ちょっとレザークラフト

2021年2月15日

いきさつ
これまでスマホをズボンの後ろポケットに入れる習慣になっていました。そのせいかどうかわかりませんが、2017年春、2年ほど使っていたアンドロイド機が連絡先に登録していた数人に次々と電話を発信するという事件が起こりました。勝手に発信してすぐに切るという異常でした。何人かから何事かという電話をもらって判明しました。

本当の原因は結局わからなかったのですが、そのスマホを使い続ける気にはならず、SIMフリーのiPhone SE(初代)を翌5月に購入しましたが、後ろポケットに入れる習慣は変わりませんでした。その結果(かどうかわかりませんが)、2年後にバッテリー不調によりバッテリー交換となり、そして購入後3年半の今年に入って、画面の一部に青い色が出て消えなくなり、同時にバッテリー不調が再発しました。

今回のバッテリー不調はとてもひどく、1週間後には充電がほとんどできなくなりました。画面の一部に色が出る症状は古いバッテリーが膨れてきた場合が多いようですね。画面を押してみると色の変化は拡がります。後ろポケットに入れて圧力がかかり続けた結果のような気がしてきました。

急いでスマホの買い換えが必要になり、ネットで調べてみました。外出時はiPad miniをバッグに入れているので、スマホは小さいほうがいいという選択肢です。新しいiPhone 12miniが魅力的でしたが、高価すぎたので、穏当なiPhone SE2(第二世代)に決めてから、某MVNOで2割引になるのを見つけて、注文(MVNOの乗り換え)しました。

ギリギリのタイミングでSE2が届いて、瀕死のSEからアプリ・データを引っ越しすることができました。以前のスマホの誤作動、3年半で壊れたSEを考えると、これからはスマホを後ろポケットには入れないで、同じような位置にベルト装着のケースで携帯することに決めました。

本題です。
ベルト装着用のスマホケースはいくつか出ていて、SE2(iPhone 8サイズ)専用ではないものの、軽くてサイズが合うもの(700円ほど)を買ってみました。縁の綴じ糸は白だったのですが、マジックで赤く塗りました。

フラップが磁石による接着なので、開閉はとても軽くていいのですが、少し縦に長く(1.5cmほど)、そして一番の問題はベルト装着の帯が真ん中に付いていることでした。1週間ほど使ってみてわかったことですが、スマホが数センチほどベルトより上になってしまいます。スマホを取り出すために肩と肘を大きく曲げなくてはなりません。

ということで、レザークラフト入門の始まりです。余っていた革でベルト装着用の帯を元の帯の上に取り付けてみました。ポンチで穴を開けて、2つのカシメで固定しました。カシメの内側には薄い革を貼っています。

これでスマホがベルトより下になり、スマホの出し入れがずっと楽になりました。ただ、革が薄くて柔らかすぎるので、厚い革でやり直してみたくなりました。

その一方で、普段使いのベルト(3cm幅)が穴1つ分ほど短くなっている(胴囲が延びている)こと、ベルトの革もくたびれていること、バックルは好みであること、などから、この古いベルトでスマホのホルダーを作ってみようと思い立ちました。

レザークラフトは亡くなった義母の趣味で、材料や工具がたくさん残されています。その中にベルト用の皮革もあったので、バックルに合わせたベルト作りを入門作業としました。

新しい革ベルトと古いバックルです。

このバックルは30年ほど前、アメリカにいた頃に買いました。ベルトの留め具(prong)がバックルの裏から飛び出しています。こういうバックルはアメリカ文化らしいですね。

アメリカで買ったバックルは他にもあります。これはスーパーマンで、幅45mm以上のベルト用です。オートバイに乗っていた頃に使おうかなと思っていましたが、しまい込んだままでした。

こちらはインディアン・アート(銀製)で、ベルトを取り付けてもらいました。磨かないといけません。

ベルト作りはわりと簡単でした。現在の胴囲に合った長さに切ってから、水で濡らして染色し、革の切り口(コバ)の処理、コーティングによる仕上げ、などです。この写真は染色が終わった状態で、乾くまで一晩かかりました。

革を薄く削いでいく工具もあって、重ね合わせたり曲げたりするときに使います。

完成です。染料の乾燥に一晩かかりましたが、作業時間そのものは2時間くらいでしょうか。初心者らしく、カシメの位置が少しずれて、へこんでいます。革は柔らかいので、カシメの位置決めがむずかしいですね。見えない場所なのが幸いです。

そして本番です。スマホケースの製作に取りかかります。
古いベルトを切って作りますが、イメージは昔の学生が持っていた十字型ブックバンドです。スマホのホルスターですね。ベルトの穴のない部分の長さがあれば十分なようです。

事前に9mm厚の板でモックアップを作っておきましたが、実物で合わせることができたので、出番はありませんでした。SE2の色は赤ですが、黒いSpigenのケースに入れているので、前から見ると真っ黒けで、上下がよくわかりません。

下絵を描くこともなく、イメージのままに鋏で切って、カシメで留めていきました。下の合成写真では上が表で、フラップはホックで留めます。フラップ側のホック(凹部)の取り付け方法で悩みましたが、専用取り付け工具があるのを見つけて、OKでした。裏のカシメはかなりずれています。これも見えないからいいや、という判断です。

残ったベルト部分です。

ベルト装着用の帯も取り付け、内張やコバ処理も終えて完成しました。カシメだらけになりました。糸で綴じるとカシメだけの無骨さが減るでしょうが、手間は何倍にも増えるし、きれいに綴じるのはむずかしそうなので、入門編はカシメだけの世界です。染色・乾燥がなかったので、作業時間は3時間くらいでした。

ベルト装着用の帯のカシメの状態です。

スマホを入れた状態です。

再生したベルトに装着したスマホホルスターの姿です。左が前方で、左の後ろポケットに入れている感覚です。

スマホのカメラレンズ周りの赤が少し見えています。そのあたりにも革を回したほうが防御性が高くなるかもしれませんが、今回はベルトの革が足らないようです。いかにも初心者らしい歪みと無骨さですが、スマホの位置は予定通りで、とても出し入れが楽です。ホックもそれほどかたくありませんし、勝手に外れることもありません。これでスマホがポケット内部に固定されて圧力がかかることはなくなります。

この方式の弱点を挙げれば、トイレなどでバックルを外すとスマホの重みでベルトごとスルリとホルスターが床に滑り落ちることがあるので、注意が必要なことでしょうか。ベルトにホックで留める方法も考えましたが、バックルを外す時はホルスターを後ろポケットに入れると問題ありません。

幅広(43mm)で裏(床面=トコメン)がざらついたベルトではまったく滑りません。

このベルトは30年以上前にオートバイ用に買った市販品(L.L.Bean)です。当時はL.L.Beanで手作り感のある商品が多く並んでいました。このベルトに合わせたカービングを入れたホルスターも作ってみたくなりました。

作りたいものがあると、レザークラフトも楽しい趣味になりそうです。

追記(2021年3月15日)
ベルトの残っていた部分を下側に後付けしました。バックル用の穴が見えるのはご愛敬ですが、このあたりはヨレヨレになっていたので、使っていませんでした。かなりの色づけなどで合わせてみました。

使い勝手は同じで防御性が高まりました。革の余りはこれだけになりました。