トンネルの嵩上げと架線

2022年9月6日

Gスケールの南海凸型電機を作っていて、パンタグラフを屋根にのせるとかなりの高さになり、トンネルを通過できないような気がしました。確認してみると、パンタグラフを降ろしていたら通過できますが、上げたまま通過するにはトンネルを5cmほど高くする必要がありました。

2016年に作ったトンネルは線路面からの高さ21cmで、一番高さのあるLGBのモーグル機関車がクリアできる高さにしていました。

1ゲージであれば、電気機関車(メルクリンのクロコダイル)もパンタグラフを上げたまま通過できます。

南海凸型電機のパンタグラフを載せた雰囲気です。

パンタグラフを降ろしたままであれば通過できそうです。

しばらく悩みました。トンネルの上部は上の棚まで数cmの余裕はあります。トンネル全体を嵩上げするのは特に問題はなさそうです。問題は、架線(架空電車線)なしでパンタグラフを上げたまま通過するには嵩上げが5cmほど必要で、トンネルが間延びした高さになってしまうことです。

そこで、嵩上げは3cmだけにして、トンネル通過用に架線を取り付けてみることにしました。架線集電で走らせる予定はありませんし、短い区間だけですが、走行中にパンタグラフが架線をこすりながら上下する姿を見るのは楽しそうです。

こちら側のトンネル・ポータルは上部を切り取る必要がありました。

LGBが発売している架線セットを使うと楽ですが、とても高価(円安で3万円以上)になるので、いろいろと考えた結果、トンネル内部に架線受けの板を取り付けることにしました。地上線と地下鉄線がつながっている地下鉄部分のパンタグラフへの給電板みたいなものです。

参考とした地下鉄架線の例(天神橋筋六丁目駅構内:大阪メトロ堺筋線・阪急相互乗り入れ)です。これは剛体架線と架空電車線の中間くらいの感じですね。

トンネル部分はすべてカーブしていますので、天井部分に剛体架線のようなT字型の架線止め板を取り付けます。トンネルパーツと合わせた材料を並べています。

T字型に固定した木片にブリキを切って接着剤で固定しています。

できあがった止め板です。

その断面です。

これをトンネルの天井に取り付けます。

この止め板にステンレス線で作る架線をマグネットで固定するというアイディアです。この方式はパンタグラフ摺板と架空電車線との微妙な関係を吸収してくれるだろうという目論見です。

採用した10mm角のマグネットです。これくらいの数で千円ほどでした。

トンネルの中間部に開放区間がありますが、そこは止め板だけを両方から伸ばしています。

架線作成は、径1.2mm長さ50cmのステンレス硬線をハンダでつないでいきます。

マグネットで止めるためのブリキのLアングルを作り、20cmおきにハンダ付けしていきます。

仮止めしてみました。

トンネルの出入り口近くはパンタグラフを誘導する架線を架線柱に取り付けています。

2022年5月には工事完了でしたが、まだ機関車が竣工せず、試運転を見合わせていましたら、架線をつないでいたハンダがパラパラと外れるという経年変化ならぬ経週変化がありました。要するに、ハンダ付け処理がきちんとできていなかったこと、トンネルのカーブに合わせている状態が不自然だったこと、などが原因でした。

改善する方法を考えていて、つなぎ目が不要な、もっと長いステンレス硬線を使うことにしました。届いた径1.2mm長さ10mのステンレス線は円形にまとめられています。必要な5mほどを切って、曲がりをそれなりに活かしながら、ブリキのアングルを取り付けていきました。

前回は直線の連結だったのでT字型止め板の内側に取り付けていましたが、今回はステンレス硬線に曲がりがあるので、T字型の外側に取り付けました。そのため、架線止め板を少し内側に移動させる必要がありました。

末端処理です。架線が上から徐々に下がってきてトンネルに入ります。

架線の取り付け状態です。架線の位置は架線止め板よりも2mmほど下になるように設定しています。

逆サイドです。

トンネルのもう一方の末端です。架線の処理は同じです。

これで完成しました。このような架線で全体をカバーすれば架線集電による走行も可能になりますが、まあ、そこまですることはないでしょう。

トンネル

トンネル製作プランを決めましたが、工作の材料と手順を考えているだけで時間が経ち、2015年11月になって、やっと1・Gのトンネル内部を作り始めました。

すでに使っているGゲージのトンネル・ポータル(トンネル入口の成形パーツ)のサイズに合わせてベニヤ板を切り抜いて枠を作り,線路の曲線に合わせてつなぎました。接着はすべて木工ボンドです。

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細い板とボール紙のガイドを貼り付け、画用紙を細く切って貼っていきました。

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貼り終えました。

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少し歪んでデコボコしていますが、まあ、こんなもんでしょう。

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ちょっと仮置きしてみました。これで1/3ができました。トンネル全体の長さから言えば本当は1/4なのですが、ちょっと遊びを考えています。

