明が揺れるのは困る気がします。
動画です。この揺れの見納めです。音は出ません。

揺れを押さえるために、頭からの板材を二重にしました。

これで揺れはかなり治まりました。

2月24日、クラフトパークで、ショパンの切り取りと曲げをしてきました。Srの胴体も太くしました。
3体を並べてみます。

左がパスカルSr、中央が製作中のパスカルJr、右がショパンです。

その後の自宅作業で、パスカルJrの製作が続きます。

LEDパネルを取り付けるステイを作りました。組み立てが楽になるように、ナットはすべてハンダ付けしています。

LEDパネルを取り付けてみました。

後ろから見ると、こうなっています。分解が必要になりそうな場所はすべてネジ止めにしました。

尻尾の先の球を袋ナットから作ったのですが、小さかったので、東急ハンズで直径10mmの真鍮球と銅球を買ってきて、穴をあけました。その穴にM3のネジを取り付けて、ドリルの回転でサンドペーパー掛けをしました。

パスカルJr(手前の真鍮)とショパン(後ろの銅)の尻尾です。ショパンの場合は銅パイプに入れます。

胴に電池ボックスを入れる仕掛作りは試行錯誤でした。

最初はマイナス側を胴体に直結してみたのですが、電池ボックスを入れる際にプラス側が金属部分に触れてショートすることがあったので、どちらにもプラ板を挟んで接触端子を独立させました。

電池ボックスを入れてみました。ボックスが下に落ちる心配はなさそうです。

仮組みしました。

仮配線して点灯テストです。明るさとしては、4.7Ωの抵抗を入れるくらいがちょうど良さそうです。

これで配線すればパスカルJrの完成になるのですが、まだ磨きなどが残っています。もう少しかかりそうです。

(続く)

 

犬のランプ 2

2月10日の成果です。

パスカルJr.の頭を切り抜いていきます。

鼻の溝に切り込みを入れ、目をドリルで開けてから、3軸ローラーを使ってカーブを作ります。徐々に間を詰めながら、何度もくぐらせます。

できあがりました。

夜、パスカルと比べてみました。こんなもんかな?

2月17日、クラフトパークでの作業です。
パスカルSr.の頭の切り抜きです。Jr.とはちょっとだけ違います。

同じく3軸ローラーを使いました。

その後に、パスカルSr.の胴体も切り抜きました。

もっとヤスリ掛けと磨きが必要ですが、すべてを並べてみました。
左側が先週までに作ったパスカルJr.の頭と胴体、右側がパスカルSr.の胴体と頭です。Srの胴体がちょっと細いので、来週にクラフトパークで調整します。

頭のサイズは同じですが、違いは、目のサイズがJr.(左)は7mm、Sr.(右)は7.5mmです。鼻の違いもあります。

胴体の違いです。
左のJr.が大きく(右のSr.が小さく)見えるのですが、これは脚の長さの違いです。

このサイズの違いが、頭を取り付けたときに、全体のバランスにどう影響するか、それが問題です。

これから一週間、自宅で組み立て方法を考えることにします。
来週は銅板でショパンの頭と胴体を作る予定です。

(続く)

 

犬のランプ 1

2017年になりました。1月20日からクラフトパークの新学期が始まりましたが、次のプロジェクトを考えながらも、何も決めていませんでした。
20日と28日は、とりあえず以前に作ったスプーンなどの修理で過ごしつつ、金属工芸品の写真集やネットを眺めていたら、いくつか、興味を覚えた作品がありました。

その一つが犬のランプです。

これは、フランスのディドロ(Disderot)というデザイン照明の会社が1950年代に販売していたランプで、Jean Boris Lacroixというデザイナーの作品だそうです。今は販売されていません。

素材は金属(薄い鉄板?)に塗装をしているようです。この写真を見た途端に、これは作ってみたいと思いました。自分の拙い技能レベルでも可能な範囲という意味でもあります。

オリジナルはテリアっぽく見えるので、そのままコピーする気はなく、我が家の愛犬たち(パスカルSr.、ショパン、現在のパスカルJr.)をモチーフに取り入れようと決めました。つまり、3つ作るという目論見です。

素材は、犬種は違いますが、パスカルSr(シニア:ゴールデン・リトリーバー)とパスカルJr(ジュニア:スタンダード・プードル)とは同系色なので、真鍮とします。ショパンはスタンダード・プードルですが、黒からグレー(シルバー)になったので、銅を硫黄で黒っぽくするという計画を立てました。

