Logitech Media Server 最新版

2024年6月26日

2012年から、普段のBGM用にLogitech 社製のネットワーク・プレイヤーSqueezebox touch(写真中央の小さなスクリーン・パネルのような製品)を使っています。

このプレイヤーをiPadやiPhoneのアプリiPengでコントロールしています。

この組み合わせでは、アンプへの光入力の音量調節までスマホで可能なので、とても便利で愛用してきました。

Squeezebox touchが機能するためのアプリLogitech Media Server(LMS)を搭載しているのは、自宅内LANにつながっているQNAP社製のTS-112というNAS(ハードディスク1台)です。

使い勝手も音質も十分に満足でしたが、この音楽鑑賞システムを導入した翌年にはSqueezebox touchが廃盤となり、ほぼ同時にQNAP社のNASの新しいOSにはLMSを搭載できなくなりました。このあたりの事情は2015年の記事で書いています。

Squeezebox touch本体についてはRaspberry Pi で模倣する方法があるので、それはSqueezebox touchが壊れたときに工作すればいい(今年になって、Pi 3B+を含めた必要部品を購入しています)として、TS-112(QNAPの古いOS:QTS4.1.4)が稼働することが命の綱となりました。

しかし、残念ながら、TS-112の不調(一部は、新しいNASの応答速度に慣れたからかも?)が目立つようになってきました。症状は、全般に反応が遅い、iPengが反応しないことが多い、TS-112のタイマー運用で起動・終了ができないことが多い、音楽ファイルをアップロードするのがとても遅くなった(初期の7Mbpsが1Mbps前後まで落ちた)などです。

何かいい方法はないかと、久しぶりに、LMSとSqueezebox touchについてネット検索をしていたら、経緯はよく分かりませんが、QNAP社製NASの最新OSで動くLMSの2024年版が、そして、Windows用にはLyrion Music Server(略称は同じLMS)という名称になった最新版があることを知りました。10年前には見つからなかったサイトばかりで、いずれもLMS愛好者のグループが無償で改訂・提供しているようです。

とてもラッキーな発見で、6月に入ってから、いくつかのサイトを感謝しながら参考にして、QNAP TS-233(OSはQTS5.1.7)にLMS(Logitech Media Server バージョン: 8.5.3)をダウンロードして、インストールすることができました。

結果は大満足で、iPhone・iPadでのiPengの反応はとても速く、CDのリッピング・ファイルのアップロードも短時間になり、ストレスのない音楽鑑賞環境になりました。

Raspberry Piによる模倣品製作はいつになるかわかりませんが、メインのオーディオシステムに使う計画に変更しました。ちょうど、McIntoshのアンプのリモコンが故障してしまって、音量調節が不便になったところでした。

これまで頑張ってくれたTS-112は分解して廃棄処分としました。

(完)

QNAP NAS更新?

2015年11月3日

(Summary) I tried to renew my NAS environmet from the slow QNAP TS-112 to the brand new TS-231+ that I purchased recently. However, I learned that Logitech Media Server for QNAP NAS is no longer available after QNAP has updated the firmware to the version 4.2. As the result, my favorite Squeezebox Touch can’t be used via TS-231+. After struggling for a week, I decided to keep TS-112 with firmware v4.1x in order to enjoy Squeezebox Touch until either one gets out of order. TS-231+ is surely a good choice for the NAS. Its transfer rate is incredible (5 times faster than TS-112), but the downloadable firmware is only 4.2 or later. I hope Logitech comes back to the NAS market again.