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同様に、あと2つ作りました。トンネル・ポータルに接着した部分と、その後ろ部分です、
パスカルと記念写真を撮りました。

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やっぱり、トコも遊びに来ました。

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内側にパテを塗っていきます。その後、グレーの塗料で仕上げます。

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手前側の市販ポータル部分の完成です。ここは2つ連結していますが、すべて簡単に取り外すことができるようにしてあります。入口の下部分が浮いていますが、これは外装で隠す予定です。

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少しデコボコしていますが、セメント吹きつけの古いトンネルの感じが出ているつもりです。
試運転の動画です。この動画はwi-fiカメラではなく、小さなデジカメを貨車に載せて撮影しています。自動焦点しかないので、カメラが焦点合わせを悩んでいます。この動画でわかりますが、途中に何もない空間があります。ここは今後のお楽しみです。

 

さて、市販のGゲージのトンネル・ポータルは1つしか買っていなかったので、奥のほうのポータルを自作することにしました。カラーボックスの棚が余っていたので利用しました。薄いベニヤ2枚をスペーサーで合わせた安物ですが、そのまま使えました。
ポータルの線画を鉛筆で下書きをして、彫刻刀で彫っていきます。

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正面が彫り上がったので、糸のこで穴を切り取り、ベニヤの間を木ぎれやパテで埋めてから、スジを少し彫りました。

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塗装しました。上の溝は2階部分のHOゲージの線路基板を支えている桟を入れて固定するためです。

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奥のトンネル入口部分の完成です。ここはポータルをはめ込むだけで、トンネル内部とは接着していません。

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手持ちのNとHOのポータルも貼り付けて、トンネル両側のポータルができました。これで、枠材が見える開口部はなくなりました。なお、この写真の中央に写っているのは鏡です。運転する場所からはHOのヤードが死角になるので、置いています。NとHOのトンネル内部は近いうちに取りかかる予定です。

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トンネル製作プラン

しばらく模型鉄道の記事を投稿していませんでしたが、工作はそれなりに続けています。

当模型鉄道はこれまで、車両走行とサウンドを楽しむ機能だけを重視していて、シーナリーは考えていませんでした。ただ、駅は設けないと、列車を停車させる場所が決まらないので、キットを買って簡単に整備していました。

レイアウトの外から運転操作を楽しむにはこれで十分と考えていたのですが、2015年6月に横浜の原鉄道模型博物館を再訪したとき、機関車の運転席に取り付けたカメラによるライブ映像に感心してしまいました。列車の運転席から眺める景色は格別です。原鉄道模型博物館のような業務用システムの導入は無理ですが、wi-fiカメラという簡易な方法で可能なら、楽しさが倍増しそうです。

そこで、2015年夏頃から、HOと1・Gの先頭車両にwi-fi(wifi)カメラを搭載する方法を模索する一方で、運転席から見えるシーナリーを少しは造っておこうかと考え始めました。まともなシーナリーを造作するスペースも技術もないので、できるだけ手間省きなものを作ろうと計画しまし た。その一つがトンネルの内部です。

N、HO、1・Gいずれも、トンネル部分はありますが、手前側の出入口にはトンネル・ポータル(入口部分の成形パーツ)を板に貼り付けただけで、内部は枠だけの空洞でした。奥の出入口はトンネル・ポータルも付けず、単なる開口部になっていました。

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問題は、いずれのゲージもトンネルが曲線区間にあることです。直線区間なら簡単に作れそう?なのですが、曲線部分のトンネルはむずかしそうです。1・Gでは建築限界測定車(おいらん車と呼ばれています)を作ろうかと考えましたが、まあ、はみ出しが大きいのは、Gゲージのシェイ機関車と1ゲージの客車なので、この2つの車両で調べることにしました。

曲線トンネルを作る方法を考えていて、思いついたのがフレキシブル・アルミダクトでした。これをカーブに合わせて延ばしていって、下の部分を切って、内側にパテを塗ればいいかと考えました。

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試しに、HOでカーブに合わせて仮置きしてみました。何とか使えそうです。

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この写真で、現在のトンネル内部が角材と壁だけの大きな空間であるのがよくわかります。普段は手前を板で隠しています。

アルミダクトでうまくいきそうだったのですが、工作を始めようとした段階で、アルミダクトが電磁シールドになるのではないかと心配になりました。Androidのwi-fiチェッカーで調べてみると、wi-fiカメラにアルミダクトをかぶせたら10dbくらいの減衰がありました。

wi-fiカメラ搭載が前提なので、とりあえずアルミダクトの採用をペンディングにして、先ずは木と紙で1・Gのトンネル内部を作ってみることにしました。1・Gのサイズになると、アルミダクトだけでは不安定で、ベニヤ板などで補強・固定する必要がありますので、手間は同じようなものです。