S1整備とDCC化 4(仮終了)

2月は金工「犬のランプ」製作が面白くて、こちらをほったらかしにしていました。

1月末までの作業です。
テンダー後部の尾灯LEDを装着して、コネクターからの配線をすべて接続しました。

DCCボードはマザーボードごとビニール袋に入れて、後ろ側に放り込んでおきます。少し熱を持ちますが、これまでもOKでした。

機関車側のLED配線に進みます。
LEDをこんな形で結線して入れることにしました。

この配線では、ヘッドライトと両側の車側灯にそれぞれCRDを入れていますが、ヘッドライトを点灯させると車側灯も同時に点灯します。車側灯の点灯回路を分けようかとも思いましたが、走行させる際には同時点灯でいいことにしました。一応、DCCボードから別回路のDC(AUX)をモーター部まで伸ばしていますので、運転室の点灯など、いずれ考えるかもしれません。

LEDを中で固定するために、両面テープを下地にしてから樹脂粘土を貼りました。

DC電源で点灯チェックです。

ヘッドライトの配線をモーター部分に来ているケーブルにコネクターで接続しました。これでDCCの配線は終了です。

3月に入って、組み立てました。
レイアウトで手押しして確認したら、コネクター・ケーブルが太かったので、曲線部では機関車本体とテンダーがすんなりと曲がりませんでした。機関車側のケーブルをより細い電子ワイヤに交換しました。

テンダーとの連結部分の間隔です。

さて、ようやくのテスト・ランです。レイアウトの直線部に置いて、出発させました。以下の動画は音が出ます。

曲線部に入るところで緩和曲線が必要かなと思っていましたが、それは問題なく、なんとか曲線をぎりぎりに回っています。さすがに、速度を上げるとギヤ音が大きくなります。

そのまま周回させました。直線と大半径のカーブだけを無事に一周して戻ってきましたが、駅に入る分岐器で脱線してストップしました。

原因は、先輪の誘導機能が悪いことと、動輪の回転自由度が小さいことだろうと思います。
あるいは、Bachmann(バックマン)製の分岐器との相性かもしれません。
カーブでの先輪のはみ出し映像です。

この外周線路はメルクリンのC-トラックで最大の半径1,115mm(24912: R9)を使っていますが、S1の胴体後部が固定されているので、先端部は外を向いてしまいます。
内側の線路(エンドウの線路で半径は1m)でも試しました。分岐器の方向が違うので脱線はしませんでしたが、状況はほぼ同じでした。

この模型を自然な感じで走らせるためには、曲線部は半径2m以上が必要なのでしょうね。1/87ですから、当レイアウトの曲線半径1mは実サイズ換算では半径87mで、地下鉄の急カーブ並みです。実物のS1も最小回転半径が大きかったために、PRRの走行路線が限られたようなので、なんか、納得してしまいそうです。

可動部分の連結はこのようになっています。右が前です。

前後で2つに分かれていて、前の先輪と動輪、後ろの従輪と動輪が別のフレームになっており、後ろの従輪・動輪のフレームは胴体に固定されています。前後の動輪の間にジョイントがあって、前の部分が動くようになっていますが、自由度がとても小さいのです。
前の部分を取り外した写真です。前方に伸びたステイだけで前の動輪と先輪部分を固定しています。

このステイの高さ調節がとても微妙で、この高さによって機関車本体の前後の高さが大きく変わります。

先輪の台車に付いている枕梁(まくらばり:ボルスタ)の位置が悪そうです。ずっと気になっていました。

枕梁は台車の固定と回転を請け負うもので、ここには2つ付いていますが、3軸台車で後ろ側の枕梁に中心ピンを入れて押さえています。これは先輪の回転を考えた結果だろうと思いますが、そのため、写真(整備前)のようにステイの調整が悪いと、台車の後ろが下がってしまい、分岐器やカーブでレールと接触してショートします。

下がらないようにステイを上げると、先輪が浮く感じで、動輪を誘導する機能がなくなるようです。中心ピンの長さを変えて、微妙な位置調整をしたりすればうまくいくのかもしれませんが、分岐器で脱線しないピッタリの位置を見つけられません。

