2024年12月10日(タイトル変更 12/23)
最近、読書で小さな文字を読むのがつらくなってきました。工作では拡大ルーペ付きLEDアームライトが不可欠となっています。

日頃の読書は自炊したPDF本を読むというスタイルで、自宅では9.7インチのiPad(12年前の第4世代)を使っています。また、外出時はiPad mini(5年前の第5世代)をバッグに入れています。どちらにも同じ本(小説から辞典・事典まで数十冊)を入れて、入れ替えるのも同時期にしています。Adobe社が名付けた名称PDFはPortable Document Formatの略ですから、そのままぴったりです。
7.9インチのiPad miniは小さくて(全体サイズは長辺203mm、短辺135mm)軽い(本体308g、ケース入りで428g)ので、持ち歩いて、電車内や喫茶店などで読むには便利です。その分、PDF本の文字表示が実物と同じか小さいのです。文庫本であれば実物より少しだけ大きく表示される程度です。このiPad miniの表示サイズが読むのにつらくなってきたわけです。
一方、iPadはサイズ(全体サイズは長辺241mm、短辺186mm)が大きくていいのですが、実際の本よりもずっと重い(656g+ケース170g)ので、持ち歩く気にはならず、自宅で読む時もタブレットスタンドを使う必要があります。
いずれであっても、画面のLED照明を周囲に対して適切な明るさ(たいていは30%未満)にしておけば、紙の本と比べて眼が疲れるという感じはありません。
最新のiPad(第10世代)は10.9インチ(全体サイズは長辺249mm、短辺180mm)で477gとまあまあ魅力的なのですが、ちょっとお値段(メモリー64GBで58,800円)が・・・。電子ペーパー(EInk)端末を期待しているのですが、カラー版はまだまだ開発途中の感があり、しかもiPadなみ以上の価格です。
そんな悩みを持っていて見つけたのが、TCLという中国本社メーカーの「TAB 10 Gen2」という10.4インチ(全体サイズは長辺245mm、短辺155mm)、Android OS 13のタブレット(以下、単にTCLと記す)です。パネルはIPS、解像度は 2000✕1200、重さは10インチクラスのタブレットで最軽量の425g、販売価格が2万円です。
TCLというブランドはテレビ製品(液晶や有機EL)で定評があり、価格、サイズ、重さはWelcomeですが、自炊したPDFファイルが読みやすいかどうかが問題です。読みやすさには、ハード面(スクリーンのサイズや画像の質など)とソフト面(PDFのリーダーアプリ)の2つの側面があります。
ハード面では、本を読むときに、TCLがiPadよりも縦長(横長?)のデザインであることのメリット・デメリットがよくわかりませんでした。主として横置きにして使う用途を考えたサイズなのでしょう。
ソフト面では、これまでiPadでは、i文庫HDという有料(800円)アプリを使っていました。とても使いやすいアプリですが、何年もアップデートされなくなって、wifiでNASからファイルをアプリ内でダウンロードできなくなるなど、不便になっていました。
そんな頃、SideBooksという無料のiOS用PDFリーダーアプリを見つけたので、試しに使ってみると、i文庫HDとほぼ同じ機能(しおり、文字検索、右綴じ本対応、余白のサイズ調整、本棚整理など)を持っていて、これで十分だ、と思いました。そして、嬉しいことに、この無料アプリがAndroid OSでも配布されていました。
そこでTCLを買ってみました。なんと言っても、iPad 64GBの1/3の価格というのが決め手でした。(しかし、買ってから2週間後に価格が1割安くなって、少々悔しい思いがありました・・・その後はまた値上げ・値下げが続いています)
届きました。

ケースが付属していました。裏に両面テープで貼り付ける簡易なものですが、それでも重さが163gもあるので、当面は使わないで、別売の保護フィルムだけを貼りました。
Androidを触るのは久しぶりですが、電源を入れると、初期化の流れがボタン選択だけで自動的に進むので、わかりにくいところはありません。すぐにシステムのアップデートをおこない、SideBooksもインストールして、AIに描いてもらった黒ママのイメージ壁紙も設定しました。

本体を触ってみて、しっかり作られているのがわかります。ただ、ケースに入れていないと、滑って落としそうだし、持ちにくい、ということで、近所の百均でスマホ用の指リングを買ってきて、裏に貼っておきました。あまり丈夫ではありませんが、指がひっかかるので、それなりに安定します。これで13g増えて、437gになりました。

これまで使っていたiPad miniは常にケースに入れていて428gですから、それと比べると9gの増加でしかありません。これで外出時に持ち歩くことが苦にならないでしょう。

