BS Wildwestの整備

2020年8月14日

札幌時代は犬の伴走で活躍したBS(ブリヂストン)のMTB(マウンテンバイク) Wildwest(ワイルドウェスト)を整備します。1992年購入なので、28年ものです。走行距離は千キロ走ったかどうか程度ですが、ほったらかしなので、錆びている部分が多く、かなりの整備作業が必要となりそうです。

全体を眺めて、整備の基本を決めました。安全性が問題になるパーツはすべて交換するが、まだ使えそうなパーツはきれいに掃除して残す、という、ごく常識的な方針です。

事前に6月中旬から、必要なパーツと工具の通販注文を始めました。今回はいろいろと専用工具を揃えることにしました。6月段階の出費予定はパーツ代が1万5千円、工具が1万円ですが、それで済むのは無理でしょうね。

古い自転車なので、互換パーツの情報を集める時間がかなり必要でした。ブリヂストンの製品ですが、ブリヂストンの製作はフレームだけのようで、パーツはほとんどシマノ製です。

ブリヂストンのサイトには古い自転車の資料は皆無でしたが、シマノのサイトには古いパーツの資料もありました。また、ネット上に動画を含めて多くの整備作業例が出ていたので、とても参考になりました。

実際の作業開始は7月7日でしたが、途中でGIANTの折りたたみ自転車(HALFWAY)の整備が入りました。その整備で自転車の分解整備のポイントがわかったつもりになったので、全面的に分解していくことにしました。途中、7月末から暑くなったので、玄関での作業になりました。

1.ボトムブラケット
整備開始の作業として、クランクを外して、ボトムブラケット(BB)のチェック・整備です。かなり汚れていますが、固着はなく、センタースタンドを取り付けていたので、作業は楽でした。

ボトムブラケットは古いカップアンドコーン型です。ボルトを引き抜いたら、ベアリングのグリスが減って固まっていました。写真の左が清掃前、右は清掃後です。プラスチックのカバーに入っていました。

ベアリングもきれいで動きもスムーズなので十分に使えます。グリスアップして、フレーム内部も清掃して、元に戻します。グリスはシマノのプレミアムグリスです。交換よりも整備のほうが面白いですね。整備前(左)と整備後(右)です。

2.チェーンリング
前3段のチェーンリングのチェックです。中空の止めネジに錆が出ています。重くて錆だらけのペダルは交換します。

このとき、このチェーンリングが正円ではなく、わずかに楕円となっていることに気づき、思い出しました。当時は力学的効率で画期的だったそうですが、最近は見かけないようです。変速エラーが多いのでしょうか。

錆だらけの止めネジを交換すると1,500円くらいかかるとわかったので、ルーターで磨いて、錆取り剤で処理しました。左が磨く前、右が後です。錆は表面だけだったので機能的には問題なさそうです。

ネジ溝部分をマスキングして、シルバー塗装しました。

磨いたチェーンリングを2枚合わせて止めてみました。まあまあです。

この段階で、amazonで見つけた安価なチェーンカバーを取り付けてみました。これまでズボンの裾をベルクロで留めるのが面倒だったためで、以前から取り付けたいと思っていたものです。

このカバーは塗装再生したネジの穴を使って裏からタップネジで留めるので、塗装したネジは見えなくなりました。カバー付属のタップネジはステンレスのものに替えました。また、クランク固定用ボルトはボルトとキャップ方式でしたが、6角穴付きボルトに交換しました。

ワイルドウェストの前3段チェーンリングはMTBらしく、46-36-26という低いめの歯数になっています。一方、このカバーは最大径が48-50に適合となっています。一回り以上大きいので、ディレイラーと干渉するかもしれないと心配しましたが、その後に組み付けて確認したら、ぎりぎりOKでした。整備前と整備後です。ペダルも交換しています。

3.タイヤ・チューブとハブ
タイヤの山はそれほど減っていませんが、古いので、ひびがいっぱい入っています。当然ながら、チューブと一緒に交換です。タイヤは IRC(井上ゴム工業)のブリロ HE 26×2.00、チューブはパナレーサーの26×1.625~2.10にしました。

前タイヤを外して、ハブの状態を見ると、表面にかなり錆が出ています。

ボルトを外しました。グリスはほとんど無くなっています。

ベアリングなどをパーツクリーナーで清掃し、グリスアップをします。

後輪はスプロケットの掃除を後回しにして、軸の清掃とグリスアップをします。

チューブをはめる前に、今回は輪になったリムテープ(パナレーサー26インチ用18mm幅)を貼りましたが、慣れないとけっこうやりにくいですね。普通のテープのほうが楽でした。