家のLANにつないでいるQNAP製のNAS(ネットワーク用の外部記憶装置)を新機種に更新しようとしたら、思いがけない手間がかかりました。これまでのヒストリーから始めます。

普段、ジャズを中心に音楽を楽しんでいます。ソースはCDがほとんどで、レコードとDVDを時々、という状況です。ライブを楽しむのが一番ですが、日常生活では気軽さが一番というレベルの楽しみ方です。

札幌にいたころは、CDの管理に、SONYから出ていた機械式CDチェンジャー(100枚から300枚入り)を合計3台使っていました。これは2001年、テコの写真をよく撮っていて、その背景に写っていたのですが、手製のラックの右側に、上から古い順番で3台のCDチェンジャーが並んでいます。

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CDがくるくる回って、まさにレコードのジュークボックスのようで、楽しいものでした。でも、CDが増えてくると、CDチェンジャーを買い足さなければなりません。そして、チェンジャーが増えてくると、曲を選ぶのが面倒になってきます。CDのジャケットだけをアーティスト名の順番にクリアファイル・ブックに入れて、CD本体を入れているCDチェンジャーの番号とCD番号を記したラベルを貼って整理していました。
曲を選ぶときは、クリアファイル・ブックを選んで、そのCDがどのCDチェンジャーの何番目に入っているかを見つけ、リモコンか本体を操作します。そのクリアファイル・ブックが20冊以上になりました。検索ができないので、アーティスト名を思い出せないときはたいへんです。チェンジャーに入りきらないCDは結局、棚に並べておくしかありません。こうなると、CDチェンジャーの利便性はなくなってしまいます。

大阪移住を決めた2010年ころ、ネットワーク・オーディオの存在を知りました。大阪ではネットワーク・オーディオにしようと考えて、引っ越しに際して、このCDチェンジャーや古いスピーカーを廃品回収に出してしまいました。

  • TS-112の購入
    2012年に大阪に移ってから、ネットワーク・オーディオ用のNASとして、定評のあるQNAP製のTS-112という家庭用の入門機を購入しました。

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TS-112は内蔵HD(ハードディスク)が1台だけです。HDはWD(ウェスタンディジタル)の赤版2TBにしました。これでCDがWAVフォーマットでも3千枚以上は入るでしょう。しかも、いくつオーディオ・システムがあっても、NASはこれ1台で十分です。壊れることを考えると少し不安ですが、別にバックアップを取っていれば問題はありません。
Twonky Serverという音楽プレイヤーが動くので、PCで再生できますが、オーディオ装置として、やはり、ネットワーク・プレイヤーが必要です。

  • DNP-720SEの購入
    大阪には2組のスピーカーを運んできて、それぞれ別の部屋に置くことになり、ネットワーク・プレイヤーも2台必要です。あまり選択肢がない状態でしたが、1台目としてDENONのDNP-720SEを買ってみました。

DNP-720SEは使い勝手が悪い、と言うか、アプリ(ソフト)がひどいから使い勝手が悪い、ということでしょうね。ハード面では、CDプレイヤーと比べて、WAVファイルからのディジタル出力品質の違いを聴き取れないので、使いやすさがキーになるのですが、DNP-720SEは不合格です。そもそもの問題は、iTunesでCDを取り込み始めたのですが、DNP-720SEがALAC(アップル・ロスレス)に対応していないため、WAVしか選択肢がなかったのです。その後のバージョンアップでFLACに対応しましたが、iTunesがFLACに対応していません。今でもDNP-720SEがメインのシステムに入っていますが、ラックに入れるサイズとしては適当なので、使い勝手のいいリーズナブルな価格のネットワーク・プレイヤーが出てくるまで使い続けるでしょう。

下の写真は現在のメインのシステムで、札幌時代の手製ラックを改造して入れています。札幌でも大阪でも、スピーカー以外のシステム一式は納戸の中に収納しています。
ラックの上にレコードプレイヤーを載せて、ラックの一番上の棚には、上がBDプレイヤー、下がDNP-720SEという二段重ねをしています。よく似ているので、よく間違います。その下の棚にはD/Aコンバータ(McAUDIの古いMD-1300 Mark-II)を入れています。McIntoshの非真空管プリメイン・アンプ(MA6500)とスピーカー(B&WのCDM9NT)は札幌から持ってきました。このシステムの音で十分に満足しています。

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また、リモコンが多くなっているので、SONYの学習機能付きリモコン(RM-PLZ430D )を買って整理しました。McIntoshもコントロールできますので便利です。