まずは、平面に展開してみた図をコンピュータでいろいろ作ってみて、印刷し、いくつか画用紙で組み立ててみました。一つを床に置いてサイズを測る写真を撮ろうとしたら、パスカルがやって来ました。

こうやって眺めてみると、オリジナルのデザインは秀逸で、とてもキュートにできていることに感心します。カラーリングも素敵です。他の色のものも作られていたようですが、白黒の配色がベストと感じました。

パスカル風に作った紙のモデルは可愛さが足りません。白紙のままということもありますが、胴と頭のサイズのバランス、耳の形、頭の長さ、頭の向き、目の位置などがポイントだろうと思います。しばらく改良を続けました。

オリジナルの照明は昔風の小型電球を使っていて、お尻から電源ケーブルが伸びています。スイッチはケーブルの途中にある中間スイッチとなっているようです。

作るのは電池でLED照明にします。オリジナルのサイズは頭の先から尾の先までで30cmくらいのようですが、このサイズは少し大きいので、一回り小ぶりにします。机の上とかに置いて邪魔にならないサイズです。

と言っても、どれくらいが適当なのかを決めなくてはならず、サイズの基準として、手持ちの百均LED懐中電灯を利用することを思いつきました。

懐中電灯を分解しました。手前の中央にあるLED(3個)、隣の単4電池が3個入る電池ボックス、押しバネを使います。ただ、このLEDライトは抵抗を入れずに明るくしているため、消費電力が大きすぎます。抵抗を入れる必要があります。その右のトグルスイッチは手持ちの一番小さなもので、尻尾をスイッチにする計画です。

ポイントは、胴体の中に入れる電池ボックスが外から見えないサイズです。

画用紙で作ったモデルに照明を組み込んで、点灯してみました。

裏側はこうなっています。

頭にLED、胴体に電池ボックスを収め、尻尾がスイッチです。
このモデルを使って、頭のデザインとサイズをチェックしました。

これはちょっと大きすぎました。
ここまでは全部、自宅での準備作業でした。

2月3日、クラフトパークでの作業です。
0.8mm厚の真鍮板から胴体を切り抜きます。
この胴体はパスカルJrで、胴体を少し太めにしています。

バンドソーで切り抜きました。

犬のランプの場合は、焼きなまして叩くという鍛金作業はありません。切り抜いて、ヤスリ掛けして、曲げる作業だけです。

胴体を曲げる作業ですが、最初に砂袋を敷いて、中央部を円筒で叩くという方法を教えてもらいました。

前を少し太く、後ろを細くして、左右のバランス調整です。

胴体ができあがりました。

紙のモデルにかぶせてみました。

胴体は予定通りになったようです。

2月8日、自宅での作業です。
尻尾に付けるスイッチのステイを真鍮板で作り、ハンダ付けしました。
スイッチが動くように、胴体のお尻部分に切り込みを入れてあります。

スイッチにかぶせる尻尾を作り始めました。プードルらしく、尻尾の先を球にしたいのですが、適当なものがなく、真鍮の袋ナットを削って丸くしました。
M3(3mm径)のネジの頭を切り取り、外径4mm(内径3mm)の真鍮パイプの中に入れて、反対側はトグルスイッチにはめ込むために3mm径の真鍮パイプを入れています。

ちょっと削り過ぎだったので、もう一つ作りました。

尻尾を仮止めしてみました。

マアマア見込み通り、という感じですが、ちょっと球が小さいかもしれません。

(続く)

 

S1整備とDCC化 3

やっとDCCボードと接続する加工作業に入りました。1月16日までの1週間の作業を振り返ります。

サウンド・ボードはESUのLoksoundですが、手持ち最後の1個となったV3.5を使います。LoksoundもV4.0からはスピーカーが低インピーダンス(普通の4~8Ω)になりましたので、小型スピーカーを選ぶのが楽ですが、逆に、これまで苦労して集めていた高インピーダンス(100Ω)のスピーカーが無駄になってしまうのが残念です。

WindowsでLokProgrammerというソフトを立ち上げて、すべての機能が働いているかをチェックします。テスト用ボード(ESU製)にLoksound(左手前)を差し込んでいます。