前後輪とも、リムテープ、チューブ、タイヤを交換しました。

以前のタイヤとの比較写真です。

上の2本が古いタイヤです。方向性はなく、舗装路では音がうるさい感じでしたが、サイドのベージュ色が可愛く見えました。次はこういうタイプを選びたくなります。

4.ブレーキ
前後とも古いカンチブレーキで、効きが良くないし錆がひどいので、Vブレーキに交換します。

Vブレーキというのは知らなかったのですが、シマノが1990年代後半に製品化したそうで、カンチブレーキの台座をそのまま利用できます。効きがいいと評判のようです。その構造から、ブレーキレバーも専用に替えたほうがいいそうです。

前ブレーキの交換前と交換後です。

後ブレーキの交換前後です。

Vブレーキの調整は少し手間でしたが、カンチブレーキとは比べものにならないほど効きますね。

5.ステムベアリング
ハンドルポスト下のステムベアリングの清掃とグリスアップです。

上部です。

下部です。

どちらも同じように、グリスが減って、色が変わっています。清掃してグリスをたっぷり塗りました。

カンチブレーキの留め具(上部の金具)は外しました。整備前後の写真です。

6.ディレイラー
前後のディレイラーは動きが鈍くて錆がありますが、清掃と注油、ケーブルの交換で済ませられそうです。

フロントは特に錆が多い状態です。

錆を落として、外側だけを錆止めにクリア塗装しました。

調整でシフトはきっちり働くようになりました。加えて、アルミ製のダブルレッグスタンドはとても便利だし、整備にも欠かせないのですが、表面はひどい状態でした。水研ぎして、上のパーツは塗装しました。。

リアディレイラーもかなり汚れています。フロントと同様に清掃し、シリコンオイルだけで調子を見ます。HとLの調整ネジを外して清掃したら、ネジ取り付け枠のプラスチックが割れていました。まあ、無くても支障はなさそうです。

リアディレイラーを元に戻す段階でスプロケット(7段の歯車)を外して清掃しました。

シフトケーブルとクイックリリースも交換しました。そして、チェーンを交換しましたが、失敗して再購入というパターンは避けたくて、古いチェーンでピンの抜き差しを練習しました。それでも、本番で付属のピン挿入で失敗(押し込み過ぎ)してしまいました。それでも、ピンを抜かずに再挿入という方法を知って、何とか成功しました。

整備前後の写真です。

7.その他の整備作業
いろんなところに小さな錆が出ているので、気になるところだけは錆を落として、模型用のオリーブグリーンで塗装しておきました。元の塗装はラメが入っているようだし、色合わせがむずかしいので、簡単なタッチアップです。一つの例です。

ハンドルバーとステムには多くの傷があり、色も少し違っていたので、水研ぎして黒のラッカーで塗装しました。

固定ネジも黒くしておきました。塗装前(上)と塗装後(下)です。

便利なダブルレッグのセンタースタンドですが、立ち上げたときに後輪が高く上がりすぎ(11cm)だったので、脚を4cm切りました。

これで後輪の浮きが4cmほどになり、便利さはそのままで、雰囲気が落ち着きました。

ハブの汚れを取るために、余っていた革でハブブラシを作りました。前輪と後輪のハブに取り付けました。

最後の作業です。GIANTのHALFWAYと同様にショルダーバッグを取り付けました。

少し大きいバッグなので、バッグの内部に1.2mm厚のPPシートを入れました。安定のためでしたが、厚い革なので不要だったかもしれません。

フェンダー(泥よけ)を清掃して取り付け、これで整備終了です。8月8日でした。

とっても暑くなったので、試走は近所を少し走ってみただけですが、とてもなめらかな動きで静かです。タイヤの違いが大きいのかもしれません。

ホイールの振れ取りについては、簡易な方法としてブレーキシューとの接触距離でスポークを調整しただけです。本格的にやるためには振れ取り台が必要でしょうし、スポークを組み上げる技術も必要でしょうから、興味はあるのですが、その方向に行くかどうかはわかりません。

交換したパーツは以下の通りです。事前調査の結果で、ほとんどが元のパーツと同等品(エントリーレベルのMTBなので、現在では一番安価なクラス)です。金額は大まかに丸めています。

タイヤ・チューブ・リムテープ 7,000円
Vブレーキ(左右レバーを含む) 5,000円
クイック軸(前後) 2,400円
クイック・シートピン 1,000円
クランク固定用ボルト2本 600円
チェーン 1,000円
チェーンカバー 1,000円
ペダル 1,000円
エルゴグリップ 500円
前カゴ用ブラケット 1,600円
合計 21,100円

パーツ代以外に、新規に購入した工具は合計で1万2千円ほどかかりました。さらに、パーツクリーナーなどの消耗品が3千円ほどで、総計で3万6千円くらいになりました。

それなりの散財でしたが、工具が揃ったので、今後も分解整備をたっぷり楽しめそうです。そして、秋からはお気軽サイクリング(ポタリング)をたっぷり楽しめそうです。