自炊本ファイルを読み込む方法ですが、Android OSはWindowsと相性が良く、ファイルをSideBooksのフォルダーにダウンロードするのは、付属のUSB type-A-type-CケーブルでPCとつなげば、エクスプローラーで簡単にできます。内蔵メモリーが128GBあるので、1冊が数十MB~数百MBサイズの自炊PDF本であれば、相当数を収納できます。さらに、マイクロSDカードのスロットがあるので、データのやり取りに不満が出ることはなさそうです。このあたり、AndroidはAppleのiOS製品よりも自由度が高いと感じます。まあ、最近のiOS製品はtype-C接続になってきているので互角なのかもしれません。
ハード面として、iPad画面の縦横比は雰囲気として本のサイズとマッチしているようですが、縦長のTCLは一般的な本の縦横比率よりも縦が長い新書版のような雰囲気です。
しかし、ポイントは、SideBooksによる余白のサイズ調整です。iPad、TCLいずれでも、それぞれの画面の縦横比率に合わせた余白サイズ調整が肝要で、この調整で文字面の表示が大きく異なります。読む前に設定しておけば、読みやすさがまったく違います。
PDF化した一般的な本(縦21cm・横15cm)の同じページをiPad miniとTCLの画面で比べてみます。左側が本の実物で、右の手前がiPad miniの画面、その後ろがTCLの画面です。

iPadとTCLで背景の白の色味は違いますが、どちらも余白のサイズ調整をした結果、文字サイズは、実物≒iPad mini<TCLの順に大きくなっています。
別の本(縦19.5cm・横13.5cm)ですが、左のTCLと右の9.7インチの(miniではない)iPadでは、縦長のTCLのほうが、iPadよりもページの文字面をうまく囲むことができて、その分、文字が拡大されて読みやすくなりました。

自炊本の何冊かで読み比べてみましたが、どれも同じような雰囲気で、TCLのほうが文字が大きくなったのは予想外でした。もちろん、ページの文字範囲が縦より横に広がった本の場合はTCLが不利になるでしょうが、そういう本は限られているような気がします。
最後に、TCL(左)と、これまで持ち歩いていたiPad mini(右)との画面を比べておきます。これだけ拡大されるととても読みやすくなりました。

TCLも普段使っているショルダーバッグに入るので、持ち歩きに問題はありません。ケースのマグネットで電源のオンオフができるのは便利なので、150gほどの重量増加(トータル580gくらい)が問題なさそうであれば、ケースを使うかもしれません。自宅ではタブレットスタンドを使うことが多いですね。
読書にタブレット端末を使うのはバリアフリー化だと思っています。実物の本の小さな活字や重さを苦にしなかった頃は、装幀を含む紙の本の魅力を感じていて、インクの香りを嗅ぎながらページをめくる楽しみをディジタル化する理由はなかったのです。まあ、当時は方法もなかったのでしょうけど、高齢者が大きな天眼鏡を使って新聞や本を読んでいる姿はよく見かけました。
市川沙央は「ハンチバック」の原稿をiPad miniで書いていたそうですが、読んでいて、障害の程度の差はあれ、本のバリアフリー化は避けがたい方向でしょうね。実物の本の魅力を感じてはいても、小さな活字が読めなくなったり、本を手に持つ筋力が衰えたりすることは別途進行していきます。本を自炊すること(スキャンしてPDFファイルに変換すること)はそれなりに手間ですが、大きくて重い本が何十冊と入っていてもタブレット端末の重量は変化せず、大きくなった活字で読書でき、それなりの文字検索もできることは喜びです。
紙の本と電子データ版が並列に販売されるようになりつつあります。将来的には著作権の問題をクリアして、すべての本が電子化されて、どこかの電子書店に保存され・販売されるようになればいいなと思っています。
自炊PDF本作成も電子化の一つと言えますが、文字単位で電子化された電子データ版と根本的に違うのは、PDF本はスキャンされた「ページ画像」を読むことでしかありません。電子データ版であれば、文字サイズだけでなく、縦書き・横書きなどの変更も自由で、画面に表示される1行の文字数と行数は画面サイズに合わせて自動的に変更されますので、iPad miniの小さな画面でも読みやすいページ表示が可能です。この読みやすさは、電子化された「青空文庫」を読んでみるとよくわかります。
OCR(Optical Character Recognition)でページ画像の文字をテキスト化する方法も併用していますが、日本語のOCRはまだまだ実用的ではありません。使っているソフト(Adobe Acrobat Pro DC)で正しいテキストを取り出せるのは、600DPIでスキャンした図書で80%程度という印象です。これは簡単な文字検索に利用できる程度で、まとまった句を探すには役に立ちません。
ともかく、自炊PDF本のリーダーの世界はまだまだ過渡期ですが、当面、自宅でも外出時でも、TCLを使うことが決まりました。