本朝廿四孝・義経千本桜

4月24日、4月文楽公演の第一部(午前11時開演)、本朝廿四孝と義経千本桜を観てきました。

文楽劇場へはいつも地下鉄堺筋線に乗り換えて、日本橋駅から歩くのですが、今日は谷町線のままで谷町九丁目駅から歩いてみました。乗り換える手間はありませんが、歩く距離が長くなり、所要時間はほぼ同じでした。でも、途中にコンビニがいくつかあって、ランチ用にサンドイッチなどを買うことができました。

パンフレットとミニ床本です。

今日の本朝廿四孝は三段目(桔梗ヶ原、景勝下駄、勘助住家)のみで、吉田幸助改め五代目吉田玉助の襲名披露のための演目のようです。

ロビーにはお祝いが飾られていました。

その先に、2月に50歳で亡くなった豊竹始太夫の訃報が記されていました。

さて、本朝廿四考は長い演目で、八重垣姫がメインになる後段の十種香や、姫が狐憑きになって狐火で諏訪湖を渡る奥庭狐火は好みなのですが、三段目だけを観ていると、少々眠けを催すところがありました。

それでも、勘助住家(かんすけすみか)の段の最後に、勘助の母を桐竹勘十郎に代わって吉田蓑助が遣って登場したときは、場面の大道具が徐々に手前に向かってくる演出が面白く、お種の吉田和生、慈悲蔵の吉田玉男が居並ぶ「静」の人形との対比で、五代目吉田玉助による横蔵(後の山本勘助)の「動」は見事なものでした。このあたりが襲名披露の演目らしさなのでしょうね。その前にあった口上でも、先輩たちが玉助の背の高さ、脚の長さを取り上げていました。大柄なので荒事は得意なのですね。

襲名披露の演目よりも短かかったのですが、義経千本桜(道行初音旅)はとても楽しめました。昨年に眺めた吉野の桜いっぱいの舞台で、狐(忠信)を遣う桐竹勘十郎の世界と言えるものでした。勘十郎は何を遣っても雰囲気がありますね。

それはそうと、舞台に近い席で観ていると、人形のみならず、人形遣いの顔もよく見えます。人形の動きを引き立てる人形遣いの表情、特に目つきというのはむずかしそうですね。単なる無表情ではなく、人形遣いの表情が人形と調和した動きになると、観客は人形への感情移入ができるような気がします。

一方で、劇場の音響についてちょっと不満に感じたことがありました。義経千本桜・道行初音旅は豪勢に9人の太夫と9人の三味線が舞台に並んでいたにもかかわらず、少し奥まっていたためか、前から6列目の席で、語りも三味線も遠くに感じました。

文楽劇場は舞台の後ろに音が吸収されてしまうようで、音楽ホールでは舞台の後ろに音響反射板を置きますが、芝居では使いませんね。でも、文楽は音曲が重要なので、どうなんだろうか、と考えていました。まあ、太夫も三味線も前に向かっているのですけど。

普段は右横の床に太夫と三味線が出ていて、いつもその近くで聴いていますので、直接の生音(なまおと)だけが耳に入ってきて、音響反射は感じません。文楽公演で731席という大きなコンクリートの建物(設計は黒川紀章)ですから、音響効果設計はどういう仕様になっているのかが気になりました。とは言え、江戸時代の竹本座などでは詰めると千人くらい入ったと聞きましたから、人形浄瑠璃は音楽ホールとは違う音響の世界なのでしょうね。

帰りは雨だったので、歩く距離の短い堺筋線の日本橋駅から乗りました。大阪市営地下鉄は4月から民営化し、「大阪メトロ(大阪市高速電気軌道株式会社)」に変わりました。新聞には「3月31日の深夜には大阪メトロのシール貼りに大わらわ」とありましたが、まだまだ市営地下鉄の社標のままのほうが多いようです。左は堺筋線で乗った車両、右はホームの向かいに着いた車両です。

大阪メトロの社標はブルーですが、各路線の車両デザインに合わせたカラーリングをしたほうが良さそうですね。やはり、子供時分から眺めている市営地下鉄のほうが好みですが、古い感じがするとも言えますねえ。