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  • Squeezebox touchの購入
    さて、DNP-720SEを買ってから見つけたのが、LogitechのSqueezebox touchです。並行輸入で販売されていましたが、当時(2012年)はアメリカのAmazon価格の円換算と同じくらい(2万5千円)だったので、2台目として購入しました。今は生産終了になっていて、やけに高くなっています。これは小さく、カジュアルなスタイルで、ラックに入れる雰囲気ではありません。しかし、これがとても高機能で使いやすいのです。しかも、ALACにも対応していますので、先にこちらを買っていたら、CDの取り込みはWAVではなく、ALACにしていたでしょう。

QNAP NASに追加アプリ(Logitech Media Server)があって、Squeezebox touchも簡単に設定でき、iPad用の有料アプリiPengを使えば、iPadからの選曲がとても便利です。Squeezebox touchは日本語表示ができないという問題があり、バージョンアップごとにSDにフォントを入れて組み込むなど、手間がかかりますが、iPengでは日本語表示になるので、本体でコントロールする必要がなければ問題ありません。

気軽に音楽を聴くために、アンプのスイッチを入れたら、あとはiPadで選曲や音量調節、これぞネットワーク・オーディオの手軽さ、と満足しています。曲名などの検索が簡単にできるようになったのは、CDチェンジャー時代と比べると革命的な変化ですね。
ただし、これはSqueezebox touchの話です。DNP-720SEのiPadアプリは検索もできないし、タグのないWAVファイルでNASに入れているからでしょうが、アーティストも整理できず、CD単位のフォルダーから曲を選んでいくしかありません。それでもCDチェンジャーよりは楽なので、我慢しています。有料でいいから、iPengのようなアプリが日本の製品用にも出てきてほしいと思います。

今からiTunesでWAVをALACに変換していくのも可能ですが、DNP-720SEのためにはFLACにも変 換しないといけません。後継機DNP-730REはALACにも対応するようですが、アプリが改善されない限りは候補にならないでしょう。いずれにせよ、 近い将来のためには、iTunesであれ、別ソフトであれ、WAVからALACへの変換の手間は必要かもしれません。あるいはiTunesがFLACに対応するようになったら、より喜ばしいことですが。

Squeezebox touchは写真中央の小さなアンプ(TEACのA-H01)の上に置いてあります。このシステムの音もBGMとしては十分です。

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さて、やっと本題のQNAPのNAS機種変更の話題になります。
TS-112については最初から転送速度の遅さを感じていました。無線LANでつないでいるコンピュータとの転送で5MB/s以下です。メインのオーディオ・システムであるDNP-720SEで時々、再生停止が起こります。
そこで、2013年には、無線LANでつないでいる機器を有線接続に変えるため、天井裏にLANの配線をしました。DNP-720SEもコンピュータも有線になって、TS-112とのアップ/ダウンは7MB/sくらいには改善しました。DNP-720SEの再生停止もなくなりました。

  • TS-231+の購入
    という流れがあって、特に不満があったわけではないのですが、つい最近、QNAPからTS-231+が出たことを知りました。使うかどうかはわかりませんが、DTCP-IPをサポートしています。比較表を眺めてみると、TS-112と比べて格段に転送速度が上がっているようです。NASに他のデータも置きたいと思っていたので、つい、出来心的に購入ボタンを押してしまいました。同時に、HDはWDの赤版4TBを2台です。それが4日間にわたる手間の始まりでした。

トラブルの伏線はありました。2013年には、Squeezebox touchが生産終了になったというニュースを読んでいました。時代を先取りしたような、これほど高機能で使いやすい製品が消えるとは、思いも寄らない出来事でした。これが今回のトラブルにつながってくるとは考えていなかったかどうか、なんか、もやもやしていたような気もしますが、後知恵です。

