転車台アプローチの改良工事

2017年4月15日

3月にS1を整備しましたが、転車台(ターンテーブル)へのアプローチが急カーブになっていて、とても入っていける状態ではありません。

ここはBig Boyがぎりぎり通り抜けられるように、柱を削っているくらいです。

このアプローチは、転車台・扇形庫を組み込んだボードを置いてから、その状態に合わせてフレキシブル・レールを敷設したので、無理をしてしまっています。いつもながら、熟慮と手間を忘れた作業の結果はしっかり現れるものです。

ここを改良すれば、ひょっとしたらS1も自力で転車台に行くことができるかもしれない、と思って、改良工事に取りかかりました。まあ、S1が通過できなくても、現状が不細工なので、改良にはなるでしょう。

現状のアプローチ部分を別方向から眺めます。
扇形庫は現状のままにして、ボードの移動だけで何とかします。

写真の右手前の分岐から緩いカーブにするためには、転車台を載せているボードを遠くに離さなければなりません。ボードはNゲージのレイアウトを支えている柱に合わせて作っていますが、一部を切り取れば、10cm以上離すことができそうです。

ボードは置いてあるだけなので、簡単に取り外すことができます。上に載っているのは、転車台のリモコンです。

転車台をボードから取り外すことなく、そのままの状態で一部を切り取りました。上の写真の左上のあたりです。

レイアウトに戻して、どれくらいの曲線が可能かを調べます。

これまでのアプローチ橋から14cm離すと、曲線半径は1mくらいにできそうです。

工事のついでに、扇形庫内のLEDテープ照明用電源ケーブルを接触方式にしました。これで扇形庫の建物を載せるだけで照明用電源がつながります。

次の写真は、工事完了後に照明を入れたときの内部の様子です。

もう一つ、ついでの工事として、留置線路を増設しました。扇形庫内ではなく、野外です。
この写真は、留置線を増設し、周りの枠を取り付け、塗装も終えた段階です。右端が新設線路です。

これまではボードを定位置に置くために、Nのレイアウトを支える柱に組み込む形にしていましたが、今回はそれができません。そこで、ボードの横と載せる枠に2箇所、「当たり止め」を取り付けました。

載せる枠と合わせると、ぴったりの位置になります。

アプローチは板材を渡しただけなので味気ないですが、いずれ装飾を工夫しようと考えています。アプローチまでは固定線路です。

全体の雰囲気です。新設した留置線路の長さは34cmですが、日本の機関車(写真はC62)なら十分です。

転車台(Walthers 2850)の位置と線路番号を次のようにプログラムしました。この図をコントローラの近くに置いて操作しています。

丸数字はコントローラで指定する線路番号です。転車台には前後があり、上の図では転車台の位置が①になっています。①と②は固定で、①がベースとなっていて、②は①の逆向きです。③から⑩を扇形庫としました。機関車の前後を反転するためには、10を加えた数字で回転させると逆向きになります。線路の後方横に小さな数字を入れているのは、その線路の長さ(cm)です。

Big Boyの通過ではたっぷり余裕ができました。

さて、S1はどうか、です。アプローチから自走させてみました。音は出ません。

特にトラブルなく、転車台まで走っていきました。

完成状態です。少し、小物を置いてみました。

工事期間は4月前半の2週間ほどでした。これで、S1の改造準備環境が整いました。S1の改造に取りかかるのはいつになるかわかりませんが、アプローチの曲線はすっきりしました。

 

小樽交通記念館のモーガル

2005年5月22日、LGBのモーガル機関車を整備していた頃、当時の小樽交通記念館(現在は小樽市総合博物館)で実物のモーガルが走っていることを知り、訪ねてきました。前回この施設を訪れたのは北海道鉄道記念館の時代で、20年くらい前です。

きれいな建物に変わった玄関には復元保存されているモーガル「しづか」が展示されています。

大阪の義経、東京の弁慶と同様に、輸入当時に復元しているそうですが、当時はカラー写真がなかったので、カラーリングなどの考証には相当の苦労があったのでしょうね。
なかなかの可愛さです。

ヘッドライトはオイル・ランプです。当時の夜は真っ暗だったでしょうから、こんなライトで前方が見えていたのでしょうか。それとも、前方を照らして見るというより、機関車が来ているのを確認するくらいの用途でしょうか。

圧力計が一つあるだけのシンプルな運転席です。

投炭口は小さいですね。LGBモーガルのように、大きな薪をくべるのは不可能でしょう。

銘板です。

こんなものを自宅の模型室に置いています。

「しづか」の銘板の実物大レプリカです。苗穂駅横のJR関連会社で売っていました。一時だけの特製品かと思って買ったら、今でも通販しているようです。まあ、日本にある2-6-0モーガルの銘板は多くが復元工事の際に再製作されたようですから、どれがオリジナルかはわかりませんけど。

「しづか」は静態保存なので眺めるだけですが、今回のお目当ては、モーガルの実車牽引列車に乗ることでした。小樽では「アイアンホース」というネーミングで、本物のモーガルが走っています。

重油燃焼で、客車とトロッコとカブースを牽引しています。

銘板も貫禄があり、1909年のポーター社製4514号とあります。

モーガルの製造最終時期に近い機関車です。車歴データを調べてみると、グアテマラに輸出され、その後、1959年にアメリカに戻って観光公園を転々として、最後の公園が閉鎖したことから、小樽が1993年に購入したようです。たぶん、アメリカに戻った段階でリストアされて、重油燃焼方式に改造されたのでしょうが、100年間ずっと走り続けているだけに、よく整備されています。

カブース(車掌車)も立派なものです。

走るのは200mくらいでしょうか。梅小路より短いでしょう。周囲の住宅地が丸見えになっているのが雰囲気を壊しています。

でも、梅小路より面白い趣向は、先にも転車台があって、機関車が方向転換します。

方向転換してから、横を通り過ぎていきます。

そして、逆からカブースを牽引する形で戻ります。

走行が終わると、小さな扇形庫に入る転車台に乗ります。

この扇形庫や転車台などは「旧手宮鉄道施設 機関車庫一号」として、重要文化財に指定されています。

モーガル以外にも、広い野外展示場にC5550、ED76509、キハ80系気動車など、北海道を走っていた懐かしい車両(塗装が剥げているのが多くて残念ですが)があり、なかなか楽しい時間を過ごすことができました。

北海道の鉄道はアメリカからの輸入という、本州とは違った味わいがあります。旧・手宮駅構内には鉄道起点(ゼロマイル・ポスト)がありました。手宮駅は1962年(昭和37年)に旅客営業が終わって、北海道鉄道記念館となったそうです。その後、1996年に小樽交通記念館として再開し、2007年に小樽交通記念館は小樽市博物館などと統合されて、小樽市総合博物館となりました。

これだけの歴史と興味深い施設があるものの、訪問客は多いとは言えないようです。札幌在住時代、北海道観光に来た人たちの話を聞くと、小樽は運河周辺の散策観光くらいしかイメージがなかったようでしたが、ここはとてもオススメです。「しづか」が置かれているエントランスの建物周辺はきれいなので、敷地を木々で囲むと、雰囲気は格段に良くなりそうでした。