LokProgrammerのインターフェイスはRS-232Cを使う古いタイプです。現在のインターフェイスはUSBに変わっているようですが、ソフトは同じものです。ソフトは最近V4.5にバージョンアップされて、かなり使いやすくなりました。

機関車本体とテンダーとのケーブル接続用コネクターを作ります。
先ずは、コネクター・ピン(幅1mm:帯のように連なっているものを切り取って使います)を工具を使ってケーブルに取り付けます。

このようにケーブルを入れてから、挟んでカシメます。この細かい作業はなかなか慣れず、手間取りますが、意外と失敗は少ないのです。

カシメた結果です。たいてい反ってしまうのですが、何とかなります。

6本をコネクターに差し込んだら出来上がりです。

これがメスのコネクターになり、オスのコネクターを差し込んで(右側)、導通をチェックしてから、ゼリー状の瞬間接着剤で固定します。なお、配線のカラーリングはESUが指定している色とは無関係にやってます。忘れそうなので、メモしておかなければなりません。

右側のオスのコネクターにはケーブルをハンダ付けします。もちろん、メスと同じ色の配線にします。導通をチェックしてから、ここにも接着剤を塗っておきます。

サイズはこんなものです。

機関車本体にはオスのコネクターからの配線となります。

たぶん、台車とは干渉しないと思いますけど、少々ケーブルが太かったようです。

テンダーとの接続テストです。

機関車側のコネクターへの配線は、テンダーに合わせて左右に動かないといけませんが、ちょっと固いようです。細いケーブルで作り直す必要があるかもしれません。

次は、テンダーの裏蓋にスピーカーの穴を開けます。
これは卓上フライス盤ですが、ドリル加工ばかりで、フライス加工(面の切削)をしたことはありません。

一応は線書きをしていますが、結局は移動の回転数でテキトーに2mmの穴を開けました。中心には板パーツがあるので避けましたが、音の抜けは十分のようです。

実は、スピーカーの第一候補はバスレフ式で、以前にSamhongsa (Key Imports) のビッグボーイに取り付けたものでした。1つ残っていました。幅は少し狭いですが、少し長く、少し厚いものです。

実際に取り付けたのは、ESUのスピーカーですが、この2つの違いは、さすがにバスレフ式のほうが低音がよく出るものの、音がまるくなり過ぎます。ESUのほうは低音が出ず、高音がメインになって、シャリシャッリした音になります。ところが、穴を開けてから、2つのスピーカーを取り付けてみて、音を比較したら、ESUの高音が押さえられ、低音が出るようになって、バスレフ式以上の音になりました。ESUスピーカー付属のちゃちな裏箱をはずすと、テンダー全体が密閉式のスピーカーボックスとして、うまく働くようです。

スピーカーをネジ止めしました。

1つのネジには左側レールからの給電端子を取り付けました。

Loksoundをマザーボードに差し込んで使っています。このマザーボードはLoksoundからの配線をコネクターに分けてくれて便利ですが、これは単体で購入したものではありません。

10年くらい前に、アメリカの通販ショップで、Precision Craft Models製品のバーゲン・セールがありました。Loksoundが搭載されたOn30というサイズのレールカー(Gallopping Goose)がLoksound単体よりもずっと安くなっていたので、これ幸いと、5台くらい購入しました。

そのレールカーに使われていたのが、このマザーボードなのです。このレールカーは面白いので、1台だけ保管してありますが、他はすべて分解して、パーツにしてしまいました。分解したときの写真です。

このレールカーは2個の大型スピーカーで迫力ある面白いサウンドを出しますが、残念ながら、HOゲージの車両には入らないサイズのスピーカーです。On30というサイズは、レール幅はHOと同じ(16.5mm)ですが、本体のスケールは1/48(HOは1/87)なので、当模型鉄道で走行させると、多くのものにぶつかってしまいます。

今回、残っていたLoksoundはここから取り出したものですし、モーターも使っていますので、脳と心臓を移植したと言えるかもしれません。と言うか、オズの魔法使でTin Woodman(ブリキの木こり)に時計をあげたような気分です。

さて、機関車側の右側レールからの給電箇所としては、モーター固定用の真鍮板にハンダ付けしました。ここからテンダーにケーブル(黒)でつなぎます。

LED以外のケーブルをコネクターでつないで、仮配線してみました。

机上テストをします。結線がOKかを試すためにスローで動かします。面倒なので整備台に載せていません。モーター後部が重いので、ペンチを下に入れて支えています。机の上がゴチャゴチャなのは仕方ありません。