TS-231+が届いて、HDを入れ、TS-112をTS-231+に交換して、ファームウェアのダウンロードをおこないました。ファームウェアのバージョンは4.2となっています。TS-112のファームウェアは4.1.4です。初期化が終わって、4TBあることから、2台でRAID 1の構成(1台のミラーリングによるバックアップ)にしました。

次に、iTunesで整理しているCDファイルをアップロードしました。TS-112では7MB/sくらいだったのが、TS-231+だと70MB/sを超えます。コンピュータ内蔵のHDとの転送では100MB/sを突破しました。とても快適です。

  • Logitech Media Serverが見つからない
    音楽ファイルをアップしてから、TS-231+の管理画面からLogitech Media Serverを入れようとしたのですが、これが見つかりません。そして、もちろん、これまで快適に動いていたSqueezebox touchもサーバーが見つからないので動きません。

ここから原因探しのネット探索の旅が始まりました。グーグルで検索すると、QNAP用のLogitech Media Serverに関する記事は検索リストに出てくるのですが、記事へのリンクがすべて切れています。2日くらい、いろいろと検索した後、QNAPのコミュニティ・フォーラムの中を検索してみると、たくさんありました。

極端な発言は、「Squeezeboxが使えなくなった4.2のバージョンアップで、私はQNAPから離れることにした」というものでした。また、消えている、以前のアドオン・ファイルをここにzipで保管してある、という投稿もありましたが、危険なリンクでした。カスペルスキー(ウィルス防止ソフト)が止めてくれましたし、その次の投稿でダウンロードするなと警告が出ていました。

QNAPはバージョン4.2から、LogitechがやめたSqueezebox関係のソフトを徹底的に切ったようです。現在、LogitechはUE Smart Radioというインターネット・ラジオに方向転換していますので、LogitechがNAS関連製品を見放したと言えるのかもしれません。

  • 2台併用になりました
    Logitechの方針転換は、今後のメディア・ソースはNASなどに保管する個人所有から、インターネット世界に存在するメディア・ソースを利用する世界に変わることを示しているのかと、うがった見方もありそうですが、それはともかく、ここに至っては、選択肢は他にありません。Squeezebox touchあるいはTS-112のどちらかが壊れるまで、この快適なネットワーク・プレイヤーを捨てる気はないので、TS-112を元に戻すことにしました。予定では、TS-112からHDを取り出して、フォーマットしてコンピュータに内蔵しようと思っていたので、危ないところでした。

当然ながら、TS-231+は映像転送に十分対応する高速なNAS環境なので、次の写真のように、2台ともに使うという結果になりました。物置の中に、元に戻したTS-112の隣に、別のローカルIPアドレスに固定したTS-231+を並べています。

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TS-112はSqueezebox touchには不可欠ですが、DNP-720SEは(使い勝手は悪いですが)どちらのNASにも接続できます。
TS-112の設定を元に戻す管理場面での作業では、危うく、ファームウェア4.2へのバージョンアップをしてしまうところでした。今後はバージョンアップの案内が出ないように設定しました。

NASの更新ではなく、追加という結末で一段落となりました。他にいい方法があるような気もするのですが、これ以上に調べるのは面倒なので、打ち切りとしました。10年後には、個人用のNASなんて不要になっているかもしれませんし。

OSやファームウエアのバージョン・アップによるトラブル(副作用)は多いですね。iOS、Android、Windows、さらには、StationTVXまで、最近のバージョン・アップでトラブルが続出して、いくつかは旧バージョンに戻して回復しました。旧バージョンが残されている場合はまだ救われますが、今回のように旧バージョンが完全に消されていると、どうしようもありません。新バージョンが出ても、数ヶ月は様子見をして、ネットでの評価を確認してから行動に移すことが肝要だ、という、わかっていたつもりの教訓ですが、いろんな事情が絡んで、教訓を守るのはなかなかむずかしいですね。

  • 追記
    その後、ルーター以下のLANケーブルやハブを見直した結果、TS-112で25MB/s、TS-231+で120MB/sくらいの転送速度に向上しました。とても快適なネットワーク環境になりました。