2025年9月19日
9月17日、5年ぶりに文楽劇場に行きました。2020年1月に国立文楽劇場開場三十五周年記念初春文楽公演を観に行って以来です。
今回は大阪・関西万博開催記念の爽秋文楽特別公演ということで、「心中天の網島」、「曾根崎心中」、「恋女房染分手綱・日高川入相花王」の三部立てです。
普通の選択なら「天の網島」なのですが、心中物はちょっとしんどい気分だったし、久しぶりに桐竹勘十郎さんの人形遣い(恋女房染分手綱)を観たいし、日高川で使われる清姫のガブ(首のカラクリで美女から妖怪に変わる)の演出を観てみたい、という二つの理由から、「恋女房染分手綱・日高川入相花王」を選びました。
万博開催記念ということで、文楽開演前に20分ほどの英語による文楽の解説映画がありましたが、劇場に英語ネイティブらしい外国人の姿は見かけませんでしたし、解説は英語(日本語字幕)のみでした。PR不足かな?
「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)」は初めて観る演目でした。近松門左衛門の原作だそうです。近畿の大名の姫(12歳)が江戸へ嫁がされる話で、嫌がる姫を道中双六で楽しませて東下りを喜ばせるのですが、その双六を持っていたのが子供(数えで11歳)の馬方です。実はその子供は、姫の乳母である重の井が産んだ与之助でした。
重の井は与之助をあきらめて、馬子に戻らせ、自分は姫の東下りに伴って別れる、という、まあ、現代では考えられない筋書きです。それに、人形浄瑠璃で大名や貴族を扱うのは無理な世界なので、こういう演目は、たとえ古典とは言え、魅力的とは思えないし、客席も5割程度の入りでした。
ただ、久しぶりに観た桐竹勘十郎さんは落ち着いた人形遣いで、申し分なしでした。
「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」は道成寺伝説の浄瑠璃版で、「道成寺現在蛇鱗(どうじょうじげんざいうろこ)」との相違点なども興味深いのですが、「渡し場の段」のみなので、清姫のガブがうまく使われていると感心しているのみでした。
この清姫のガブ(カラクリのガブ)の仕掛けは昔(1960年代)、「ひょっこりひょうたん島」で魔女ルナに使われたのを覚えています。テレビで初めて見た時はびっくり仰天でした。文楽人形にルーツがあったと知ったのはずっと後でした。
今回の演目は、やはり「心中天の網島」を観ておきたいなと思わせる内容でしたが、夏バテで、あらためて世話物を観に行く元気はなく、5年ぶりの文楽劇場をそれなりに楽しめたという感想でした。加えて、今後、現代にも通用する人形浄瑠璃作品の新作を望みたい気持ちが強くなりました。