動画です。音は出ません。

走行テストまで、あと1週間くらいでしょうか。

(つづく)

S1整備とDCC化 2

2017年1月に入って、10日間の下ごしらえ作業を振り返ります。

DCC化するにあたって、配線のルートを決めようと思い、再度、組み立てました。ところが、組み立ている途中で、伏兵現るです。機関車の従輪台車(後ろ側の台車)のパーツが外れていました。写真の下に写っている黒い四角いパーツ(軸箱)を支える金具がはずれていて、どこにも見当たりません。

この軸箱はバネで動くようになっていて、下で支える必要があります。ここを修理しないと車輪を入れることができません。小さなパーツが消えてしまうのはよくあることなので、一通り床を探してから、何か代わりになるもので都合をつけることにしました。
1mm幅の真鍮板の切れ端があったので、応急処置として、2液性の接着剤で固定してみました。

しかし、荷重がかかる部分に接着剤は無理だったようで、すぐにはずれました。結局はハンダ付けしました。

テキトーですが、固定できたと思います。こんな小さな可動パーツの修理は一番苦手です。
簡易なタッチアップ塗装をしておきました。

分解する前に調べておけば手間いらずだったのですが、ここで長さを計測しておきます。実は、ターンテーブル(転車台)に乗るかどうかが大問題なのですが、世界最長の機関車だとわかっていながら、測っていませんでした。
機関車の先頭からテンダー後部までは48.5cm、後部の連結器を含めると49.5cmです。実物が42.7mだったそうですから、ほぼ縮尺(1/87)通りです。確かに長いですね。

機関車後部が下がっているのか、テンダーと高さが合っていません。届いたときから、この模型はテンダーのほうが高いのですが、組み立てが雑だったのか、強調されました。スペーサーの調整などで、これを合わせることができるかどうかも今後の課題です。

ターンテーブルに車輪がすべて乗るかどうかが問題なので、機関車の先輪からテンダーの後輪までを調べました。

45.5cmです。これは微妙な数字ですが、ともかく、ターンテーブルに載せてみました。

ギリギリ、乗っています。先頭はこれくらいです。

後ろはこれくらいです。

両端で余裕は1cmありませんが、何とかなりそうです。DCCでコントロールできなければ、手で前後に動かせばいいや、という程度です。完全にはみ出すようなら、ターンテーブルの線路を延長改造しなければならないので、ほっとしました。

さて、配線のルートを検討します。DCCボードとスピーカーはテンダーの中に入れますので、機関車本体とテンダーの間に最大で6本の配線をコネクターで接続するつもりです。
機関車とテンダーの間はこのようになっています。

左右から連結器のように見える大きめのパーツがありますが、これは模型を動かすときに必要な役割はありません。その下に、細い金属が見えています。裏から見ると、こういう状態です。上の写真ではつないでいませんが、この写真はつないだ状態です。短いほうの穴でつなぐとぶつかっています。

この細長い金属はドローバー(draw bar:引っ張り棒)と呼び、機関車から伸びて、テンダー(炭水車)の下部のピンにはめて、テンダーを引っ張るパーツです。短いほうの穴に入れると実物らしさ(機関車とテンダーが近い)が出るので、大きなカーブでの走行とか展示に使いますが、テンダーがぶつかってしまうのは問題です。

実は、このパーツはテンダーを引っ張るだけではなく、給電にも使われています。こういう機関車への給電(集電)方法には推奨標準があり、機関車本体が右側のレールから集電し、テンダーが左側のレールから集電することになっています。そして、このドローバーでテンダーからモーターの付いている機関車に給電しているのです。金属製の機関車本体には右側のレールの電気が回って来ていますので、機関車側のドローバーの取り付け部分は絶縁されていて、モーターに配線されています。

DCC化する場合は、このドローバーとは別に配線する予定なので、ドローバーの給電機能はどうでもいいのですが、問題はカーブでも機関車本体とテンダーが接触しない距離が必要です。上の写真のように接触するとショート(短絡)してしまいます。

問題をはらんでいるパーツで、このパーツを削って、配線ルートのコネクターを取り付ける場所にするとすっきりするかもしれません。この思いつきが吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、やってみたくなりました。

