子猫の保護 1

今年(2018年)の夏は異常な暑さが続きました。初夏からパスカルの食欲不振が続く中で、大きな出来事があり、模型あそびからも遠ざかっていました。少し落ち着いてきたので、その出来事を書いておくことにします。

わが家の飼い猫となったトコのレスキューは4年前でした。「歴史は繰り返す」が現実となりました。

5月25日の朝、淀川散歩の後でパスカルと2階のバルコニーにいたら、下から子猫が’鳴いているような、かすかな音が聞こえてきました。それがすべての始まりです。

庭に降りて探してみると、余った建材などを置いている軒下の奥に数匹の子猫がいました。奥に黒っぽく見えています。

近所を回っている野良の黒猫(以下では黒ママと呼びます)が子猫を運んできたようです。

黒ママはトコと同い年くらいでしょうか。よくオス猫に追いかけられていて、これまでもお腹の大きい姿を何度も見かけていました。トコが塀の隙間に落ちずに生き延びていたら、同じような生活になっていたと想像できます。

黒ママが運んできた子猫は生後10日くらいです。子猫を敷地内で見つけてしまうと、おっぽり出すわけにはいきません。仕方がないので、適当な時期に子猫たちを保護して、いずれ里親探しをするしかないと覚悟しました。

もちろん、それまでによそに引っ越していけば、それはそれで縁がなかったことになります。子猫を保護したら、黒ママにはTNR(Trap-Neuter-Release:野良猫を捕まえて、不妊・去勢手術をして、放す)をして、今後は拙宅の外猫(地域猫)として余生を過ごしてもらうのがいいかなという気持ちになりました。里親探しもTNRもしたことがないので、ちょっと浅はかだったかもしれませんが、他の方法は思いつきませんでした。

TNRのことは聞いていましたが、具体的知識がまったくないので、ネット検索で調べる一方、地域猫活動をボランティアでなさっている方に連絡して、いろいろと教えていただきました。この方がいらっしゃらなかったら、どうなったかわかりません。

子猫を保護するのは離乳期を迎える4週齢あたりが適当、その後に母猫をTNRするのがベストということなので、子猫の保護は6月中旬あたりを目標としました。可能であれば、母猫と一緒に保護するのが一番とのことでしたが、黒ママは完全な野良猫なので、それは無理でした。

5月27日、子猫たちがいたのがコンクリートの上だったので、段ボールにタオルを敷いて入れておこうと引っ張り出したら、なんと、黒猫ばかり5匹もいます。みんな元気そうです。

段ボールに入れておいたら、黒ママはその日のうちに子猫たちを庭の隅に運んでいきました。快適になるだろうと人間が勝手に解釈してもダメで、母猫が選んだ場所のままがいいのですね。

この段階で2匹が運び忘れられていましたので、黒ママがいる状況で2匹を加えました。黒ママは謝意を示す態度ではなく、近寄ったことをとても怒っていました。こういう置き忘れも子猫の淘汰手段なのかもしれませんが、黒ママはそのまま2匹を受け容れました。

明日から雨の予報なので、今度は黒ママがいない隙に波板を塀に立て掛け、上をテープで留めておきました。この波板で雨を防ぐことができて、5月31日まで過ごしていました。

6月1日になって、またもや引っ越しです。次の引っ越し先は2階のベランダの隅でした。ここは去年あたりに遮光シェードが千切れて落ちていて、片付けるのを忘れていました。うまく場所を探すものだと感心します。

今回も庭に1匹が残っていましたので、黒ママのいない間に混ぜておきました。こういう介入がどういう結果になるのかわかりませんが、庭の隅に子猫を残したままで放っておくわけにはいきませんでした。

6月3日の午後、ベランダから子猫がすべていなくなりました。敷地内を探しましたが、どこにもいません。これで保護計画は消えたと、残念な気持ちと少し安心した気持ちが交錯していました。

でも、ひょっとしてと感じて、2階の窓から覗いたら、隣家の隅にいました。手を伸ばして写真を撮ったら、黒ママもこちらを見上げていました。

「ひょっとして」が当たりました。ここは少しの雨なら大丈夫のようですが、その奥には4年前にトコが落ち込んだ隙間があります。この場所はトコの母親も選んだように、母猫としては隠れ家としてうってつけの場所と思うのでしょうね。

6月5日夕方、その夜から翌日にかけて大雨の天気予報があり、子猫が隙間に落ちてしまうと大変、ということで、予定を1週間ほど繰り上げて、子猫を保護することに決めました。事前に隣家に連絡しておいて、黒ママがいない間に隣家に入れてもらいました。

雨がポツポツと降り出した中で4匹を取り上げて、あれ、もう1匹は?、と探したら、トコと同じ場所に落ち込んでいるのを見つけました。急いで自宅ガレージに戻りました。

4年前にトコ救出のために壊してもらっていたブロックにはステンレスの蓋をしていただけで、セメントでの穴埋め補修はしていませんでした。この日があることを予想していたかどうかは定かではありません。

簡単に蓋を外すことができます。

ここから手を入れたら、すぐ横にいました。触ると暖かく元気よく動いています。トコを引っ張り出したときより小さい骨格の雰囲気なので、簡単に取り出すことができました。その直後から大雨になりました。落ち込んだ隙間には屋根がないので、間一髪だったようです。トコはここに1週間近く閉じ込められていましたが、その期間は幸いにも雨は降りませんでした。

これで全員揃いました。しかし、5匹は多いですねえ。オス3匹、メス2匹で、みんな黒ですが、グレーがかった毛が混じっているのもいます。全体に黒の縞模様になっているようです。3週齢くらいで、黒ママが5匹もよくぞここまで育てたものと、あらためて感心です。

体重は280gから340gまで幅がありますが、みんな元気です。パスカルとトコから隔離するため、トコを保護したときと同じ2階の部屋の片隅に入れました。子猫用ミルクを哺乳器でやるのは初めてで、なかなかむずかしいものでしたが、なんとか授乳できました。

保護した6月5日の動画です。音は出ません。

翌6日には獣医に連れて行って診てもらいました。少し痩せ気味の個体もいましたが、5匹とも健康で、パルボウィルス検査も陰性でした。

(続く)