GIANT HALFWAYの整備

2020年7月27日

MTB(BS Wildwest)を整備しつつある途中ですが、折りたたみ自転車の整備をリクエストされました。台湾の大手自転車メーカーであるジャイアント(GIANT)のハーフウェイ(HALFWAY)という20インチのモデルです。

札幌・中央区時代の2003年に近所の自転車屋さんにあったものを気に入って購入しました。ショパンの豊平川伴走開始の時期でした。

HALFWAYは太いアルミのフレーム部分で折りたたみます。前後の車輪を支持するフォークが右側だけの片持ち式になっている斬新なデザインで、2001年に発売されたそうです。GIANTのサイト(英語)を眺めると、HALFWAYは2019年モデルまで出ていて、モデルチェンジしたタイプがEXPRESSWAYという名前になっています。(日本ではEXPRESSWAYがHALFWAYという名前で販売されているようですね。)

フレームの黄色と前後のフェンダー(泥よけ)が阪神タイガース・カラー(当時)になっています。面白いのは、タイガースのビジター用ユニフォームのようなフェンダーで、筋が入っているように見える部分が透明になっているところです。ちょっと見ではわかりませんが、灯りを当てるとよくわかります。

購入直後に後付けのLEDライトをフレームの黄色に合わせて塗装した記憶があります。シートにはゲル入りのカバーを付けています。

大阪でも1年ほど使っていましたが、その後はほとんど乗らずにカバーの中でした。Wildwestと同じような境遇です。走行距離は数百キロでしょう。

小さい自転車なので玄関で作業しました。使用説明書があったはずですが、見つかりません。簡単な仕様書はGIANTのサイトで見つけました。

前カゴを後付けしていました。全体に大きな問題はなさそうですが、17年は経過しているので、清掃、グリスアップ、ワイヤーの交換などの整備をします。7月21日に作業を開始しました。

先ずはタイヤとチューブのチェックです。片持ち式ハブなので、ナットを外すのは左側だけです。でも、左のブレーキアームを外す必要がありました。

タイヤとチューブはしばらくは使えそうなのでそのままで、近いうちに交換します。ハブのグリスアップをしようとしたら、とっかかりがありません。

小さなマイナスドライバーで黒い部分を外してみるとベアリングが見えますが、これ以上は分解できず、汚くなったグリスが見えています。これは特殊なカートリッジ式(ベアリング圧入式)のハブなんでしょうね。仕様書には「JOY-TECH アルミ 28H モノブレード専用」とありました。径に合うパイプで叩き出すくらいしかないような気がします。

仕方がないので、爪楊枝やピンセットでグリスを可能な限り取り出して、そこに新しいグリスを可能な限り埋めました。

これで丸い蓋をはめ込んでグリスアップの終了です。まあ、半分以上は新品グリスに替ったような気はします。

ハブのナットを締める左側のベアリングは奥にあります。手間ですが、これも同様に処理しました。

後輪のスプロケット(7段の歯車部分)はそのままで、清掃だけしました。次回、タイヤ交換のときにでもスプロケットを外してみます。

チェーンリングのカバー取り付けねじが錆びているし、クランクはざらざらです。

クランクは磨いて、取り付けねじは錆を落として黒で塗装しました。

仕上がりです。

汚れているボトムブラケット(BB)はカートリッジ式でした。

パーツクリーナーで掃除してから、BB外しで回してみましたが、固着はありません。軸の回転も問題なさそうなので、そのままにしておきました。いずれ交換になるかもしれません。

ハンドルをステムに取り付けるボルトが錆びていました。下からの写真です。

このボルトはルーターで錆を落とし、ネジ部分をマスキングしてクリア塗装しました。

ブレーキ(台湾のALHONGA製)は、清掃、ワイヤー交換、そしてブレーキシューを交換します。ブレーキは前後ともにセンタープル方式ですが、プルするパーツが金属板になっています。この写真は清掃後、ワイヤーを交換してからとりつけた姿です。その上にあるGIANTのロゴがシールではなく、立体になっているのはいいですね。

このブレーキではブレーキシューの左右位置をフォーク付け根の裏側から貫通しているボルトで調整するようになっていました。この仕組みを理解するまで1時間かかりました。それと、アームの支点に薄い樹脂製のワッシャーが前後に入っているので、締め付けを強くすると潰れそうです。

ブレーキレバー(台湾のTEKTRO製)には「A ok2」と表記されています。

ブレーキシューです。左が付いていたもので、カチカチでプラスチックみたいでした。

これまでのペダルには錆が多くて動きが悪かったので交換しました。折りたたみペダルです。

ハンドルグリップは割れていたので、交換しました。

変速はグリップ式シフトによるリアの7段という昔風ですが、動きは悪くありません。シフトレバーとディレイラー(変速機)はシマノの製品(SL-RS40-7TとRD-201)でした。清掃・オイル、そしてワイヤー交換と動きの調整をしました。チェーンは清掃・オイルのみです。

写真のディレイラーの上、軸の位置に丸い金属カバーが3つのボルトで固定されています。ちょっと気になって開けてみたら、車軸受け具のカバーでした。普通の自転車なら、こういうカバーはないでしょうね。清掃して元に戻しました。

さて、折りたたんだときのチェックはしていませんが、折りたたむ機会があったらその時に対処することにして、整備は終了です。

整備をすると自転車の特徴がよく見えてくるものですね。HALFWAYは(初心者には)整備が簡単とは言えませんし、折りたたみ小型車らしく走行安定性はイマイチですが、かなりの意匠をこらしていると思いました。調べてみると、GIANTの自転車はHALFWAYも含めて、著名な英国の自転車デザイナーであるマイク・バローズ(Mike Burrows)が担当していたそうですね。整備していて愛着が湧いてくる自転車です。

付録のハイライトです。
これまで前カゴを取り付けていましたが、古い手作り革バッグがいくつかあるので、その一つに交換してみました。かなり年季は入っていますが、しっかりした一枚革のショルダーバッグです。

前カゴに付いていたパーツをバッグ裏に取り付けました。固くて少し凹凸はありますが、なめらかなので、それほど問題はないでしょう。

裏は目立つ場所ではありませんが、黒が主張するので、茶色に塗装しました。

内側のパーツも茶色に塗装し、補強のために厚い床革(とこがわ)を入れました。この厚さでネジの長さに合って、内側にネジは飛び出しません。

自転車に取り付けてみました。しっかりしていて、ワンタッチで取り付け・取り外しができます。

7月27日、整備が終わって、購入時に近い状態の気分となりました。ちょうど1週間でした。

バッグを取り付けた姿です。

好みの雰囲気になりました。

新規購入したパーツはペダル、グリップ、ブレーキシューで2,500円ほどでした。ワイヤーは手持ちでしたが、千円くらいでしょうか。涼しくなったら、チューブとタイヤを交換する予定です。

追記(2020年10月21日)
チューブとタイヤを交換しました。片持ち式ハブなので、ブレーキアームを外せば交換できました。

タイヤはパナレーサーのPASELA COMPACT 20×1.50にしました。サイドがアメ色なので、全体にまとまった気分です。