再度、分解しました。
テンダー側のパーツは鋳物(真鍮のロストワックス)っぽいので、出っ張りを切ってから、穴を開けなければなりません。

かなり切り、削りました。いつの間にか、テンダー下の角が曲がってしまっています。
配線を通すルートとして、裏蓋の下、斜めに内部まで穴を貫通させています。

予定している6ピンのコネクターがすっぽり入りました。汚い作業結果ですが、裏なので、配線が無事に終わったら、パテで埋めるつもりです。

機関車本体後部は2mmほど切り取りました。この口に配線を通そうと考えています。

このあたりの切削作業に使ったハンドグラインダーです。金属粉が飛び散る作業は嫌いですが、仕方ありません。マスクをしながら、ダンボールの中に入れてやっています。

またもや伏兵です。作業の途中で、何気なくモーターを触っていたら、ブラシを留めている蓋がポロリとはずれました。ネジがつぶれているようです。しかも、バネを壊してしまいました。

こういうパーツを修理するより、モーターを取り替えてしまおうと思い、1mm厚の真鍮板でモーターを固定するステイを作りました。1mm厚くらいなら、工具があるので、真鍮板の切断・折り曲げ・穴開けは、この程度のレベルであれば、簡単にできます。モーターを横向きに置きました。動輪側のギヤの軸とほぼ同じ高さになるためですが、この模型の内部スペースが広いという面もあります。

シリコンチューブが柔らかすぎるようなので、ギヤまでの長さを調整するために、位置を少しずらして、取り付け穴を2つ開けました。機関車本体の取り付け位置とネジを使いたいので、元のネジ(2.6mm)に合うナットをハンダ付けしています。

出来上がりはこんな感じです。動輪駆動用のギヤボックスが中心から少しずれているようですが、当面は無視して、走らせながら様子を見ます。

フライホイール(モーターの先に付いている重り)があるので、内部を少し切り取ってスペースを作りました。
写真の中央です。汚い切り口ですが、見えないところなので,気にしません。左側の内部には丸いウェイト(機関車の重り)が入っています。

いろいろと回り道になりましたが、知識も技術も乏しい中で、思いつきの問題解決をしていく作業は楽しいものですね。
駆動部分の事前手直しはこれくらいにして、やっとDCC化に入ります。

(つづく)

S1整備とDCC化 1

2016年12月に入って、届いたばかりのS1(PRR 6-4-4-6)の整備を始めました。当鉄道のHO(2階部分)レイアウトはDCC(Digital Command Control:ディジタル信号で制御する方式)になっていますので、とりあえず、DCC化して、走行させるのが目標です。

半世紀前の製品なので、どこまでできるかわかりませんが、いろいろと検討しながら、できるだけ毎日、30分から1時間くらい、工作を楽しもうと思います。先ずは手製の整備台に乗せてチェックです。

車輪からの導通はなく、DC電源につないでみましたが、まったく反応がありません。ヘッドライトも点灯しません。接触不良が多々あるようで、これは予想していたことなので、即座に分解していきました。

すべての車輪を磨いた後、駆動部分をチェックします。
動輪とモーター部分です。モーターはオープンの棒形で、ギヤはすべて金属です。

何十年と走らせていなかった雰囲気で、油分がまったくなく、モーターとギヤをつないでいるシリコン(ではなく、ビニール?)チューブがカチカチです。モーターをはずして掃除すると、モーターはスムーズに回ります。

ギヤを掃除して、グリースを塗布しました。
モーターを交換しようかと、手持ちのモーターをあてがって、動かしてみました。

何とか動いています。モーターを交換すると安心ですが、モーターを固定するステイを作らなければなりません。そっちの工作を始める前に、動輪全体の駆動状態を確認しておこうと思い、元の棒形モーターに戻してテストしてみました。

後部の動輪ユニットだけをつないで、DC電源でチェックです。少し音が出ます。

さすがにチューブと金属ギヤの組み合わせでは、かなり揺れています。このあたり、以前にKey Importsの古いビッグボーイをDCC化したときの状態とはかなり違います。

次の動画では、前後の動輪ユニットをつないで、搭載予定のDCCボード(ESUのLoksound)にDuplex機関車サウンドを入れて動かしています。少し前後が折れているのは、後ろが重かったようです。車体を組み立てると水平になります。音が出ます。

サウンドを出したら、ギヤなどのノイズはわからなくなりますが、元のモーターでやれるかどうか、また、ギヤボックスを交換しないでいいか、判断はむずかしいところです。実際に走らせて、ギヤを含めた改造が必要かをチェックするためにも、ともかく、実際に走らせるまで進みます。