このあたり、模型製作のノウハウがないので自信はないのですが、最低限、枕梁と中心ピンの変更などの処置をしないと、脱線は必至という状況のように思えます。

実物のS1は”duplex”と呼ばれる方式で、前後の動輪部を動かす2つのシリンダーは両方とも胴体に固定されているので、機関車の回転中心位置が本体中央にあるのでしょうね。現在の中心位置は後部動輪の後ろあたりです。これを変更するのが一番ということなのでしょうが、そうなると、テンダーとの連結も自由度を高める必要がありそうです。となると、もはや整備ではなく大改造になり、手に負えないように思います。トライしてみたいのですが、どうなるでしょうか。

S1は曲線が苦手なので、本線から転車台まで自走して入ることはできませんが、「神の手」で扇形庫に置いたら、直線はOKなので、ターンテーブルでの入れ替え作業は可能です。

扇形庫から転車台に乗るところです。以下の動画は音が出ます。

転車台にぎりぎり乗って、回転です。

扇形庫に入ります。

長い機関車ばかりを扇形庫に並べました。中央にS1、右にレイモンド・ローウィによるデザインのT1、左の2つはビッグボーイです。

S1は長いので、扇形庫から大きくはみ出すかと思いましたが、ほんのちょっとだったので、このままで良さそうです。

S1の車庫については、Classic Trains誌の古い記事に1947年の写真(Glendale Hoffman氏撮影)がありました。

これはオハイオ州のCrestlineにあるPRRの機関庫で、左端に引退したS1と、継ぎ足したような扇形庫が写っています。ここの転車台はS1より短いため、S1の方向を変えるときは、この近くにあるY(wye)形の分岐器の組み合わせによる三角形(デルタ線)を使っていたそうです。

GOOGLE EARTHで現在のCrestlineの航空写真を見つけました。

保存活動があったように聞きましたが、転車台跡には水が溜まり、残った建物の屋根は朽ちています。S1の機関庫は残っているようですが、屋根の鉄骨が見えています。

もう一つの話題です。デンマークの電子音楽系のデュオLaid Backのアルバム「Play it Straight」(1985)のジャケットです。

赤く塗ったS1がなかなかモダンです。彼らの音楽はYouTubeにたくさんアップされています。

ということで、さらなる改造はもっと勉強してから、としました。当分は扇形庫で休憩してもらいます。残された課題は多くありますが、ともかく、S1のDCC化は成功して、数十年ぶりに走らせることができましたので、今回の整備はいったん終了、ということにします。

追記
転車台に向けてS1を走らせてみたら、アプローチの手前で停止します。これは転車台・扇形庫のボードを電気的に切り離してブースターで動かしているので、アプローチの手前にギャップを入れているためです。機関車の集電とテンダー(炭水車)の左右の集電が離れて、無電(電位差なし)区間になってしまうようです。線路のギャップは残したいので、S1のテンダーで両方の線路から集電するようにしました。本来なら、動輪で左右からの集電をすべきなのでしょうが、それは少し手間なので、簡易工事で済ますのが当模型鉄道の方針です。

作業は簡単です。テンダーの後部台車を外して、手持ちの集電部材を切り取って、絶縁されている車輪に接触させます。

台車の塗装をはがし、プラバンの下地を接着剤で貼り、配線した集電部材をプラバンに接着剤で貼り付けました。

上から見ると、配線が出ていますが、台車と底板にはスペーサーを入れるので、干渉しません。

底板に2mm径の穴を開けて、配線を通して、機関車側からの集電線と合わせると終了です。

これで、ギャップでの停止はなくなりました。集電材の接触摩擦による走行への影響があるかどうかは定かではありません。
試走後、つや消し黒を塗っておきました。

ついでに、Kadeeカプラーも取り付けましたが、枠が小さく、単なるネジ止めだけになりました。いずれ、S1を改造をする際には、枠を大きく削る予定です。

4月に入って、転車台へのアプローチを改良しましたので、S1も自力で転車台・扇形庫への出入りができるようになりました。