日本の古い蒸気機関車模型だと、棒形モーターから小さなモーターに交換する利点の一つとして、運転室を作る余裕ができるということがありますが、S1は大きいので、幸いなことに、すでに運転室表現があります。

できるだけ元のままで走らせたいので、他の整備に移ります。

先頭部分の改良を考えます。
実物のS1の先頭部分です。

模型で気になる先頭部分です。

ヘッドライトの電球をはずそうとしましたが、3mmのパイプに接着剤で固定されていました。これはどうも後付けのようです。
電球を割って、ハンド・グラインダーで接着剤を取り除いてから、ヘッドライトのレンズ周りの金属パーツ部分の塗装をゴム・ヤスリで落とします。

そして、3mm径のLEDを挿入してみたら、ぴったりと収まりました。

この作業をしながら、側面のライト(車側灯)と番号表示の部分が穴が空いただけになっているのがさみしく思い、細工してみる気になってしまいました。

番号表示はCorelDRAWで作成してOHPに反転印刷しました。PRR用のフォントを使いましたが、0(ゼロ)が幅広だったので、61と00を分けて、00を小さいフォントにして縦に伸ばしました。今から考えれば、同じサイズの00の幅を狭くするほうが簡単でした。結果は同じですけど。

反転印刷にしたのは、印刷面を裏側で接着したかったからです。番号標の穴の後ろには2mmほどの空間があり、そこに透明のプラ棒を固定し、それに番号標を接着しました。

ヘッドライトのレンズはWAVEの模型用プラスチック・レンズ(アイズ)3.5mmを取り付けました。

前に少し飛び出していますが、許容範囲とします。

ヘッドライトと車側灯のLEDを固定するために、樹脂粘土を貼り付けました。
車側灯部分には穴を開けています。

ヘッドライトの裏です。

次の写真が仕上がり状態です。LEDを仮に付けただけですが、ヘッドライトも車側灯も電球色のLEDを使うことにしました。車側灯のレンズにはWAVEのアイズ1.5mmを使いました。スケール的には1.2mmなのですが、試してみると、模型としては小さすぎる感じがして、大きくしました。番号を貼るのにけっこう手間がかかりました。数字がちょっと斜めになっている感じですが、まあ、これが限界です。穴が開いただけの状態からはマシになったと思います。

ついでに、テンダー(炭水車)の後尾にある尾灯(後部標識)にもLEDを取り付けます。

残念な発見は、この模型のテンダー後部造作が実物とかなり異なることです。模型では、後部に電灯のくぼみが横に3つ並んでいますが、これはT1の雰囲気です。S1の中央尾灯はこの位置ではなく、上に立ち上がっていて、その高さに左右の電灯もあるようです。また、ハシゴのある上部開口部も広いようです。とは言え、実物の後部の写真を見たことがなく、その後に製作された精密な模型を見ただけですけど。

これを修正するとしたら、大がかりな作業になるので、知らないことにしておきます。客車を牽引していると気にならないでしょう。

ともかく、中央のくぼみだけに穴を開けて、LEDで点灯するようにします。これは実際に走行させるときの進行方向確認になります。口径1mmちょっとの穴を開けました。けっこう真鍮板が厚かった、という印象でした。

穴の右上に、ドリル先が当たった跡があります。養生を忘れていました。よくやることです。いずれタッチアップ塗装をしておきます。ここにもWAVEのアイズ1.5mmを貼り付けましたが、少し大きいかもしれません。

LEDを仮付けして点灯させてみました。

まあ、こんなものでしょうね。

S1に使う電球色LEDです。左がヘッドライト用の3mm、右は車側灯と尾灯に使った先端1.6mmのものです。
中央は比較のために置いた普通の3mmです。左と中央はどちらも3mmですが、違いは根元の”つば”の有無です。

今回のような、パイプの中に入れる場合、中央の形状の場合は削る必要がありますが、たいていはピンがギリギリに出ているので、加工に気を遣います。その点、つば無しは楽ちんです。

これからの作業は、Loksoundを取り付けるための細工になります。

DCCボードとスピーカーはテンダー内部に入れる予定です。
スピーカーのサイズを考えています。

スピーカーを決めて、テンダーの底蓋にスピーカー用の穴を開ける準備です。

12月はここで終わりました。

(つづく)